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一色忍は休みたい

 

 

一色忍の謎に包まれた休日に密着!

※この物語はフィクションです。多分。

 

12:45 起床

 

一色忍の休日は遅い。

 

とはいえ、8時台と11時台位に体内時計により起きている。

 

最近は眠りが浅い一色忍。日が昇り始めると30分に1回起きることも珍しくない。

ちなみにその都度全く違う支離滅裂な夢を見るので、一色忍の朝はB級オムニバス映画を見終えてから始まると言っても過言では無い

 

 

13:15 シャワー

 

 

汚れた体をシャワーで流す。

 

休みの日は寝起き直後にシャワーで汗や眠気を飛ばし、夜はゆっくり湯船に浸かることが多い。

 

一色忍の最近の心配事。それは、湯船で歌う下手な歌声が近隣住民に丸聞こえになっていないかということである。そろそろ苦情が入ってもおかしくないレベル

もうすぐこの部屋で暮らして3年になるが。

 

 

14:00 YouTube編集

 

 

ブレイキングダウンの切り抜き動画を見ながら、マリオカートの動画を編集。通常1本の動画(10分程度)にかかる所要時間は4時間程度。集中力次第ではあるが。

 

ちなみにこの一色忍、YouTubeを初めてまだ4ヶ月しか経っていないが、編集用パソコンを2回変え、編集ソフトも2回変えている

パソコンもソフトも3代目。MacBook proとPremiere proのプロ×プロの組み合わせである。

登録者34人(ありがとう!)の弱小YouTuberの癖に設備だけは一丁前である

 

ちなみに宣伝になるが、最近の一色忍(O様)のYouTubeはなかなか面白い。

特に青鬼シリーズは10分程で見れる手軽さと秀逸な編集がユーモアに溢れていて見やすい。

初めて投稿した記念すべき動画が脅威の1時間越えだったことについて友人にチクチク言われ、非常に気にしていた。そのため、最近は短い動画が殆どだ。

 

ホラーが苦手な人でもそこまでホラー要素はないので安心して欲しい。

是非一聴して頂きたい。

youtube.com

 

 

16:00 やることリスト作成

 

 

動画を0.8個完成させ、外出の準備を始める一色忍。

 

一色忍は前日や前々日に”休みの日にやることリスト”を制作するのが日課である。その理由は、それをしないとやることを忘れてしまうからである。

 

やることリストと言っても、そこまで厳格なものでも難しいものでも無い。

 

★買い物

ゼロコーラ

リステリン

Joy

入浴剤

(ルームフレグランス?)

★印刷

Amazon買う

★服見に行く

★SOREMA挿絵

 

これが実際のやることリストだ。

 

なおこれらを完遂出来るのは7.8割程度。一色忍は、完遂出来なくても自分を責めないことをモットーとしている。

このストレス社会において些細な事で自分を責めないということは非常に大事なことである

 

1番下のSOREMA挿絵については、多分2ヶ月くらいリストに引き継がれてる。

読者の方、すみません。

 

 

16:20 外出

 

 

一色忍にとって、最近流行りのキーワード。それは、”キレイめファッション”である。今日も今日とて、襟付き落ち着きキレイめファッションに身を包み、家を出る。

 

ちなみに襟付きシャツで外出すると、何をしてても大人の休日感が出るので、普段の休日にマンネリ気味な貴方にオススメである。

 

目的地はカラオケ。

 

最寄りから2駅くらいのとこにやっすいカラオケがあり、一色忍はそこへよく行く。なお家から歩いても行ける。

今日は電車で向かい、NEWDAYSで緑茶を買い(持ち込みOK)、店へ。

 

 

16:45 カラオケ店到着

 

 

一色忍はショックだった。

 

カラオケ店が、普段なら20分100円で歌えるところ、110円に値上げしていたのだ。

 

今まで100円で歌えたことに感謝を示し、5番の部屋に入る。

 

1曲目は米津玄師の新曲・KICK BACK(チェンソーマンTV ver)。フル配信が待ち遠しい。

 

その後もいろ〜んな歌を歌う一色忍。1時間20分で退店。採点入れていたが、最高得点は……忘れたそうだ。

 

ちなみに一色忍曰くとぅいったーやイソスタでカラオケ採点の写真をあげてる人は1000%自己顕示欲強めである。

普段からそんな感じの陽キャならまだしも、あんまり群れる感じのない落ち着いた雰囲気(三重オブラート)の方だと、その自己顕示欲の強さはまさに呂布カルマも1バース目でマイクを置くレベルである。強イッ!

 

 

18:20 皆既月食

 

 

一色忍が店を出ると何やら陸橋の上で人々がスマホ片手に、空にある何かを見つめていた。それは星だって君が教えてあげようと思いながら、上を見る一色忍。

 

皆既月食が始まっていた。

 

一色忍は思った。なんか442年振り?の割には画が地味だなぁ

 

とりあえず1枚パシャった。

 

 

18:50 池袋へ

 

 

コートを欲して池袋へ。

ここでひとつの疑問。池袋は今いる所から決して近い場所では無い。渋谷や原宿の方が近いのにも関わらずなぜ池袋か?という問いの答えは後ほど。

 

まずは池袋のGUを見物。今一色忍が欲しいのはキレイめのコートやジャケット。なんならシャツも。

襟付きで冬っぽい色ならなんでも良い。予算はやっすければやっすいほどよい。

 

一色忍は服の系統にこだわらない。

 

ストリート系、古着系、キレイめ系、ジャージ、なんでもいい。というかなんでも着たい。

 

一色忍は言う。服は誰が着るかが大事だ、と。

 

ちなみに一色忍曰く、どんな服でも自分が着ることで5000円高く見える とかほざいていたので、今度あったらどつき回してくれて構わない

 

 

19:15 サンシャイン方面のユニクロ

 

 

GUでは目当てのものが見当たらなかった為、ユニクロへ移動。一色忍はユニクロのヘビーユーザーである。

 

ユニクロの前には、ピークを迎えた皆既月食に群がる人々がたむろしていた。

もう少しこう……赤くなるのが皆既月食かと思っていたが、一色忍の目にはそう映らなかったみたいだ。

 

とりあえずパシャり、ユニクロを物色。

 

結局目当てのものは見当たらず、急遽近くの別ブランドを探す。

サンシャインにNiko and…があることが分かり、閉店時間間際の為直行。

 

 

19:40 サンシャインシティ

 

 

謎の韓流アイドルのリリイベ?終わりの地雷系女子の群れに逆行し、一色忍、サンシャインへ。

 

思えば俺もオタ活してた時よく来てたなァ……と遠い記憶に思いを馳せる一色忍

 

そして一色忍、Niko and…を発見。

しかし、一色忍は思った。Niko and…って……レディースメインじゃね?

 

よくショッピングモール内のNiko and…の店を見かけるけど、Niko and…って男お呼びじゃない感半端なくない?!

どの店もなんかこう……レディースばァァァん!オマケにメンズみたいなレイアウトっていうか……

菅田と小松菜奈起用しておいてよォ。

 

と、一色忍は語る。

 

Niko and…は諦め(店にすら入ってない)、せっかくサンシャインに来たのでポケセンを見学。

 

休日のポケセンと違って密じゃなくてよい。

ポケモンSVの御三家のぬいぐるみ、もう発売していた。

一色忍はもう選ぶポケモンを決めたらしい。所で例の如く今年も進化先リークされているのだろうか?一色忍はYouTubeでやる予定のSVの動画用に公式情報以外一切ブロックしている。初見のリアクションをお届けする為さっ。

 

ポケモンSVの動画もあげていくから、是非見てね。きっと面白いよ。とのこと。

 

 

20:00 アニメイト

 

 

そう。敢えて渋谷でも原宿でもなく池袋を選んだ理由はこれである。一色忍は、アニメイトを訪れたかったのである。

 

一色忍曰く、池袋で一番空気の薄いビルであるアニメイト池袋本店。一色忍は、アニメイトを訪れる度に体調が0.9倍になるらしい。

それはあの高層を毎回階段で昇り降りしているからか、はたまた……

 

一色忍はあまりアニメを見ない。

 

故にアニメイトを訪れても8割はよく分かってない。普段一体どこに湧いてるんだというような人種(失礼)をよそ目に、一色忍はお目当てのコーナーへ向かう。

 

一色忍はあまりアニメを見ない。

 

とは言え、一色忍にはささやかに”推し”とされる人物が存在する。そして最近、一色忍には新しい推しが出来た!そう、一色忍はその推しのグッズを見るためにアニメイトを訪れたのだ。

 

その推しは…………秘密だそうだ。

 

色々な商品が陳列しているブースを回る一色忍。

 

しかし……

 

一色忍は許せなかった。

 

まず、新推しのグッズはどこにもなかった!

 

人気作品かつ人気キャラの筈なのに、今期アニメやってないことを理由に、作品自体のコーナーが用意されてなかったのだ!

 

そして一色忍はもう1つ、言いたいことがあるらしい。

 

ここで一色忍曰く”三大なんか目にうるさいコンテンツ”を紹介する。

 

それは…………!

 

 

東京卍リベンジャーズ

ハイキュー!

 

 

である!

ちなみに、一色忍の言う”三大○○”はだいたい2つである。

 

この二作品、なぜ今アニメやってねぇのに限られた敷地面積のそれなりのスペースをとるのだろうか。

 

どちらの作品も人気なのは承知の上である。恐らく、一色の推したちの作品より人気も知名度も上であり、常設コーナーがあること自体は問題ない。

 

しかし、一色忍は声を荒らげた。

 

でもなんで呪術廻戦より面積広いの?!

※一色忍は呪術廻戦のファンである。

 

特にトーマン!

 

一色忍は語る。

 

よく街でトーマンのコラボとかはよく見るけど呪術は見ない。トーマンの方が呪術よりガチャガチャが多い(気がする)。何かとトーマンの方が呪術よりYouTubeとかTikTokとかで見る(気がする)。なんか鬼滅呪術トーマンみたいな並びあるけど、別に俺納得してないからね?鬼滅は確かに凄い(鬼滅好き)、呪術もそれなりに人気なはず。トーマンも人気なのは分かるけど、呪術より人気なの?!?一応呪術は映画の興行収入138億?くらい言ってる人気作品なのだが?!なんか扱い悪くね?アニメイトもなんかトーマンの方が明らかに敷地面積広い感じで(しかも入ってすぐの目立つとこ)、鬼滅は奥〜の方だし、呪術は少しだけ。売り上げ的な問題なんですかね?せめて同レベルで扱ってくれませんでしょうか?まぁでもトーマンだって、読んでないけど読んだらきっとハマるのは分かる。めちゃくちゃキャラのセリフ覚えて真似してるの想像出来る。嫌いな訳では無いのよ。ただ呪術の扱い悪くね?ってのがいいたい(令和アニメメドレーとか廻廻奇譚よりCry Babyの方が選ばれがちなとことか)(ちなみに曲はどっちも好きだよ)ハイキューは…………いやなんでもない。ごめんな俺が身長コンプでバレー嫌いなだけなんだハイキューだって読めばハマるよ多分……まとめると、呪術ってそんな人気ないですか?!ってこと。

 

オタク特有の早口である。

 

 

20:45 何故か秋葉原

 

 

空気の薄いビルから空気の薄い街へ移動。別に秋葉原に推し商品を探しに行った訳では無い。

 

腹ごしらえのために移動したのだ。

 

本当は池袋でご飯を食べるつもりだったが、後述の理由より秋葉原へ移動。

 

 

21:00 朝食

 

 

秋葉原ヨドバシカメラ内にある和幸でご飯。

 

本当はサンシャインで和幸を食べるつもりだったのだが、秋葉原の方が新しい店舗だったので秋葉原に移動した。

 

一色忍はチェーン店に行く時、出来るだけ新しい店舗を選んで行く

新しい店舗の方が店内が綺麗で、おひとり様に優しい(イメージがある)。今回も例に漏れず、東京都内では比較的新しい秋葉原の店舗へ向かう。

 

カウンターでロースカツご飯を食す一色忍。

 

元をとるべく食事開始5分でご飯をおかわりする貧乏精神には驚きである。モノ売るってレベルじゃねえぞおい。は?

 

本当はこの後アキバのマクドでシェイクを頂こうと考えていた一色忍だが、スマホの充電が20%をきったので帰宅

 

買い物リストの買い物を最寄りで済ませる。

 

(入浴剤ってかきき湯、呪術廻戦とコラボ中なんだが五条悟だけなかったんだけど!伏黒が一番人気なんですよね?!怒)

 

思えば、山手線を丸々1周した休日だった。

 

 

22:15 入浴

 

 

この駄文を書き終え入浴。

 

 

0:00 アニメ チェンソーマン鑑賞

 

 

うっせぇわ

 

 

1:00 就寝

 

 

本日の勝敗。一色忍の勝利。

SOREMA -それ、魔!- 51

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SOREMA -それ、魔!- 51

 

「パレット」

 

────


第422話 「そして、成る」

 

────


《廃工場》


白鶯「お前に俺は殺せない...!」

皆藤「...」


皆藤は、天叢雲を取り出す。


白鶯「成程な...本気で殺すつもりだな?」

皆藤「考え直して。魔導書を返すと、それだけ...」

白鶯「...」

皆藤「言ってよ」


白鶯「...」


皆藤「YESかNO。NOと言うのなら、君をここで殺さないといけない」


白鶯「...」


皆藤「お願い...白鶯君...」


白鶯「...ふっ」ニヤッ


皆藤「...!」

 

 

白鶯「”NO”だ」

 


皆藤「...」


白鶯「今後如何なる状況になろうとも、この返答が覆ることはな、」

 


グ          サ          ッ          !!!!!!!!!

 


白鶯「...!」グハッ!

皆藤「...」グスン...!


皆藤の剣は、白鶯の心臓を貫いた!

皆藤の頬には返り血が飛び散った。


白鶯「...!」

皆藤「ごめんね...守ってあげられなくて...ごめんね...!」


ブシャッ!!


皆藤は、白鶯の心臓に突き刺さった剣を勢いよく引き抜いた。


白鶯「......」

白鶯の口からは血が垂れる。

皆藤「...グスン...グスン...」


白鶯「ふふっ...」

皆藤「...?」


白鶯「フハハハハハハハハハハハ!!!!!!」

皆藤「?!」

急所を貫かれた筈の白鶯は、不敵に高笑いした。


白鶯「はぁ...面白い!これで満足か?」

白鶯は、穴の空いた胸部に手を当て、治癒しながら話を続ける。

皆藤「...?!(致命傷よね?急所は外さなかった...!何で...?!)」

白鶯「いい表情だな。なぜ俺が生きていられるか、不思議なんだろう?教えてやろうか」

皆藤「...!あなた...!まさか...?!」

 


白鶯「あぁ...そうさ。お前には説明する必要も無さそうだなぁ...!」

皆藤「そんな...まさか...!」

 


白鶯は、天を仰ぎ、叫ぶ。

 

 

白鶯「フハハハ!!不死の力は、俺のものになった!!!!」

 

 

皆藤「!!!!」

白鶯「これで俺は正真正銘最強の男となったのだ...!!!!フハハハハハハ!!!!」

皆藤「そんな...!!2つ以上の魔導書の履術なんて...聞いた事、」

白鶯「ないよなぁ。これで俺は歴史をひとつ塗り替えた。くっくっくっ。珍しいだろう?研究させてやろうか?ほら」

皆藤「...そんな...しかも不死の書なんて...!」

白鶯「我ながら奇跡だと思っているよ。2つの魔導書の力を手にしてなお、四肢も自我も保てているこの状況をな...!」

皆藤「そんな...」


白鶯「もうお前は...いや、”誰も”俺を殺せない...!!」


白鶯の高笑いが、廃工場の中で響く。

 

────


第423話 「昏き過去」

 

────


《廃工場》

 

白鶯「ありえない。お前は今そう思っているな?」

皆藤「...」

白鶯「それこそお前が、他を見下してる何よりの証拠さ」

皆藤「...!」


白鶯「まぁいい。ここに呼んだのは、お前と最後の勝負をする為だ」

皆藤「...」

白鶯「だがお前がもし、俺の思想に賛同し、俺の為に全てを尽くすというのなら、命は助けてやってもいい」

皆藤「...」

白鶯「もしも首を横に降るのなら...お前を迎えるのは死だ」

皆藤「...」

白鶯「お前がもう俺を殺せない時点で勝負はついている。無駄な抵抗はやめておけ。まぁ、そんなこと、お前なら理解しているだろうが」

皆藤「...」


白鶯「さてどうする?俺につくか?」


皆藤「...」

白鶯「...?」

 


皆藤「つかない」

 


白鶯「ほう...」

皆藤「私はもうどんな理由があっても、力に溺れる道を選ばない」

白鶯「成程...つまらんな。ならば死ね」


ゴゴゴゴゴ...!


白鶯は、手を龍化させる。

皆藤は覚悟を決め、真っ直ぐ白鶯の方を見る。


シュウゥゥゥ...


しかし白鶯は、攻撃しようとしていた手を休ませる。

皆藤「?」

白鶯「いや、殺してしまう前に、ひとつ聞こう」

皆藤「...」


白鶯「お前はなぜ、弱者に構う?」

皆藤「...」

白鶯「お前は幾度となく俺に勝ってきた。それは偏に、お前という人間が持つ才能の賜物だろう」

皆藤「...」

白鶯「お前が本気で最強を目指していれば、俺に負けることは一生なかったかもしれない」

皆藤「...」

白鶯「では今、なぜ負けるか。それは、お前が弱者に...仲間というくだらん存在に構うからだ」

皆藤「...!」


白鶯「俺が1人で最強を目指す間に、お前は何の目的か、チームの能力の底上げを図った。その時間を己の鍛錬に回し、己が最強になる為研鑽していれば、いずれ今の俺をも脅かす脅威となったはずだ」

皆藤「...」


白鶯「理解に苦しむ。何の為にお前は、周りの弱者に構う?」

皆藤「...」


皆藤は、少し黙ってから、静かに口を開く。

 


皆藤「それじゃダメだった」

白鶯「は?」

皆藤「ダメだったんだよ...それじゃ...」

 


〜〜〜

 


それは、皆藤が、魔法協会直属の特殊部隊に所属していた時の話である。

 

────


魔法協会直属特殊部隊”SMWAT(サムワット)”。Special Magical Weapons And Tactics。それは、一般的な事故、事件等に魔法を使用しての作業が許された部隊。魔裁組の様な対魔法犯罪組織とは一線を画す、対災害・一般犯罪組織として、活動する。魔裁組では通常禁止されている、一般人への魔法的介入も、SMWATでは規制が緩められている。特に、災害等大きな被害を被る可能性のある事象については、積極的に魔法を使用した作戦が取られる。

その為、隊員にはそれに伴う実力と、モラルが求められている。


皆藤理子は、13歳と若くしてSMWATの小隊の長を任せられていた。


皆藤は、魔具を使用して活動する他の隊員とは異なり、自らマヂカラを使用して戦える履術者だった為に、その実力は他の隊員とは比べ物にならなかった。幼かった皆藤は、その状況に不満を持ち、他のメンバーの必要性について懐疑的だった。”一人で十分”。当時の皆藤は、そう考えていた。


赴任して最初の頃は、自分よりも年上で屈強な小隊のメンバーを任務に引き連れていたが、皆藤の思うように動けないメンバーが多く、皆藤は日に日に不満を募らせ、失望していた。


他のメンバーは、皆藤についていけず辞めていく者、他の小隊に異動を嘆願する者、皆藤にジェラシーを抱き嫌悪する者、関わらないように避ける者など、さまざまだった。皆藤の実力を認め、付いていく決心をした者も多くいたが、皆藤は相手にしなかった。それは、ここに挙げた如何なる者も、13歳の少女を唸らせる実力がなかったからに他ならない。


ある日から、皆藤は単独で任務を遂行していくこととなる。

 

────


第424話 「とある遭難事故」

 

────


皆藤がまだサムワットに所属していた時代。

皆藤は、雪山での遭難報告を受け、現場に向かった。


《サムワット基地 / 屋上ヘリポート


皆藤「...」

皆藤は、救助用ヘリに乗り込む。


男隊員「待ってください!!皆藤隊長...!」

女隊員「隊長!!」


2人の隊員が皆藤を追ってきた。2人は真面目で実直な隊員で、皆藤の直属の部下だった。歳は皆藤よりも一回り上である。


男隊員「また、1人で行くんですか?」

皆藤「そのつもりですけど」

女隊員「私達も行きます!」

皆藤「どうして?」

女隊員「え、どうしてって...」

男隊員「1人じゃ危険で、」

皆藤「では聞きますが、貴方達、来て何か役に立てますか?」


男・女「...!」


皆藤「今回の任務は命に関わりますよ。来た所で無駄死に。死にたくなければ、ここで待ってた方が身のためです」


男隊員「でも...」

女隊員「1人よりも...今回は捜索規模も広いですし」

皆藤「私は1人でも十分。1人でもこれまで多くの任務をこなしてきました。貴方達が無能だと言いたい訳ではないけれど、はっきりいって足でまといです」


男隊員「そ、そんな...」

女隊員「確かに...隊長に比べたら...でも!」

皆藤「では。行ってきます。武運を祈っておいてください」


皆藤はヘリに乗り込んだ。


男隊員「はぁ...」

女隊員「隊長...」


そこへ、どこからともなく他の隊員の声が聞こえる。


隊員A「ほっとけほっとけ!何が隊長だ。小学生に毛が生えた程度のガキのくせして」

隊員B「ちょっと魔法が使えただけで偉そーに」

隊員A「社会知らずのガキはいつか痛い目みるって、相場で決まってんだろ」

隊員B「お前らもさ、あいつにかまってねぇで、隊移れよ、な?」

男隊員「...」

女隊員「...」

 

────

 

《雪山》


皆藤は、雪山で遭難中の少女を発見。

無線で基地に連絡をする。


皆藤「こちら皆藤。衰弱した少女を1人発見。ランデブーポイントに至急向かいます」


ピッ


少女の唇は青白く、小刻みに震えていた。

皆藤「...(この子、血流の流れが悪化してる。早くヘリと合流しないと)」

少女「ブルブル...お姉ちゃん...お母さんは...?」

皆藤「大丈夫。君以外皆助けた!あとは私達だけよ!」

少女「ブルブル...お母さん...会いたいな...」

皆藤「うん!じゃあ、少し頑張ろっか!」

皆藤は、少女をおぶってヘリとの合流地点へ向かう。


皆藤「...(他の遭難者の捜索でマヂカラを多く使ってしまった...でも、この子だけは助ける...!大丈夫!)」

皆藤は、少女をおぶって歩く。


その時、急に猛烈な吹雪が皆藤らを襲う!!

 

ビュゥゥゥゥゥウウウウウ!!!

皆藤「...!(まずい!!)」

少女「......?!」


すると、皆藤の後ろから雪崩が起こった!!!


皆藤「!!(雪崩まで!!!)」

少女「......」グッタリ


雪崩は、皆藤らを飲み込まんと、斜面を猛スピードで滑る!!


皆藤「ちゃんと掴まっててね...!」

少女「......?」

 

皆藤「降魔百景 高波!!!!!」

皆藤は、雪崩を塞き止めた!!


ズズズズズ!!!!

皆藤「...!(まずい...!雪崩の規模が大きくなってる!!!)」


ズズズズズ!!!!

雪崩は、皆藤の術を破る程の勢いで、さらに大きさを増していく!!!!

 

 

ズダァァァァァァァ!!!!!!!!!

 


雪崩は2人を飲み込んだ!!!!

 

皆藤「!!!!!!!!!!」ズダァァァァァァァ!

少女「...............」ズダァァァァァァァ!!

 

 

 

シュウウウウゥゥゥゥ...

 

 

2人は、気を失った。

 

────

 

『無線:おい、k...藤?!ズザザザ...皆...?!今どこd......?!皆藤!!!!返事しt......れ!!!!』


皆藤「.........!」


皆藤は、無線からの、途切れ途切れの音声で目を覚ます。額から流血して、視界はぼやけている。

辺りには粉雪が降り頻る。


皆藤「...!(そうだ...!あの子...!!!)」


皆藤は、雪の斜面に這いつくばりながら、おぶっていた少女を探す。

 


皆藤「!!!!!」

 


皆藤は、少し先で血を流して倒れている少女を発見した。

 

────


第425話 「暗剣殺

 

────


《雪山》


皆藤「!!!!!」

皆藤は、その少女に駆け寄る!


皆藤「ハァ...ハァ...そんな...そんな...!」

皆藤は、少女を抱きかかえ、脈を測る。


皆藤「ハァ...(まだ脈はある...でも、もって数十分...!そうだ...ヘリ!)」

皆藤は、無線機を取り、応答を待つ。

 

しかし、返事は帰ってこない。


皆藤「誰か...誰か...出て...」ズザザザ...

少女「.........」


皆藤「...(雪のせいで電波が悪すぎて聞こえてない...!しかも、雨雪の中の訓練をしているとはいえやっぱり悪天候の中だとマヂカラの消費が早い...!このままじゃ...この子が...!!)」


雪の勢いは、残酷にも増していく。

赤く染った雪溜りの中心で、皆藤は小さな声を振り絞る!


皆藤「誰か...!誰かいませんか...!!!!」

 

ゴォォォォォォ...

 

皆藤「ハァ...(視界が見えない...音も聞こえない...)」

 

 

皆藤は、少女を抱きしめる。

 


皆藤「...(せめて...私の体温だけでも、この子に......)」

 

 

数時間後、決死の探索によって、皆藤と共にいた少女は、サムワットによって発見された。

 


回想終──────

 

────

 

《廃工場》


皆藤「1人じゃ...何も出来ない...出来なかった」

白鶯「...」

皆藤「だから...私は、私1人じゃなくて、チームで最強になりたいって思ったの。じゃないと、救えない命があるから」

白鶯「...」


皆藤「なんで君をチームに招こうと思ったか、分かる?」

白鶯「さぁ」

皆藤「私に似てたからよ」

白鶯「俺が、お前に?」

皆藤「1人で十分だって、周りを突っぱねて、自分1人で何でも出来るみたいに思い上がって。独りきりで強くなろうとする君が」

白鶯「...」

皆藤「だから、君にも、失うものが出来る前に知って欲しかった。1人でいることの無力さを。皆で戦える事の強さを、幸せを」

白鶯「...」


皆藤「人は、何かを失った後悔を一人では抱えきれないから」


白鶯「...」


皆藤「...」

白鶯「なるほどなるほど...よくわかったよ」

皆藤「...?」

白鶯「人は簡単に変われないということがな」

皆藤「...え?」

白鶯「分かってないようだな。ならまず教えてやろう。お前は今からここで死ぬ。それは何故であるか...」

皆藤「...」


白鶯「それはお前が今、1人だからだ。結局お前は、1人でしか生きられない!!」

皆藤「......!!」

白鶯「見ろ。お前は今日も、俺を1人で止めに来ている。誰にも伝えず、たった1人で。誰かを連れてここへ来ようとしなかった。今まで散々組織の和に拘ってきたのが嘘のようだな。結局お前は、自分しか頼れない」

皆藤「...違う!これは、私の責任だから、私1人で...!」

白鶯「責任?なら、お前1人には重すぎたな」

皆藤「...!」

白鶯「死んで責任を取るとでも言うのか?笑わせる。それがここまで続いた友情ごっこの結末という訳か。なるほど。付き合わされた奴らが不憫だな」ズボッ!

白鶯は、自らの胸に突き刺さった天叢雲を引き抜く。

皆藤「違う......違う......」


白鶯「実にくだらん無駄話だった。それがお前の描いた物語の末尾だ」

白鶯は高笑いした。


皆藤「.........」ポロッ...ポロッ...


皆藤は立ち尽くし、俯いた。自らの両の手のひらを霞んだ視界で眺めた。


皆藤「...(皆......ごめんね......何も出来なかった......私、人とのコミュニケーションとか苦手で...これでも頑張って勉強したんだけど......上手くいかなかった......皆には辛い思いをさせて......沢山のことに巻き込んで......ごめんね......私がいなくなって、皆の時間が戻るなら...返してあげたい......ごめんね......ごめんね......)」

 

 

 

グ          サ          ッ          !!!!!!!!

 

 

 

皆藤「...!!」ゴブボビュッ!!!

白鶯は、皆藤の心臓を天叢雲で貫いた!!

白鶯「...ふははっ...!くだらん夢を見たせいだ。お前の敗けだ。無様だな」

皆藤「............」

 

皆藤は膝から崩れ落ち、地面に倒れた。


白鶯は、意識を失った皆藤の頭に足をのせる。


白鶯「数年かかった...お前という人間を超えるのに」ズリズリ...

白鶯は、皆藤の頭を踏みにじる。

 


白鶯「もう俺に敵はいない。俺こそが、真の最強だ!!!!!フハハハハハハハ!!!!!!」

 

 

 

皆藤理子 死亡。

 

 

 

その知らせは、魔裁組及び魔法協会を駆け巡り、大きな混乱と悲しみを招いた。


白鶯蓮源は、この事件を機に魔法界指名手配犯として、魔裁組及び魔法協会に追われる身となる。

 

────


第426話 「パレット」

 

────


年月は経ち──────


皆藤の一周忌を迎える月、千巣と京金は墓参りにやって来ていた。

墓地には、生けられた仄明るい花々が、広々と穏やかに咲いていた。

 


爽やかな風が吹く。

 


《皆藤理子の墓》


京金「理子さんが亡くなってもう1年が経つのね」

千巣「あっという間だな」

京金「白鶯は指名手配されたけど、まだ見つかってないし」

千巣「東海林も正式に退部が決まった。しばらく療養して一般社会に復帰するそうだ」

京金「唯、大丈夫かな」

千巣「本人次第だろうな」

2人は参拝をすませる。

千巣「そちらでもお元気で、理子さん」

京金「また来ますね」

 


2人は緩やかに墓地を歩く。

 


京金「ねぇ」

千巣「ん?」

京金「いつまで魔法使いやるの?」

千巣「俺?魔法が無くなるまで」

京金「そっか」

千巣「そっかって?」

京金「そんなに続ける理由って、何?」

千巣「それはさ。守るため?」

京金「守るって、何を?」

千巣「いやいろいろあるだろ。命とか、街とか」

京金「...そっか」

千巣「またそっかかい。何だよ。言いたいことがあるなら言えって」

 


京金が立ち止まる。

 


京金「私、もう魔法使い辞めようかなって」

千巣「...え?」

京金「私にはもう無理かな。理子さんにも申し訳ないけど」

千巣「ちょっと待ってくれよ、それじゃあ、」

京金「もう新しい子だって沢山育ってるし、大丈夫よ」

千巣「でも...」


京金「私、普通の人生を生きたい」


千巣「...!」

千巣は言葉に詰まる。

京金「大丈夫、アンタが何を言っても留まる気ないから、気にしないで」

千巣「...!」

 


京金「もうお終いにしましょ」

 


千巣「......!」


京金は、千巣に背を向けて、先を歩き出す。


千巣「ちょっ、」

京金「何も言わないで。私の為を思うなら」

千巣「...」


そして、京金は振り返る。

 

京金「あくえりちゃんによろしくね」

 


ヒュウゥゥゥー

 


爽やかな、風が吹く。

 

────

 

そして、時は更に過ぎ──────

 

 

《第2支部 / 研究室ルーム》


ジャ「なぎちん!」

五百旗頭「神野くん。どうしたの?」

ジャ「聞きたいことがあるんだけど、理子姉さんが生きてた時って、どうだった?やっぱり優秀だったの?」

五百旗頭「皆藤さんね。懐かしいわ。今も向こうで元気かしら」

ジャ「ねーねー。感傷に浸ってないで教えてよー!」

五百旗頭「彼女は本当に優秀だった。私には無い視点を与えてくれたわ」

ジャ「やっぱ優秀だったんだね!」

五百旗頭「エレメント注射を5色展開にしようって言ったのも、彼女よ」

ジャ「へー!!そうなんだ!!」

五百旗頭「うん」


〜〜〜


皆藤 ”赤は千巣君。彼の強烈な一撃を更にパワーアップすることが出来る出力高めのエレメントね!

”青は粟生屋君。ダジャレじゃないですよ?彼の能力の範囲の広さを生かせるような柔軟な感じで!”

”黄は白鶯君。彼のスタイルは肉弾戦だから、密着力が強い方がいいかもです!でも黄色は嫌かな?”

”緑はルカ。どんな戦闘方法でもしっくりくるように癖は抑え目で、でも基礎はしっかり!”

”紫は唯ね。彼女の想像力を活かせるような、エキセントリックで面白いエレメントがいいですね!”


〜〜〜


五百旗頭「本当、今思えば完全に私情よね」ボソッ

ジャ「ん?え?何?なんか言った?」

五百旗頭「いえ。あと神野くん」

ジャ「?」


五百旗頭「その呼び方、何」

ジャ「時差!!!!!」

 

────


そして、時は現代。

ジャスティンは一善と三太郎を連れ、雪山を歩いていた。

 

《とある雪山》


三太郎「へぇー!そんな人がいたのか!!会ってみたかったな!!」

一善「そうだね(...この力も、その理子さんって人の思いが込められてるのか...)」

ジャ「そうなのよ。俺も、また会いたくなってきちゃったゾ」シクシク

三太郎「あー!ジャスさん泣くなー!!」

一善「ジャスティンさん!あ、ハンカチ、ハンカチ」

ジャ「グスン...ありがと」

三太郎「情緒不安定かよ...」

一善「まぁまぁ...」


そして、一同の前には小さな小屋が現れる。

ジャ「さ!着いたよ!アレが恐らく、粟生屋さんが住んでる家だよーーん!!!」

一善「情緒不安定!!!!」


三太郎「お!やっとついたな!どれどれ...どれだけ強ぇ奴がいるのか、俺が確かめて来てやるぜ!!!」

三太郎は、小屋に向かってダッシュした!!

一善「おい!!!三太郎ってば!!!」

ジャ「やれやれ...!」

 


三太郎「行くぜ行くぜ行くぜ!!!」

 

────


第427話 「スカウト①」

 

────


《神戸》


幸二、麗美、莉茉の3人は、”とある人物”を尋ねるべく、神戸に来ていた。


幸二「莉茉さんって、'あ'の'人と絡みあるんですか?」

莉茉「私はね、ないの。時期は被ってたけど、支部が違ったから。ただ噂は聞いてたわ」

幸二「なるほど」

莉茉「2人はよく知ってるのよね?”京金さん”のこと」


3人は、京金ルカを魔裁組に呼び戻すべく、彼女が住むという神戸へ来ていた。


幸二「自分達は、実家繋がりでよく顔見せあってたんで。魔裁組以外でも」

麗美「.........」ムカムカ

幸二「それにしても、神戸に越したなんて初耳でした。話によると1人で住んでるとか」

莉茉「やっぱり魔具屋さんの娘って大変なのかな」

幸二「そうかもですね」

麗美「.........」ムカムカ


莉茉「麗美。どうしたの?何かムカムカしてるように見えるけど、可愛い顔が台無しよ」

麗美「.........」ムカムカ

莉茉「麗美?」

幸二「...」

 


麗美「アイツ、嫌い!!!!!」

 

 

────

 

《老人ホーム》


善能寺は、はるかと美波を連れて、とある老人ホームに来ていた。


ある”1人の女性”が、車椅子の老人に優しく声を掛ける。


東海林「はい、村田さん。お食事の時間ですよ〜」

村田「あれま、もうそんな時間かしら?」

東海林「はい。今日は村田さんが大好きな南瓜の煮物ですよ〜」

村田「あら!嬉しいわ〜!」


その様子を見て、美波とはるかがヒソヒソ話す。


はるか「なぁ、あの人が東海林さん?めっちゃ強いっていう」

美波「多分そう。凄い優しそうだね」

はるか「強そうには見えねぇけどな!可愛い女の人って感じだわ!」

美波「でも凄かったらしい。私も色々教えて欲しいな」

善能寺「...」

 


東海林に善能寺が声を掛ける。

 


善能寺「久しぶりね。東海林さん」

東海林「...!善能寺さん...?」

村田「あら、ゆいちゃん?お知り合いの方〜?」

東海林「あ、はい!ちょ、村田さん、まず向こうでご飯食べましょうね〜?」

東海林は、車椅子を押して、他の老人の元へ村田を送る。

 

────


東海林「お待たせしました...今日は...どうして?」

善能寺「ちょっと、大事な話があって。少しいいかしら」

東海林「えぇ...まぁ...」

善能寺「ありがとう。元気そうでよかったわ」

東海林「お陰様で。善能寺さんも相変わらずお若いですね。それで、その子達は?」

善能寺「彼女達は、現役の魔法使いの子達よ」

はるか「押忍!武智はるかです!」

美波「み、南野美波です!」


東海林「そうなんですね〜。私、東海林唯。よろしくねっ!」

 

────

 

《雪山》


三太郎が、小屋のドアをノックする。


コンコン!!!


三太郎「頼もう!めっちゃ強ぇ人!!!!」

一善「めっちゃ強い人て...」

ジャ「笑」


三太郎「ダメだ、何回ノックしても出てこねぇ。中でブルってんじゃねぇの?」

一善「そんなことないでしょ笑」

ジャ「まさか。粟生屋さんに限ってそれはないと思うけど、確かに、中にいるような気配はないね。すり抜けてみよっかな」

三太郎「お!ジャスさんお得意の抵触スレスレ魔法陣!!」

ジャ「やめろぅ!!その言い方!!」


一善「じゃあ、お願いします」

ジャ「とりあえず見てみるか」


ジャスティンは、小屋の中を魔法陣から覗き見た。


ジャ「誰もいないね。暗かったけど」

三太郎「じゃさ、この扉、開けちゃわね?」

一善「え、それは」

 

バコーーーーーーン!!!!!

三太郎が扉をこじ開けた!


一善・ジャ「馬鹿野郎ー!!!!!!!!」


三太郎「ふぅ...」パッ パッ

一善「ふぅパッパじゃないわ!これ、粟生屋さんの小屋じゃなかったらどうするんだよ!ばか!」

ジャ「いや粟生屋さんのだった方がやばいわ!殺されるぅ!!」

三太郎「ま、そんときは逃げるしかb」

一善・ジャ「だめだ、こいつ」

 

3人は、小屋の電気を付け、見渡す。


ジャ「なんだ?この像は」

三太郎「沢山あるな」


そこには、誰かが作ったであろう木彫りの小さな像が沢山置いてあった。


一善「不思議な場所だな...」

 

その時だった!!!!

 

 

ズズズズズズ!!!!!!

 

 

小屋が、小屋ごと宙に浮かび上がったのだった!!!


三太郎「おをおああああ!!なんだこれ!!宇宙?!宇宙?!」

一善「体が、浮いてる?!?!無重力か?!?!」


ジャ「来たな...!!あの人が...!!!」

 

────


第428話 「スカウト②」

 

────


《神戸 / 三宮のとある公園》


時間は夜。幸二らは、京金との待ち合わせ場所に指定された公園に来ていた。

夜の公園には、ストリートバスケをする学生や、スケボーの練習をする若者達がたむろし、独特な活気が流れていた。若者の間で人気なヒップホップチューンが至る所から聴こえてくる。


ガヤガヤガヤ...


莉茉「夜なのに結構人いるね」

幸二「ここであってる筈なんだが...」

麗美「こんな所に呼び出すなんて、相変わらず趣味が悪いわね」

莉茉「まぁまぁ笑。でもいいじゃない!広くて、この雰囲気、私は好きよ」


カツ カツ...


そこへ、1人の女性がやってくる。

一同「...!」

京金「こんな所まで、何の用かしら」

幸二「ルカさん...!」

莉茉「...!」

麗美「...!」


そこへ、後ろで集まっていた、色とりどりな集団が京金に声をかける。


若者A「だれー?ルカ?知り合い?」

若者B「やめとけ、取り込み中だろ」

若者C「昔の男的な?」

若者D「マジ?あーいうの好きなんだ」

若者A「でも女の子もいるぜ」

若者B「ちょっとナンパしちゃおっかなー」


京金「お前ら黙れ!」


若者「...!」ビクッ


京金は若者らに向かって言う。

京金「ちょっと行ってくるわ。すぐ帰る」

若者A「りょ...」

若者B「こっわ笑」

京金は、幸二らと少し離れた場所へ移動する。


幸二「相変わらずですね。ルカさん」

京金「で、何の用?」

京金は、タバコに火をつけて答える。

莉茉「...(魔裁組を抜けて結構経つのに、やっぱり伝説の6人の1人...圧が凄い!)」

麗美「...」

幸二「ご実家、いいんですか?」

京金「あぁ...いいんじゃない?別に」

幸二「ご両親はなんて?」

京金「物凄い剣幕だった。めんどくさかったわ」

幸二「それ、全く良くないですよね」

京金「私はこっちでなんとかやっていけてるし、そもそも、魔法使いを辞めたんだから、魔具屋なんて継ぐ必要ないでしょ」

幸二「...まぁ、本題はそこじゃないんで、この話はもういいですけど、ご両親も心配してますよ、とだけ言っておきます」

京金「...」


京金は、目を逸らす。


京金「で、本題ってのは?」

幸二「京金さん。戻って来てくれませんか?魔裁組に」


京金「...は?」

 

────

 

《老人ホーム》


善能寺「東海林さん。単刀直入に言うわ。貴方の力が必要なの」

東海林「私の...力?」

善能寺「もう一度、私達に力を貸してくれないかしら」

東海林「...それって」

善能寺「魔裁組に戻ってきて欲しい。魔法使いとして」

東海林「...!」


はるか「わ、私!聞きました!唯さん、めっちゃすげぇ魔法使いだったって!」

美波「私も!教えて欲しいことが沢山あるんです!」

東海林「...私、もう、ずっと戦ってないし...皆みたいには戦えないよ...それに」

一同「...」

東海林「私、そんな強い魔法使いじゃなかったから...」

はるか「...そ、そんなこと、ないと思いますけど?」

美波「私達の中では伝説っていうか...」

東海林「ううん。私、皆の中で落ちこぼれだったから...」

はるか「...」

美波「...」

 

SOREMA -それ、魔!- 52へ続く。

SOREMA -それ、魔!- 50

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SOREMA -それ、魔!- 50

 

「HELP」

 

────


第415話 「勝つために」

 

────


《黒の孤島 / 千巣、皆藤サイド》


千巣 vs 皆藤。


千巣は、皆藤の素早い剣裁きに圧倒される...!


千巣「...流石に速ぇ!」カン!キン!

皆藤「本気出してる?」カン!キン!

千巣「本気でやってるよ!」カン!キン!


ズザザザ...


京金は唖然としてその様子を見る。

京金「...(千がついていけてないなんて...やっぱ理子さんはレベルが違うんだ...)」


千巣「ハァ...(慣れてない技使っちまったからマヂカラのコントロールが上手くいかねぇ...!)」ズサッ!

千巣は膝をついた。

皆藤「立ちなさい。千巣くん」

千巣「ハァ...ドSだなぁ...!」


千巣が剣を片手に、地面についた膝を立て直そうとしたその時だった...!!!


ビュウィィィィン!!!


京金「...!!(何!!)」

千巣「...!(何か来る!)」

皆藤「...!(すごい殺意!)」


そこへ現れたのは、白鶯だった!!


バッ!!!!!!


千巣「白鶯!!!!!」

白鶯は、千巣に向かって駆けていく!!

白鶯「さらばだ...歴戦の勇者よ...!」

千巣「...!(視線の正体はこいつか...!!!)」


ド     ッ     カ     ン     !


千巣「.........!」グハッ


千巣は、顎を白鶯に蹴られ、吹き飛んだ!


京金「千!!!!!!」


皆藤「!!!!!」


千巣は、大木に背中を打った。


千巣「ハァ...悪ぃ、ギブ」

京金「千...千...!」

京金は、重い体を引き摺って千巣の元へ向かう。

 

白鶯「...」

白鶯は皆藤を睨みつける。

皆藤「他の皆は...?」

白鶯「さぁな。俺を倒して探しに行くがいい」

白鶯は、手にマヂカラを溜め込む...!


皆藤「...やる気満々ね」チャキッ

皆藤は剣を構える。

白鶯「蹴りをつけるぞ。皆藤理子...!」

皆藤「...(こんなこと、本当ははしたくなかった。でも戦うことでしか分かり合えないなら...私は戦うよ...!君のことを分かりたい...!私は!リーダー...として...!)」

白鶯「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

皆藤「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

ビ          ュ          ン          !!!!

 

 


2人は、激突した!!!!

 

────

 

《粟生屋サイド》

 

────


粟生屋は地面に寝そべっていた。


粟生屋「ハァ...ハァ...空が暗くなってきた...」


ポタッ   ポタッ


雨が降ってきた。


粟生屋「ハァ...僕って...いつもこうだよな...中途半端っていうかさ」


仰向けになった粟生屋の頬を水滴が伝う。


粟生屋「.........」

粟生屋は落ちていたナイフの柄を両手で強く握り、目を瞑る。

 

その時、粟生屋の脳裏に謎の声が木霊する。


〜〜〜


”もっと努力しなさい。私達と家族でいるということは、そういう事よ”


”お前は俺達家族の失敗作だ”


”粟生屋の名を持っていて、恥ずかしくないのかしら”


〜〜〜


粟生屋「.........」


また、別の声が木霊する。


〜〜〜


”死んだら、一番悲しむのは、今まで生きてきた自分よね”


”私は、自分のことだけは裏切りたくない。私、可愛いから”


”どんなに醜くても、私は生き抜いてやる...”


〜〜〜


粟生屋「.........!!」


粟生屋、なにかに気がついたように目を見開き、体を起こした。


粟生屋「あぁ...そうだったそうだった」


粟生屋はナイフを投げ捨てた。

 

 

「ははっ。そうそう。この人生(ゲーム)、マジになったら負けだ」

 

 

粟生屋は立ち上がり、辺りを見回した。


粟生屋「頭ぐらんぐらんするな...まぁいい。リーダー達はどっちだ...?まだやってんのか...?」


粟生屋は、猫背で暗い森を歩く。

 

────


第416話 「終わりを告げる雨」

 

────


《皆藤サイド》


皆藤 vs 白鶯。


降り始めた雨は、徐々に強さを増していく。


戦線離脱した千巣と京金は、戦いの様子を見ている。


千巣「俺達、敗退一番乗りだな」

京金「...」

京金は、座って俯いている。

千巣「...ま、今回は俺の力不足ってことで、」

京金「いや」

千巣「...?」

京金「私が、弱かった。それだけ」

千巣「...?」

京金「やっぱり、勝てない人って、いるのよ」

千巣「...あんま考えすぎるなよ?」

京金「......」

千巣「...」


京金「...(私だって...)」

 

目の前では白鶯と皆藤の戦闘が続く。白鶯はばて始め、皆藤は息を切らしながらも白鶯を追い詰める。
京金は、1人特訓を重ねた日々を思い返す。

 

どんなに...どんなにどんなにどんなに頑張ったって...あの人には敵わない...

 

うわ...やっぱ...あの人は化け物だ...結局私は...最強にはなれない...じゃあ...私は何のために...?

 

京金は唇を噛み締める。

 

────

 

《東海林サイド》

 

────


森の中を、1人歩く東海林。


東海林「......」


東海林は目の光を消し、その焦点の合わない眼で、力なく歩く。

 

仲間だと思ってたのに...

 

東海林は、頬の傷に手を当てる。

 

私だけだったんだ...

 

バタッ...


足元の石に躓く。しばらく立ち上がれずに、雨に打たれる。

 

もう......私って......要らない?

 

────

 

《皆藤サイド》


白鶯「ハァ......(力が...尽きる...?)」

白鶯は、皆藤を前に、体が動かない。


皆藤「雨が降るとね、魔導書の力は弱まる。魔者と同じ」

白鶯「...」

皆藤「つまり、真に体術で強い方が勝つ」

白鶯「...」

皆藤「私はまだやれるけど?」

白鶯は、マヂカラの切れた拳を握る。

そして、皆藤に向かい走っていく!

 

そこへ、粟生屋と東海林もやってくる。

2人は遠くから、皆藤と白鶯を見ていた。


粟生屋「...」

東海林「...」

京金「...」

千巣「...」


白鶯「うぉぉぉぁぁあ!!」

白鶯は重い足を走らせ、皆藤に迫る!

皆藤「...」

 

バッ!シュッ!シュパッ!!!

 

皆藤は、素早い剣捌きで、白鶯を制した!

皆藤「...」

白鶯「...!」グハッ...!


バタッ!!


白鶯は倒れた。


粟生屋「...勝負あったみたいだね...」

皆藤「...」

 

決着──────!

 

────


第417話 「Broken」

 

────


《黒の孤島》


皆藤「...」

皆藤は、呼吸を落ち着かせながら、白鶯を見る。


白鶯「...」

白鶯は、無言で地面にうつ伏せで倒れる。


粟生屋「...」

千巣「...」

京金「...」

東海林「...」


ザァァァァァ...


沈黙の中、皆藤が口を開く。


皆藤「ゲームはおしまい...いいね?」


雨が葉を打つ音だけが響く。


皆藤「うん。じゃあ、風邪ひくし、もう、」

皆藤が続けようとした所に、白鶯が割って入る。


白鶯「結局お前じゃないか」

 

皆藤「...?」

千巣「?」

粟生屋「?」

京金「...」

東海林「...」


白鶯は、うつ伏せになったまま続ける。


白鶯「結局”お前”じゃないか。いつも腹が立ってたんだよ。皆で最強?笑わせるな。お前は心の中では、他の人間を見下し、自分が最強であることを隠してきた。自分に近づかんとする周りの人間を上から嘲笑っていたんだろう。そういう態度が腹立つんだよ」

皆藤「そんなこと...そんなことない!!」

京金「...」


白鶯「最強はたった1人。それを知っていてお前は周りの人間を利用し、嘯き、叶いもしない夢を見せ、そしてそれを今打ち砕いた。俺でもひく程の外道だとは思わないか?」

皆藤「私...そんなつもりじゃ......違う!」

白鶯「結局、今日までお前を超える人間は現れなかった。満足か?」

皆藤「私は...私は!」

白鶯「お前に騙され、ここまで付き合ってきた馬鹿共を思うと気の毒でならないよ」

東海林「...」

 


白鶯「偽善者が」

 


皆藤「!!」

千巣「...あの野郎...!」

粟生屋「...」 


白鶯はよろつきながら立ち上がる。雨は次第に強くなる。

白鶯「これがお前が作った最強のチームの正体だ。そして、この退屈こそ、お前が夢見ていた”平和”だぞ?どうだ?理想と現実はお前が描いた通りのものだったかな?」

皆藤「違う...違うよ......」

 


ガ   ッ   !

 


千巣が、白鶯を殴り飛ばす!


千巣「お前...!さっきからなんなんだよ...!何がしてぇんだよ!!俺達のことバラバラにして、楽しいか?!」


白鶯は地面に手をつきながら答える。

白鶯「あぁ...くだらん友情ごっこを粉々にするのは楽しいよ」

千巣「くっ...!お前さえ!お前さえいなければ!!!」

千巣は、白鶯に馬乗りになって殴りつける。

東海林「...」

粟生屋「...」

京金「もうやめて!」


千巣「お前がいたからこのチームは壊れたんだ!」


皆藤「......!」

千巣「あ...」

皆藤は、絶望に満ちた、今にも崩れ落ちそうな表情で千巣と白鶯を見つめた。脳裏には、白鶯と初めて出会い、チームを結成した日の情景が浮かぶ。

 

私の...せいだ......

 

皆藤「皆......ごめん......ごめん......ごめん......」


千巣「...!」

京金「...!」

東海林「......」

粟生屋「...!」


白鶯「...ははっ」


皆藤「今日で、このチームは解散します」

 

────


第418話 「雨のち曇」

 

────


黒の孤島での激闘翌日


《第2支部


皆藤は第2支部を訪れていた。


ジャ「あ!理子姉さん!!」

皆藤「...」


ジャスティンは皆藤に声をかける。


ジャ「サバイバルゲーム見てたよ!途中までだけど。お姉さん凄いよ!凄いかっこよかった!」

皆藤「...」

ジャ「しかもお姉さんが全員に勝ったんでしょ?!凄すぎるよ!やっぱり”最強”の魔法使いは違うね!」

皆藤「...」

ジャ「俺もお姉さんみたいになれるかな...」

皆藤「...」

ジャ「ん?お姉さん、元気ない?何かあった?」

皆藤「...」

皆藤は、無理くり笑った顔を作る。


皆藤「何も!」

ジャ「...そっか」

皆藤「ありがとね」


皆藤はその場を去る。


皆藤「...護は戦わなくていいわ」

ジャ「え、なんで?」

皆藤「戦うこと以外にも沢山仕事があるから」

ジャ「...」


皆藤はその場を去る。


ジャ「...(どうしたのかな?)」

 

────

 

《鬼屋敷の部屋》

 

────


白鶯は、とある別件で鬼屋敷に呼び出されていた。鬼屋敷はデスクに座している。


鬼屋敷「聞いたわ。あなた、この間の単独任務で市民を見殺しにしたらしいわね」

白鶯「...」

鬼屋敷「も〜話してくれないとわからないじゃないのよ!クールなのはその顔面だけにしなさい!」

白鶯「...」


鬼屋敷「しかも、魔者を取り逃がしたらしいわね。アンタほどの男が」

白鶯「...」

鬼屋敷「どんな魔者だった?」

白鶯「...」

鬼屋敷「〜!もういいわ!追憶調査!行ってきなさい!そこでわかるから!」

白鶯「!それは必要ない」

鬼屋敷「...?」

白鶯「'ガ'ス'マ'ス'ク'を'つ'け'た'魔'者だった。それだけだ」

鬼屋敷「ガスマスク?」

白鶯「...」


鬼屋敷「...まぁいいわ。この話はおしまい。この間の合宿?の話聞いたわ〜。また理子ちゃんに派手に負けたそうじゃないの〜」

白鶯「...!」ピキッ

鬼屋敷「あんたは意地が曲がってるのよ。そのまんまじゃ理子ちゃんには勝てないわよ〜」

白鶯「...黙れ」

鬼屋敷「頼むわよ。私はあんたの力を買ってるんだから〜頑張ってもらわないと〜」

白鶯「...」

鬼屋敷「怒ったらクールな顔が台無しよ。ふっふっ」


鬼屋敷は席を立った。


鬼屋敷「じゃあね。私は新入りの科学者?との顔合わせに行ってくるわ。五百旗頭さん?だっけな。アンタも会ったら挨拶しておくのよ〜」

白鶯「...」


鬼屋敷は白鶯を背に先に部屋を出た。


鬼屋敷「エレメントってなんなのよ〜ハッハッ!」


ガッシャン!


白鶯「...」

白鶯は鬼屋敷の部屋に1人になった。そして、白鶯は徐にポケットから何かを取りだした。


白鶯「...」ニチャア...!

 

────

 

《病院の屋上》


昼下がりの病院。


スゥ...


京金は、柵に寄りかかり煙草を吹かす。


京金「ゴホッゴホッ...」


スゥ...


すると、ある男の腕が、京金の煙草を持つ手を掴む。

バッ!


京金「...!」

千巣「お巡りさんこっちです」

京金「...離して!」


京金は、煙草を落とし、千巣の手を振り払う。


千巣「何してんの」

京金「別にいいでしょ」

千巣「いや、別にお前がそいつを吹かしてる理由は聞かねえよ。こんなとこで1人で何してんの?って話」

京金「...それも関係ない」

千巣「...そーだな」


2人は柵に寄りかかり、遠くを見る。


京金「てか」

千巣「?」

京金「...お前って呼ぶの、やめてくれる?」

千巣「...はい」

 

────


第419話 「そして彼は居なくなった」

 

────


《病院の屋上》


この日、2人は、あの日以来入院した東海林のお見舞いに来ていた。


千巣「東海林、体には別状なさそうだな。全然話してくれないけど」

京金「...うん。あの日以来、ずっと心閉ざしちゃってね、私にも話はあんまりしてくれないけど、体には問題ないみたい」

千巣「まずは安心するべき...なのかな」

京金「そうね」

千巣「でもまだ心配だな。東海林は心(こっち)の傷の方がデカいだろうしな」

京金「...うん」


千巣「今年中の復帰は難しいかもな」

京金「そうね」

千巣「魔裁組も手薄になるな。”粟生屋の件”もあるしな」

京金は遠くを見ながら、静かなトーンで返す。

京金「この期に及んで組の心配?アンタもしかしてサイコ?唯の事本当に心配してる?」

千巣「いや、俺達は魔法使いだし。それに東海林は貴重な戦力だ。そこを心配するのは当たり前だろ」

京金「...」

千巣「まぁでも、急ぐことは無い。それまで俺達が、東海林の帰る場所を守ってればいい」

京金「...うん」


千巣は柵から離れる。


千巣「じゃ、行くわ。東海林のお見舞い、こまめに行ってやれよ」

京金「...言われなくても」


千巣は、その場を去ろうとした。


京金「...待って!!!」

千巣「...?」


京金は、千巣の元へ走り寄った。

 

────


《空港》


粟生屋は、大きなスーツケースを転がして、皆藤と会話する。


皆藤「...本当に、行っちゃうの?」

粟生屋「ええ。今まで、お世話になりました。リーダー」

皆藤「...どうして?」


粟生屋は、少し考え、笑顔で答える。


粟生屋「自分、別にいらないっすよね」

皆藤「...?」

粟生屋「自分の必要性を感じなかったんで。それに、もう飽きたっていうか」

皆藤「そんなことないよ?」

粟生屋「ありがとうございます。でももう帰るつもりないんで。魔導書集まったら呼んでください。返すんで」

皆藤「...」

粟生屋「これからの魔裁組の健闘を祈ります。では」


粟生屋は、スーツケースを転がしてその場を去る。

皆藤は、小さくなる粟生屋の背中に言葉をぶつける。


皆藤「粟生屋君がそうするなら、別にそれでもいい!でも、私はずっと待ってる...!粟生屋君が帰ってくる場所、ずっと空けて待ってるから!」

 


粟生屋は一瞬立ち止まる。

 


粟生屋「.........」

皆藤「...?」


粟生屋は振り返って微笑んだ。

粟生屋「あ、大丈夫っす」


粟生屋は、魔裁組から去った。

 


東海林、粟生屋という2つの大きな戦力を失った魔裁組。

かつてSHAKKSと呼ばれ、最強の世代と言われた6人。彼らの壊れ始めた歯車は、後に起こる”大きな事件”に向け、更に崩壊の一途を辿っていくのだった。

 

────


第420話 「HELP」

 

────


《第2支部 / 研究室》


この頃、皆藤は五百旗頭の元で、エレメントの研究に精を出していた。


五百旗頭「そろそろ、休憩にしましょう」

皆藤「すみません。もう少し続けてから食事にします」

五百旗頭「...わかったわ」


五百旗頭は席を立って、コーヒーを皆藤に渡した。


五百旗頭「皆藤さん。あんまり無理しすぎない方がいいわよ。目のクマ、酷くなってるし」

皆藤「...」

五百旗頭「'神'野'く'ん'の'件もあったし、焦る気持ちは分かるけど、結論を急いでも研究は上手く進まない。早く完成するに越したことはないけど、あなたの心身を壊してまでやることない」

皆藤「...」

皆藤は何か言いたげに黙った。

五百旗頭「...?」


皆藤「護の件もそうですが...私は、このエレメントの技術を使って、皆の力になりたいんです!ルカも千巣君も白鶯君も、他の皆も素晴らしい魔法使いなんです!それに、唯や粟生屋君も、戻ってきてくれるかもしれないから...だから、もっともっと強くなれるように、サポートがしたいんです!それが今の私に出来る最大限の」

五百旗頭「”贖罪”とでもいうのかしら?」

皆藤「...!!」


五百旗頭「聞いたわよ。”サムワット”時代の話」

皆藤「...」

五百旗頭「あなたの気持ちも分かるけど、なら尚更足並みを揃えて、着実に成果を出していくべきじゃない?突っ走ってもいいことないわ」

皆藤「五百旗頭さん...」


五百旗頭「皆藤さんは本当によくやってくれてる。だから今は、少し休んだら?」

皆藤「...」

 

 

1週間後

 


《格技場》


キィン!キィン!!


剣を交える音が、場内に響く。


皆藤は久々に第1支部に顔を出し、京金、千巣と組手をしていた。

千巣は、皆藤と京金の組手を見ている。


千巣「...」

京金「...!」キィン!キィン!

皆藤「...!」キィン!キィン!


千巣「...(2人とも目が死んでる...俺が言えたことじゃねえが...)」


京金「...!」

皆藤「...」

シュッ!パッ!ザンッッッ!


京金は、皆藤から1本取る。


バタッ


皆藤は尻もちをつく。

京金「ハァ...やった...?」

皆藤「...」


京金「...?」ハァ...ハァ...

千巣「...(皆藤さんが1本取られた...そんなことあったか?今まで)」


皆藤「...ハァ...もう終わりにしましょう」

京金「...はい?」


皆藤「もう皆十分強くなった。強さだけが全てじゃない...」

皆藤は地面に座ったまま答えた。

皆藤「あなたの勝ちよ、ルカ」


京金「...」

千巣「...(もしかして...?)」


京金は、震えた体で小さく呟いた。


京金「最低」


京金は、目元を腕で覆いながら外へ駆けだした。


皆藤「...」

千巣は、皆藤の元へ歩み寄る。


千巣「わざと負けましたね?」

皆藤「...」

千巣「あいつもそれをわかって...」

皆藤「...」

千巣「ちょっと、酷ですよね」

 


皆藤「じゃあどうすればいいんだよ!!!!」

 


千巣「...!!」


皆藤「...ごめん...大きな声出して...」

千巣「...いえ」

皆藤「...」

千巣「1人で抱え込みすぎですよ。理子さん」

皆藤「ごめん」

千巣「俺も何か出来ることがあれば、」

皆藤「ありがとう。でも、いいの。そう思ってくれるだけで十分」

千巣「でも、」

皆藤「ちょっと1人にさせて。ごめん...ごめんね」


皆藤は、外へ出た。


千巣「...(京金は誰よりも強くなりたがってた...でも”あの日”以来、自分の実力に限界を感じて自暴自棄になってた...東海林や粟生屋の離脱も大きく影響しただろう。今のあいつに残ってるのは惰性だけ。きっと理子さんもそれがわかってて'こ'う'し'たんだろうが...裏目に出たな...)」


千巣は、皆藤が出ていった扉を見る。


千巣「...(理子さんも...京金も心の傷が大きすぎる...俺になにか出来ないか...?とりあえずまずは...俺がちゃんとしないと。俺だけは真っ直ぐ前を見ないと。魔裁組を守るために...!)」

 

────

 

そして、事件は起き、1つの時代が終わりを告げることになる。

 

────


《深夜 / 謎のビルの屋上》


白鶯「くくくくっっ...はっはっはっ!!」


白鶯の手には、”蒼い書物”が握られていた。


白鶯「遂に...遂に手にしたぞ...!最強の力を...!!!はっはっはっはっ!!!!!!」

 

────


第421話 「指名手配犯」

 

────


《第1支部


第1支部は、混乱状態にあり、焦る人々でごったがえしていた。


鬼屋敷「ちょっと!!どういうこと?!?!」

鬼屋敷は焦った表情で職員を問いただす。

職員「わかりません!!ただ、何者かが鬼屋敷さんが不在の間に例の宝庫から”不死の書”を盗み出したと!!」

鬼屋敷「何よそれ!!あの宝庫の場所は限られた人しか知らないはずよね?!それに、強い結界が張られてるはずよ?!」

職員「そうなんですが、全て破られたみたいで、、今善能寺さんとも連絡をとって事態の確認を取っている次第です!!」

鬼屋敷「あの力が誰かに渡ったらとんでもない事になるわ...!!早く取り返さないと!なんてことに!!!」


《宝庫》

千巣と京金は、報告を受けて宝庫へ案内された。

千巣「こんな所にこんな宝庫が...」

京金「誰が何の目的で...」

職員「何か分かることはありますか...?」

京金「魔具のトラップが全部破られてる...かなり強い人間の仕業ね」

千巣「それにこの場所はみつけようと思って見つけられるような場所じゃない。入るのにも必要な段階がある。この仕掛けを知っている人間...つまり」

京金「内部の人間...」

千巣「そう。犯人は魔裁組関係者かと」

職員「成程...」


京金は千巣に尋ねる。

京金「不死の書って、一番最後の魔導書よね?」

千巣「あぁ。強いマヂカラ反応を探ろう」

京金「そうね。そういえば、白鶯と理子さんは...?」

千巣「理子さんはさっき連絡があった。犯人を探してるって。しかも、もう目星がついてるって」

京金「え...?それって」

千巣「...信じたくは無いが...理子さんが言うならな...」


京金「...!私達も行くわよ!」

千巣「あぁ...!」

職員「あのぉ!2人とも...!!」


京金と千巣は宝庫から飛び出した。

 

────

 

《とある廃工場》


皆藤は、1人、廃工場へ来ていた。


皆藤「来たわよ...1人で」


???「来たか」


ヒュンッ!


男が1人、皆藤の前に、上から現れた。


皆藤「久しぶりね。白鶯君」

白鶯「待っていたぞ。かつてのリーダーさん」

皆藤「ここに呼び出した理由。そういうことよね」

白鶯「...何の話だ?」

 

白鶯は、緩んだ口角で、見下すように話す。

皆藤「とぼけたって無駄。君なんでしょ?不死の書を盗んだのは」

白鶯「ほほう?」

皆藤「私を呼んだのは何で?返してくれるの?」

白鶯「それは違うな。俺は今日で魔裁組を抜ける。最後に顔を見ておこうと思ってな」

皆藤「ということは、白鶯君が不死の書を盗んだので間違いないのよね」


白鶯「ふっ...如何にも」ニヤッ


皆藤「分かってるわよね。これは重罪よ。今不死の書はどこにあるの?早く返しなさい」

白鶯「嫌だと言ったら?」

皆藤「もし君が不死の書を返さないと言うのなら...魔裁組及び魔法協会の規定に則り、ここであなたを殺害します」

白鶯「俺を殺す...?」

皆藤「ええ」

皆藤は真っ直ぐな目で言った。


白鶯「ははっ。無理だ」

皆藤「...」

白鶯「お前に俺は殺せない」

皆藤「...」

白鶯「それはお前が一番わかっているだろう?お前はくだらん情があるせいで、弱者に構い、”仲間”の罪を罰せない。違うか?」

皆藤「...」


白鶯「俺は殺せない。お前には」

 

SOREMA -それ、魔!- 51へ続く。

 

SOREMA -それ、魔!- 49

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SOREMA -それ、魔!- 49


「破片」

 

────


第407話 「Elements of ”Element”」

 

────


《第1支部 / 鬼屋敷の部屋》


ジャ「姉さん凄い!戦ってるところ初めてみたかも!」

鬼屋敷「ハッハッハッ!理子ちゃんはねぇ。昔からかなり優秀なのよ〜?」

ジャ「俺もあんな風になれるのかな」

鬼屋敷「ま、簡単ではないわよ?」

善能寺「...」


莉茉は不貞腐れながら、画面を睨みつける。

莉茉「...」

鬼屋敷「あなた、いつまでぶーたれてるのよ。可愛い顔が台無しよ」

莉茉「だって...この人達皆人殺しなのよね」

鬼屋敷「まぁ、そうとも言うわね」

善能寺「あなたのお父さんのことは残念だと思うわ。でも、彼らが居なければ、もっと悲しむ人が増えるの。分かってもらいたいわ」

莉茉「...」

鬼屋敷「ほら!唯ちゃんよ!あなたの恩人!」

莉茉「...恩人?!」

ジャ「...?」

善能寺「...」


莉茉「恩人って何よ!!!あの人は私の父を殺したの!!!なんで...なんで私が...あの人に感謝しないといけないのよ...!!!意味がわからない!!!」

莉茉は泣き崩れた。


ジャ「...」

鬼屋敷「...」

善能寺「...」


すると、ジャスティンがポケットティッシュを差し出した。

莉茉「...?」グスン

ジャ「...大丈夫?」

莉茉「...」

ジャ「俺は昔からお父さんもお母さんも居ないんだ。だから莉茉ちゃんの気持ちはちゃんと分かってあげられないけど...」

莉茉「...」

ジャ「あそこにいる人達はね、皆すごい人たちなんだ。人の為に命を張って、悲しむ人を少しでも減らすために、頑張ってるんだよ」

莉茉「...説教?」

ジャ「あぁ!ごめんごめん...そうじゃないんだ。でも、悪い人じゃ、ないんだよ」

莉茉「...」

ジャ「俺はね、あの人達みたいな魔法使いになりたい。いや、絶対になるんだ。莉茉ちゃんみたいに、優しい子の涙がこれ以上流れないように」

莉茉「...」

ジャ「莉茉ちゃんにも、わかってもらえるように、凄い魔法使いに俺はなる。だから、好きなだけ泣いて、怒って、それを俺にぶつけていいよ?今日から仲間なんだから」

莉茉「...!」

ジャ「俺は折れないよ。誰かの悲しみを背負って、人は強くなるものだから」

莉茉「...」


ジャ「莉茉ちゃんの悲しみも一緒に背負ってくれる人が現れるといいね。俺はその1人目ってことで」

莉茉「...!」


ジャスティンは、莉茉の肩を擦りながら、部屋の外へ出た。


鬼屋敷「ハッハッハッ!ジャスティンだっけ?口だけは一丁前なのねぇ」

善能寺「強い魔法使いには必要な要素よ。心の強さ。彼らが魔裁組の新しい光になることを願っているわ...」

鬼屋敷「...?」

善能寺「彼らは平和な未来への”エレメント”だから...!」

鬼屋敷「...?!」


善能寺は、モニターを消した。

善能寺「そろそろお茶でもしましょ」

鬼屋敷「ハッハッ!いいわねぇ〜」

 

────


第408話 「オリジナル」

 

────


《黒の孤島 / 千巣・東海林サイド》

 


シュッ!ビュンッ!キィン!カァンッ!バッ!シュッ!キュッ!ザッ!

 


千巣と東海林は激しく剣を交える!

千巣「中々やるな...!」

東海林「私だって、強くなったんだからっ!」


バッ!


2人は距離をとる。

東海林「行くよ!せんちゃん!」

千巣「来い!」

東海林は高速で千巣に迫る!

東海林「!!!!」

千巣「!!!!」


カ   ァ   ン   ッ!


東海林の2本の刀の内1本が弾かれた!

東海林「...!(やばい...!)」

千巣「...!!!」

千巣は怯んだ東海林目掛けて斬り掛かる!

キィン! キィン! キィン!

東海林は、1本の刀で受ける!


千巣「よくやった。だが...」バッ!

東海林「...!」

千巣は、刀を大きく上に振り上げた!

東海林「!!!」

東海林の刀は折れてしまった。

東海林「刀が...!」

千巣「どうする...?魔法使い特級、東海林唯」

東海林「ふふっ。油断禁物だよ?」

千巣「...?」


ヒュン!!!


千巣「!!!」

すると、千巣目掛けて、最初に転がった刀が襲いかかった!

千巣「...?!(刀が飛んできた...?!)」

東海林「それだけじゃないっっ!!」

千巣「?!?!」

刀は何度も千巣に向かって飛び続ける!

ビュンッ! ビュンッ! ビュンッ!

千巣「何だこの刀...!まるで生きてるみたいに...!」

東海林「私の能力よ。私は、魔力の宿る物全てに翼をさずけることが出来るようになった...!これはその一種。人呼んで...”剣の舞(つるぎのまい)”...!」

千巣「なるほどな...レッドブルかよ...!」

東海林「(本当は2本の刀でやるものなんだけどね...)君には避けきれる?!せんちゃん!!!」

千巣「!!!」


ビュンッ!ビュンッ!キィンッ!!ビュンッ!!ビュンッ!ビュンッ!キィン!!!

刀は何度も千巣に斬りかかる!

千巣「...!(しつこい...!)」

東海林「はぁぁぁぁっっ!!!」

千巣「!!!」

東海林は翼を生やし、空から飛び蹴りを食らわす!!


ドカーーーーーン!!!


千巣「ハァ...ハァ...(油断した...!)」

東海林「どう...!これが私にしか出来ないオリジナルの戦い方...!!」

千巣「...」

東海林「(理子さんと一緒に沢山考えて...沢山練習したんだ...!皆に追いつけるように...!)」

 

────


第409話 「開眼」

 

────


《千巣・東海林サイド》


千巣「なるほど...オリジナルの戦い方ねぇ」

東海林「...」

千巣「...(少しやってみるか...)」

東海林「...?」


千巣は、刀を収めた。

東海林「せんちゃん?」

千巣「東海林、お前が、俺の”新たな力”の第一発見者になるかもな」

東海林「え?せんちゃん?」

千巣「(もっとも、新たな力などではなく、昔から俺が授かった本来の四十六眼(ちから)なのだが。この目は粟生屋の目の劣化などではない。ちゃんと使えば、かなりの戦力になる...!)」

東海林「...?」


千巣「これが俺のオリジナルの戦い方さ...見せてあげよう」

東海林「...(刀しまってるけど...何をする気...?)」

千巣「いや...何も”見る”ことは出来ないだろうが...」

東海林「?!」


千巣「!!!!」キィィィィィィン!!!!

千巣の眼が妖しく輝く!!

東海林「!?!?!」

 

千巣「”烏珠(ぬばたま)”!!!!」

 


東海林「!!!!!!」

東海林の目には、千巣の四十六眼が大きく映る!!

東海林「...(何...この景色...?ん?何?!真っ暗になった...!!何これ...!何も見えない...何も聞こえない...?!ここはどこ...?!)」

千巣は東海林の背後に移動する。

千巣「五感を全て奪わせてもらった...しばらくの間、何も感じない存在となってもらう。目と目が合うことをトリガーに術が発動する...これが烏珠。俺の眼の能力さ...もっとも...もう聞こえてないだろうが」

東海林「?!?!?!?!」

千巣「しばらく眠っているといい...また後で会おう、東海林」


ガッ!!!!


東海林「!!!!」

千巣は、東海林を気絶させ、木の麓に寝かせた。


この”烏珠”、後に”虚”として強化される、千巣家直伝の必殺技である。


千巣「さてと...戻るか」

 

────


《皆藤・白鶯サイド》


時を同じくして、白鶯と皆藤は激闘を繰り広げていた。


白鶯「ハァ...ハァ...」

皆藤「...」ニッ


シュッ!バッ!ダンッ!キンッ!キンッ!バッ!

白鶯「...ハァ...」ズザザ...

皆藤「...」ビュンッ!


白鶯はジリジリと後方に追い詰められていた。かたや皆藤は余裕の笑みで白鶯を追い詰める!

 


シュイン!シュイン!シャキーーーン!!!

 


白鶯「ぐはっ...!」

皆藤「...!」フゥ...


バタッ...


白鶯は、膝をついた。


そこへ、千巣が帰ってくる。


千巣「結構派手にやりましたね」

皆藤「そう?」

皆藤は額の汗を腕で拭う。


皆藤「唯は?」

千巣「ちょっと休んでもらってます」

皆藤「ふっ。なるほど」


すると、白鶯が最後の力を振り絞り2人に突進した!

皆藤「...!!」キィン!

白鶯「!!!!」ゴゴゴゴ!

皆藤「ふっ!!!!」ドカン!

白鶯は、皆藤に腹を蹴られ後ずさりする!

皆藤は筆を走らせた!

皆藤「魔鳥獣戯画!蛙」

数体のカエルが現れる!!

皆藤「降魔百景!!高波!!!」


ザブーーーーン!!!


現れるは、高波──────?!

 

────


第410話 「獲物」

 

────


《皆藤サイド》


皆藤の能力で、大きな波が発生した。カエルと共に大きな波が白鶯を襲う!

白鶯「...!」

千巣「やべぇな...」ビュンッ!

皆藤「ゲームオーバー...ね」

 

ザバァァァァァァァァン!!!!!!!!

 

白鶯は、大木に打ちつけられ気を失った。

 

千巣「終わりましたね」

皆藤「少しやりすぎちゃったかしら...」

皆藤はしゃがんで白鶯の頬に手をやる。

そして、再び立ち上がり、千巣の方を見る。


皆藤「後は貴方ね」

千巣「久しぶりですね、理子さんとお手合わせするのわ」チャキッ

千巣は、刀を構える。

皆藤「いつでも来ていいわよ」

千巣「では...!」


すると、上から何者かが現れる!


京金「どけぇぇぇぇ!!!」


千巣「?!?!?!」

皆藤「!!!」

京金は、2人の上空からハンマーを振り下ろす!!

 

ドッカーーーーーーーン!!

 

地面にはクレーターが出来た。


京金「見つけたわ。理子さん」

皆藤「ルカ」

千巣「2体1。これならやれそうだな」

皆藤「ピンチね」

千巣は京金に話しかける。

千巣「てか今味方の俺まで攻撃しましたよね?見てましたよ?」

京金「アンタは引っ込んでなさい」

千巣「?!?!?!」


京金「理子さんは、私1人で倒す...!」


千巣「おいおい、せっかく2人いるんだし」

京金「いいの!私にはこのゲームより大事なものがあるのよ」

千巣「何だそれ」

京金「プライドよ」

千巣「...」

皆藤「...」


千巣「なるほどな...わかったよ。状況把握だけさせてくれ」

京金「粟生屋をやりそこねた。どっかにまだいるわ」

千巣「わかった。白鶯と東海林はノックアウトした。俺は粟生屋を探す」

京金「...頼んだわ」

千巣「ま、武運を祈るよ」

 


ヒュン!

 


千巣は、森の中へ消えていった。


皆藤と京金は静寂の中で2人きりとなる。


皆藤「...」

京金「理子さん。あなたはずっと私の目標だった。憧れだった。でも今日、私は理子さんを超える...!」

皆藤「...」

京金「いきますよ。油断してたら負けますからね...!」

皆藤「...(さっきの大技の連発でマヂカラが戻らない...ひとまずは剣で凌ぐしかないわね)」チャキッ


京金「う゛ぉぉぉぉぉ!!!」

皆藤「...!!(すごい気迫!)」


〜〜〜〜

 

《東海林サイド》


東海林「......!」

東海林は、目が覚めた。

東海林「...(ここは?私は...?どうなったの?)」

東海林は傷だらけの体を起こして当たりを見回す。

東海林「...(ひとまず...白鶯君と合流しないと...)」

 

東海林は森の中を進む。

 

東海林「!!!!」

すると、東海林は木に寄りかかって気絶する白鶯を見つけた!


東海林「白鶯君...!?白鶯君!!!」

 

────


第411話 「キモチ」

 

────


《皆藤・京金サイド》


京金は槍を持って皆藤に迫る!!


ヒュン!!ヒュン!!ヒュン!!


皆藤「...(大業魔具、魔槍グングニル...ここまで簡単に使いこなせるなんて...!)」

京金「避けるだけじゃ勝てませんよ...!」

皆藤「...!!」

皆藤は、後ろに大きくバク転する!

京金「なら...!」カチャ!

皆藤「!!」

京金はロケット砲を魔法陣から取り出す!

京金「いきます...!」


ドォン!! ドォン!!


京金は、ロケット砲を数発発射した!

皆藤「...!!(このロケット砲は...追尾レーザー付き...!)」

皆藤は、木々の間をすり抜けて回避する!

京金「人間のマヂカラの匂いを嗅ぎ付けて...何かにぶつかるまで逃がさない...!」

ドォン!! ドォン!!

皆藤「...!!」

皆藤は、木々の中を目まぐるしく逃げ回る!

京金「ふっ...走!!」

ピュン!!

皆藤「!!!」

京金は、逃げ回る皆藤に先回りし、目の前に現れた!!

京金「やっぱこれが一番」

京金は、鎌を取りだした!

 

京金「”焦土”!!!!!!」

 

 

ドガァーーーーーーーン!!!

 


皆藤は、吹き飛ばされ、受身を取る...!


皆藤「ハァ...ハァ...」

京金は、再び皆藤に迫る!!

京金「もう1発!!!」

 


ドガァーーーーーーーン!!!!

 


皆藤は守護で守る!

皆藤「ハァ...(守護でギリギリ...次受けたらまずい...!)」

京金「ハァ...(もう1発打ち込めば...破れる...!)」


皆藤「...なら」

京金「次で決める...!!」


京金は鎌を強く握る...!

京金「くらえぇぇ!!!!!」

皆藤「...!!魔鳥獣戯画!!蛇!!!」


ニュルニュルニュル!!!


京金の足元から蛇が現れる!!!

京金「ちっ!!!」


ガシッ!! ガシッ!!


蛇は京金の脚に絡みつき、両手を開き、縛りつける!!

京金「...!(身動き出来ない...!!)」

京金の手から鎌が落ちた。


皆藤「ハァ...(絞り出した一撃...長くは続かない...早く勝負を決めないと...!)」チャキッ!

京金「...!」

皆藤「いけ!」

ビリビリビリビリ!!!

蛇を伝って電流が流れる!!

京金「うわぁぁぁぁ!!」

シュルルルルッ...

京金は縛られたまま項垂れた。

皆藤「(まだ気を失ってない...)しぶといわね」

京金「ははっ。黙ってやられると思います?」


すると、京金の前面に魔法陣が現れ、爆弾が数個、皆藤に飛んで行った!!


皆藤「...!(こんな芸当まで!!)」

京金「滅!!」


ドッカーーーーーーーン!!!!


皆藤は後ずさりする!


京金「ハァ...ハァ...(この蛇、何とかしないと...)」

 

────

 

《白鶯・東海林サイド》


東海林は、白鶯の傷を癒す。


東海林「白鶯君...良くなりますように...」


ホワホワホワホワホワ...


やがて、白鶯は目を開ける。


東海林「あ...白鶯君...大丈夫?」

白鶯「...」

東海林「傷がすごい...頑張ってくれたんだね。ありがとう」ニコッ

東海林は、ボロボロになりながらも、一生懸命笑顔を作った。

白鶯「...」

東海林「...(そろそろ私もマヂカラが切れる...でも...私が残るより...白鶯君に全部あげた方が...)」

白鶯「...」

東海林「私ね...やっぱり皆には敵わないや...白鶯君は凄いよ...だから、私の残りの力、全部あげるね」

白鶯「...」

東海林「困った時は助け合い、私達、仲間だから...!」ニコッ

白鶯「...」


ホワホワホワホワホワ...


そこへ、粟生屋がやってくる。


粟生屋「あ、見つけちゃった。白鶯君」

白鶯「...」ギロッ

東海林「!!!(やばい!あおやんだ!!)」

 

────


第412話 「不快だ」

 

────


《東海林サイド》


東海林「あおやん!」

粟生屋「2人揃ってイチャイチャしてんじゃないよ。まったくもう」

東海林「ちっっ違うよっっ!!///」

粟生屋「ははっ。冗談冗談」

東海林「もう!」

粟生屋「東海林。そこをどいてくれないかな」

東海林「どうして」

粟生屋「僕はその男に用があるんだよ」

白鶯「...」

東海林「...(もうすぐ、白鶯君がフルパワーに戻る...!それまで時間を稼がないと)」

粟生屋「話、聞こえた?」

東海林「じゃあ、私を倒してからにしなよ」

粟生屋「ん?」

東海林「私を...倒して...から」クラクラ...

粟生屋「(東海林、まさか己のマヂカラを全て白鶯に...?)」

東海林「...(やばい...意識が...)」

東海林の足元はふらついている。


粟生屋「なるほどね。どっちみち面倒だ...!(早く東海林を止めないと白鶯が...!)作戦変更だ。2人ともリタイアしてもらうよ...!」


粟生屋は人差し指にマヂカラを貯める!


ゾゾゾゾゾゾゾ...!!!!


東海林「!!!!(まずい!!)」

白鶯「...」ギロッ


粟生屋「”虚重弾”」

東海林「!!!」

白鶯「...」ニヤッ


粟生屋「おさらばだ...!!!!!」

 

ドガァァァァァァァァァンンン!!!!!!!

 

粟生屋の攻撃は、辺り一面を巻き込み炸裂する!!!!!


粟生屋「...どうだ?」

 

 


数秒後、粟生屋の目に映った、衝撃的な光景。

 


粟生屋「!!!!!!」

 

なんと、白鶯は東海林の顔面を掴み、東海林を盾に攻撃を防いだのだった!!!!

 

粟生屋「!!!!!貴様...!!!!!」

東海林「.........」ボロッ

白鶯「...」ニヤッ


白鶯は東海林を掴む手を離した。


バタッ...


東海林は白鶯の足元に倒れる。

東海林「白鶯...君...?」ポロッ...

白鶯「ご苦労だった」

粟生屋「...(白鶯はもうフルパワーになってる...!)」

東海林「私達...なかま...だよ...ね?」

白鶯「仲間?」

東海林「...?」


白鶯「俺は、お前の名前を知らない」


東海林「...!!!」

粟生屋「!!!」

白鶯「もうお前に用はない。邪魔だ」


バ     コ     ッ     !


白鶯は、東海林を蹴り飛ばした!

 

粟生屋「東海林!!!!」

東海林「.........」ボロッ...


白鶯「俺に用があると言ったな...粟生屋昴」

粟生屋「...僕の名前は分かるんだ」ゴゴゴゴ...

白鶯「用とは何だ、言ってみろ」

粟生屋「そんなこともういい...今はただ、不快だ」

白鶯「...?」


粟生屋「極めて不快だよ。お前」

白鶯「何だ?」


粟生屋は一呼吸おいて、話を続ける。

粟生屋「僕も仲間とか、友情とか、別に興味はないんだ...でも僕は君みたいに、自分を慕ってくれる人間を無下にはしない」

粟生屋は鋭い眼光で白鶯を睨みつける。

東海林「.........」シクシク...

白鶯「...」

 

粟生屋「これ以上他人の、”人としての尊厳”を踏みにじるな」

 

白鶯「...?」

 

粟生屋「用か...もう怒りで忘れたよ...でも強いて言うなら...」

白鶯「...」


粟生屋「消えろ。以上だ」

白鶯「ははっ。ならばやってみるがいい。相手になってやる...!」


粟生屋「...(悪い、リーダー。今なら本気でこいつを殺しかねない...!!)」ゴゴゴゴ!!!

 

────


第413話 「破片」

 

────


《千巣サイド》


千巣「ハァ...(マヂカラが切れてきてる...上手く探知できねぇ...粟生屋どこだ...?)」


すると、千巣は倒れた東海林を見つける。


千巣「ん?東海林?」

東海林は意気消沈した様子で、先刻よりも大きな傷を作り、座っていた。

千巣「東海林...?どうした?」

東海林「...せんちゃん...」

東海林の光のない目からは、血なのか涙なのか分からない何かが零れ落ちていた。

千巣「おいどうした...また戦ったのか...?」

東海林「私...もうダメかも...」

千巣「...?」

東海林「...自分の存在意義が...分からない...」

千巣「...?」

 

────

 

《皆藤・京金サイド》


京金「...」ギシギシッ!

京金は、皆藤の蛇を解けずにいた。

皆藤「ハァ...往生際が悪いのね」

京金「そりゃ...こんな'舐'め'プで負けたら、話になりませんから」

皆藤「そんな事ないわ。私だって全力よ」

京金「...なら、そんな手加減してないで、早くトドメをさしたらどうです?」

皆藤「......」

京金「そういう優しさ、私は求めてません」

皆藤「...!」


皆藤は、筆を走らせた。


京金「...!」


皆藤「あなたは凄い戦士よ。だからこの技を持って、あなたを沈めるわ...!」ゾゾゾゾゾゾ...!!!


京金「!!!」


皆藤「曼荼羅魔神図...”雷神”!!!!」


皆藤の背後に大きな雷神が浮かぶ!!

京金「...!!!(これは...!!)」

皆藤「いくわよ。はぁぁぁぁ!!!!」

京金「!!!!!」


ポロッ

 

京金は、最後の力を振り絞り青玉を地面に落下させた!

 

ゴロゴロゴロピッカーーーーーーーン!!!!!!!

ドッカーーーーーーーン!!!!!

 

────

 

《千巣サイド》

千巣「ん?なんかやべえ音しなかったか?」

東海林「...」

千巣は木に登り、遠くの空を見る。

千巣「...?(青い煙...?京金か!)」

千巣は、下に降り、東海林に声をかける。

 


千巣「大丈夫か...?」

東海林「行っていいよ...ルカルカが心配なんでしょ...?」

千巣「...」

東海林「私は...大丈夫...もう...ギブアップするから」

千巣「...悪い、お疲れ様」

東海林「......」ポロッ


千巣は、羽織ったジャージを東海林にかけ、木を渡り、煙の元へ急ぐ!

 

────

 

《粟生屋・白鶯サイド》


粟生屋「ハァ...ハァ...」


ドン!!!


粟生屋は、地面に這いつくばり、血を流していた。白鶯は、涼しい顔で粟生屋を見下ろす。


白鶯「無様だな。助けてやろうか?」

粟生屋「貴様...こんな力を...何をした...!」

白鶯「ただの実力の差さ。己の惨敗の理由を関係の無い所に見つけ出そうとするな。かえって惨めだぞ」

粟生屋「...くっ」

白鶯「俺の目的はもはやお前ではない。あの女だ。俺が最強であると証明せねばならない」

粟生屋「...!」


ビュンッ!!!


白鶯は、森の中へ消えた!


粟生屋「......」

 

────


第414話 「愛剣」

 

────


《千巣サイド》


千巣「京金!!!」


千巣が青い煙の元へ駆けつけると、京金は、満身創痍の状態で倒れていた。


京金「...あぁ...アンタか...」

千巣「...!(意識はある...)」

千巣は座り込み、京金の傷を止血する。


皆藤「...」

皆藤はその様子を見ていた。千巣は、京金をお姫様抱っこして木陰へ運ぶ。

京金「やめなさいよ...恥ずかしい...」

千巣「...はいはい」


そして、千巣は立ち上がり、振り返る。


千巣「なかなか派手にやってくれましたね」

皆藤「真剣勝負を申し込んできたのはルカの方よ」

千巣「なるほど」

皆藤「...」


千巣「でも俺は、こうはいきませんよ」

京金「...」

京金は遠くから2人を見る。

皆藤「本気で来なさい」


千巣「千紫万紅流居合...狩義亞(かるぎあ)...!」


スゥゥゥゥゥ...


構えに入った千巣の周りにそよ風が流れる。


皆藤「...(初めて見る技...)」

京金「...(凄い...集中力...)」

千巣「......」


そして、十数秒が過ぎる。


皆藤「...(何もして来ない...なら...切り込む...!)」

ピクッ


千巣「!!!!!!」カッッ!!!!!

皆藤「!!!!!」

 

ズ     バ     ッ     !!!!!!

 

 

皆藤「!!」ブシャッ!!!!

京金「速い...!!」

千巣は、皆藤の微動の瞬間に、皆藤を斬った!!


千巣「...」チャキッ

皆藤「ハァ...なかなかやるわね」

千巣「...」

皆藤「本当の意味で開眼したのね。四十六眼の力が」

千巣「お見通しでしたか」

皆藤「あなたの類まれなる感覚の鋭さは四十六章 知覚の書の力によるもの。そして集中力を極限まで高めることによって、ここまでの速さの居合が可能になるってわけね」

千巣「流石ですね」

皆藤「魔法オタクなめないでよね」

千巣「...(こりゃ、あんま効いてないな...)」

京金「...(理子さん、私とあれだけやりあっておきながら...まだあんな余力が...)」


皆藤「こっちからいくわよ...!魔鳥獣戯画!蝶!」

皆藤は、大量の蝶を召喚した!

ヒラヒラヒラヒラヒラ...!

千巣「...!(なんだこれ...目眩しか...?)」

その隙に皆藤はサングラスを装着する。

皆藤「...(恐らく千巣君の眼は開眼した...目が合ったら終わる!)」スチャッ


皆藤は蝶の群れを掻っ切って千巣に突きを食らわす!!


シュッッッ!!!!!


千巣「...!!!」キィン!


キィン!カァン!シュッ!!キィン!!!


皆藤「君の夜叉(それ)と、私の天叢雲(あいけん)、よく斬れるのはどっちかしら...!」キリキリ

千巣「...!」ビュン!!!

千巣は、大きく剣を振り切る!

皆藤は、後ろに避ける!!


千巣「...さぁね(なにか別の視線を感じる...?気のせいか?)」

皆藤「さぁ、決着といきましょ」

 

 

SOREMA -それ、魔!- 50へ続く。

 

SOREMA -それ、魔!- 48

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SOREMA -それ、魔!- 48

 

サバイバルゲーム

 

────


第399話 「死神」

 

────


時は進み、白鶯、粟生屋らが魔裁組に所属して3年目を迎えた春。

 


《第1支部 / 廊下》

 


職員A「おいおい聞いたか?青木葉閻魔がとうとう絶命したらしいぞ?」

職員B「本当か?!10年経ってやっとか!」

職員A「あぁ。牢を見回りしてた職員が、絶命した青木葉と、その目の前に置かれた不死の書を発見したんだと」

職員B「そうなのか!不死の書は今どこに?」

職員A「流石に魔導書の最終章だからな。誰かに奪われないように、居場所は最低限の人しか知らないようにしてるらしい。鬼屋敷さんクラスじゃないと知らないだろうな」

職員B「まぁ、そうだよな」

スタスタスタ...

 


白鶯は、物陰から隠れて会話を聞いていた。

白鶯「...不死の書...か...」ニヤッ

 

────

 

《第1支部 / ミーティングルーム》


粟生屋、東海林、京金、千巣は、ババ抜きをしていた。


粟生屋「最近は暇でいいねぇ。魔者も全然出ないし」スッ

東海林「そうだね。誰も傷つかないし、いいかも!」スッ

京金「でも少し退屈よね」スッ

千巣「ま、暇でいいんじゃないか?俺たちの仕事は」スッ

粟生屋「そういえば、階級試験、来年から廃止らしいよ。リーダーが言ってた。お、僕イチ抜け〜」スッ

東海林「え!あおやんもうカードなくなったの?!早いよぉ〜!」スッ

京金「なんで階級試験なくなるの?」スッ

千巣「ほら、俺達全員特級だろ?理子さんと白鶯も」スッ

粟生屋「特級が6人もいたらさ、わざわざ差をつける意味無いでしょ。試験自体結構コストもかかるらしいしさ」

東海林「確かに〜」スッ

京金「ま、どうだっていいけど」スッ

千巣「自分で聞いておいて」スッ

京金「チッ」

千巣「びくっ」

 


粟生屋「僕達、巷ではSHAKKS(シャックス)って呼ばれてるみたいだよ?」

東海林「シャックス?あ!私終わったっ!!!」

京金「うわ、最後ウチらかよ」

千巣「...ってか、シャックスって何?」

 


粟生屋「僕達特級6人の頭文字を取って、シャックスと読むらしい。特級が同じ時代に6人も現れるのは珍しいって」

東海林「へぇー!そんなにすごいんだぁ!理子さんのおかげだねっ!」

 


京金は、カードを2枚、千巣の前に出す。

京金「...」ギロッ

千巣「どうした?」コワ...

京金「早く引きなさいよ」

粟生屋「さぁ...最後まで残るのはどっちかな?」

京金「...」

千巣「...」

 


スッ!!

千巣はカードを引いた!

 


京金「はいー!!!そっちジョーカー!!残念でしたーー!!べーーだ!べーー」

千巣「はぁ(ババ抜きでこんなに熱くなれるのは才能だわ)」

千巣が負けた。

 


京金「はい!千の負けー!!私達にジュース奢りなさいよ」

東海林「え!ジュースくれるの?!」

千巣「そんな約束してねぇし。てか千ってなんだ。宮崎駿作品かよ」

東海林「私いちごオレ!」

粟生屋「僕CCレモンで」

千巣「お前ら...」

 

────

 

この時期、街では魔法による被害がほとんど出なかった。

まさに、平和的退屈と言って然るべき日々を過ごしていた。

 

────


第400話 「煙」

 

────


《とあるビル / 屋上》

 


皆藤「...」スゥー...ハァ...

皆藤は柵によりかかり、遠くを見てタバコをふかす。

 


ガチャ

 


京金「あ、いたいた、理子さん」

皆藤「あ、ルカ」


京金は、皆藤に並んで立つ

京金「美味しいですか?それ」

皆藤「これ?全然」

京金「理子さんがタバコ吸うなんて、なんかぽくないですよ」

皆藤「そうだよね」

京金「私にも1本くださいよ」

皆藤「ダメよ。ルカ何歳?」

京金「いや、それを言うならあなたもダメでしょw」

皆藤「笑」

 


スゥー...ハァ...

 


皆藤「ないものねだり、かも」

京金「...?」

皆藤「少しはみ出してみたいっていう、本能?」

京金「は、はぁ」

皆藤「私、皆が思うほどいい子ちゃんじゃないから」

京金「...なるほど。ないものねだり...か...」

皆藤「...?」

 

────

 

《第1支部

東海林「最近全然魔者出ないねー」

粟生屋「どこ行っちまったんだか」

東海林「もしかして!もうこれ以上現れないんじゃない?!」

粟生屋「いや、まだ半分も魔導書を集めきってないんだ。道のりは遠いっしょ」

東海林「そっか...平和なのはいい事だけど...ちょっと複雑...」

粟生屋「ま、楽でいいけどね」

 

 

 

そして、また1年が経つ...

 

 

 

《第1支部

職員A「そうそう、第2支部の氷室さん知ってるか?」

職員B「もちろん。結構な古株だよな」

職員A「魔裁組辞めたらしいぞ」

職員B「マジか!」

職員A「あぁ。ここ数年実働班人辞めてばっかじゃん?」

職員B「これで何人目だ?」

職員A「さぁ。皆、戦意喪失しちまってるみたいだ」

職員B「仕事もあんまりないし、そもそもシャックスいれば他にいらないよな」

職員A「そうなんだよ。あの人たち強すぎて。本人達も退屈してそうだしな」

職員B「でもこの調子で人が抜けたら、シャックスがいなくなった時ヤバくね?」

職員A「確かに、また魔者の被害増えるかも」

職員B「どうなることやら...」

 


スタスタスタ...

 


皆藤「...」

傍で聞いていた皆藤は俯いた。

 

 

 

後日、皆藤は6人を集めた。

 


《ミーティングルーム》

 


粟生屋「リーダー。どうかしたの?」

京金「なんか、表情暗くないですか?」

東海林「なんだろう...ドキドキする...」

千巣「...」

 


白鶯「...」

 


皆藤「今日は集まってくれてありがとう。今日は私から、重要なお知らせが2点」

 


粟生屋「...」

京金「...」

東海林「...」

千巣「...」

白鶯「...」

 


皆藤「一つ、もうすぐ、このチームは、解散します」

 


一同「...!」

白鶯「...」

 

────


第401話 「特級を超えた先に」

 

────


《ミーティングルーム》

 


東海林「解散...って...?」

京金「どういうことですか?」

 


皆藤「今まで私の特訓や任務に従ってくれたわよね。でももうすぐそれを終わりにしようと思って」

東海林「なんでですか!!」

千巣「...?」

皆藤「ほら、もう皆特級だし、十分立派になった。実力は申し分ないし、私が教えられることも、もうない」

京金「...」

皆藤「それに、私は第2支部に異動になることになった」

粟生屋「...」

東海林「それは、なんでですか...?」

皆藤「もうすぐ私の後輩が魔裁組に入ってくる。護って言うんだけど、私の弟みたいな存在よ。彼の面倒を、向こうで見ないといけなくて」

京金「第1支部はどうなるんですか?」

皆藤「あなた達の好きにしていいわ」


東海林「そんな...寂しいですよっ!!なんで、急に...」

皆藤「...ごめん」


千巣「...で、2つ目のお知らせは?」


皆藤「うん。最後に、皆で...」

 


白鶯「戦おう」

 


皆藤「?」

千巣「?」

京金「は?」

東海林「え?」

粟生屋「?」


白鶯「つまらん仲良しごっこも終わるのだろう?ならば戦おう。戦って誰が1番強いのか。新たなるリーダーに誰がふさわしいのか決めよう」

皆藤「白鶯君...?」

京金「...」

東海林「いいよ...そんなことしなくて...」

粟生屋「...」

千巣「...」


白鶯「特級?シャックス?それが何だ?もう魔者なんてどうだっていい。俺達の中で、しっかりと序列をつけなければならない。そう、心の中では、誰しも自分が一番だと思っている。違うか?この状況が気持ち悪いと思わないか?この機会に白日の元に晒すのさ。誰が一番なのか」

粟生屋「...」

京金「...」

東海林「私達...仲間だよね」

千巣「興味ねぇ。勝手にやってろ」


白鶯「お前達も薄々感じているだろう?己の実力を出し切れない昨今の貧弱な任務。退屈だろう?この退屈を打破する為には、大きな動機を与えなければならない。理にかなっていると思わないか?戦いの快楽はお前達にも染み付いている筈。人は一度覚えた快楽を忘れることは出来ない」

京金「...」

粟生屋「...」


白鶯「6人で戦い、新たなトップを決定する。異議のある者は?」

皆藤「私は反対だよ。私達は、皆で最強を目指してきた筈よ。今更誰が一番なんて」

白鶯「チームは解散する。ならば、別にいいだろう?」

東海林「はいっっ!!私も反対!!やりたくないのそんなこと...それに...私は...どうせ負けるし...」

白鶯「他は?」

京金「...」

粟生屋「...」

千巣「...」


皆藤「そんなことをして、何の意味があるの」

白鶯「お前の大好きな組手だぞ?何が悪い」

皆藤「トップがどうとか、そんなことを賭けなくて良いでしょう?」

白鶯「理屈ではない。この世界では常に戦わないといけないものだ。本当の意味での味方など、己だけだ」

皆藤「...」

白鶯「俺に負けるのが怖いのか?そうでなければ挑んでこい。仮にもお前達は魔法使い特級なのだからな」

京金「...生意気ね」

粟生屋「...めんどくさ」


京金「私はやるわ」


皆藤「ルカ?」

京金「私だって、強くなったんだから...これじゃ何のために強くなったんだか分からない...」

皆藤「...」

京金「私の強さをしらしめるわ。私もそのゲームに乗るわよ。勝てばいいんでしょ?」

皆藤「ルカ!」

京金「それに理子さん。私は理子さんを超えたい」

皆藤「...!」

京金「初めてここに来た時の私はもう居ない...!今の私がどれだけ強くなったか、証明してみせますよ!」

皆藤「...」

 

京金「私、もう理子さんより強かったりして」

 

皆藤「...!!」

 


粟生屋「ま、僕はパスしたい所だけど...白鶯には借りがあるからね...汚名返上といきたいね」

皆藤「粟生屋君...」


白鶯「他はどうだ?」

 

────


第402話 「ばらばら」

 

────


《ミーティングルーム》


千巣「まぁ...特訓って体なら、別にいいけど」

白鶯「ほう」

千巣「トップがどうとかってのは、俺はパスで。勝っても負けても、俺は自分のやりたいようにやる」

白鶯「...は?」

千巣「俺は自分より強い奴より、自分にとって尊敬出来る人の下につく」

白鶯「...」

千巣「俺は別に弱いし、俺より強い奴なんて沢山いるだろうしな」

白鶯「...好きにしろ」


東海林「み、皆がやるなら...私も...ほら、最後の思い出作り?だし...私も...強くなったから」


皆藤「皆...」


白鶯「皆藤理子。お前も参加しろ。いいな」

皆藤「...」

白鶯「力を持つ者同士、戦うことでしか分かり合えない」

皆藤「...!」

白鶯「ルールはお前に任せるよ。この腐ったチームの解散前最後の一大行事にしようか」

皆藤「...」


白鶯「全員本気の殺し合いだ...楽しみにしている」


そういうと、白鶯は奥へ消えていった。


皆藤「...」

東海林「白鶯君...」

粟生屋「どこまでも狂ってるよ、アイツは」


京金「ていうか、私達も解散するのね」

皆藤「ごめんね...私のせいで」

京金「いえ、そういう意味では...」

粟生屋「ま、別にチームって感覚そこまで無かったけどね」

京金「最近は1人の任務ばっかりだったものね」

東海林「そうかなー?私は...寂しいよ?」

千巣「その任務もあんまなかったけどな」

皆藤「...」


粟生屋「ま、最強の世代ってことで、リーダーの目標は達成出来たってわけだ。めでたいめでたい」

皆藤「...うん」

千巣「...」

東海林「そう...なのかな...」


京金「とにかくまずは白鶯を黙らせないと。私もストレス貯まってんのよね。本当、早くやっつけたい」

千巣「あいつ、マヂカラ量が明らかに前よりも増してる」

東海林「私、白鶯君があんなに饒舌なの初めて見たなぁ」ニコニコ

京金「なんでそんなにニコニコ話せるのよ。あいつのこと」

東海林「え?友達じゃん?」

京金「はぁ...」

皆藤「...」

粟生屋「流石脳内お花畑」


京金「なぁ。私達、白鶯より弱いの?」

千巣「?」

粟生屋「弱かったら何?不服かい?」

京金「このままでいいの?あいつに好き勝手言われたまんまで!」

千巣「俺たちがやることはあくまで街の平和維持。魔者が出ないんだったら、それでいいんだよ。他にできることは無い」

京金「そうじゃないでしょ?これはプライドの問題よ!私は絶対に嫌!あいつの下になるのは!」

千巣「おいお前、あいつに触発されてるのか?一番大事なことを見失うなよ」

京金「は?もう1回言ってみろ?」

東海林「2人ともやめて!」

粟生屋「熱くなりすぎでしょ。こんなことで」

千巣「...」

京金「ちっ!」

 

皆藤「...」

東海林「やめようよぉ...」

粟生屋「僕出かけるね。この話どうでもいいし」

皆藤「あ、粟生屋くん...」

粟生屋が退出した。


東海林「とにかく、2人とも、1回落ち着こ?私も、上とか下とか、こだわらなくていいと思うよ...?」

京金「唯は黙っててよ!何も分からないくせに!!」

東海林「...!」

千巣「言い過ぎだ」

京金「...ごめん、唯」

東海林「ううん...ごめんね...私、みんなより、弱いしね...」

皆藤「...」


京金「でも、弱い奴は、舐められて、蹴落とされて終わる。私はそんなの死んでも嫌。自分の存在意義を守るには、強くあるしかない...!私は全力を尽くす...!それだけ」

千巣「...」

東海林「...」

皆藤「ルカ...」

 


京金「文句あるなら私に勝ってからいいなさいよ」

千巣「...!」

 

────

 

《皆藤の部屋》


皆藤は、暗い部屋の中、小さな灯りを1つつけて、魔導書についての参考書を読み漁る。

途中、何度もページをめくる手が止まる。


皆藤「...(本当にこれでいいのかな...私がリーダーなんだから、私が何とかしないといけないのに...)」

皆藤の目から、数滴の小さな涙が零れ落ちる。

皆藤「私は'変'わ'っ'て'な'い...だから...何も出来ない...!」

 


バン!

 


机を叩く音が静かな部屋に響く。


皆藤「無力だな...私」

 

────


第403話 「サバイバルゲーム

 

────


《黒の孤島》


6人は、黒の孤島で、強化合宿とは名ばかりのサバイバルゲームを行うことになった。


皆藤「今回はチーム戦よ。男女2人組を3組作って、1人でも意識を保って居られた人が残ったチームが優勝よ」

白鶯「...」

粟生屋「なるほどね」

京金「どうして個人戦じゃないんですか」

皆藤「本当の強さとは、個人の腕っ節だけじゃ決まらないものよ。1人で成せる最強を私は最強だと思わない」

京金「...」

白鶯「...」

皆藤「これ以上のルール変更は認めません。不服なら、私を倒して証明しなさい?最強を」

京金「...」

白鶯「...」

皆藤「じゃあチームを分けよう。男女それぞれあみだくじがあるから、好きな線を選んでね」


6人は、チーム分けを行った。


A 皆藤&粟生屋チーム

皆藤「よろしく、粟生屋くん」

粟生屋「僕達が一番平和な組ですね」


B 京金&千巣チーム

京金「アンタかよ...」

千巣「なんだよその反応...」


C 東海林&白鶯チーム

東海林「頑張ろうね!白鶯君!」

白鶯「...」

 


そして3組は、別れてスタート位置につく。

 


チームA

粟生屋「まぁ、気楽に行きましょう。僕達は」

皆藤「そうね」


チームB

京金「足引っ張るんじゃないわよ」

千巣「...はいはい」

京金「ちっ。少しはなんか言うこと言いなさいよ!やる気ある?!」

千巣「はぁ...(俺たち、チームメイトなんだよね?)」


チームC

東海林「白鶯君っっ!どうする?どっちから攻める?!」

白鶯「...」

東海林「私、何すればいいかな、、?」

白鶯「...邪魔はするな」

東海林「...」シュン...

 

そして、ゲームが始まった。


《チームAサイド》

ヒュン! ヒュン! ヒュン!

2人は黒い森を高速で移動する。


粟生屋「...(白鶯...どこにいる...?)」

皆藤「...(私は...私のやり方は...正しいと信じて今日までやってきたんだ!)」

粟生屋「リーダー。二手に分かれましょう。敵と遭遇したらこの※赤玉を使って場所をシェアしましょう」

皆藤「わかったわ...!」

※赤玉・・・七色玉の赤い煙がでるバージョン。


《チームBサイド》

ヒュン! ヒュン! ヒュン!


京金「...(私は...ここで勝って...理子さんを超えていく...!)」

千巣「...」

ヒュン!

千巣「おい、ペースが早すぎる...!様子を伺え!」

京金「私に命令しないで!」

京金は先を急ぐ。

千巣「待て!」


京金は、千巣から離れて遠くへ向かう。千巣は、四十六眼で気配を探る。

千巣「おい、そっちにはマヂカラの気配が...!」

京金は一直線に進む!

千巣「はぁ...」

 


ザザ...!

 


千巣「...?!」

 


すると、千巣の上空、背後から東海林が現れた!!

千巣「上か!!」


バサッ!!!!!


東海林は、翼を使って空から千巣を見つけだした。


東海林「せんちゃんみぃーっけ!!」

千巣「東海林...!」

東海林「白鶯君!いたよ!!」


すると、森の奥から白鶯が現れる!!


千巣「!!!!」

白鶯「!!!!」


ギィン!!!!!


千巣と白鶯の剣がぶつかる!!!!


千巣「いっちょ前にそんなもん持ちやがって...剣の使い方教えてやろうか...?!おい」キリキリ...

白鶯「黙れ」キリキリ...!

 


千巣 vs チームC──────!!

 

────


第404話 「私の戦い」

 

────


《黒の孤島 / チームCサイド》


千巣と白鶯は一旦距離をとる。


東海林「白鶯君!私、回復魔法が得意なの!怪我したり、消耗したら言ってね!私、治すの得意だから!」

白鶯「...」


千巣「...2体1か、流石に分が悪い。だが逃げる訳にも...」

千巣は、青玉を投げつける。

千巣「...(あいつ...戻って...来ねぇか)」


白鶯「...」ギュルルッ...

白鶯は両腕を龍化させる!

千巣「すげぇ殺意だな...」

千巣は剣を構える!


白鶯「龍ノ咆哮!!!」ドガァーン!

白鶯は自分を中心に衝撃波を放出した!

千巣「...!守護!」

東海林「う、うわぁぁ!」バサバサッ!

東海林が攻撃に巻き込まれる。

千巣「...(あいつ...味方がいてもお構い無しかよ...!)」

白鶯「散れ...!!!」

 


バ     ァ      ン!!!

 


衝撃波が止んだ。


千巣「やるねぇ。次はこっちだ...!千紫万紅流居合!!月光狩り!!!」ジャキン!!!

白鶯「...!!」

東海林「やばい!!守護!!!」

 

ズ     バ     ッ     !

 

────

 

《粟生屋サイド》


粟生屋「...(なんか、マヂカラが近づいてきている気がする...でも辺り一面マヂカラが漂ってて分からん...!)」


ヒュン! ヒュン! ヒュン!


粟生屋「ふっ」ニヤッ

粟生屋は、気を貯める。

粟生屋「ただ分かったことは...誰かが僕を狙ってるってこと...!」


ザワザワ...ザワザワ...

 


粟生屋「少し...暴れようか...!」

 

 

グゥィィィイ...!!!


粟生屋は、人差し指の上に重力の歪みを球体にして顕現させる...!!

粟生屋「虚重弾(きょじゅうだん)...!」


ガサガサッ!!!


粟生屋「(来たな...!)くらえ!!!!」


ズゥィィィイイイイン!!!!!

粟生屋は、球体を放り投げる!!!

 

 

ザ     ン     ッ     !!!!

 

 

すると、球体は真っ二つに断ち切られた!!!


粟生屋「ふぅ...やれやれ...君だったか」

京金「なんだよ、アンタかよ」


球体を叩き斬ったのは、大きな包丁を持った京金だった。


粟生屋「生憎、僕が求めてたのは君じゃないんだけど...」ズズズ...!

京金「私もよ。でも少し、遊びましょう?」ガチャ ガチャガチャ

京金は、包丁を魔法陣に放り投げ、鎌を取り出した。


粟生屋「!!!!」

京金「!!!!」


ガチッ!!!!!!


粟生屋と京金は、激しく攻撃を展開する!!


ヒュン!バッ!キンッ!ビュン!スッ!ガンッ!ガチャッ!ズバッ!


粟生屋「...!」グゥィィィイ!

粟生屋は再び虚重弾の構えに入る!

京金「やらせないわよ!」ガチャッ!

京金は、鉄砲を取り出す!

バンッ!!

粟生屋「...!」ヒュン!

京金は再び鎌を構える!

京金「久しぶりにこんなに熱くなったわ!」キィン!

粟生屋「ふぅ...もっとクールにいこうよ」ビュッ!


京金「ふっ!!!!」

京金は、鎌を粟生屋に放り投げる!

粟生屋「...!(マジかよ!)」


粟生屋は、仰け反って鎌を避けた!

京金「隙あり!」ガチャッ!

京金は、足元に銛を突き刺す!

粟生屋「...!やるね!Gの帳...!!」

粟生屋は、重力の帳を下ろし、銛を折る!

粟生屋はその隙に距離をとり、後ろに引く!

京金「逃げ切れるとでも思ってる?」カチャ

京金は、大型のライフルを構え、スコープを覗き込む!

粟生屋「...!相変わらず何でもアリだな...!」

京金「これが私のやり方...!」

 

────


第405話 「弾丸と烏」

 

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《粟生屋・京金サイド》


京金「おらァ!」


バキューーーーン!


バキューーーーン!


京金は、遠ざかる粟生屋目掛けて狙撃する!


粟生屋「...!」ヒュン! ヒュン!

京金「逃げてばっかりでいいのかしら?背中ががら空きよ?」


バキューーーーン!


スパッ


粟生屋の耳を弾丸が切り裂く!

粟生屋「...!」

京金「次でゲームセットね」

粟生屋「ふっ」ニヤッ


粟生屋は足を止める。そして振り返る。

京金「...?」

粟生屋「撃ってみな」

粟生屋は、手を大きく横に広げ得意げに笑う。

京金「舐められたものね。ならあなたの自慢の目ん玉をぶち抜いてやるわ...!」

粟生屋「いいね」

京金は照準を粟生屋の右目に合わせる。


京金「!!!」バキューーーーン!!!


弾丸は粟生屋の右目目掛けて一直線に飛ぶ!!


京金「...(避けない?本当に当たるわよ?)」

粟生屋「...」


ピュッ!


京金「?!」

すると、弾丸は粟生屋に当たる直前で止まった!

京金「...」

粟生屋「流石は魔具屋の娘。どんな武器の使い方も一級品だね」

京金「...は?」

粟生屋「沢山の武器を取っかえ引っ変えする戦法もアクロバッティングで面白い」

京金「何が言いたい...!?」

粟生屋「あまりカリカリするなよ。僕は褒めてるんだよ。君を」

京金「...」

粟生屋「それに対して僕は魔具を使えない。いや、使わない」

京金「...?」


粟生屋「何故なら...」

京金「?」

粟生屋「僕という存在が最大の武器だからね」ゴゴゴゴ...!!!

京金「!!!!」

 


パチン!

 


粟生屋が指を鳴らすと、ライフルの弾は強い力で歪んで消えた!

そして粟生屋は、自らの手を刀のように構え、振り切る!!

粟生屋「虚重斬!!!!」

京金「!!!!」

 

ズズズズズズザザザバ!!!!!


粟生屋の攻撃は、辺り一面の木々を根こそぎ刈り取り、地面を抉った!!!


京金「...」


ガンッ


京金は、大きな盾で自らの身を守った。そして、盾を前に蹴って粟生屋を見る。


ヒュゥゥゥ...


粟生屋「...これ以上は無駄だね」

京金「そうね。楽しかったわ」

粟生屋「'互'い'に'タ'ー'ゲ'ッ'トを倒せるといいね」

京金「ええ。お互いの武運を願って」


ヒュン!


2人はその場を後にした。

 

────

 

《チームCサイド》

 

────


千巣「...!」

白鶯「...」


千巣と白鶯は、間合いを取りながら、円を描いて睨み合う。


東海林「...!(あの気迫...私じゃ入り込めない...!)」

東海林は空中から2人を見る。

千巣「...」

白鶯「...!」

千巣「!!!」


白鶯の拳と、千巣の剣がぶつかり合う!


ビュン!ヒュッ!ガチッ!キィン!スッ!バッ!シュルッ!ザンッ!バッ!


白鶯「...!」

千巣「...!」


バッ!


2人は距離を置く。


千巣「ふぅ...」

白鶯「...!」


東海林「(2人とも凄い...あんなに素早くやり合ってたのに、全然息が上がってない...!)」

すると、東海林の傍にカラスの群れが現れる!

東海林「?!」

バチバチバチバチ...!!

東海林「...(油断した...!)守護!」

東海林は、カラスの群れと空中戦を繰り広げる!

東海林「運!」

東海林は、細く長い剣を2本取り出した!


シュウゥゥゥ...!!!バッ!ジャンッ!キンッ!!


東海林「...この能力...!!間違いない!」


そして、皆藤はその様子を地上から見ていた。

皆藤「魔鳥獣戯画・烏...!」

東海林「(どこだ?理子さん!!)」

 

────


第406話 「結託」

 

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《チームCサイド》


東海林は、カラスを撃破し、地上に降り立つ。

東海林「...」バサバサッ


そこへ皆藤がやってくる。

皆藤「お見事だね。唯」

東海林「...今は敵です。容赦しません」チャキッ

東海林は2本の刀を構える。

皆藤「いい目だ...!(強くなったね、唯。それは戦いだけじゃない。知恵も度胸も、君はもう立派な魔法使いだ...!)」

皆藤は、刀を構える。今にも戦いが始まろうとしていたその時...!


ボゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!


2人に突風が吹く!!


皆藤「...!」

東海林「...!」


すると、煙の中から千巣と白鶯が現れた!

千巣「ハァ...ハァ...」

白鶯「ハァ...」プッ!


東海林「白鶯君!!」

皆藤「...」


千巣「ハァ...理子さんも」

皆藤「ごきげんよう


4人が一堂に会した。


東海林「全チームが揃った...!」

白鶯「...」

千巣「...」

皆藤「そうね」


東海林「白鶯君、ちょっといい?」

白鶯「...?」

東海林「...」ホワホワホワワァァン...

東海林は、白鶯の傷を癒した。

東海林「完全には治せないけど、これでまた戦えるねっ!」

白鶯「...」

東海林「今は数的有利だから、ここで2人を倒せば...!」

白鶯「...」


千巣「ハァ...理子さん」

皆藤「何?」

千巣「ちょっと...今は組みませんか?」

皆藤「というと?」

千巣「一時的にチームを組みましょう。こいつらを倒すまで。流石に分が悪い」

皆藤「いいわよ。今は休戦ってことね」

千巣「えぇ」

東海林「えーっ!!そんなのありー?!?!」

皆藤「ルール上は何も問題ないわ☆」

東海林「ふえぇぇ。あの2人を相手にするなんて、これで一気に不利になっちゃった...!どうしよぅ白鶯君...!!」

白鶯「...」

白鶯は皆藤を睨む。

東海林「...?」


ビュンッ!


白鶯は皆藤に迫る!

千巣「!!」

東海林「白鶯君!」

皆藤「来たね...!」

白鶯「龍ノ顎!!!!!」


ギィン!!!!


皆藤は守護を展開し受ける!

皆藤「あら、こんなもの?」

白鶯「...!」ピキッ


千巣は、残された東海林に話しかける。

千巣「ふぅ...じゃ、どうする?東海林」

東海林「え、どうするって...?」

千巣「悪いが俺は手加減しないぞ?」チャキッ

東海林「私だってみんなと同じ魔法使い特級だもん!!舐めないでよねっ!」

千巣「...行くぞ!」

 

────


《第1支部 / 鬼屋敷の部屋》

 

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支部では、鬼屋敷、善能寺そして、新入りのある少年と少女が、黒の孤島の中継を見ていた。


鬼屋敷「いやー。やっぱりレベルが違うわねぇ」

善能寺「姐さんも行ってくればいいのに」

鬼屋敷「ハッハッハッ。若い子達は若い子同士でやるのが楽しいのよ。邪魔できないわよ〜」

善能寺「そうね」

鬼屋敷「キャー!メンズ3人眩しいわ〜!!!」

善能寺「アイドルのライブじゃないんだけど」


神野ジャスティン護(17)

ジャ「この人達...凄い...!本当に同じ人間...?」

ジャスティンは、食い入る様に画面を見ていた。


越前莉茉(15)

莉茉「...」

 

SOREMA -それ、魔!- 49へ続く