SOREMA -それ、魔!- 70

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SOREMA -それ、魔!- 70(終)

 

 

 

 

 

 

 


魔法の本

 

 

 

 

 

 

 

 

《夜 / とある廃校》

 


白鶯との激闘から1ヶ月が経った。

 


生き残った魔裁組のメンバーは、少しずつ回復し、殆どのメンバーが自力で移動出来る程になっていた。

 


白鶯の消失後、魔者の発現はほとんど見られず、魔法協会は、魔裁組の動けるメンバーや、サムワットを動員して、残りの魔導書を集めた。

 


白鶯が所持していた残りの魔導書は、ヒメの追憶調査によって集められたデータによって、全て集めることが出来た。

 

 

 

そして今日は、とあることをするために、魔裁組全員及び、魔法協会全員が、廃校に集められた。

 

 

 

まちまちに立てられた灯篭によって面々の顔が焔色に照らされる。

 

 

 

廃校の校庭の真ん中には、大きな薪の山がみえる。

 

 

 

 


一善は、車椅子に乗り、ヒメがそれを押している。

 


幸二「一善、足の調子はどうだ?」

一善「うん。リハビリも順調だし、あと1ヶ月もすれば歩けるようになると思う」

幸二「そうか」

一善「心配ありがとう」

 


そこへ、安西と犬飼がやってくる。

 


犬飼「おい一善、あくえりちゃん見なかったか?」

一善「ひえりちゃんなら、”例のもの”を取りに家に帰ってたと思います。流石にもうすぐ来ると思いますけど」

犬飼「そっか。早く来ないかなぁ...!!」

 

 

 

数時間前──────

 


《堆家》

 


ひえりは、赫魔導書を手に、千巣の写真の前に座る。

 


ひえり「行ってくるね。お兄ちゃん...」

 


その様子を、ルカが壁によりかかりながら、腕を組んで見ている。

 


ルカ「あくえりちゃん。そろそろ行くわよ」

ひえり「すみません。行きましょう。間に合いますかね」

ルカ「私のドライビングテクニック舐めんじゃないわよ」

ルカはバイクの鍵を手でぐるんぐるん回した。

 

 

 

安西「てか、犬飼くん。今...”一善”って...?」

犬飼「ん?何の話だ?」ハナホジ

ヒメ「これって...歴史的瞬間...?!」

一善「え?何の話?」

 


犬飼「...!本人が気づいてねぇから、今のはなしだ!またな!柴犬!」

 


犬飼はどっかに歩いていった。

 


安西「あはは。またなってなによ。まだこれからなのに」

ヒメ「ふふ」

一善「?」

安西は犬飼を追いかける。

 

 

 

 


葉月「ぎゃは!キャンプファイヤーまだかな!」

小町「キャンプファイヤーちゃうやろ。火祭りや」

三太郎「どっちでもないぞ!これから始まるのは盆踊りだ!!!」

はるか「全部違ぇわ!バッキャロー!!」

 


三太郎「え、何が始まるの?」

はるか「焼肉大会だぜ」

三太郎「ぎゃは!ウケる!」

葉月「あ!私の持ちネタパクるなし!」

小町「それ持ちネタって認識やったんや」

 


それを遠目で見る麗美達。

麗美「はぁ...しょうもない大喜利

美波「まぁ皆テンション上がってるんだよ!だって楽しみじゃん」

麗美「...」

 


麗美は俯く。

 


美波「麗美ちゃん?」

麗美「なんか...私たちだけ浮かれてていいのかな...って」

麗美は空の星を見上げる。

 


美波「それは...」

そこへ唯と廻がやってくる。

 


唯「いいんだよ!」

麗美「...唯さん」

唯「明るくいこうよ!ね!」

麗美「...でも」

唯「麗美ちゃんがもし”逆の立場”だった時、皆がくらーい顔してたらどう思う?」

麗美「...悲しいです」

唯「だよね!だから麗美ちゃんもすまいるすまいる!」

 


唯は、麗美の頬を無理やり指で引っ張る。

 


麗美「...」アセアセ

唯「麗美ちゃんって、ほんっとうに仲間思いなんだね!優しい子なんだね!えらいえらい!」

唯は、麗美の頭を撫でる。

 


唯「めぐりんもそう思うでしょ?」

廻「そうだね。今は僕達が笑顔でいられることが、一番喜んでくれることだと思うよ」

唯「だからさ、元気だして」

麗美「...はい!」

美波はそれを見て微笑む。

 

 

 

善能寺「本当に皆には感謝してる。ありがとう」

五百旗頭「それはお互い様ですよ。皆、それぞれ出来ることを全力でやった結果ですから」

善能寺「これで少しは、平和な未来に一歩近づいたかしら」

五百旗頭「そうですね。私達に出来ることは、もうやり尽くしましたね」

 


2人の所へ犬飼がやってくる。

 


犬飼「五百旗頭さん!ちょっと!こっちこっち!みんな待ってますから!」

安西「犬飼くん!今渚今大事な話し中だし...」

善能寺「いえ、大丈夫よ。五百旗頭さんも、若いんだから皆と楽しみなさい?せっかくだし」

五百旗頭「...じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 

 

百目鬼は松葉杖をつきながら一人立ち竦む。

 


粟生屋「やぁ。百目鬼君」

百目鬼「...どうも」

粟生屋「飲むかい?」

 


粟生屋は、百目鬼に飲み口の空いた缶ビールを渡す。

 


粟生屋「今開けたばっかりだから大丈夫だよ」

百目鬼「...どうも」

 


粟生屋「はい、KP」

百目鬼「...」

 


ゴクゴクゴク...

 


粟生屋「君も色々あった見たいだねぇ」

百目鬼「...まぁ」

粟生屋「ま、進んで話したい事でもないか」

百目鬼「いえ、別にそんな」

 


粟生屋「ひとつ聞いてもいいかな?」

百目鬼「何ですか?」

 


2人は、目の前で騒いでいる女子や三太郎達を見つめる。

 


粟生屋「誰がタイプ?」

 


百目鬼は勢いよくビールを吹き出した。

 


そこへ一善とヒメがやってくる。

 


一善「藤、どうしたの?ビール吹き出して」

百目鬼「いや、このおっさんが変なこと聞くからさ」

粟生屋「おっさんだと?!僕まだ26の代だよ?」

百目鬼「それをおっさんって言うんですよ。世の中では」

粟生屋「え?そんなことないよね?一善君?」

一善「...」

 


粟生屋「え?!僕、おっさん?!」ガーン!

ヒメ「あは、あははは」

 

 

 

 


はるか「そういえば、ジャスティンいねぇな」

葉月「村松ちゃんもいなくない?」

小町「どこいったんやろな。2人とも遅刻とかせぇへんタイプやのに」

三太郎「電話してみっか」

 


するとそこにジャスティンが現れた。

 


ジャ「やぁ」

三太郎「わぁお!」

はるか「おうジャスティン!何してたんだ?」

ジャ「ちょっと向こうでね」

 


ジャスティンは、来た方向を指さす。

 


葉月「...あ」

小町「村松ちゃん...?」

 


村松が何やら肩を震わせて泣いていた。

 


葉月「ちょっと、行ってくる!」

小町「うちも!」

 


はるか「どうしたんだ?珍しいな、あの子が泣くなんて」

三太郎「なにかあったのか?」

ジャ「無理もない。だってあの子は...」

はるか「あ...」

 

 

 

葉月と小町は村松の元へ駆け寄る。

 


葉月「村松ちゃん?」

村松「...グスン...ヒック...ウゥ」

 


そこには、肩を震わせて涙を流す村松の姿と、それを悲しそうな目で見つめるラキラキとトラトラの姿があった。

 


小町「そっか...」

葉月「...(実感なかったけど、この子達とは...

 

 

 

 


今日でお別れなんだ。

 

 

 

 


村松はあまり友達に恵まれるタイプではなかった。

ある日、”とある本”を読んでいると、目の前にラキラキが現れた。

 


ラキラキ「ワォン!」

幼き日の村松「...!」

 


その異能さ故、周りの人間は更に村松から離れたが、それと反比例するかの如く、ラキラキとは絆を深めていった。

 


魔裁組に入ってからも、何時でも何処でもラキラキと村松は一緒にいた。

 

 

 

 


今日、彼ら全員が集まった目的は、魔導書を全て燃やすこと。つまりそれは、魔法の消滅を意味する。

 

 

 

故に、村松とラキラキ、そして共に死線をくぐり抜けたトラトラとは、永遠の別れとなる。

 

 

 

村松「...ヒック...グスン」

ラキラキ「クゥゥン」

トラトラ「...」

 


葉月「...(どうしよう。何も言ってあげることが出来ない。友達なのに)」

小町「...」

 


そこに岩田が現れる。

 


岩田「いいのです。彼女に今必要なのは言葉じゃない。時間なのです。そっと見守ることこそ、友に出来る唯一にして最大の手伝いであります」

小町「...岩田はん」

 


葉月の目からは静かに涙が溢れる。

 


すると、村松がマスクを外し、ラキラキとトラトラを抱きしめる。

 


そして、震えた声で話し出す。

 


村松「ありがとう......!」

ラキラキとトラトラも涙を流す。

 


村松「こんな私に......ついてきてくれてありがとう......!」

 


葉月と小町もつられて大泣きする。

 


村松は、トラトラの顔に手を当てて話す。

 


村松「トラトラ...巻き込んじゃってごめんね......短い間だったけど...ありがとう...!」

トラトラ「クゥゥン...」

 


村松は、同じように、ラキラキの顔に手を当てて話す。

 


村松「ありがとう...ラキラキ。私は...ラキラキに救われた...!ラキラキがいなくなっても...私頑張るから......」

ラキラキ「クゥゥン...」

 


村松は2匹の顔を自らの頬に当てる。

 


村松「絶対に忘れない......ありがとう...!」

 


葉月「...グスン...ヒック...」

小町「...ウゥ...グスン...あかん...あかん...」

 


村松「2人もありがとう。泣いてもらえるようないい関係だったみたいだよ...私達!」

村松は笑顔をつくり、2匹をあやす。

ラキラキ「ワォーーン!」

トラトラ「ガォーーー!」

 

 

 

そして、ひえりとルカが到着する。

 

 

 

ルカ「あら、もしかして私達で最後っぽい?」

ひえり「かもですね。お待たせしちゃいました」

 

 

 

 


スタタタタタタ!!!!

 

 

 

どこからともなく男たちが現れた!

 


犬飼「待ちくたびれたぜあくえりちゃん。どうだい、今日のペアダンス、俺と踊らないかい?」イケボ

三太郎「いいや。俺はいくらでも待ったぜ?ひえりちゃんの為ならね。ところで、今日は俺とデュエットを...」イケボ

 

 

 

ブンナグッッ!!!

 

 

 

ルカ「ふぅ...さてと、始まるまでテキトーに待ってよっか」

ひえり「ですねぇ」

 


犬飼「ピヨピヨ」

三太郎「ピヨピヨ」

 

 

 

 


そして、遂にその時はやってきた。

 

 

 

 


善能寺「これより、魔法封印の儀式を開始します」

 

 

 

魔裁組のメンバーの他に、魔法協会、サムワット、魔法協会と提携を結んでいる家系の人間、その他魔法に関わる人間が、沢山集まった。

 


まず、善能寺とその部下によって、宝庫の魔導書が全て運び出される。

 


三太郎「わーお。俺たちが今まで集めてきた魔導書だ」

はるか「なかなかの数だな」

 

 

 

次に、岩田、麗美、幸二、ひえりによって、赫魔導書が返還される。

 

 

 

そして、五百旗頭の手によって、体内に魔導書を持っているメンバーから、魔導書が取り出される。

 


ニュルッ...

葉月「ぎゃはっ。なんか変な感じ!」

小町「こしょばいなぁ」

ルカ「...」

粟生屋「なるほど...」

唯「きゃー!くすぐったい...!」

廻「...!」

ヒメ「うっ...」

百目鬼「ふぅ...」

美波「...!」

 

 

 

村松「...」

五百旗頭「準備は出来た?」

村松「...はい」

 


ニュルッ...

 


村松「......」

 


そして、最後は一善に順番が回ってくる。

 

 

 

《一善の脳内》

 


真っ白な空間に、一善とつのキングがいる。

 


一善「ありがとう。つのキング」

つのキング「ウォーーー!」

一善は、つのキングに抱きつく。

 


一善「さようなら。つのキング」

つのキング「ウォーーー!!」

一善「元気でね──────」

 

 

 

ニュルッ...

 


五百旗頭によって、操蟲の書は一善の体から取り出される。

 

 

 

第一章から第五十一章、全ての魔導書が出揃った。

 

 

 

五百旗頭「それでは」

 


皆は、薪に灯された、大きく輝く炎を瞳に移す。

 

 

 

三太郎「ついにこの時が来たんだな...」

幸二「...あぁ」

一善「...!」

ヒメ「...!」

 

 

 

ブォォォォ...!!!!!!

 

 

 

 


全ての魔導書が炎に包まれていく...!!!

 

 

 

 


その場にいた全員が、ただ真っ直ぐ、燃え盛る炎を見ていた。

 

 

 

 


一善「...(これで、終わったんだ...!)」

 

 

 

 


──────

────

──

 

 

 

魔法封印から2ヶ月ほど経ったある日

 

 

 

《渋谷》

 


渋谷では、”未曾有の強風被害”にあったビル群の修復が勧められている。

 


崩壊したビル群を眺める高校生達。

 


高校生「めっちゃやばくね?写真撮っとこ」パシャ

高校生「てかさ、知ってる?あの噂」

高校生「あの噂?」

高校生「これ、ハリケーンで壊れたんじゃないらしいぜ?」

高校生「都市伝説的な?」

高校生「そんなとこだな。実はこれ、”魔法”が原因で壊れたらしいぜ。YouTubeであがってた噂だけど、魔法は実在して、魔法使いが暴れ回って壊したんだと。それを見たやつもいるらしいぜ。信じられねぇよな。それで、国はそれを隠してるって」

 


それを聞いたもう1人の高校生は、こう答えた。

 

 

 

高校生「それ...マ?」

 

 

 

 


《一善の新たな家》

 


俺(一善)は1人で歩ける程に回復した。

 

 

 

魔法の消滅と共に、魔裁組の支部も、魔法協会も全て無くなった。

もちろん、魔者はいなくなったし、俺達も魔法を使えなくなった。

 


俺はヒメと2人で暮らすことになった。

 

 

 

ヒメ「もうすぐ三太郎君来るらしいけど」

一善「あ、うん、聞いてるよ」

 


今日は、1月10日。

三太郎が遊びにくる。

 

 

 

ガチャッ。

 

 

 

音がした。三太郎と思われる。

一善「あ、三太郎だよね?テキトーにあがって〜」

幸二「いや、俺だが」

一善「...?!幸二?!久しぶり...だけど...なんで?」

幸二「え、だって、今日は...?」

ヒメ「あれ、幸二君?」

 


すると、後ろから聞き覚えのある声がする。

 


はるか「ちょりーーっす!あれ、幸二じゃん?」

美波「あれ、今日幸二くんもなんだ?」

幸二「あれ、2人も呼ばれてたのか?」

はるか「いや、私は全部で4人って聞いてたけど?」

美波「私も。でもはるかちゃんとそこで会ったからおかしいなって」

幸二「俺も同じだ」

 


一善「あの...俺達が一番分かってないんだけど」

ヒメ「うんうん。まぁでも寒いし、中入りなよ」

 


はるか「おじゃましまーーす!ってか広!」

美波「わぁ〜綺麗〜!」

 

 

 

一善「ヒメ、どういうこと?」

ヒメ「いや分からないわ。三太郎君が、3人でご飯食べよって言うから...でもこれって」

一善「何?もしかしてまだ...」

 


ひえり「こんにちは!」

麗美「いやー。遅くなってごめん〜」

 


一善「言ってる側からまだ来た」

ヒメ「なにこれ」

 


麗美「あれ?もしかしてあんまり歓迎されてない?」

一善「歓迎も何も、何も聞かされてないのですが」

麗美「え、今日三太郎と4人で飲むんじゃないの?」

ひえり「私は着いてきちゃいましたー!」

 


はるか「お!麗美じゃん!」

麗美「あれ、はるかじゃん。居たんだ」

はるか「奥にこーじと美波もいるよー」

麗美「え、めっちゃいるじゃん。三太郎は?」

はるか「まだ。私も三太郎に言われて来たんだけど、何してんだアイツ」

 


一善・ヒメ「......」ナンダコレ...

 


すると、一善のスマホが鳴る。

 


一善「あ、藤だ」

一善は電話に出る。

 


一善「もしもし?」

百目鬼「あ、俺だけど、家どこ?Googleマップ通りに来てるんだけど、イマイチわからん!」

一善「え、藤も今日来るの?」

百目鬼「は?佐藤と4人で親睦を深める会やるんだろ?」

一善「はぁ.........成程」

 


一善は、住所の詳細を百目鬼に送る。

 

 

 

集まったメンバーは、元魔裁組メンバーについての会話をする。

 

 

 

はるか「そういえばさ、なぎちんって元気?」

美波「大学の教員になるんだって。そしたら私も院行こうか迷ってるんだよね〜」

はるか「へぇ〜、まぁあの人ダンチで頭いいもんな」

美波「亜珠ちゃんと犬飼さんも、渚ちゃんが教員になったらアシスタントするかもって」

はるか「へぇ〜」

 


幸二「てか、唯さん達といた青髪の男の人、誰だったんだ?」

麗美「昔の友達?って言ってた。魔法使いだったらしいわよ。確か、めぐり?さんだっけか」

幸二「ふーん。まぁ履術者だったしな」

美波「唯さん達何してるのかな」

麗美「唯さんは元いた介護施設に戻ったらしいよ。粟生屋さんは知らん」

 


そこへ、ジャスティンが現れる。

 


ジャ「粟生屋さんは今頃彫刻で忙しいからね」

はるか「うわ!ジャスティンだ!」

ジャ「なんだその言い方」

麗美「もしかして、まだ壁すり抜け使えるの?」

ジャ「んなわけないだろう。もうただの一般人だよ」

幸二「白のファンタジスタも卒業ですね」

 


ジャ「いやそんなことはないよん!俺、YouTubeチャンネル始めたから見てね!白のファンタジスタって名前で!」

はるか「マジか!」

美波「すごい!見てみたいれ」

ジャ「Yes!超超超超面白いよ!ほら!チャンネル登録してして!」

麗美「あっ...はい」

幸二「へぇ...」

ジャ「興味なしかい!」

 


ひえり「ルカさんとも全然会えてないなー元気かなー」

麗美「なんかカフェ?始めたらしいよ。インスタで見た」

ひえり「へぇー!すごい!神戸ですかね?行きたい行きたい!麗美ちゃん一緒にいこうよ!」

麗美「私はゴメンだね。もう二度とあの人の顔見たくないし」

ひえり「じゃあインスタ外しなよ」

麗美「...!」グサッ!

 


はるか「インスタと言えば葉月小町ペアはっちゃけてんなー」

ジャ「タイガーアンドドラゴンペアね。本当仲良いよなあの2人」

美波「そういえば今度2人とライブ行くの!推し同士の共演だからチケット貰って3人で!」

はるか「へぇーええやん!」

美波「うん!楽しみ!」

 


ジャ「そういえばさ、この間ペットショップ行ったらさ、村松ちゃん居たんだよね」

はるか「え、マジか!」

ジャ「変わってなかったよ。わんわんのお世話してた」

ひえり「ペットショップ私も行きたいー!」

 


ジャ「てか幸二最近何してんの」

幸二「...実は」

麗美「ん?」

幸二「ダイパリメイク買ったんすよ」

ジャ「マジか!」

はるか「インスタのストーリーでめっちゃ見るやつだ!」

幸二「岩田さんとめっちゃ対戦してます。明日も一緒にやる予定です」

はるか「え、何選んだ?ヒコザルポッチャマナエトル?」

ひえり「え、私も買いました!やりたいです!」

 

 

 

一連のやり取りをを一善とヒメは見ている。

 


一善「久しぶりだね...この感じ」

ヒメ「うん。何だか楽しくなってきた」

一善「ね」

 


そこへ、三太郎がやってくる。

 

 

 

三太郎「お待たせーー!!皆ー!!!」

 

 

 

一善「...三太郎!」

はるか「お!おせぇぞ!」

ジャ「早くこっちきなー」

三太郎「わりぃわりぃ!」

幸二「てかどう言うことか説明しろよ」

美波「なんか、ワクワクしてきたかも」

麗美「はぁ...全く」

 


麗美の視線の先には、一善とヒメの姿が。

 


麗美「これじゃ、誰が”今日の主役”なんだか」

ひえり「ですね」

 

 

 

三太郎「全員揃ってるか?!」

はるか「いや、誰も全員がどこまでなのか知らねぇんだよ!お前だけなんだよ!」

三太郎「ははっ。悪ぃ悪ぃ。だってサプライズじゃん?」

一善「サプライズ?」

ヒメ「...?」

三太郎「ま、いいや、ってか百目鬼は?」

一善「あ、さっき連絡があって、もう着くぽい」

三太郎「おけ!」

 


そこへ百目鬼がやってくる。

 


百目鬼「ハァ...やっと着いた...寒すぎだろ今日」

ヒメ「あ、百目鬼君だ」

三太郎「おせーよ!百目鬼!こっちこい!」

一善「(あなたも今来たとこじゃないですか)」

 


三太郎「これで揃ったな!」

ジャ「じゃ、やりますか?」

一善「ん?何を?」

ヒメ「あ、あけましておめでとう的な?」

三太郎「それもそうだけど...!」

 


ジャ「一善!そして、ヒメ!」

 

 

 

全員「「「誕生日、おめでとう!!!!!」」」

 


パァァァァァン!!!

 


クラッカーの音が鳴り響く!

 


一善「...!あ、そっか」

ヒメ「...!」

 


三太郎「おめでとう!2人とも!」

 


一善「ありがとう...なんか、元旦近いしあんまこうやって大人数で祝われたことなかったから、新鮮で」

三太郎「去年まではあんまりそういうこと出来なかったもんな!だから今年はその分!盛大にやっちまおうぜ!!!」

はるか「おめでとー!!!2人とも!!」

ひえり「おめでとうございます!!」

ジャ「ぃよっ!!!」

 


美波「どう?驚いた?皆からプレゼントもあるんだよ?」

一善「え、なになに?」

ヒメ「嬉しい!ありがとう!」

 


三太郎「まずは俺から!ジャーン!スパイダーマンとキャプテンマーベルのフィギュア!!」コトッ!

ヒメ「あ...ありがとう!」

麗美「己の趣味全開で草」

 


百目鬼「僕はシンプルにこれ。いいアイロン」

一善「お!使う使う!ありがとう!」

百目鬼「シワ伸ばしについては何でも聞いてくれ」

ヒメ「百目鬼君そういうの好きなんだ!ありがとう!」

 


はるか「私はこれ!パジャマ!おそろいの!」

 


美波「私はおっきいぬいぐるみ!」

 


麗美「私からはルームフレグランスとキャンドル」

 


ジャ「僕からはオソロのワイヤレスイヤホンっ!」

はるか「わーお!おとっなぁ!」

美波「私もほしーい!」

 


ひえり「ごめんなさい。私は急だったので、いろは坂のCDに、サインとメッセージ付きで...また今度改めてお祝いします!」

ヒメ「すごい!かわいい!ありがとう!」

三太郎「え!!!俺が欲しい!!!」

ブンナグ!

麗美「ふぅ...あんたはまた今度」

三太郎「...(えっ...今度?ドキッ)」

ひえり「あげるとは言ってませんけどね」

三太郎「ぐはっ!」

 


一善「みんな、ありがとう!」

ヒメ「本当に、わざわざありがとうね!」

百目鬼「で、今年の抱負は?お二人さん」

 


ヒメ「...うーん。私は、とりあえず、色んな人と関わる...!そして、広い世界を見てみたい...!かな!」

 


麗美「いいですねぇ」

 


美波「一善君は?」

 


一善「...俺か...俺は変わらないかなぁ」

 


三太郎「お?」

ジャ「あれか」ニヤッ

幸二「...」

 

 

 

魔法使いとしての俺は、もう居ないけれど、俺がやることはこれからも、ずっと変わらない。

 


俺が生きている限り。

 

 

 

一善「うん。一日一善」

 

 

 

第550話 「魔法の本」