SOREMA -それ、魔!- 66

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SOREMA -それ、魔!- 66

 

 

 

 

 

 

 


私にできること

 

 

 

 

 

 

 


第528話 「駒猫(こまねこ)」

 


《九段下》

 


百目鬼村松・TORA vs 白鶯

激しい攻撃の応酬も、やや魔裁組が押されている。

 

 

 

美波は戦線離脱したはるかの治療に回る。

 


犬飼「おーい!!」

安西「美波ちゃーん!!」

 


そこへ、犬飼と安西が駆けてくる。

美波「犬飼さん!亜珠さん!」

2人は、美波の元へやってくる。

 


犬飼「一体全体どうなってやがる...!」

亜珠「街がめちゃくちゃだよ...なんでこんなことに...!」

美波「お2人も手伝って頂けますか?今はるかが...!」

犬飼らははるかに視線を落とす。

 


亜珠「ひどい傷...」

犬飼「もちろんだ!出来ることはなんでも言ってくれ!」

亜珠「これ以上...誰も失いたくない...私もなんでもやる!」

美波は、唇をかみしめ、脳裏に莉茉を思い浮かべる。

 


亜珠「まずは何をすればいい?」

美波「ありがとうございます、まずお2人は──────」

3人は、傷ついたメンバーの回復に全力を尽くす...!

 


〜〜〜

 


白鶯は、百目鬼らを弄びながら攻撃を重ねる。

 


百目鬼「(クソ...あいつ体力がどんどん回復してやがる...武智が稼いだダメージが無駄になっちまう...!)」

TORA「(迅速に畳み掛けるしかない...!)」

村松「...!」

百目鬼「全員地面に攻撃しろ!」

TORA「...!」

村松「...!」

白鶯「?」

 


パッ

 


百目鬼は3人を白鶯の上空に移動させた!

白鶯「!」

 


百目鬼「”弓張月”!!」ザ     ク     ッ     !

TORA「”風螺面虎(ふらめんこ)”」ドォン!!

村松「”獣穿刺(けものせんし)”」グサッ!!

ラキラキ「ワォーーーーーン!」

 


それぞれの攻撃が白鶯に上方三方向からヒットする...!

白鶯「...!」グハッ!

TORAが攻撃を畳み掛ける!

TORA「マスターのビジョンは、私が完遂する...!舞乱虎(ぶらんこ)!!」

 


ドガァァァァン!!!

辺り一面に煙が上がる!

TORA「...どうだ?」

 


シュゥゥゥゥ...

 


白鶯「ちっ...」プッ

 


白鶯は唾を吐き両手を軽くはたいた。

 


TORA「...失敗か」

白鶯「残念ながらそのようだ」

TORA「ならば、更に高出力の技で...!」

白鶯「そうもいかないだろう。そろそろお前のその異質なマヂカラも限界を迎えそうだが?」

TORA「...読まれていたか(そろそろ、この体を保てなくなる...本体からマヂカラが抜ければ、俺はただの動物に戻ってしまう...!)」

 


白鶯「お前がそこまで身を削る理由は何だ?」

TORA「マスターの意志を継ぐ。俺はそれだけの為の駒だ」

 

 

 

 

 

 

第529話 「虎の威」

 


《決戦の場(九段下付近)》

 


白鶯「お前がそこまで身を削る理由は何だ?」

TORA「マスターの意志を継ぐ。俺はそれだけの為の駒だ」

白鶯「はぁ。よくわからんが、駒というならそろそろ用済みにしてやろうか」

TORA「やってみるがいい。一筋縄ではいかないぞ」

白鶯「虚勢をはるな。見るからにお前はそうだなぁ...せいぜい人工知能を持った動物のようなものだろう。畜生が俺のような強者に逆らうな」

TORA「お前は強者では無い。強者の定義は既にアップデート済だ」

 


白鶯「...まぁどうだって良い。ここで消し炭してやる。マスターとやらの意志もここで途絶えさせてやろう」

TORA「ならば...!最大限...!お前を削り取る...!」

 


そこへ村松もやってくる。村松は白鶯を睨みつける。

村松「...!」

ラキラキ「ワォーーーーーン!」

 


白鶯「ふっ。畜生に葬られる俺ではない。生物としての格の差を思い知れ」ポポポポ...!

白鶯は手にマヂカラを溜める...!

 


その時!

 


ボコッ!!!

 


白鶯「...!!」グハッ!

 


TORA「...!」

村松「...!?」

 


白鶯のみぞおちに手が貫通した!

白鶯「...貴様」

 


百目鬼「油断しすぎだろ」

百目鬼の手が、白鶯の胴体を貫通していた!

 


白鶯「警戒を解いていた。弱すぎてな」

百目鬼「そうか」

白鶯「ここまで俺に近づいた事は褒めてやる。よくやった。”アラン”」

百目鬼「...!」

 


白鶯は、体全体からマヂカラのオーラを放った!!

 


ドガァァァァァン!!!

 


オーラは辺り全体を吹き飛ばし、百目鬼は遠くへと吹き飛ばされた!!!

 


TORA「百目鬼!!!うわぁ!!」バァン!

村松「!!!」バァン!

 


白鶯「...」

白鶯は、胸に手を当てる。

そこへ、TORAが攻撃を仕掛ける!

 


ヒュン!ガァン!スゥン!ドカッ!!

 


TORAと白鶯は激しく肉弾戦を繰り広げる!!

 


TORA「...!(マヂカラと本体の適合率が下がっている...!動作のラグが...!)」

白鶯「動きが鈍くなってきたなァ!虎男!!」

白鶯は、TORAを蹴り飛ばす!!

 


TORAは立ち上がり、手にマヂカラを溜める。

 


TORA「ハァ...ハァ...最大限、お前に...ダメージを与え...後に繋ぐ...!」ポポポポ...!

白鶯「やってみるがいい」ポポポポ...!

 


互いに、手にマヂカラを溜め、攻撃を放つ!

 


TORA「最大出力!!鉈天虎虎(なたでここ)!!」

白鶯「龍ノ凱旋!!」

 

 

 

ドガァァァァァァァァン!!!

 

 

 

2人の攻撃がぶつかり合う!!!

 


TORA「...!!!」

攻撃の押し合いの中、TORAは押されながらも踏ん張り続ける。

TORA「...!!魔法は、必ず消滅する...!お前は100%敗北する...!」ゴゴゴゴ...!

白鶯「そうか」ゴゴゴゴ...!

TORA「...!!」

 


白鶯「飲み込め」

 


白鶯の攻撃がTORAの攻撃諸共跳ね返し、TORAを飲み込む!!!

 


TORA「!!!!!!」

村松「...!!!」

 


ドガァァァァァン!!!

 


焼け野原となったそこには、1匹の虎が倒れ込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 


第530話 「従者」

 


《決戦の地》

 


TORAは、一匹の虎の姿となり、その場で倒れ込んだ。

 


村松「...!」

白鶯「それが本来の姿が。無様な畜生だ」

白鶯が傷だらけの虎に手をかけようとする!

村松「...やめなさい!」

 


すると、村松は遠くから虎を操り、白鶯から遠ざける!

白鶯「...?(虎が動いた?最後の余力が残っていたというのか)」

 


虎は、村松の裏に隠れ、村松は、虎に応急処置をする。

白鶯「...(いいや、違う。あの女の能力だ。獣を操る能力。といったところか)」

 


村松は、蒼魔導書第三十八章 操獣の書の履術者である。魔獣であるラキラキを従えているが、マヂカラが僅かに残った”虎”も、術式の対象になっていたのだ。

 


白鶯「畜生に情けなど要らん。もっとも、俺からすればお前たちも何ら変わらんがな」

 


白鶯は、村松にじりじりと近寄っていく。

白鶯「くだらん。埋まらん実力差に気がついた方がいい」

村松「...!」

 


白鶯「死ね」

白鶯が村松にとどめをさそうとする!

 


すると、百目鬼がそこへやってくる。

 


百目鬼「ちょっと待ちな」

白鶯「...?」

百目鬼「これ、返して欲しいだろ」

百目鬼の手には、時間の書が握られていた。

 


白鶯「そうか...あの時か。小賢しい」

百目鬼「実力差がどうとか。まずアンタには、誰も味方が居ないことに気づけよ」

白鶯「...?」

百目鬼「例えここで俺が倒れようと、俺にはまだ味方がいるからなぁ」

百目鬼は吐血し、膝をつく。

白鶯「味方?そんなもの、なんの役にも立たなかったが?」

百目鬼「それは、本当の意味で味方じゃないからさ」

白鶯「...その無様な格好で俺に説教をするつもりか?アラン」

百目鬼「だったら?」ゴボッ!

 


白鶯「まぁいい。最後に話したいだけ話せばいい。じっくり聞いてやろ、」

 

 

 

ズ     バ     ッ     !

 

 

 

白鶯が話していると、白鶯の顔面がバッサリと斬られた!

百目鬼「...?」

村松「...?」

 


白鶯は顔を再生させながら、話を続ける。

 


白鶯「...どこかで嗅ぎ覚えのある気配だ」

 


ルカ「覚えてたんだ。私のこと」

白鶯「...成程、魔法使いだったんだなぁ。まだ」

ルカ「違うわよ」

麗美「こいつが、白鶯蓮源...!」

 


現れたのは、大きな鎌を持ったルカと、麗美だった!

 


百目鬼「ハァ...焦らせんなよ...」

 


バタッ...

 


百目鬼はその場に倒れた。

 


ルカ「勘違いしないで、魔法使いなんてとうに辞めてるわよ」

白鶯「...?」

ルカ「私はね、ただアンタを殺しに来たの」ドン!

麗美「...!」ドン!

 


ルカ「昔からアンタのことはシンプルに嫌いだったわ。力に固執して、狡い手を使わないと人に勝てない。なっさけない男。変わってなさそうで安心したわ」

白鶯「...貴様」

ルカ「何も間違ってないわよねぇ。アンタが正攻法で勝ったことなんて、一度でもあった?」

白鶯「...」ピキピキ

 


ルカ「アンタは本当ならもう死んでる身なんだからら、死に損ないにはここで引導を渡してあげる」

麗美「...」

 


ルカ「覚悟しろよ」

 


白鶯「なるほどな。お前は少し厄介だ。容赦なく潰す」

ルカ「やってみなさいよ」

 

 

 

 

 

 

 


第531話 「転生せし虎」

 


《決戦の地》

 


麗美は、村松に話しかける。

 


麗美「はるかは?」

村松は、はるかが美波の治療を受けている方角を指さす。

麗美「莉茉っちは?」

村松は、顔を暗くして俯く。

 


麗美「...え、嘘?」

 


麗美は、無線を聞ける場所に居なかった為、戦況を把握出来ていなかった。

故に、莉茉の死を知らずにいたのだった。

 


麗美「そんな...そんな...」

 


麗美はショックでふらついてしまう。

 


倒れそうになったその時、ルカが麗美を抱える。

ルカ「戦うわよ」

麗美は荒くなった呼吸を整える。

 


ルカ「アンタがここで倒れたら、流石に私もヤバいから」

麗美「...!」

 


ルカ「泣くのは後にしなさい。死にたくなければね」

麗美「...!」

 


そこへ白鶯の攻撃が飛んでくる!

 


キィン!!!

 


ルカはそれを弾く!

 


ルカ「はい、貸し1」

麗美「...」

 


麗美は、自力で立ち、白鶯を睨みつける。

 


〜〜〜

 


犬飼と安西は、百目鬼に駆け寄る!

 


犬飼「おいパピヨン!!大丈夫か?!」

安西「全然大丈夫じゃないでしょ!向こうに運ぼう!」

犬飼「ってこれ!魔導書じゃねぇか!」

安西「白鶯から奪い取ったのね!でかした!」

2人は百目鬼と魔導書を運ぶ。

 


〜〜〜

 


白鶯「女3人か。面白い」

ルカ「女の子扱いしてくれるのね。かえって鬱陶しいけど」

麗美「...」

村松「...」

ラキラキ「ガルルゥゥゥ...」

 


すると、村松が治療した虎が、白鶯目掛けて走り出した!

 


ルカ「?」

麗美「虎?」

 


白鶯「畜生が」

白鶯は、虎を燃やそうとする!

 


村松「危ない!」

村松は、虎を操り、白鶯の攻撃から虎を守る!

 


白鶯「小癪な!」

ドガァァァン!

白鶯の攻撃が虎にヒットしてしまう!!

 


村松「!!(まずい!)」

ラキラキ「ワォーーーーーン!!」

 


すると、煙の中から出てきた虎は、魔法の力を得て、白と黒の体に、緑色の眼をした、虎のような魔獣に変化していた!!

 


ルカ「虎が」

麗美「魔獣になった?」

村松「!」

 


白鶯「何だ?魔獣?」

白鶯の攻撃を、虎の魔獣は避けながら、白鶯に飛びかかる!!

ルカ「なんかよく分からないけど、私達も行くわよ!」

麗美「...!」

村松「ラキラキ!」

ラキラキ「ワォーーーーーン!!」

 


3人は攻撃を仕掛ける!

 

 

 

 

 

 

 


第532話 「その名は絶望」

 


《決戦の地》

 


麗美サウンドスリー!SOUL!!」

3人と2匹は、白鶯に攻撃を仕掛ける!!

白鶯「うじゃうじゃと鬱陶しいな」

白鶯は、麗美の腹部にタッチする!

麗美「...!!触んなよ!!」

白鶯は、麗美を吹き飛ばす!!

 


ルカは魔具を使いながら、白鶯と撃ち合う!

 


麗美は立ち上がり、技を繰り出す!

麗美「一か八か...!サウンドアルファ DISCORD!!」

 


しかし、麗美の攻撃は決まらない!

 


麗美「?なんで?」

村松「封印されてる!」

麗美「?」

 


2人は、白鶯の攻撃を掻い潜りながら、会話をする!

 


村松「触られると、封印される!」

麗美「...!魔導書の能力か...!」

 


ルカは、ヌンチャクの様な魔具にエレメントを纏わせ、白鶯に襲いかかる!

白鶯「お前もエレメントか。魔法使いしてるじゃないか」

ルカ「こんなの飾りよ。私にとってはね!」

 


2人がやり合う隙に、ラキラキと虎の魔獣が白鶯に攻撃を仕掛ける!

村松「ラキラキ!トラトラ!」

ラキラキ「ワォーーーーーン!」

トラトラ(虎の魔獣)「ガォーーー!!」

麗美「(トラトラて)」

ルカ「(もっとまともな名前があったのでは)」

 


麗美「てか、魔法マジで使えない!」

麗美は遠くから猛魔クナイ(クナイの魔具)を投げ続ける!

麗美「(ちっ...足でまといかよ...!)」

 


しかし、麗美の投げた猛魔クナイは、白鶯に少しずつヒットしていく。猛魔クナイは、白鶯のマヂカラを吸い取っていく。

 


白鶯の封印能力の解除には、一定のダメージを与える事が必要だが、ルカと対峙する白鶯は本気を出しているのと、麗美村松らの実力ではそこへ強力な一撃を叩き込めない為、麗美の封印は解けずにいる。

 


麗美「くそ!でもエレメントならいけるか...?」

 


かつてのエミリーの封印能力ならば、エレメント、魔導書、基礎魔法と個別に封印していた(その代わり、術者が死ぬまで永続)ため、エレメントは使用出来たが、白鶯の封印能力は、永続能力を消す代わりに、全てのマヂカラをロックするため、本来なら麗美はエレメントも使えない。

 


だが、奇跡が起こる。

 


麗美「赤のエレメント...!戦慄の炎(ほむら)!」

 


五線譜の様な赤いエレメントの鞭が、白鶯を襲う!!

 


白鶯「...!!!」

ルカ「隙あり!!消え失せろ!!!」

ルカは、鎌を2本取り出した!

 


ルカ「”二丁飛車”!!!!」

 


ドガァァァァァァン!!!

 


白鶯は吹き飛ぶ!

ルカは鎌を魔法陣に投げ捨て、体よりも大きなハンマーを取り出す!

ルカ「”毘沙門”!!!」

 


ドォォォォォォン!!!

 


ルカか大きくハンマーを振り下ろすと、白鶯のいる地点に巨大な衝撃波が降り注いだ!!

 


ルカは、ハンマーを魔法陣に投げ捨てた。

 


麗美「...(攻撃が当たったからかな?魔法が戻ってきた!)」

そして、ルカは白鶯に呼びかける。

ルカ「死んだ?」

 


白鶯「...」

 

 

 

すると、煙の中に不気味な赤い眼光が!

 


ゴゴゴゴゴゴゴゴ...!!

 


煙の中から、赤い眼光と共に、凄まじい地響きが、3人を襲う!

 


グラグラグラグラグラ...!!

 


ルカ「な、何これ」

麗美「...!」

村松「...!」

ラキラキ「ワォーーーーーン!!」

トラトラ「ガォーーーー!!」

 


すると、煙の中から、凄まじく巨大な龍の形に変貌した白鶯が現れた!!!

 


麗美「...!何、アレ」

ルカ「流石にデカすぎでしょ」

村松「...!」

 

 

 

 

 

 

 


第533話 「遺したもの」

 


《決戦の地》

 


麗美「...!何、アレ」

ルカ「流石にデカすぎでしょ」

村松「...!」

 


まさしく東京タワーにも劣らない程の全長の龍は天高く昇り、ルカ達を睨みつける。

 


白鶯「やはりお前は無茶苦茶な女だなァ。京金ルカ」

ルカ「アンタに言われたくないわよ。人外が」

白鶯「ハッハッハッハ...!まぁいい」

 


ゴゴゴゴゴゴ...!!

 


白鶯は、巨大な尻尾で3人を払う!!

 


ルカ「...!」

麗美「...!!」

村松「危ない...!!」

 


ラキラキ「ワォーーーーン!」ガッ!

トラトラ「ガオーーーーー!!」ガッ!

ルカ「?!」

麗美「?!」

 

 

 

ドゴォォォォォォォンンンン!!!!

 

 

 

ラキラキとトラトラは、ルカと麗美を攻撃から守った!!!

 


ルカ「...助かった」

麗美「...村松さんは?!」

 


村松は、白鶯の攻撃が直撃し、頭から血を流し倒れていた!!

 


ルカ「あの子...!!」

麗美村松さん...!!!」

 


すると、ラキラキとトラトラは、消え去ってしまった。

麗美「そんな...!」

 


すると、天空から巨大な声が響く。

白鶯「余所見をしている場合かな?!」

 


ポポポポポポ...!!

 


まるで、視界を埋め尽くす程のな巨大な龍(はくおう)が、口元にマヂカラを溜め始めた!雲の流れも龍を中心に集まっている...!

空は光を放ち、太陽よりも眩しい光が、辺りを包み込む...!

 


ルカ「...!」

麗美「...あれを受けたら...流石に...」

ルカ「...まずいわね」

 


万事休すか──────?!

 


《上空基地》

 


その瞬間、上空基地では全ての機能がシャットアウトした。何も見えなくなり、ひえりと五百旗頭は真っ暗な空間に取り残された。

 


ひえり「!!何、これ」

五百旗頭「恐らく、マヂカラがキャパオーバーして、システムが落ちてしまったんだわ」

ひえり「そんなに強いマヂカラ反応が...?!」

五百旗頭「もう全ての結界は皆が破壊してくれた。後は白鶯だけ。皆そこへ集まっていると思うからら、私達も行きましょう。復旧までどれだけかかるか分からないわ。ここにいても出来ることはもうない」

ひえり「...」

五百旗頭「怖い?なら私1人で行ってくるわ」

 


1人で行こうとしている五百旗頭の袖を、ひえりが掴む。

 


五百旗頭「?」

ひえり「...怖いとか...そういうんじゃない...」

五百旗頭「ひえりさん?」

ひえり「五百旗頭さん...今から戦場に行って、死んでも仕方ないとか、思ってないですよね?」

五百旗頭「...」

ひえり「絶対に...絶対に絶対に、死んだらダメですよ」

五百旗頭「...?」

 


ひえり「あなただけは!!あなただけは、死んじゃダメなんです。だって、皆が助けてくれた命でしょ?!」

五百旗頭「...!」

 


ひえり「話は聞いてます...だから、命は大事にしてください。絶対に」

五百旗頭「...」

 


ひえり「私も行きます。でもその前に、約束してください。死なないって」

 


五百旗頭「...わかったわ。約束する」

ひえり「...」

五百旗頭「第一、死んでも仕方ないなんて、考えてもないわ。それに、奪われてもいい命なんて、本来1つもない」

五百旗頭は拳を握りしめる。

 


五百旗頭「私達に出来ることをしましょう。まずは戦力のサポートから。行きましょう。ひえりさん」

ひえり「...はい!」

 

 

 

 

 

 

 


第534話 「私にできること」

 


《決戦の地》

 


麗美とルカは、白鶯を見上げることしか出来ない。

 


ルカ「(あの攻撃を防ぐ事は今からでは恐らく不可能...逃げ切ることも出来ない...このままでは私たちだけじゃなく、医療班や倒れてる味方まで全員あの世行きよ...攻めてこの子と2人で医療班から軌道を逸らせるか...?でも出来たとして、戦える私達が居なくなってしまえば結局同じこと...どうする...?)」

 


ルカは、被害を最小限にするべく手を考える。

 


麗美はその隣で、白鶯を見上げる。

 


そして、ルカに目を移す。

 

 

 

 


────正直、この人には敵わない。今の私の実力では。

 

 

 

この戦いだって、2人で戦ってるように見えて、殆ど守られてばっかりだった。

 

 

 

この人は強い...うざいくらいに。

 

 

 

白鶯の次の攻撃を耐えられれば、その隙は必ず生まれる。

 

 

 

きっとこの人なら、それを活かしてくれる。

 

 

 

他の仲間もきっと、来てくれる。

 

 

 

だから...ここは私が...!

 

 

 

麗美は拳を握る。

 

 

 

もう少し、戦いたかったなぁ──────。

 

 

 

 


ルカ「おチビちゃん。聞いて。今からあいつの攻撃を此処から逸らすわ。着いてきなさい」

麗美「...断る」

ルカ「は?!じゃあどうするってのよ?!このままじゃここにいるみんな死ぬわよ?!」

麗美「大丈夫」

ルカ「何がよ?!」

麗美「いつでも斬り掛かれるように準備だけよろしく」

ルカ「?!」

麗美は、白鶯に一目散に飛んでいく!

 


すると、白鶯が攻撃を放つ!!

 

 

 

白鶯「滅びよ。”破星(かいせい)”!!!」

 

 

 

 

 

 

ドォォォォォォォォォンンンン!!!!!!

 

 

 

 

 

 

辺りは真っ白な光に包まれた!!!!

 


ルカは斧と盾で何とか軌道をずらそうと立ち向かう!

ルカ「...!!!!!!(あの子...これじゃモロに攻撃を...!!)」

 


麗美は光に飲み込まれた...!!!...と思われた。

 

 

 

攻撃は途中で全て消え去っていた。

 

 

 

白鶯「?!」

 


麗美サウンドベータ...MUTE...!」グハッ...!

 


麗美がかつて生み出した技。”サウンドベータ・MUTE”。

相手の攻撃を自らのマヂカラを消費することによって相打ちにする技である。白鶯の最強格の技”壊星”を相打ちにしたことにより、麗美の体はボロボロになり、空中にて、体に力が入らない状態となった。

 


白鶯「小娘...何をした?!」

麗美「.........これだけじゃ終わらない...!」

 


ボワァァァァァァン...!

 


麗美「赤のエレメント...!猩々緋(しょうじょうひ)...!!」

 


麗美は体から残り全てのマヂカラをエレメンタル放出した!!!

 


白鶯「...!!」ドガァン!!

 


そこへルカが鎌を2つ持って白鶯の体を掛け登る!

 


ルカ「...(全て理解した...!今が”隙”!!!)」

白鶯「...?!」

 


ルカは、空中に飛び、白鶯の首元目掛け、2つの鎌を振り下ろす!

 


ルカ「”輪廻転生(サンサーラ)”!!!!」

 

 

 

ザ           ク          ッ          !

 

 

 

白鶯の首が切り落とされた!!!!

 

 

 

白鶯「グワァァァァ!!!!」

 


白鶯は首を切り離された状態で、地面に向かって落下を始める...!

ルカは、上空にて、白鶯の魔導書を奪おうと手を伸ばす。その時、麗美の存在に気がつく。

 


麗美は、意識を失い、もぬけの殻の状態で落下していた。

 


ルカ「おチビちゃん...!!」

ルカは、魔導書を諦め、麗美に手を伸ばす!

ルカ「...(このまま落ちたら...!)」

ルカは麗美に手を伸ばすも、届かない!

ルカ「...(くっ...マヂカラを使いすぎた...!空中だと制御が効かない...!もうすぐ落ちる...!)」

 


その時。

 


サッ...!!!!

 


落下中の2人を、人影が横切った。

 


スタッ...

 


その人影により、ルカと麗美は、一命を取り留め、地面に着地した。

 


ルカ「...(何が起きた...?そんなことよりあの子は...?)」

三太郎「へっ。危なかったな」

ルカ「アンタは」

三太郎「間一髪だったなぁルカルカ。でも俺が来たからもう安心だ」ドン!