SOREMA -それ、魔!- 60

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SOREMA -それ、魔!- 60

 

 

 

 

 

 

 


妹達へ

 

 

 

 

 

 

 


【ノベルウォー現在の動向】

・渋谷

ジャスティン〇 vs サド●

 


・池袋(結界・煙)

莉茉 vs クリスティ

はるか、結界外

 


・上野

東海林・百目鬼● vs ユゴー

東海林、百目鬼は単独行動中

美波、描写の書の履術者に

千巣?、上野から西に移動中

 


・新宿(結界前)

麗美・京金

 


・品川(結界前)

幸二・三太郎

 


・東京(結界前)

一善

 


・表参道→外苑前

虎走 vs アール・カルマ & 魔者数体

 


・皇居周辺

九頭龍坂・岩田 vs 魔者

 


・上空基地

五百旗頭・ひえり

ヒメ、外へ

 

 

 

第485話 「蠍」

 


《魔導結界 / 煙》

 


クリスティは疼く傷口に手を当てて呟く。

クリスティ「この感触...成程、間違いないわ」

莉茉「...?」

クリスティ「どうやら、私たち、似た者同士の様ね♥」

莉茉「...どういう意味よ」

クリスティ「それはこれから教えてあ・げ・る♥」

莉茉「...?」

 


クリスティ「まぁ、気づいた頃にはもう遅いかもしれないケド♥」

 


クリスティは手で印を結んだ。すると、クリスティの背中からサソリの尻尾の様な触手が6本生えた!

 


莉茉「...!」

クリスティ「さぁ...一緒に楽しみましょう♥この地獄を...!」

 


《池袋 / 魔導結界外》

 


はるかは魔者を倒しきり、結界を1人で殴っていた。

 


ガンッ! ガンッ! ガンッ!

 


はるか「くそっ...くそっ...くそっ!!なんでこんなに硬ぇんだ!私のパンチでも破れねぇってか?」

 


はるかは拳から血を流しながら、何度も何度も結界の壁を殴る。

 


はるか「くそっ...!莉茉っち...!!」

 


そこへ、村松と魔獣・ラキラキがやってきた。

 


はるか「あ...!アンタは!第1支部の!」

村松「...!」

ラキラキ「ワォーーーーーーーン!」

 


すると、ラキラキは結界に向かって突進した!

 


ガァン!

 


ラキラキは弾かれた!

村松「...?(ラキラキも結界に入れない...!)」

 


ラキラキ「ワォーーーーーーーン!」

はるか「頼む!力を貸してくれ!今、中に莉茉っちが閉じ込められているんだ!もう時間も結構立ってる!この中に魔者も居て、莉茉っちが1人で戦ってるんだ!」

村松「...通信で聞いた。私達は、この結界を破りに来た」

はるか「...!ありがとう!頼む!」

村松「...(魔獣だけなら入れるかもと思ったけど...かなり高度な結界術...)」

 


はるかは再び壁を殴り続ける。

 


はるか「手応えは!あるんだ!だから!いつかは!絶対破れる!」

村松「...!わかった!」

村松は槍型の魔具を取りだし、結界に振りおろす!

 


キィン!!!!

 


村松「(硬い...!)」

ラキラキ「ワォーーーーーーーン!!」

 


ガンッ! ガンッ! ガンッ!......

 


《魔導結界 / 煙》

 


クリスティ「...外が賑やかになってきたわね...これは相当ピンチかも♥」

莉茉「...?」

 


すると、クリスティは莉茉に高速で迫る!

莉茉「...!」

クリスティ「もう手加減してられないわぁ〜!」

莉茉「...(速い...!)」

 

 

 

ブ     ス     ッ     !!

 

 

 

クリスティは、莉茉の脚に触手を突き刺した!!

クリスティ「あら...外しちゃった」

莉茉「...!!」

 


莉茉は膝をついて倒れた!!!

 

 

 

 

 

 

 


第486話 「クリスティ」

 


《魔導結界・煙》

クリスティ「...(でもこの子の武器は恐らくスピード...そこを削れたって考えましょう。次に'溜'ま'っ'た時が、チェックメイトよ...!)」

 


莉茉は立ち上がる。

 


莉茉「...(この攻撃...思ったよりもダメージが少ない...これならすぐ動ける!)」

 


ビュンッ!!!!

 


莉茉が動き出したその時...!!

 

 

 

ガクッ...!!!

 


莉茉「...?!?!」

クリスティ「ニチャア...」

 


莉茉の”脚”に激痛が走る...!!

莉茉の脚には紫の稲妻の様な紋様が浮かび上がる!!

莉茉「...(何これ...!)」

クリスティ「ふふっ♥」

 


クリスティは莉茉に近づく。

 


クリスティ「どう?私の”ポイズン”のお味は?」

莉茉「ポイズン...?毒?」

クリスティは莉茉の頬を叩く!莉茉は遠くへ飛ぶ!

 


莉茉「うわぁぁ!!」

 


クリスティ「可愛い顔が苦痛で歪んでるわァ...!そう、そうなのよっ!その顔がっ!アタシはだぁい好きなのよぉぉ!!!!!」

莉茉「ちっ...!」

莉茉は起き上がろうとするも、脚に上手く力が入らない...!

莉茉「...(動けない...!なら!)」

 


バァン!バァン!

 


莉茉は油断していたクリスティの眼球目掛けてエレメントの弾を放つ!

 


クリスティ「うわぁぁぁ!!目がぁ!目がぁ!」

莉茉「(あの弾は相手の神経を蝕むもの。私の消耗具合的に、10分視界を奪えたら御の字ってとこね...)」

莉茉は、その隙に結界中の建物に姿を隠す。

 


莉茉「ハァ...ハァ...この脚...早く解毒しないと...!」

莉茉は自らの脚にマヂカラを注ぐ。

莉茉「こんな時に、美波が居てくれたら...!いや、そんな事を考えてる暇はない...!まずはアイツを倒す方法を...考えよう...」

 

 

 

《池袋 / 結界外》

 


はるかと村松は結界に向かって攻撃を続ける。

 


ガンッ!キンッ!

 


すると、結界に僅かながら亀裂が入った!

 


はるか「...!!おい!これ!」

村松「...!」

ラキラキ「ワオーーーーーン!」

はるか「ヒビだ!間違いない!このままぶっ壊そう!」

村松「うん!」

 


すると、そこへある男の声がする。

 


???「俺も加勢しよう。強き魔法使い達よ」

はるか「...?!誰だ?」

村松「...?」

 


《結界内》

 


クリスティは目を抑えながら呟く。

 


クリスティ「...!ヒビを入れられた...それほど私も弱っているということかしら...ふふっまぁいいわ。でも早くあの子を殺さないと...私もアブナイかもねぇ...」

 


莉茉は瓦礫の陰で脚を治そうと試みる。

 

 

 

クリスティ「でも安心しなさい私。だって...私の毒は、”絶対に”治らないんだからァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 


第487話 「触手」

 


《魔道結界・煙》

 


クリスティは声を上げる。

クリスティ「可愛い魔法使いさぁん?!どこなのぉ〜?!」

莉茉は陰からクリスティを見る。

莉茉「...」

 


クリスティ「ま、隠れたって無駄なんだケド♥」

 


クリスティは口から紫のバブルの様なものを複数飛ばした!

 


クリスティ「猛毒(ポイズン)ホイップ!!」

 


ボチャッ!! ボチャッ!!

 


その内の1つが莉茉の近くに着弾する!

 


莉茉「...!守護!」

クリスティ「なるほどねん。そこねぇ〜」

莉茉は立ち上がり、姿を現す。

 


莉茉「ハァ...ハァ...」

クリスティ「あなたの自慢のスピードも、もう終わりね」

莉茉「ハァ...」

莉茉は足を抑える。

すると、クリスティの傷口に衝撃が走る!

クリスティ「ゴボッ...!」

莉茉「(私の攻撃は効いてる...これなら)」

クリスティ「ふふっ...いい毒ねぇ...ゲホッ」

莉茉「気に入ってくれたなら、もう少し欲しい?」

クリスティ「ふふっ...それも面白いわね」

莉茉「...」

クリスティ「私の毒も最高だったでしょう?私の毒は治ることは無いわ。私が'死'ん'で'もね。もうあなたは私と地獄を見るしかないのよ」

莉茉「...!(こいつ)」

その時。

 


莉茉「...!」ドクンッ!

 


莉茉は吐血した。

 


クリスティ「あら、もう回ってきたようね。1回分で常人なら致死量に値するけど...あなたタフねぇ...」

莉茉「...」ハァ...

クリスティ「ま、お外が騒がしいから...そろそろフィナーレと行こうかしら...!」グチャグチャァ...!

 


クリスティは背中の触手を漲らせる。

 


莉茉「...」

クリスティ「もう走れないアナタなんて...怖くないのよ♥」

莉茉「...それはどうかしら」

 


ガッ...!!

 


莉茉はエレメントの糸でクリスティの背中の触手の全てを縛り付けた!

 


クリスティ「...!裏から!いつの間に!」

莉茉「チューイングラブ...!ずっと張り巡らせてたのよ...!気が付かなかった?」

クリスティ「あら...私としたことが...迂闊だったわ...!」

莉茉「その迂闊が命とりになるなんてね」

クリスティ「...?」

 

 

 

バキッ!!!!!

 

 

 

莉茉はクリスティの全ての触手を縛り、切り落とした!

 

 

 

クリスティ「...!」

莉茉「これでどう...!」

クリスティ「ふふっ...やられたわ」

莉茉「それだけじゃない...!!」

 


莉茉はチューイングラブを展開したまま、クリスティの背中に突き刺した!

 


クリスティ「...!」

莉茉「これで終わりでもないわよ」

クリスティ「はぁん?」

 


ド    ク    ッ!!!

 


莉茉は、チューイングラブを伝って、クリスティに毒のように攻撃を流し込む!

 


莉茉「このチューイングラブの触手から注がれるマヂカラは、あなたの内臓から全てを喰らい尽くす。肉も骨もマヂカラも」

クリスティ「何よそれ...チートじゃない...」

莉茉「...」

莉茉は、拳を握る。

 


莉茉「これで...全て終わりよ...!」

 

 

 

 

 

 

 


第488話 「遺品」

 


《魔道結界・霧》

 


クリスティ「ハァ...まさに毒のよう...体の節々が悲鳴をあげる...なんて気持ちいいッ!!!」

クリスティは、目を血走らせ、痙攣し、吐血しながら叫ぶ。

莉茉「...ハァ...(チューイングラブ・グラトニー。この技はチューイングの応用で出来た奥義...大きなダメージを与えられる分...反動が大きく出る...今の私に耐えられるかどうか...いや、迷わずやれ!勧善懲悪...!!!)」

 


莉茉は攻撃を更に加速させる!

 


ドクドクッ!ドクドクッ!!

 


クリスティ「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

莉茉「ハァ...くたばりなさい...!」

クリスティ「ぐぬぬぬぬ...!!!うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 


クリスティは、大きな断末魔を上げた!!!!!

 


莉茉「...!!!(耳が...!!ちぎれる!!!)」

 


すると、クリスティの腹部から、もう1つの触角が突き出た!!その触角の鋒は、莉茉へと高速で迫る!!!!

 

 

 

莉茉「!!!!」

 

 

 

 


グ         サ        ッ        !!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 


触角は、莉茉の腹部を貫通した。

 

 

 

莉茉「...!」コボビュビッ...!

莉茉は滝のように吐血した。

クリスティ「決まったわァ...ァ...!最悪の悪夢(バッデスト・ドリーム)...!!」ガクガク...!

 

 

 

《池袋 / 結界外》

 


はるか達は、結界に攻撃を続ける!

 


はるか「結界の殻が剥がれてきてる!もうすぐだ!」

村松「...!」

ラキラキ「ワオーーーーーン!!」

はるか「で、手伝ってもらってなんだけど、お前誰だ?強そうだけど」

 


はるかは攻撃を続けながら、先程現れた謎の男に話しかける。

はるか「てかお前人間か?魔者か?なんかよく分からん気配だな」

 


TORA「話は後だ。俺はマスター榊が残した”最後のプログラム”に従ってここへ来た...!」

 


はるか「マスター榊?榊...どこかで聞いたような...」

村松「...!」

はるか「あ!思い出した!!榊って、なぎちん拉致ったクソ野郎だ!!!その仲間かよ!!何しにきやがった!!」

TORA「それも後だ!まずはこの結界を破壊せよ!」

はるか「やってるよ!!」

3人は、結界に攻撃を続けながら、会話する。

 


TORA「あのお方...マスターもやり方はお前達とは違ったが、ただ魔法をこの世から消し去りたいという思いは本物だった」

はるか「...」

村松「...」

TORA「あのお方はもう居ない。だが、意思は消えていない」

はるか「は?」

TORA「SSIプログラム。これは、マスターに万が一のことがあった時に、残された我々PETSの行動の指針を定める為のAIプログラムだ。残りのPETSはお前達に破壊されてしまったが、私はこのプログラムに従って、海を渡りここへ来た」

はるか「それで?」

TORA「マスターの意思、それは魔法を消し去ること。このプログラムが弾き出した最善の方法は、お前達魔裁組に加勢し、ノベルを殲滅する。というものだ」

はるか「ふーん」

TORA「それに俺は、あの戦いで、本当の強さとは何かを学習した」

村松「...」

はるか「...」

TORA「とにかく、まずはこの目標を破壊することが先決である」

はるか「ま、味方ならおけ!とりあえず中にいるりまっちを助けねぇと!」

村松「...!」

ラキラキ「ワオーーーーーン!!!!」

 


TORA、参戦!

 

 

 

 

 

 

 


第489話 「妹達へ」

 


《池袋・結界外》

 


はるからは結界に穴を開け始める!!

 


はるか「おい!行けるぞ!もう少し!」

村松「...!」

TORA「!」

ラキラキ「ワオーーーーーン!!」

 


はるか「りまっちーー!!!!無事かーーー!!!!?!?!」

ラキラキ「ワオーーーーーン!!!」

 

 

 

バッ!!!!!!!!!

 

 

 

すると、結界が霧散し、辺りは光に包まれた!!!

 


はるか「ぐわっ...!!!なんだ!!!!」

 

 

 

はるかが目を開けると、そこには莉茉が背を向けて座っていた。魔者は見当たらない。

 


はるか「りまっち!!!勝ったのか!!!!」

 


はるかが駆け寄ろうとすると、莉茉は血飛沫を吐いて、倒れた!

 

 

 

はるか「...は?」

 

 

 

バタッ...

 


はるか「りまっち...?りまっち!!!!」

 


はるかは、倒れた莉茉を抱き抱えて、話しかける。

 


はるか「おいりまっち!なんだよこの血の量!何があったんだよ!!皆!!美波か唯ちゃん!!それか救急チーム呼んでくれ!!」

村松は急いで無線で連絡を取る。

 


莉茉ははるかの膝を枕に、はるかの頬に血塗れの手をやる。

 


莉茉「だめだよ...はるか」

はるか「何がだよ!」

莉茉「治療も有限よ......もっと大事な所で使わないと...」

はるか「は?!何言ってんだよ!りまっち!りまっちが一番ヤバいだろ!」

莉茉「はるか......お願いがあるの」

はるか「...?!」

莉茉「私の家の机の中に...皆への手紙が入ってる......いつこうなるか分からないから、ずっと用意してたの......だから、戦いが終わったら...皆に渡して欲しい...」

はるか「手紙?!何の話だよ!!今助けるから!後でその話は、」

 


はるかの目に涙が溜まりだす。

莉茉「もういいの......はるかももう分かってるんだよね...?もう私は...戦えないんだ」

はるか「は?!意味わかんねぇよ!!何もわかんねぇよ!!おいりまっち!!」

はるかの頬から、莉茉の手が零れる。血でなぞられた頬が涙で滲む。

 


莉茉「今思い出した......はるか達が初めて、魔裁組に来た時のこと」

はるか「...?」

莉茉「はるかも麗美も我が強くて...大変だったなぁ......美波はマイペースだし。問題児の集まりって感じで」

はるか「...」

莉茉「でも、私ね...凄く嬉しかったんだ...同じ年代の女の子が沢山入ってきてくれて...私を頼ってくれて。沢山甘えてくれて。家族がいなくなっちゃった私にとって...大事だったんだよ。本当に」

はるか「りまっち...!何言ってんだよ!もうやめてくれよ...!」

莉茉「お願い...聞いて」

はるか「...!!」

 


莉茉「はるか...はるかは優しい子。自分よりも大切な人を考えられる、素敵な子」

はるか「...!!」

莉茉「狡い人が得をして、優しい人が損をする世の中だから...はるかやみんなには強く生きて欲しい。でも、どうか、その優しさを忘れないでね」

はるか「...!」

莉茉「その優しさに、私は救われた」

はるか「...りまっち!!」

莉茉「勧善懲悪...ね...!」

莉茉は目を閉じる。

 


莉茉「たくさんたくさん...ありがとう...私のかけがえのない、妹たち」

はるか「...りまっち...待ってくれよ...りまっち!!」

 


はるかは動かなくなった莉茉を揺さぶって叫ぶ。

 


はるか「りまっち!!りまっち!!!起きてくれよ!!!!なぁ!!!まだこっちは言いたいこと沢山あんだよ!!!なぁ!!皆で笑える世界にしようって、約束したじゃねぇか!!!まだ途中だろ!?なんで、なんでりまっちだけ...!!!」

村松「...」

TORA「...」

 

 

 

 

 

 

 


第490話 「連鎖」

 


《池袋》

 


救急チームが到着する。

 


しかし、救急チームは莉茉を見るやいなや、表情を暗くした。

 

 

 

 

 

 

莉茉は助からなかった。

 

 

 

 

 

 

《莉茉の走馬灯》

 


莉茉が目を開けると、そこには魔者になって死んだ莉茉の父親がいた。

 


父親は、そこに立って莉茉に向かって微笑んだ。

 


莉茉「お父さん...?」

父「莉茉。こっちへおいで」

莉茉「お父さん...お父さん!」

 


莉茉は父に抱きついた。

 


莉茉「ごめんお父さん!もっと、もっと生きたかった...!パパの分まで、もっと長生きしたかった...!」

父「ごめんな...守ってあげられなくて」

莉茉「もっと...もっと頑張りたかった...!」

父「俺が悪いんだ、全部、俺が」

莉茉「そんな事ない!!!」

父「...でも父さんな、ずっと見てたよ?莉茉は誰よりも真っ直ぐ頑張ってた」

莉茉「...!」

父「莉茉が大切な仲間に出会えてよかった。もう十分だ。俺は幸せだ」

莉茉「...!」

 


父「ありがとう。莉茉は俺の自慢の娘だ」

 


莉茉は父の胸で泣いた。

 

 

 

《池袋》

 


はるかは悲しみにくれ、立ち上がれずにいた。

 


TORA「行かないのか。次の目標は南東の方角だ」

村松「...」

はるか「そんな簡単によ......切り替えられるわけねぇだろうが!!!!」

TORA「...」

はるか「なんで...どうしてりまっちが死ななきゃならねぇんだ!!!どうして!!!」

 


TORA「魔法使いというものは、誰しも命を賭して戦っているものだと思っていたが、他人のことになると違うようだな」

はるか「は?」

TORA「死んだ魔法使いも、魔法使いである以上その命をかけてお前達と共に闘っていたのではないのか?」

はるか「...」

TORA「現に魔者は消えている。先刻死んだ魔法使いは、魔者の討伐し、己の任務を果たしたのだ。そこに何の文句の付けようがあろうか」

はるか「...」

 


TORA「こうしている間にも、他の魔法使いが命を落としている可能性もある。お前が仲間とやらを想うのなら、選択肢は1つしかない」

はるか「...なんだよ」

TORA「ノベルのボス。シェイクスピアを討つことだ」

はるか「...白鶯蓮源」

TORA「俺は行くぞ。マスターの意思に従い、魔法をこの世から排除する為にな」

村松「...」

ラキラキ「ワオーーーーーン!!!」

はるか「...わぁったよ。やってやる」

 


はるかは立ち上がる。

 


はるか「白鶯...生まれてきたことを後悔させてやる...!!!!」

 

 

 

するとそこへ雑魚魔者がやってきて、はるかを襲う!

村松「...!」

ラキラキ「ワオーーーーーン!」

TORA「魔者...!」

はるか「...!!」

はるかは咄嗟に魔者に反応する!

 

 

 

シャキッ!!!!!!

 

 

 

すると、はるかの直前で魔者は光のようなものに斬られて消えた!

 


はるか「?!消えた?」

 


すると光は南東方面に高速で消えていった。

 


TORA「何だったんだ?」

村松「...(一瞬見えた...あの姿って、もしかして...?)」

 

 

 

 

 

 

 


第491話 「ウルフ」

 


《上空基地》

 


五百旗頭「そうですか...越前さんが...」

ひえり「...」

五百旗頭「これ以上犠牲者が出ない事を祈るしか...」

ひえり「...ですね」

五百旗頭「そう言えば、上野の光はどうなった?」

ひえり「池袋を通って、後楽園方面に移動してます」

五百旗頭「成程」

ひえり「光の通った軌道では、魔者のマヂカラ反応が尽く消えてますね」

五百旗頭「ほう...」

 

 

 

 

 

 

《品川 / 魔道結界・雷》

 

 

 

 

 

 

結界内には雷が降り注ぎ、荒廃した品川の街並みが広がっている。

 


ゴロゴロピッカーーーーン!!

 


三太郎「なんだこりゃ、ひっでえ街」

幸二「雷...か」

 


するとそこへ、高台に1人の魔者が現れる!

 


ウルフ「おいお前ら、魔法使いだな?」ドンッ!

 


ウルフは高台から2人を見下ろし、話しかける。

 


幸二「あいつがこの結界の主だな」

三太郎「おい!!魔者!!とっとと降りてこいや!!」

ウルフ「フハッ。人間の癖に、俺に指図しやがった。おもしれぇ。降りてやろう」

 


ドッスーーーーーン!!

 


ウルフは、大きな音を立てて飛び降りた。

 


ウルフ「俺はウルフ。ノベル最強の魔者だ」

三太郎「俺は三太郎!スーパーヒーローになる男だ!!」

幸二「自分で最強を名乗るなんて、余程自信があるんだな」

三太郎「おい、お前も自己紹介しろよ」

幸二「なんでだよ!」

ウルフ「まぁ御託はいい。俺が欲しているのは血肉沸き立つ殺し合い。そこから生まれるパッション!!さぁお前達2人を俺が相手してやろう。楽しめそうになかったら即殺すぞ」

三太郎「上等だぜ。俺の新しい力のお披露目会だ」

幸二「三太郎、こいつは幹部級だ。油断はするなよ」

三太郎「あぁ。しっかり集中して、きっちり退治してやる」

 

 

 

回想──────

第39巻の続き

 

 

 

《廃校》

 


幸二「こんな所に呼び出して、なんだ?」

三太郎「悪いな。俺さ」

幸二「…?」

三太郎「もっと強くなりたい」

幸二「…!」

 


三太郎「俺、今のままじゃ、スーパーヒーローどころか、ただのヒーローにもなれてない。このままじゃダメなんだ…!」

幸二「…それで?」

 


三太郎「俺に特訓をつけてくれ…!!」

 


幸二「特訓?俺が?」

三太郎「あぁ。幸二、お前のその青のエレメントの力、俺に教えてくれないか」

幸二「いや、これは俺が青の注射を打ったから出来る業だから、黄色のお前にはもっと別のやり方があるだろ」

三太郎「でも、イメージすれば出来るかも」

幸二「ん?」

 


三太郎「確かにそうだけど、俺、決めたくない。自分の限界を」

幸二「...!」

三太郎「本気で出来るって信じれば出来る。このエレメントの力はそれを可能にする」

幸二「お前...」

 


三太郎「少しでいい!教えてくれ!」

幸二「...わかったよ。やるだけやってみるか!」