SOREMA -それ、魔!- 48

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SOREMA -それ、魔!- 48

 

サバイバルゲーム

 

────


第399話 「死神」

 

────


時は進み、白鶯、粟生屋らが魔裁組に所属して3年目を迎えた春。

 


《第1支部 / 廊下》

 


職員A「おいおい聞いたか?青木葉閻魔がとうとう絶命したらしいぞ?」

職員B「本当か?!10年経ってやっとか!」

職員A「あぁ。牢を見回りしてた職員が、絶命した青木葉と、その目の前に置かれた不死の書を発見したんだと」

職員B「そうなのか!不死の書は今どこに?」

職員A「流石に魔導書の最終章だからな。誰かに奪われないように、居場所は最低限の人しか知らないようにしてるらしい。鬼屋敷さんクラスじゃないと知らないだろうな」

職員B「まぁ、そうだよな」

スタスタスタ...

 


白鶯は、物陰から隠れて会話を聞いていた。

白鶯「...不死の書...か...」ニヤッ

 

────

 

《第1支部 / ミーティングルーム》


粟生屋、東海林、京金、千巣は、ババ抜きをしていた。


粟生屋「最近は暇でいいねぇ。魔者も全然出ないし」スッ

東海林「そうだね。誰も傷つかないし、いいかも!」スッ

京金「でも少し退屈よね」スッ

千巣「ま、暇でいいんじゃないか?俺たちの仕事は」スッ

粟生屋「そういえば、階級試験、来年から廃止らしいよ。リーダーが言ってた。お、僕イチ抜け〜」スッ

東海林「え!あおやんもうカードなくなったの?!早いよぉ〜!」スッ

京金「なんで階級試験なくなるの?」スッ

千巣「ほら、俺達全員特級だろ?理子さんと白鶯も」スッ

粟生屋「特級が6人もいたらさ、わざわざ差をつける意味無いでしょ。試験自体結構コストもかかるらしいしさ」

東海林「確かに〜」スッ

京金「ま、どうだっていいけど」スッ

千巣「自分で聞いておいて」スッ

京金「チッ」

千巣「びくっ」

 


粟生屋「僕達、巷ではSHAKKS(シャックス)って呼ばれてるみたいだよ?」

東海林「シャックス?あ!私終わったっ!!!」

京金「うわ、最後ウチらかよ」

千巣「...ってか、シャックスって何?」

 


粟生屋「僕達特級6人の頭文字を取って、シャックスと読むらしい。特級が同じ時代に6人も現れるのは珍しいって」

東海林「へぇー!そんなにすごいんだぁ!理子さんのおかげだねっ!」

 


京金は、カードを2枚、千巣の前に出す。

京金「...」ギロッ

千巣「どうした?」コワ...

京金「早く引きなさいよ」

粟生屋「さぁ...最後まで残るのはどっちかな?」

京金「...」

千巣「...」

 


スッ!!

千巣はカードを引いた!

 


京金「はいー!!!そっちジョーカー!!残念でしたーー!!べーーだ!べーー」

千巣「はぁ(ババ抜きでこんなに熱くなれるのは才能だわ)」

千巣が負けた。

 


京金「はい!千の負けー!!私達にジュース奢りなさいよ」

東海林「え!ジュースくれるの?!」

千巣「そんな約束してねぇし。てか千ってなんだ。宮崎駿作品かよ」

東海林「私いちごオレ!」

粟生屋「僕CCレモンで」

千巣「お前ら...」

 

────

 

この時期、街では魔法による被害がほとんど出なかった。

まさに、平和的退屈と言って然るべき日々を過ごしていた。

 

────


第400話 「煙」

 

────


《とあるビル / 屋上》

 


皆藤「...」スゥー...ハァ...

皆藤は柵によりかかり、遠くを見てタバコをふかす。

 


ガチャ

 


京金「あ、いたいた、理子さん」

皆藤「あ、ルカ」


京金は、皆藤に並んで立つ

京金「美味しいですか?それ」

皆藤「これ?全然」

京金「理子さんがタバコ吸うなんて、なんかぽくないですよ」

皆藤「そうだよね」

京金「私にも1本くださいよ」

皆藤「ダメよ。ルカ何歳?」

京金「いや、それを言うならあなたもダメでしょw」

皆藤「笑」

 


スゥー...ハァ...

 


皆藤「ないものねだり、かも」

京金「...?」

皆藤「少しはみ出してみたいっていう、本能?」

京金「は、はぁ」

皆藤「私、皆が思うほどいい子ちゃんじゃないから」

京金「...なるほど。ないものねだり...か...」

皆藤「...?」

 

────

 

《第1支部

東海林「最近全然魔者出ないねー」

粟生屋「どこ行っちまったんだか」

東海林「もしかして!もうこれ以上現れないんじゃない?!」

粟生屋「いや、まだ半分も魔導書を集めきってないんだ。道のりは遠いっしょ」

東海林「そっか...平和なのはいい事だけど...ちょっと複雑...」

粟生屋「ま、楽でいいけどね」

 

 

 

そして、また1年が経つ...

 

 

 

《第1支部

職員A「そうそう、第2支部の氷室さん知ってるか?」

職員B「もちろん。結構な古株だよな」

職員A「魔裁組辞めたらしいぞ」

職員B「マジか!」

職員A「あぁ。ここ数年実働班人辞めてばっかじゃん?」

職員B「これで何人目だ?」

職員A「さぁ。皆、戦意喪失しちまってるみたいだ」

職員B「仕事もあんまりないし、そもそもシャックスいれば他にいらないよな」

職員A「そうなんだよ。あの人たち強すぎて。本人達も退屈してそうだしな」

職員B「でもこの調子で人が抜けたら、シャックスがいなくなった時ヤバくね?」

職員A「確かに、また魔者の被害増えるかも」

職員B「どうなることやら...」

 


スタスタスタ...

 


皆藤「...」

傍で聞いていた皆藤は俯いた。

 

 

 

後日、皆藤は6人を集めた。

 


《ミーティングルーム》

 


粟生屋「リーダー。どうかしたの?」

京金「なんか、表情暗くないですか?」

東海林「なんだろう...ドキドキする...」

千巣「...」

 


白鶯「...」

 


皆藤「今日は集まってくれてありがとう。今日は私から、重要なお知らせが2点」

 


粟生屋「...」

京金「...」

東海林「...」

千巣「...」

白鶯「...」

 


皆藤「一つ、もうすぐ、このチームは、解散します」

 


一同「...!」

白鶯「...」

 

────


第401話 「特級を超えた先に」

 

────


《ミーティングルーム》

 


東海林「解散...って...?」

京金「どういうことですか?」

 


皆藤「今まで私の特訓や任務に従ってくれたわよね。でももうすぐそれを終わりにしようと思って」

東海林「なんでですか!!」

千巣「...?」

皆藤「ほら、もう皆特級だし、十分立派になった。実力は申し分ないし、私が教えられることも、もうない」

京金「...」

皆藤「それに、私は第2支部に異動になることになった」

粟生屋「...」

東海林「それは、なんでですか...?」

皆藤「もうすぐ私の後輩が魔裁組に入ってくる。護って言うんだけど、私の弟みたいな存在よ。彼の面倒を、向こうで見ないといけなくて」

京金「第1支部はどうなるんですか?」

皆藤「あなた達の好きにしていいわ」


東海林「そんな...寂しいですよっ!!なんで、急に...」

皆藤「...ごめん」


千巣「...で、2つ目のお知らせは?」


皆藤「うん。最後に、皆で...」

 


白鶯「戦おう」

 


皆藤「?」

千巣「?」

京金「は?」

東海林「え?」

粟生屋「?」


白鶯「つまらん仲良しごっこも終わるのだろう?ならば戦おう。戦って誰が1番強いのか。新たなるリーダーに誰がふさわしいのか決めよう」

皆藤「白鶯君...?」

京金「...」

東海林「いいよ...そんなことしなくて...」

粟生屋「...」

千巣「...」


白鶯「特級?シャックス?それが何だ?もう魔者なんてどうだっていい。俺達の中で、しっかりと序列をつけなければならない。そう、心の中では、誰しも自分が一番だと思っている。違うか?この状況が気持ち悪いと思わないか?この機会に白日の元に晒すのさ。誰が一番なのか」

粟生屋「...」

京金「...」

東海林「私達...仲間だよね」

千巣「興味ねぇ。勝手にやってろ」


白鶯「お前達も薄々感じているだろう?己の実力を出し切れない昨今の貧弱な任務。退屈だろう?この退屈を打破する為には、大きな動機を与えなければならない。理にかなっていると思わないか?戦いの快楽はお前達にも染み付いている筈。人は一度覚えた快楽を忘れることは出来ない」

京金「...」

粟生屋「...」


白鶯「6人で戦い、新たなトップを決定する。異議のある者は?」

皆藤「私は反対だよ。私達は、皆で最強を目指してきた筈よ。今更誰が一番なんて」

白鶯「チームは解散する。ならば、別にいいだろう?」

東海林「はいっっ!!私も反対!!やりたくないのそんなこと...それに...私は...どうせ負けるし...」

白鶯「他は?」

京金「...」

粟生屋「...」

千巣「...」


皆藤「そんなことをして、何の意味があるの」

白鶯「お前の大好きな組手だぞ?何が悪い」

皆藤「トップがどうとか、そんなことを賭けなくて良いでしょう?」

白鶯「理屈ではない。この世界では常に戦わないといけないものだ。本当の意味での味方など、己だけだ」

皆藤「...」

白鶯「俺に負けるのが怖いのか?そうでなければ挑んでこい。仮にもお前達は魔法使い特級なのだからな」

京金「...生意気ね」

粟生屋「...めんどくさ」


京金「私はやるわ」


皆藤「ルカ?」

京金「私だって、強くなったんだから...これじゃ何のために強くなったんだか分からない...」

皆藤「...」

京金「私の強さをしらしめるわ。私もそのゲームに乗るわよ。勝てばいいんでしょ?」

皆藤「ルカ!」

京金「それに理子さん。私は理子さんを超えたい」

皆藤「...!」

京金「初めてここに来た時の私はもう居ない...!今の私がどれだけ強くなったか、証明してみせますよ!」

皆藤「...」

 

京金「私、もう理子さんより強かったりして」

 

皆藤「...!!」

 


粟生屋「ま、僕はパスしたい所だけど...白鶯には借りがあるからね...汚名返上といきたいね」

皆藤「粟生屋君...」


白鶯「他はどうだ?」

 

────


第402話 「ばらばら」

 

────


《ミーティングルーム》


千巣「まぁ...特訓って体なら、別にいいけど」

白鶯「ほう」

千巣「トップがどうとかってのは、俺はパスで。勝っても負けても、俺は自分のやりたいようにやる」

白鶯「...は?」

千巣「俺は自分より強い奴より、自分にとって尊敬出来る人の下につく」

白鶯「...」

千巣「俺は別に弱いし、俺より強い奴なんて沢山いるだろうしな」

白鶯「...好きにしろ」


東海林「み、皆がやるなら...私も...ほら、最後の思い出作り?だし...私も...強くなったから」


皆藤「皆...」


白鶯「皆藤理子。お前も参加しろ。いいな」

皆藤「...」

白鶯「力を持つ者同士、戦うことでしか分かり合えない」

皆藤「...!」

白鶯「ルールはお前に任せるよ。この腐ったチームの解散前最後の一大行事にしようか」

皆藤「...」


白鶯「全員本気の殺し合いだ...楽しみにしている」


そういうと、白鶯は奥へ消えていった。


皆藤「...」

東海林「白鶯君...」

粟生屋「どこまでも狂ってるよ、アイツは」


京金「ていうか、私達も解散するのね」

皆藤「ごめんね...私のせいで」

京金「いえ、そういう意味では...」

粟生屋「ま、別にチームって感覚そこまで無かったけどね」

京金「最近は1人の任務ばっかりだったものね」

東海林「そうかなー?私は...寂しいよ?」

千巣「その任務もあんまなかったけどな」

皆藤「...」


粟生屋「ま、最強の世代ってことで、リーダーの目標は達成出来たってわけだ。めでたいめでたい」

皆藤「...うん」

千巣「...」

東海林「そう...なのかな...」


京金「とにかくまずは白鶯を黙らせないと。私もストレス貯まってんのよね。本当、早くやっつけたい」

千巣「あいつ、マヂカラ量が明らかに前よりも増してる」

東海林「私、白鶯君があんなに饒舌なの初めて見たなぁ」ニコニコ

京金「なんでそんなにニコニコ話せるのよ。あいつのこと」

東海林「え?友達じゃん?」

京金「はぁ...」

皆藤「...」

粟生屋「流石脳内お花畑」


京金「なぁ。私達、白鶯より弱いの?」

千巣「?」

粟生屋「弱かったら何?不服かい?」

京金「このままでいいの?あいつに好き勝手言われたまんまで!」

千巣「俺たちがやることはあくまで街の平和維持。魔者が出ないんだったら、それでいいんだよ。他にできることは無い」

京金「そうじゃないでしょ?これはプライドの問題よ!私は絶対に嫌!あいつの下になるのは!」

千巣「おいお前、あいつに触発されてるのか?一番大事なことを見失うなよ」

京金「は?もう1回言ってみろ?」

東海林「2人ともやめて!」

粟生屋「熱くなりすぎでしょ。こんなことで」

千巣「...」

京金「ちっ!」

 

皆藤「...」

東海林「やめようよぉ...」

粟生屋「僕出かけるね。この話どうでもいいし」

皆藤「あ、粟生屋くん...」

粟生屋が退出した。


東海林「とにかく、2人とも、1回落ち着こ?私も、上とか下とか、こだわらなくていいと思うよ...?」

京金「唯は黙っててよ!何も分からないくせに!!」

東海林「...!」

千巣「言い過ぎだ」

京金「...ごめん、唯」

東海林「ううん...ごめんね...私、みんなより、弱いしね...」

皆藤「...」


京金「でも、弱い奴は、舐められて、蹴落とされて終わる。私はそんなの死んでも嫌。自分の存在意義を守るには、強くあるしかない...!私は全力を尽くす...!それだけ」

千巣「...」

東海林「...」

皆藤「ルカ...」

 


京金「文句あるなら私に勝ってからいいなさいよ」

千巣「...!」

 

────

 

《皆藤の部屋》


皆藤は、暗い部屋の中、小さな灯りを1つつけて、魔導書についての参考書を読み漁る。

途中、何度もページをめくる手が止まる。


皆藤「...(本当にこれでいいのかな...私がリーダーなんだから、私が何とかしないといけないのに...)」

皆藤の目から、数滴の小さな涙が零れ落ちる。

皆藤「私は'変'わ'っ'て'な'い...だから...何も出来ない...!」

 


バン!

 


机を叩く音が静かな部屋に響く。


皆藤「無力だな...私」

 

────


第403話 「サバイバルゲーム

 

────


《黒の孤島》


6人は、黒の孤島で、強化合宿とは名ばかりのサバイバルゲームを行うことになった。


皆藤「今回はチーム戦よ。男女2人組を3組作って、1人でも意識を保って居られた人が残ったチームが優勝よ」

白鶯「...」

粟生屋「なるほどね」

京金「どうして個人戦じゃないんですか」

皆藤「本当の強さとは、個人の腕っ節だけじゃ決まらないものよ。1人で成せる最強を私は最強だと思わない」

京金「...」

白鶯「...」

皆藤「これ以上のルール変更は認めません。不服なら、私を倒して証明しなさい?最強を」

京金「...」

白鶯「...」

皆藤「じゃあチームを分けよう。男女それぞれあみだくじがあるから、好きな線を選んでね」


6人は、チーム分けを行った。


A 皆藤&粟生屋チーム

皆藤「よろしく、粟生屋くん」

粟生屋「僕達が一番平和な組ですね」


B 京金&千巣チーム

京金「アンタかよ...」

千巣「なんだよその反応...」


C 東海林&白鶯チーム

東海林「頑張ろうね!白鶯君!」

白鶯「...」

 


そして3組は、別れてスタート位置につく。

 


チームA

粟生屋「まぁ、気楽に行きましょう。僕達は」

皆藤「そうね」


チームB

京金「足引っ張るんじゃないわよ」

千巣「...はいはい」

京金「ちっ。少しはなんか言うこと言いなさいよ!やる気ある?!」

千巣「はぁ...(俺たち、チームメイトなんだよね?)」


チームC

東海林「白鶯君っっ!どうする?どっちから攻める?!」

白鶯「...」

東海林「私、何すればいいかな、、?」

白鶯「...邪魔はするな」

東海林「...」シュン...

 

そして、ゲームが始まった。


《チームAサイド》

ヒュン! ヒュン! ヒュン!

2人は黒い森を高速で移動する。


粟生屋「...(白鶯...どこにいる...?)」

皆藤「...(私は...私のやり方は...正しいと信じて今日までやってきたんだ!)」

粟生屋「リーダー。二手に分かれましょう。敵と遭遇したらこの※赤玉を使って場所をシェアしましょう」

皆藤「わかったわ...!」

※赤玉・・・七色玉の赤い煙がでるバージョン。


《チームBサイド》

ヒュン! ヒュン! ヒュン!


京金「...(私は...ここで勝って...理子さんを超えていく...!)」

千巣「...」

ヒュン!

千巣「おい、ペースが早すぎる...!様子を伺え!」

京金「私に命令しないで!」

京金は先を急ぐ。

千巣「待て!」


京金は、千巣から離れて遠くへ向かう。千巣は、四十六眼で気配を探る。

千巣「おい、そっちにはマヂカラの気配が...!」

京金は一直線に進む!

千巣「はぁ...」

 


ザザ...!

 


千巣「...?!」

 


すると、千巣の上空、背後から東海林が現れた!!

千巣「上か!!」


バサッ!!!!!


東海林は、翼を使って空から千巣を見つけだした。


東海林「せんちゃんみぃーっけ!!」

千巣「東海林...!」

東海林「白鶯君!いたよ!!」


すると、森の奥から白鶯が現れる!!


千巣「!!!!」

白鶯「!!!!」


ギィン!!!!!


千巣と白鶯の剣がぶつかる!!!!


千巣「いっちょ前にそんなもん持ちやがって...剣の使い方教えてやろうか...?!おい」キリキリ...

白鶯「黙れ」キリキリ...!

 


千巣 vs チームC──────!!

 

────


第404話 「私の戦い」

 

────


《黒の孤島 / チームCサイド》


千巣と白鶯は一旦距離をとる。


東海林「白鶯君!私、回復魔法が得意なの!怪我したり、消耗したら言ってね!私、治すの得意だから!」

白鶯「...」


千巣「...2体1か、流石に分が悪い。だが逃げる訳にも...」

千巣は、青玉を投げつける。

千巣「...(あいつ...戻って...来ねぇか)」


白鶯「...」ギュルルッ...

白鶯は両腕を龍化させる!

千巣「すげぇ殺意だな...」

千巣は剣を構える!


白鶯「龍ノ咆哮!!!」ドガァーン!

白鶯は自分を中心に衝撃波を放出した!

千巣「...!守護!」

東海林「う、うわぁぁ!」バサバサッ!

東海林が攻撃に巻き込まれる。

千巣「...(あいつ...味方がいてもお構い無しかよ...!)」

白鶯「散れ...!!!」

 


バ     ァ      ン!!!

 


衝撃波が止んだ。


千巣「やるねぇ。次はこっちだ...!千紫万紅流居合!!月光狩り!!!」ジャキン!!!

白鶯「...!!」

東海林「やばい!!守護!!!」

 

ズ     バ     ッ     !

 

────

 

《粟生屋サイド》


粟生屋「...(なんか、マヂカラが近づいてきている気がする...でも辺り一面マヂカラが漂ってて分からん...!)」


ヒュン! ヒュン! ヒュン!


粟生屋「ふっ」ニヤッ

粟生屋は、気を貯める。

粟生屋「ただ分かったことは...誰かが僕を狙ってるってこと...!」


ザワザワ...ザワザワ...

 


粟生屋「少し...暴れようか...!」

 

 

グゥィィィイ...!!!


粟生屋は、人差し指の上に重力の歪みを球体にして顕現させる...!!

粟生屋「虚重弾(きょじゅうだん)...!」


ガサガサッ!!!


粟生屋「(来たな...!)くらえ!!!!」


ズゥィィィイイイイン!!!!!

粟生屋は、球体を放り投げる!!!

 

 

ザ     ン     ッ     !!!!

 

 

すると、球体は真っ二つに断ち切られた!!!


粟生屋「ふぅ...やれやれ...君だったか」

京金「なんだよ、アンタかよ」


球体を叩き斬ったのは、大きな包丁を持った京金だった。


粟生屋「生憎、僕が求めてたのは君じゃないんだけど...」ズズズ...!

京金「私もよ。でも少し、遊びましょう?」ガチャ ガチャガチャ

京金は、包丁を魔法陣に放り投げ、鎌を取り出した。


粟生屋「!!!!」

京金「!!!!」


ガチッ!!!!!!


粟生屋と京金は、激しく攻撃を展開する!!


ヒュン!バッ!キンッ!ビュン!スッ!ガンッ!ガチャッ!ズバッ!


粟生屋「...!」グゥィィィイ!

粟生屋は再び虚重弾の構えに入る!

京金「やらせないわよ!」ガチャッ!

京金は、鉄砲を取り出す!

バンッ!!

粟生屋「...!」ヒュン!

京金は再び鎌を構える!

京金「久しぶりにこんなに熱くなったわ!」キィン!

粟生屋「ふぅ...もっとクールにいこうよ」ビュッ!


京金「ふっ!!!!」

京金は、鎌を粟生屋に放り投げる!

粟生屋「...!(マジかよ!)」


粟生屋は、仰け反って鎌を避けた!

京金「隙あり!」ガチャッ!

京金は、足元に銛を突き刺す!

粟生屋「...!やるね!Gの帳...!!」

粟生屋は、重力の帳を下ろし、銛を折る!

粟生屋はその隙に距離をとり、後ろに引く!

京金「逃げ切れるとでも思ってる?」カチャ

京金は、大型のライフルを構え、スコープを覗き込む!

粟生屋「...!相変わらず何でもアリだな...!」

京金「これが私のやり方...!」

 

────


第405話 「弾丸と烏」

 

────


《粟生屋・京金サイド》


京金「おらァ!」


バキューーーーン!


バキューーーーン!


京金は、遠ざかる粟生屋目掛けて狙撃する!


粟生屋「...!」ヒュン! ヒュン!

京金「逃げてばっかりでいいのかしら?背中ががら空きよ?」


バキューーーーン!


スパッ


粟生屋の耳を弾丸が切り裂く!

粟生屋「...!」

京金「次でゲームセットね」

粟生屋「ふっ」ニヤッ


粟生屋は足を止める。そして振り返る。

京金「...?」

粟生屋「撃ってみな」

粟生屋は、手を大きく横に広げ得意げに笑う。

京金「舐められたものね。ならあなたの自慢の目ん玉をぶち抜いてやるわ...!」

粟生屋「いいね」

京金は照準を粟生屋の右目に合わせる。


京金「!!!」バキューーーーン!!!


弾丸は粟生屋の右目目掛けて一直線に飛ぶ!!


京金「...(避けない?本当に当たるわよ?)」

粟生屋「...」


ピュッ!


京金「?!」

すると、弾丸は粟生屋に当たる直前で止まった!

京金「...」

粟生屋「流石は魔具屋の娘。どんな武器の使い方も一級品だね」

京金「...は?」

粟生屋「沢山の武器を取っかえ引っ変えする戦法もアクロバッティングで面白い」

京金「何が言いたい...!?」

粟生屋「あまりカリカリするなよ。僕は褒めてるんだよ。君を」

京金「...」

粟生屋「それに対して僕は魔具を使えない。いや、使わない」

京金「...?」


粟生屋「何故なら...」

京金「?」

粟生屋「僕という存在が最大の武器だからね」ゴゴゴゴ...!!!

京金「!!!!」

 


パチン!

 


粟生屋が指を鳴らすと、ライフルの弾は強い力で歪んで消えた!

そして粟生屋は、自らの手を刀のように構え、振り切る!!

粟生屋「虚重斬!!!!」

京金「!!!!」

 

ズズズズズズザザザバ!!!!!


粟生屋の攻撃は、辺り一面の木々を根こそぎ刈り取り、地面を抉った!!!


京金「...」


ガンッ


京金は、大きな盾で自らの身を守った。そして、盾を前に蹴って粟生屋を見る。


ヒュゥゥゥ...


粟生屋「...これ以上は無駄だね」

京金「そうね。楽しかったわ」

粟生屋「'互'い'に'タ'ー'ゲ'ッ'トを倒せるといいね」

京金「ええ。お互いの武運を願って」


ヒュン!


2人はその場を後にした。

 

────

 

《チームCサイド》

 

────


千巣「...!」

白鶯「...」


千巣と白鶯は、間合いを取りながら、円を描いて睨み合う。


東海林「...!(あの気迫...私じゃ入り込めない...!)」

東海林は空中から2人を見る。

千巣「...」

白鶯「...!」

千巣「!!!」


白鶯の拳と、千巣の剣がぶつかり合う!


ビュン!ヒュッ!ガチッ!キィン!スッ!バッ!シュルッ!ザンッ!バッ!


白鶯「...!」

千巣「...!」


バッ!


2人は距離を置く。


千巣「ふぅ...」

白鶯「...!」


東海林「(2人とも凄い...あんなに素早くやり合ってたのに、全然息が上がってない...!)」

すると、東海林の傍にカラスの群れが現れる!

東海林「?!」

バチバチバチバチ...!!

東海林「...(油断した...!)守護!」

東海林は、カラスの群れと空中戦を繰り広げる!

東海林「運!」

東海林は、細く長い剣を2本取り出した!


シュウゥゥゥ...!!!バッ!ジャンッ!キンッ!!


東海林「...この能力...!!間違いない!」


そして、皆藤はその様子を地上から見ていた。

皆藤「魔鳥獣戯画・烏...!」

東海林「(どこだ?理子さん!!)」

 

────


第406話 「結託」

 

────


《チームCサイド》


東海林は、カラスを撃破し、地上に降り立つ。

東海林「...」バサバサッ


そこへ皆藤がやってくる。

皆藤「お見事だね。唯」

東海林「...今は敵です。容赦しません」チャキッ

東海林は2本の刀を構える。

皆藤「いい目だ...!(強くなったね、唯。それは戦いだけじゃない。知恵も度胸も、君はもう立派な魔法使いだ...!)」

皆藤は、刀を構える。今にも戦いが始まろうとしていたその時...!


ボゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!


2人に突風が吹く!!


皆藤「...!」

東海林「...!」


すると、煙の中から千巣と白鶯が現れた!

千巣「ハァ...ハァ...」

白鶯「ハァ...」プッ!


東海林「白鶯君!!」

皆藤「...」


千巣「ハァ...理子さんも」

皆藤「ごきげんよう


4人が一堂に会した。


東海林「全チームが揃った...!」

白鶯「...」

千巣「...」

皆藤「そうね」


東海林「白鶯君、ちょっといい?」

白鶯「...?」

東海林「...」ホワホワホワワァァン...

東海林は、白鶯の傷を癒した。

東海林「完全には治せないけど、これでまた戦えるねっ!」

白鶯「...」

東海林「今は数的有利だから、ここで2人を倒せば...!」

白鶯「...」


千巣「ハァ...理子さん」

皆藤「何?」

千巣「ちょっと...今は組みませんか?」

皆藤「というと?」

千巣「一時的にチームを組みましょう。こいつらを倒すまで。流石に分が悪い」

皆藤「いいわよ。今は休戦ってことね」

千巣「えぇ」

東海林「えーっ!!そんなのありー?!?!」

皆藤「ルール上は何も問題ないわ☆」

東海林「ふえぇぇ。あの2人を相手にするなんて、これで一気に不利になっちゃった...!どうしよぅ白鶯君...!!」

白鶯「...」

白鶯は皆藤を睨む。

東海林「...?」


ビュンッ!


白鶯は皆藤に迫る!

千巣「!!」

東海林「白鶯君!」

皆藤「来たね...!」

白鶯「龍ノ顎!!!!!」


ギィン!!!!


皆藤は守護を展開し受ける!

皆藤「あら、こんなもの?」

白鶯「...!」ピキッ


千巣は、残された東海林に話しかける。

千巣「ふぅ...じゃ、どうする?東海林」

東海林「え、どうするって...?」

千巣「悪いが俺は手加減しないぞ?」チャキッ

東海林「私だってみんなと同じ魔法使い特級だもん!!舐めないでよねっ!」

千巣「...行くぞ!」

 

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《第1支部 / 鬼屋敷の部屋》

 

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支部では、鬼屋敷、善能寺そして、新入りのある少年と少女が、黒の孤島の中継を見ていた。


鬼屋敷「いやー。やっぱりレベルが違うわねぇ」

善能寺「姐さんも行ってくればいいのに」

鬼屋敷「ハッハッハッ。若い子達は若い子同士でやるのが楽しいのよ。邪魔できないわよ〜」

善能寺「そうね」

鬼屋敷「キャー!メンズ3人眩しいわ〜!!!」

善能寺「アイドルのライブじゃないんだけど」


神野ジャスティン護(17)

ジャ「この人達...凄い...!本当に同じ人間...?」

ジャスティンは、食い入る様に画面を見ていた。


越前莉茉(15)

莉茉「...」

 

SOREMA -それ、魔!- 49へ続く