SOREMA -それ、魔!- 20

f:id:btc21:20220508211628j:image

SOREMA -それ、魔!-20

 

「ぶっ潰す」

 

────

 

第171話 「届かぬ怒り」

 

────


《ロスト・フロンティア/正門付近》

島の正門。そこは小さな港のようになっており、灰色のコンクリートで作られた桟橋に、バリケードが立っている。少し霧がかかっていて、見通しはあまり良くない。真ん中には大きな門があり、門番が2人、背中に手を組んで立っている。

 

門番A「おい、前の空見ろよ!」

門番B「ん?なんだ?爆発?」

門番A「もしや、敵襲か?」

門番B「流石に今日に限ってないだろう...榊さんが祝砲でもあげたんじゃないか?」

門番A「...だよな」


ブクブクブク...


すると、門番らの目前の海の中から、泡のようなものが浮かんだ。


門番A「ん?今度はなんだ?」

門番B「???」

 

ザッパーーーーーーーーーン!!!!!


門番達「?!?!?!?!」

 

────

 

《ロスト・フロンティア/城壁上》

WANI「なんだよ...もう終わりか?!」

KANI「なんかつまんねーな」

HEBI「もう少し楽しめるかと思ったのに...」

USHI「でも、もし死んでなかったらどうしよう...」

百目鬼「...笑」


HATO「それで?マスター。私達はどうすれば?」

榊「ゼクシーザが完全体となるまでは待機だ...百目鬼、その女を連れてこい」

百目鬼「承知」

TORA「我々も続くぞ」

SAME「承知」

HACHI「承知」

五百旗頭「......」

榊「五百旗頭渚。立て」

五百旗頭「...許さない!!」

榊「?」

五百旗頭「私はあなたを許さない!!!」

五百旗頭はコンクリートの地面を毟り、血涙を流しながら叫んだ。


榊「...フッフッ。フハハハハハハハ!!そうか、許さないか...!!そうかそうか...」

五百旗頭「......!!!」


榊「”はい、了解”」


榊は、五百旗頭の目を睨みつけ、したり顔で言い放った。

五百旗頭「!!!!!」

榊「TORA」      シュッ!


バコーーーーーーン!!!

TORAは、五百旗頭を遠く蹴り飛ばした。


TORA「...」

五百旗頭「ぐはっ...!」


榊「許さない...それで結構!!!お前に許されることなど、全く望んでない!!!今のお前に果たして何が出来る?何を果たせる?!」

五百旗頭「......!」


榊「力の無い者の怒り程、無意味なものは無い」

TORA「如何にも」

五百旗頭「くっ...」

WANI「ハッハッハ!!!ひっでぇな!!!事実だが」


榊「俺はお前とは違う。お前達に向いた怒りを全て、力に注いだ!今の俺になら何だって出来る。復讐だって果たせる!お前の様に、吠えてるだけの犬とは違うんだよ...!」

五百旗頭「......」


榊「百目鬼、連れて行け」

百目鬼「...笑」

五百旗頭は、うなだれて、蹲っている。


榊一行は、城壁上部から、ゼクシーザが眠る地下へ移動しようとしていた。

榊「百目鬼、あれを」

百目鬼「これのことですか?」

百目鬼は、榊にトランシーバーのようなものを渡した。


榊「我々の野望は、すぐそこにある...!」ド   ン   !

 

────


第172話 「上陸」

 

────


《ロスト・フロンティア/正門付近》

門番達「?!?!?!」


ザッパーーーーーーーーーン!!!


門番A「な、なんだこれ?!」


門番らの目の前に現れたのは、水中から突如現れた潜水艦だった!


門番B「潜水艦?!」

門番A「これも榊さんの作戦の一部か?」

門番B「俺そんなの聞いてないぞ?!」


すると、潜水艦の背中から、いくつかの影が、素早く飛んだ!


ヒュン!   ヒュン!   ヒュン!


そして、そのいくつかの影は、港に着地した。

潜水艦は再び海に消えた。


スタッ


三太郎「ここがロスト・フロンティア?なんか不気味だな」

幸二「あぁ。息が詰まりそうだ」

一善「こんな所に...五百旗頭さんが?!」 


門番A「あわわわわわわ!な、なんなんだ一体?」

門番B「侵入者だ!!榊さんに、報告だ!!」

門番らは、トランシーバーを取り出す。


スッ

莉茉「ふーん、やっぱりいるんだ、榊ってやつが」

門番B「ドキ!」

麗美「これ、ちょうだい?」

門番A「あっ!」

麗美と莉茉は、トランシーバーを奪い取った。


はるか「よし、とりあえず上陸は成功!!」

美波「...!」

一善「はい!」


実働班メンバー、ロスト・フロンティア港に上陸!!!


三太郎「それにしてもでっけえ門だなぁ…」

一行は巨大な門を見上げる。

その時、島内の至る所に仕掛けられたスピーカーから、アナウンスが流れる。


\榊「あ あ。職員全員に告ぐ。これから我々の作戦は最終局面に突入。ゼクシーザ機動まであと5時間。それまでに、地下5階ゼクシーザ起動室まで避難するように。繰り返す...」/


美波「...いま、ゼクシーザって?」

はるか「榊の声か...!」

幸二「とりあえず、まずはこの門を抜けないと」

三太郎「なぎちんには会えない!」

 

────


第173話 「開門」

 

────


《ロスト・フロンティア/正門前》


門番達「ひえーーーーー!!」

逃げ出そうとする門番らを、麗美とはるかがとっ捕まえる。

はるか「おいゴルァ!てめぇら、ウチらのダチどうするつもりだ?あ゛あ゛ん?!」

門番A「え、え、なんの話だ?」ガクブル...

はるか「あ?バックれんのか?!いい度胸だ...なァッ!!!!」


キィィィィン!!!!!!!


はるかは、門番の1人に金的をくらわす。

門番A「あ゛ーーーーーーーー!!!!」

門番B「ひぃ!」

麗美「お前は?」

門番B「い、五百旗頭渚か、、?!あ、あいつなら無事だよ多分、、今榊さんと一緒に、、」ガクブル...

麗美「おい、その榊って奴連れてこいよ、殺してやるから」

門番B「そ、それは出来ません!!」ガクブル...

麗美「じゃあなぎちん連れてこい」

門番B「それも無理です、、!!!」


キィィィィン!!!!!!!


門番B「あ゛ーーーーーーーー!!!!」

麗美「使えねぇな、ならとっとと門開けろ」

はるか「やらねぇとどうなる分かるよなァ?」

門番達「ア......ア.........」

 

麗美「こ・ろ・す・ぞ?★」

 

麗美が満面の笑みで言うと、門番達は白目を向きながら叫ぶ。

門番達「開けます開けます!!!だから殺さないでェーーー!!!」ガクブル!!!


門番らは、門を開放した。

 

ガッッッッ    シャンッッッッッ!!!!!!

 

はるか「おーい!皆!」

麗美「開いた〜」

 

他メン「(怖すぎなんだよなぁ...)」


三太郎「てか前見ろよ!でっけえ壁!!!」

麗美「何?あの壁」

美波「なんか建物いっぱい...」

幸二「まるでひとつの街みたいだな」


彼らの前には、真っ直ぐ奥へ伸びる大通りが見え、その脇には多くの研究用施設が立ち並ぶ。そして、大通りの最奥に見えるのは、島を横断する巨大な城壁だ。


莉茉「これ、なんか奪えたからあげる!」

莉茉は、一善にトランシーバーを渡した。

一善「あ、どうも…」


三太郎「よし、皆行くぞ...!!」

幸二「お前が仕切るな!」

莉茉「...!」

美波「渚ちゃん...!」

麗美「...!」

はるか「いっちょやるか!」

一善「必ず...勝つ...!!!」

 

────

 

一方その頃・・・


《ロスト・フロンティア/海底》


潜水艦は、地下部に潜む地下通路の入口に止まった。


ジャ「あったぜ...!裏ルート!」

 

進撃開始────────!

 

────


第174話 「緊急事態発生」

 

────


《ロスト・フロンティア/地下通路》


ジャスティンは、地下通路の中をひたすら走る。


ジャ「(今のところセキュリティブザーはなっていない...いや、もうバレてるか?”上”からの通信もまだ無い...だが、さっきのアナウンスで、ゼクシーザが地下にあることは分かった...!何とかして破壊できるモンだといいが...!!!)」

 

ブーーーーー!ブーーーーー!ブーーーーー!ブーーーーー!

 

すると、ジャスティンの周りに赤いハザードランプが灯った!!


ジャ「(...まずい。バレたか?)」

 

────


《ロスト・フロンティア/城壁付近》


榊らは、城壁の裏側の階段を降りていた。

 

ガッッッッ    シャンッッッッッ!!!!!!

 


USHI「???今、なんか、門が開く音がしなかった...?」

WANI「バカな...んなわけねーだろ!」

HACHI「だが、万が一ということもある」

HATO「誤作動...でしょうか?」


百目鬼「...?」

榊「...まさかな、少し見てくる」

百目鬼「我々は?」

榊「百目鬼と五百旗頭は下がれ。他は俺と共に来い」

百目鬼「はい」

TORA「イエス、マスター」


ダッダッダッ!!!!


そこへ、1人の警備員が焦燥しきった顔でやってきた。

榊「?!」

警備員「榊さん!!!これ!!!」

警備員は、タブレットを榊に見せた。

榊「これは...?!」


そこには、地下道を走り、カメラを壊して回るジャスティンの姿があった!

榊「...魔裁組だと?!」

五百旗頭「!!!!!」

百目鬼「...?」


警備員「この先にはゼクシーザが眠っています!!このままでは、この男が侵入してしまいます!」

榊「開いている扉は全てロックしろ!USHI、HACHI、KANI、お前らも行け!」

五百旗頭「...!!」

HACHI「イエス、マスター」

USHI「イエス...マスター...」

KANI「よっしゃぁ!殺していい感じ?マスター」


榊「いや、半殺しで捕らえろ」

五百旗頭「!!」

榊「死に際をこの女に”見せつけた後”この手で葬る」

百目鬼「...」

五百旗頭「...!」

KANI「ふぅ〜悪趣味〜!おっけ!マスター」


ビュッ!!  ビュッ!!  ビュッ!!


3体は地下へ消えた。


榊「生きていた...あの攻撃をくらって...?ということは、まさか...?」

 

榊は、城壁の階段を駆け上った。

 

────


第175話 「ウェルカム」

 

────


《ロスト・フロンティア/城壁裏》


五百旗頭「(皆...無事なの...?一体どうなってるの?)」

百目鬼「行くよ。俺たちはこっちだから」

五百旗頭「...」

百目鬼と五百旗頭は、階段を降りていく。

 

《城壁上》

榊と残りのPETSは、城壁上に戻り、正門方面を眺める。


榊「...!!!」


榊らは、開ききった正門を確認。


WANI「うわっ!マジであいてやがるな」

SAME「これは由々しき事態である」

HATO「さて、なぜでしょう。マスター」

HEBI「ちょっとワクワクしてきちゃった」ペロリ

TORA「...」

榊「まさか...(あの飛行隊は、ブラフか...?)」


《正門》

莉茉「ジャスティンさん!7名とも正面に上陸!開門しました!」


《地下道》

ジャ「了解!こちらは地下道を発見した。でも敵に見つかったかも!また折り返す!」ブチッ!

ジャスティンらは、安西らから受け取った通信機で通信する。


ジャ「(ふっ...お前達が破壊した飛行隊は無人運転!最初っから誰も乗っちゃあ居ないのさ...俺達は”空”じゃなくて”海”だ...!”その意味”がわかるか?”榊天慈”!)」


ジャスティンは、ハザードランプが飛び交う中を、カメラを壊しながら先へ進む!


《城壁》

榊「…そういうことか…フッ…くだらん」

TORA「…?」

榊「(まぁ問題ない...こっちに来ようが結果は同じ...)」

榊らは、城壁から正門付近を見下ろす。

榊「TORA、あれを」

TORA「イエス、マスター」

榊は、TORAからトランシーバーを受け取る。


榊「ご挨拶と行こうか...!」

榊は、トランシーバーを使って一善らに呼びかける!


\「魔裁組の諸君...!長旅ご苦労だった」/


《正門付近────城壁》


三太郎「ん?魔裁組?俺達のことか?」

幸二「門が開いたからな...バレたんだ」


榊「私の名は榊天慈!この世に平和を齎さんとする科学者だ」


一善「榊天慈...!」


榊「お前達の狙いは分かっている。五百旗頭渚、そして、我々の願いを潰えさせる事。そうだな」


はるか「どっから話してんだ?」

三太郎「わっかんね」

麗美「どこかから見られてる?」

幸二「防犯カメラか?」

莉茉が望遠鏡を覗く。

莉茉「あれじゃない?あの壁の上に人いるよ?」

一善「ほんとですか?」

美波「え?渚ちゃんは?!」

莉茉「いないぽい...」


榊「だがそれは叶わない!!私は今日、全ての野望を達成する!!邪魔するならば、命の保証はないぞ...?」


一善「...ふざけるな...榊...!」

 

────


第176話 「ぶっ潰す」

 

────


《正門────城壁》

三太郎「おい麗美、お前さっきなんかアレ、奪ってたろ、それ、くれ」

麗美「トランシーバー...?はい」

麗美は、奪ったトランシーバーを三太郎に渡した。


三太郎\「あ!あ!あ!」/


キィーーーーーーーン!


三太郎の声が、島中のスピーカーを伝わって響いた。


《地下道》

ジャ「(三太郎の声...!!)」


《正門────城壁》


三太郎「おーーーーーい!!なぎちんー!!!どこだー!元気か?迎えに来たぜー。隠れてないで出てこいよー!早く帰ろうぜー」


五百旗頭「...!!!(三太郎君?!)」

五百旗頭は、壁の裏で、スピーカーから響き渡る三太郎の声を聞いた。


三太郎「皆なぎちんがいないとうるさくてよー。皆待ってるぞー」


五百旗頭渚「...」

百目鬼「...」


三太郎「あと、なんだっけ?榊だったっけ、お前...」


榊「...」


三太郎「マジで、覚悟してろよ」


榊「フッ...若造が」


三太郎「今から俺達魔裁組が、お前らをぶっ潰す。もう何も、お前らの好きにはさせねぇから」

幸二「...!」

莉茉「...!」

麗美「...!」

美波「...!」

はるか「へっ、言うじゃん」

一善「...!」

 


ジャ「...」ニヤッ

 


五百旗頭「!!!!」

 


榊「フッ。お前らには失望したよ。お前ら魔裁組は、善良な人々の為に戦う正義の使者だったはずだ。それがどうしたことか、一人の”人殺し”の為に業務を放棄してのうのうと現れるとは」


一善「...!」ピキッ

幸二「あいつ...!」


榊「魔裁組というのは、私利私欲しか考えられないゴミの掃き溜めらしいな。お前達が会いたがっているあの女もそう。あの女はな!1000人の命よりも、お前たちの些細な命を選んだんだ!東京で1000人が死のうがどうだっていいらしい...!同じ平和を願う者として恥ずかしいよな?!研究者を名乗る資格などない...」


一同「!!!」


ジャ「そういうことね...」


五百旗頭「......!!!」

 

────


第177話 「犠牲観」

 

────


《正門────城壁》


榊「実に愚かだとは思わないか?」

一善「...」


三太郎「は?1000人も殺そうとしているのはお前だろ!!!お前こそ最低最悪のカス野郎だ!!」


榊「馬鹿と会話していると疲れるな。私が選んだのはこれから生きる全ての命の為、この女が選んだのはお前たちの限りある命の為、同じ犠牲を払うにも、程度が違いすぎる」

一善「...」


三太郎「何だと?お前らそれでも...!」


その時、一善が、握りしめたトランシーバーを片手に声を上げる。

 

一善「例え平和の為だろうと、お前達が人の命を奪える理由はない」

 

榊「?!」

三太郎「!」


一善「お前が、1000人の命によって生かされていたとして、365日、1000人分の人生を背負って行く覚悟はあるのか?この先生きていく人間全てに、それ程の重さを課す責任を、お前達は持てるのか?」


榊「何を言っているんだ...?」


一善「誰かの犠牲によって生きていくというのなら、その犠牲を背負って生きる覚悟が必要だ。その犠牲を払おうとしているお前達に、それだけの覚悟があるのかと聞いている」


榊「犠牲...?それは必要不可欠なもの。お前達だって、今生かされているのは、何かの犠牲の賜物かもしれんのだぞ?」

一善「...」

榊「覚悟を背負う?それは詭弁だな」


一善「...それでも。俺は、これからお前達に殺される人達のことを思うと、それを背負って生きていくなんて出来ない」


榊「なら死ねばいい。簡単な話だ。生きる権利も死ぬ権利も誰にだって平等に与えられている」


一善「ふざけるな!...よくわかったよ。お前に人の命を奪う権利...犠牲を語る権利はない!犠牲の惨禍に目もくれず、その報酬にのみ目が眩む人間に、犠牲を払う資格はないんだよ...!」


榊「...戯言だ」


一善「俺達は必ず五百旗頭さんを連れ戻す。お前たちの好きにはさせない!」


WANI「ハッハッハ。おもしれなァ」

HEBI「なんか、可愛いかも」

TORA「...」


榊「...」


その時...!

 

五百旗頭「やめなさい!!!!!」

 

五百旗頭の声が響き渡る。

一同「?!」

三太郎「なぎちん!!!」

莉茉「生きてた!」

麗美「なぎちん!」

はるか「どこだー!なぎちーん!」

美波「...!」

幸二「...!」


ジャ「なぎちん?」


五百旗頭は、百目鬼の腰に着いていたトランシーバーから、呼びかけた。


五百旗頭「悪いことは言わないわ...!お願いだから帰って...!!!」

 

五百旗頭の悲痛な叫び────!

 

────


第178話 「帰らない」

 

────


《正門────城壁》


五百旗頭「探さないでって言ったでしょ...」


三太郎「そうだな」


五百旗頭「くっ...!お願い!!早く帰って!!」


はるか「なぎちん...」

莉茉「五百旗頭さん...?」

幸二「...」


五百旗頭「その男は、あなた達が思っているより危険なの!その男は、1000人だけじゃない...あなた達全員をここで殺すつもりなの!!」


一同「...」


五百旗頭「だから...お願い...帰って...」


榊「そりゃそうだよなぁ。お前にとって何よりも大事なものだもんな...?」


幸二「...?」

麗美「...?」


榊「こいつが何故、研究者をやっているか知っているか?それはな...仲間が欲しかったからだ!」


一同「!!!」


五百旗頭「......!」


榊「化学という事実とデータのみが信用される世界で、仲間が欲しいだと?!笑わせるなァ!友情、仲間、信頼、そんなものは全て幻想なんだよ!!お前だって、大切にしていた仲間を救うチャンスを見殺しにしたよなァ?かつての仲間を簡単に切り捨てたよなァ?」

五百旗頭「...!」

榊「お前なんだよ。俺に、仲間などという存在が...信頼などという概念が詭弁だということを教えたのは...!」

五百旗頭「.....!」

榊「そんな人間が?今更くだらねぇ夢見てんじゃねぇよ!!!」


三太郎「あいつ...!」


榊「俺はこの女に最大限の復讐を果たす...ここに来た人間を、五百旗頭(おまえ)の前で皆殺しにする。お前の存在理由を奪ってやる」


五百旗頭「それだけはやめて...!」


麗美「なぎちん...」

美波「渚ちゃんが、そんなこと...」

はるか「マジで許せねぇ...!!」


五百旗頭「だからお願い!皆、即撤退しなさい!私の命令よ!聞けないの?そんなに私の命が大事?!」

一同「...」

五百旗頭「私より優秀な人なんて、探せば沢山いる。研究だって、安西達がいるし、何も問題ないはず...!第一、魔裁組、ひいては魔法協会も今日でおしまいよ。私とあなた達も、どちらにせよもうさよならなの...!だから早く...帰りなさい!!!」


一同「...」


三太郎「なぎちん。何言ってんだ?」

五百旗頭「聞こえなかったの...?あなた達...!」


一善「違いますよ」


五百旗頭「...?」


一善「あなたが優秀だから?あなたがいないと研究が進まないから...?確かにそれは事実かもしれない...でも...でも!!!そんな些細な理由で来た人間は、ここに一人も居ない!!!」


五百旗頭「...!」


一善「だって...居ないから。世界中どこを探しても、あなたの代わりはどうしたって居ないから!!!!」


五百旗頭「......!!」

五百旗頭は、目を潤ませ、俯いたまま、壁の向こうの仲間に思いを馳せる。


一善「ここにいる皆は、あなたを仲間だと思っています。皆、五百旗頭さんと出会ったことを大切に思っているからこそ、ここにやってきた!」


三太郎「!!」

幸二「!!」


一善「俺達は、あなたと過ごす時間に命を賭けたんだ!」


莉茉「...!」

はるか「...!」

美波「一善くん...///」

麗美「結構熱いとこあんじゃん」


ジャ「...愛されてるな...なぎちん」

 


一善「だから諦めてください。俺達は、帰るつもりは一切ありません」

 


SOREMA -それ、魔!- 21、ついに戦闘開始───!!

 

nbsrskniw.hatenablog.com

 

第171話 「届かぬ怒り」

第172話 「上陸」

第173話 「開門」

第174話 「緊急事態発生」

第175話 「ウェルカム」

第176話 「ぶっ潰す」

第177話 「犠牲観」

第178話 「帰らない」