SOREMA -それ、魔!- 55
SOREMA -それ、魔!- 55
「災厄の日」
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第449話 「取り合い」
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《研究班ルーム》(回想)
京金「ちょっと...アンタね!」
麗美「何よ!」
京金「これは私が打とうとしてたの」
麗美「いや、私が打とうとしてました!」
京金「は?私が先輩なんだから譲りなさいよ」
麗美「いやただの出戻りでしょ?私の方がずっといるんだから優先されるべきだわ!」
京金「ずっといる割には何でずっと打ってなかったのかしら?もしかして、怖かった?」
麗美「は?そんなじゃないから!私はなくても十分やってたわ!」
京金「じゃあいいじゃない。ほら、譲った譲った」
麗美「チッ...ムッかつく...!」
東海林「ほらルカルカもレミレミも落ち着いて!」
麗美「やめてくださいそのあだ名本気で」
東海林「...(怖い...!)」
百目鬼「...(早く打ってくんねぇかな...)」
粟生屋「zzz...」
五百旗頭「確かに2人とも、赤とは相性が良さそうね。でもごめんなさい。1つしかないのよ」
京金「...」フゥ...
麗美「...」
五百旗頭「ジャンケンで決める?」
京金「...!(そんな!)」
麗美「...!(大事なことを!)」
東海林「...!(まさかの!)」
百目鬼「...!(ジャンケンで!)」
粟生屋「zzz...」
ポン!
麗美「やったー!!!勝ったー!!!」
京金「...クソ!」
五百旗頭「はい。じゃあ空見さん赤ね」
京金「...」
東海林「まぁまぁ...どんまい、ルカルカ...」
京金「...あったまきた!!!もういいわよ!!残りのやつ全部私に頂戴っ!!」
五百旗頭「はへ?」
京金「赤はやるわよあの小娘に!大人の余裕よ!私あの子より強いから!ほら、打ってきなさい。早く早く」シッシッ!
麗美「...」カチン!
百目鬼「...(全く余裕ないんだよなぁ...)」
東海林は緑
百目鬼は紫
麗美は赤
そして京金は、無理やり青と黄色を打った。
数時間後──────
五百旗頭は、広い部屋に4人を集めた。粟生屋とジャスティンはその様子を見ている。
五百旗頭「そしたら、手のひらを上に返して、親指と薬指で輪っかを作って。他の3本の指はピンと伸ばすのよ」
東海林「え、ど、どうやってやるのぉ!」
安西「こうだよ!」
東海林「あ、ありがとうございますっ!」
ジャ「打ったんですね、みんな」
粟生屋「なんかね」
ジャ「面白いことになりそうだ...!」
五百旗頭「せーの!」
一同「マ!」
ボワッ!
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第450話 「絶景」
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《第2支部 / 大部屋》(回想)
一同「マ!」
ボワッ!
麗美「うわぁ!赤い!」
百目鬼「...!(紫色のオーラ...!)」
東海林「!!緑だ!!!」
五百旗頭「3人とも成功ね」
京金「!...!...!」
京金は何度やっても炎が上がらない。
東海林「ルカルカ、ちゃんとマ!って言わないとダメだよ?」
京金「言ってるわよ...!(小さい声で)」
東海林「もっと大きな声で言いなよ!」
五百旗頭「彼女の場合、前代未聞の2本打ちだからね...どうなることやら(彼女の場合、体質が体質なだけに命に別状はないとは思うけど)」
京金「...やってるわよ!!ん〜〜〜」
東海林「...!」
麗美「...!」
五百旗頭「...!!」
京金「んマ!!!!!!」
ボワァァァァァッッッ!!!!
五百旗頭「おー」
京金の指先からは、青と黄色の炎が立ち上がった!
京金「ふっ。2色。さすが私ね」
五百旗頭「おめでとう、あなたは青と黄の二色使いよ」
京金「これで私も敵無しだわ」
五百旗頭「後は使いこなせるように、エレメントの流れに慣れておくことね」
京金「えぇ」
グヲォォォ...!
百目鬼「...(これが...エレメント...!体に力が漲ってくる...!)」
東海林「...!(凄い!なんか、パワーが溢れ出るような!ゾワッて感じ!)」
麗美「...(この力で...私は...もっと強くなる!)」
五百旗頭「じゃあ、少し行くところあるから、日の出まで安静にしておくこと。いいわね。後は頼んだわ。犬飼、安西」
犬飼「はい!」
安西「了解!」
五百旗頭は、部屋を去った。
ジャ「また、エレメントの使い手が増えたね...!」
《第2支部 / とある魔法陣》
彼らがエレメントを顕現させたのとほぼ同時刻、ヒメとひえりはとある魔法陣の前に居た。
ヒメ「この先が、私達の基地となる場所。準備はいい?」
ひえり「はい...!」
ボワァァン
2人は魔法陣に入る。
するとそこは、驚くべき光景だった!
ひえり「...!凄い!!」
そこは360°何一つ障壁のない、上空──────!
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第451話 「千里」
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《上空基地》(回想)
ひえり「凄い...!これ、床とかないの?浮いてるの?」
ひえりの真下には、東京の街が、目線を前にやると、遠くまで街並みが広がっている。
ヒメ「特殊な方法で作られたバーチャル空間よ。今見えてる街は、リアルタイムの東京と同じ。だから、私達は空に浮いてるも同然よ」
ひえり「私が立ってきたどんなステージよりも高くて...広い...!」
ヒメ「私達はここから、皆に指示を出すの。マヂカラの反応が出たり、メンバーに何かあった時に。ひえりちゃん、あなたのその眼が頼りよ...!」
ひえり「はい!」
《浅草》
九頭龍坂と虎走は、同時刻、ヒメの依頼で浅草にやって来ていた。
九頭龍坂「ヒメはんに言われて浅草まで来たけど。なにしはるのかしら?」
虎走「ぎゃは!ま、可愛いからいいじゃん!」
《上空基地》
ヒメは、九頭龍坂に電話する。
ヒメ「はい...ええ。お願いします!」
ピッ!
ヒメ「ひえりちゃん。今、その眼の能力、使える?」
ひえり「もう使えます。結構長い時間使うのも慣れてきました!」
ヒメ「...(この間履術者になったばかりなのに、吸収が早い...血筋かな...?)」
ひえり「どうしました?ヒメさん?」
ヒメ「あ!ううん!なんでもない!もしなんか見えたら、教えて欲しいなって!」
ひえり「ん!北東方面!浅草の方かな?小町さんと葉月さんがいます!」
ヒメ「...(凄いな...こんなに遠くなのに...百眼千里...かなり重宝するわ...!)」
ひえり「2人とも、兄とは仲良くしてくれていたので...今度遊びに行きたいな...一緒に」
ヒメ「そうね...そんな日常が当たり前になったら、いいわね」
ひえり「はい...兄の願いでもあるので...」
ヒメ「...」
《浅草》
九頭龍坂「これだけでええの?ただ空き缶伸ばしただけやけど?」
虎走「なんだろうね?あ、ヒメちゃんからLINE来た、もう帰っていいって」
九頭龍坂「ほんま、かいらしい顔して人使い荒いなぁ。帰ろ帰ろ」
虎走「ちょっと浅草観光してかない?」
九頭龍坂「あ、ありやなぁ。雷おこし買ってったろ」
《上空基地》
ヒメ「うん。ひえりちゃん、凄いよ。明日からまたここで、2人で頑張ろ!」
ひえり「はい!」
ボワァァン!
五百旗頭「私も仲間に加えてくれるかしら?」
ヒメ「あ、渚さん!」
ひえり「こんにちは...!」
五百旗頭「私も有事の際はここで協力するわ。現場は彼ら(安西、犬飼)が居れば安心だから」
ひえり「はい...!よろしくお願い致します!」
ヒメ「よろしくお願いします!」
五百旗頭「ひえりさん。あなたの体、診てみたいから、これから医療室に来て貰えるかしら」
ひえり「...!分かりました!」
3人は、基地を出た。
回想終──────
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第452話 「泣かない」
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《第2支部 / 実働班ルーム》
一善「なんか、どんどん皆進歩していってて、凄いね」
ヒメ「そうね。そういえば、あの剣、何だったんだろうね」
一善「うん。一応魔具庫にしまったけど、錆び付いてて、使えるか分からないなぁ」
ヒメ「ルカさんとかに見せてみれば?魔具には詳しいかも」
一善「...そうだね!」
ヒメ「...平和な時代もすぐそこだと、思いたいけれど」
一善「これが、絶望への前進じゃないといいけど...」
一善は俯いた。
ヒメ「怖い?」
一善「...ううん。皆でやれば、きっと...大丈夫...」
一善は、顔をあげずに答えた。
ヒメ「一善、辛い?」
一善「そんなこと、」
ヒメ「辛そうだよ」
一善「...ごめん」
一善は立ち上がって言った。
一善「俺達は、大丈夫...!きっと、やるさ」
ヒメ「...」
一善は、座り直した。
ヒメ「...」
一善「ヒメ?」
ヒメ「泣いていいんだよ?私の前では」
一善「...!」
ヒメ「だって、家族じゃない。私達」
一善「!」
ヒメ「私は、少し不安。でも、皆の力を信じてる。それは私が戦わない魔法使いだから言えることで、一善と私は、見えてる物が違う。それは仕方がないことなの」
一善「...」
ヒメ「それに、同じものを見ていたとしても、捉え方は違う。一善が未来を見据えて、不安になってしまうのも、仕方がないこと」
一善「...」
ヒメ「一善は優しいから、皆の前では、士気を下げないようにとか、不安を煽らないように、明るい顔してる。分かるよ?私、ずっと一善のこと、近くで見てるし」
一善「ヒメ...」
ヒメ「でも、私は違うでしょ?だから、言いたいこと、全部言っていいんだよ?私は一善の全てを受け入れてあげられる、たった1人の家族だし...!」
一善「ヒメ...!」
ヒメ「でも、平和な時代はきっと来る。私は、本当にそう信じてる」
一善「...」
ヒメは、一善の膝に置かれた拳に、手を重ねる。
一善「...!」
ヒメ「一人で背負わないで、一善」
一善「...」
一善は、握った拳を解いた。
一善「ありがとう。でも、泣かないよ。今は」
ヒメ「...!」
一善「嬉し涙。次に流すのは、そんな涙がいい」
ヒメ「...一善ったら...!」
一善「え...何?」
ヒメ「そのリリシスト具合、どっから仕入れてきたのよ!」
ヒメは、微笑みを浮かべながら答えた。
一善は頬を赤らめた。
ヒメ「まぁでも、私たち、出来ることはそれぞれ違うけど、精一杯やりましょう。お互いに」
一善「...うん!」
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第453話 「後悔と後悔」
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《第1支部跡地 / 個室》
第1支部のあった、東京タワーの魔法陣から繋がる空間。
ここは今も、魔裁組員の宿舎や休憩所として使用されている。
東海林は、美波と話をしている。
カキカキカキ...
美波は、デッサンをしている。
東海林「すごーーい!!!私だぁ!!!」
美波「ありがとうございます...!」
東海林「美波ちゃん絵上手なんだねっ!」
美波「昔から推しをよく書いてたので...」
東海林「おし?」
美波「い、いや!なんでもないです!」
東海林「ふーん...てことは、魔裁組のメンバー皆描けるの?!」
美波「まぁ...何となく?」
東海林「すごーい!」
東海林は、美波が描いた自画像を高く持ち上げて喜んだ。
美波「...唯さん、1つ質問いいですか...?」
東海林「?」
美波「もしするなら、やって後悔と、やらずに後悔、どっちですか?」
東海林「うーん...」
美波「私はずっと、やって後悔を避けて生きてきました。だって、余計なことやっちゃって、面倒になったり、人に迷惑かけたりするの、嫌じゃないですか。迷うくらいのことなら、しない方がいいって」
東海林「...」
美波「よく、やらない後悔はひきずるって言うし、だからやって後悔しろ見たいな風潮あるじゃないですか。別に、1人の話ならいいんですよ。でも、やって後悔した先が、大事な人を曇らせることになるなら、私はしたくない」
東海林「...」
美波「魔裁組(ここ)にいると、よくそういう場面に出会います。私が余計なことをして、戦局を乱してしまったらどうしよう。仲間を傷つけてしまったらどうしようって」
東海林「うんうん...」
美波は下を見つめながら続ける。
美波「最初の頃はがむしゃらで、自分が精一杯できることをしていました。でも最近は落ち着いて来て、自分に出来るある程度のことが分かるようになって、何より、凄い仲間が大事だなって、思うようになった」
東海林「......」
美波「でも、今度の敵は、多分今までで一番手強い。私も、きっと無理や背伸びをして戦わないと敵わない。だから、唯さんは、どう考えてるのかな?って...」
美波は、東海林の方を見た。すると、東海林は両の目から涙を流していた。
美波「...!唯さん...?」
東海林「グスン...ううん...!ごめん!なんでもない」
美波「どうしたんですか...?」
美波は、東海林の肩をさする。
東海林「いや...なんだろう...羨ましいなって...!」
美波「羨ましい...?」
東海林「いや!ごめんごめん!グスン。今のナシ!うん!後悔の話だよね!」
美波「...?」
東海林「私はそれでも、やって後悔を選ぶ。美波ちゃんの立場なら、尚のこと」
美波「?」
東海林「私、皆の事見てて思うんだ。それぞれがそれぞれを信頼してて、いいチームだよね。仲間を思いやる気持ち。それを全員が持ってる。これって凄い稀なことで、簡単に出来ることじゃないんだよ。だから、凄い」
美波「は、はぁ...」
東海林「だからね、たくさん迷惑かけていいと思う。悪意から来てないって分かるもん」
美波「...!」
東海林「自分の出来ることが分かるようになったって、美波ちゃんは言ったよね?それって、凄く強くなった証拠だと思うの。でもね、」
美波「...?」
東海林「成長する時って、出来るか分からないことを、やれた時だと思う」
美波「!!」
東海林「魔法使いになりたての時は、とにかく周りに圧倒されまくって、何回も心が折れた。でも周りの皆の強さを盾にして、自分に出来ることを探した。最初は何も出来なくて、何が出来るかなんて事は分からなかったから」
美波「...」
東海林「私の尊敬する人が言ってた。何事も、イメージが大事って」
美波「...!」
東海林「だから、やってみたらいいと思う。私ならそうするかな。答えになってる?」
美波「...はい!ありがとうございます!(唯さんて、一見ちゃらんぽらんに見えるけど、凄い深く考えてるんだな...)」
そして、東海林は美波に耳打ちした。
東海林「それにね、女の子は、少し迷惑がられる位が可愛いよ♥」
美波「...!」ドキ!
美波はよろけた。
東海林「どうしたの?美波ちゃん」
美波「めっちゃ...いい匂いしました...」
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第454話 「予感」
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数週間後──────
10月7日。この日までは、平穏な日々が続く。
実働班のメンバーは入れ替えでパトロールを行っている。
《第2支部 / 実働班ルーム》
東海林は休憩中。京金と電話している。
東海林「ルカルカーお疲れー!調子はどう?」
『京金 : 特に何もないわ。そっちは?』
東海林「私は今休憩中!」
『京金 : 唯、もしかして今日お休み?』
東海林「ううん!今日お休みは美波ちゃんとジャスティン君じゃない?」
実働班のメンバーは、休みを交代で回して毎日パトロールをしている。
『京金 : そう』
東海林「私ももうすぐまたパトロール!」
『京金 : ならちょうどすれ違いかもね』
東海林「そっか!」
『京金 : 最近、静かよね』
東海林「うん...このまま何も無かったらいいのになぁ」
『京金 : ...』
《渋谷 / ハチ公前》
ジャスティン、1人で渋谷へ。
ジャ「...(今日は、何か嫌なことが起こるような気がする...勘だが)」
ジャスティンはハチ公付近を歩く。
ジャ「...(百目鬼を信じるなら、俺は'こ'の'力で、ノベルを討つ...!)」
莉茉、パトロール中。
子供「うぇーーーん!うぇーーーーん!」
子供が、泣いている。
母親「ほら泣かない泣かない!風船ならまた買ってあげるからね?」
莉茉は遠くからその様子を見る。
莉茉「...(どうしたのかな?あの親子。風船...?)」
どうやら、子供は風船を空に放ってしまったらしい。
莉茉は空を見上げる。空には熊の風船が飛んでいた。
莉茉「...(あぁ、あの風船、あの子のだったんだ)」
子供「いやだぁ!あのくまさんのふうせんがいいの!!うぇーーーーん!!」
母親「もう...こまったわねぇ...」
莉茉はその親子に近づく。
子供「...?」
莉茉は子供の頭を撫でる。
莉茉「大丈夫だよ。君、お名前は?」
けんと「...けんと」
莉茉「けんと君。待っててね。今お姉さんがくまさん連れて帰ってくるからね?」
けんと「え...?」
母親「え、でも、もう風船は...」
莉茉は、空目掛けて手で鉄砲の形を作った。
莉茉「...(本当は魔法をこんな形で使っちゃダメなんだけど...!)」
パァン!!!
莉茉は風船目掛けて技を放った!
親子には勿論、何も見えていない。
ピタッ
すると、風船が空で動きを止めた。
莉茉「よし、成功!」
ヒュッ!!!
莉茉はまるで、'長'い'糸'を'引'く'よ'う'にして、風船を手繰り寄せた!
けんと「わぁ!!くまさんが帰ってきた!!」
母親「え...!ど、どういう?!あなた、マジシャン?!」
莉茉「ふふっ。実は。内緒ですよ?」
親子は目を丸くして、莉茉が持つ風船を見ていた。
莉茉「...(これは、青のエレメントで風船の紐目掛けて打った弾丸の軌跡を、桃のエレメントで具現化することによって、長い糸のようにエレメントを操る技...名付けて、チューイングラブ!)」
莉茉は、けんとに風船を渡した。
莉茉「けんと君よかったねぇ!くまさん戻ってきた!」
けんと「すごい!おねえさん、ありがとう!」
莉茉「もう手、離しちゃダメだよ?」
けんと「うん!」
母親「ありがとうございます...!」
莉茉「いえ!では、私はこれで!」
莉茉は、その場を去った。
《上空基地》
ひえりは、ヒメと共に東京全域のマヂカラを監視する。そこへ五百旗頭がやってくる。
五百旗頭「お疲れ様」
ひえり「お疲れ様です!」
ヒメ「あ、お疲れ様です」
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第455話 「10月7日」
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《上空基地》
五百旗頭「今日はどう?平常かしら」
ヒメ「今の所は何も!」
ひえり「ん?池袋でマヂカラ反応?」
ヒメ「池袋っていうと今日近くをパトロールしてるのは?」
ひえり「多分莉茉さんですね、あの感じは」
五百旗頭「もう完璧に誰のマヂカラか感じ取れるようになったのね。この距離から」
ひえりは、目元に手で眼鏡を作り、池袋方面を見る。
ひえり「あ、莉茉さんだ」
ヒメ「どうしたのかしら」
ひえり「でも、特に問題は無さそうですね」
ヒメ「それならいっか」
ひえり「はい!」
3人は東京の街を眺め続ける。
ひえり「東京って、狭いようで広いですよねー。途切れなくずっとビルが見える。これって全部、人が作ったものなんですよね」
ヒメ「そうね」
ひえり「そりゃ、当たり前なんですけど、なんか、凄いことですよね」
ヒメ「うん」
五百旗頭「私たち、今何人の人々を見ているのかしらね」
ひえり「確かに」
五百旗頭「今私達が見てる景色の中で、数え切れないほどの尊い命が輝いてる。必死にみんな生きてる」
ヒメ「...」
ひえり「...」
五百旗頭「救いたいわ。全員、一人も漏らさず」
ヒメ「...そうですね!」
ひえり「はい!」
三人は遠くの空を真っ直ぐ見つめる。
五百旗頭「そういえば、明日の当番の事だけれど...」
五百旗頭が話出そうとしたその時だった!
ピピッ!
ひえりが何かに反応した。
ひえり「ん?またマヂカラ反応だ」
五百旗頭「...?」
ヒメ「...?」
ピピッ!ピピッ!ピピッ!ピピッ!
ひえり「?!何これ!」
ピピッ!ピピッ!ピピッ!ピピッ!ピピッ!ピピッ!
東京のあちこちで、無数のマヂカラ反応が突如現れた!!
五百旗頭「ひえりさん?!」
ヒメ「どうしたの?!ひえりちゃん!」
ひえり「分かりません!でも、至る所からマヂカラ反応が!!それも数え切れないほどの!」
五百旗頭「!!」
ヒメ「!!」
ブーーーー!!!ブーーーー!!!
ひえり「!!」
ヒメ「何?!」
マヂカラレーダーのブザーが鳴り響く!!
無線「東京都台東区上野駅周辺に、かなり強いマヂカラ反応あり!」
無線「東京都港区高輪、品川駅周辺に、かなり強いマヂカラ反応あり!」
無線「東京都千代田区丸ノ内、東京駅付近に、かなり強いマヂカラ反応あり!」
ブーーーー!!!ブーーーー!!!
アラームは鳴り止むことなく、ひっきりなしに鳴らし続ける!
五百旗頭「皆は?!大丈夫かしら?!」
ひえり「ちょっと、マヂカラ反応が多すぎてすぐには分かりません!!」
ヒメは、イヤホン型無線を使って、実働班メンバーに連絡を取る!
ヒメ「皆!!パトロール中の人達は連絡ください!!大丈夫ですか?!」
《東京某所》
白鶯とセリーヌが、高台から街を見下ろす。セリーヌは自らから無数の”分身”を作り出して、街に放つ!分身達は街を走り回っては、街を破壊し、人を襲っている。
白鶯「ふはっ。期待以上だ」
セリーヌ「当然よ。前任がどんな奴だったかはしらないけど、この”鏡像の書”(能力)を誰よりも使いこなせるのは私よ...!」
白鶯「ふっ。終了次第、お前も指定した場所へ行け、祭りの始まりだ」
セリーヌ「ふふっ。楽しみね」
白鶯「今日で物語は終わり、そして新たな章が始まる。歴史が変わる瞬間を、指を咥えて見ているのか、それとも抗うか...どうする?魔法使い達...!」
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第456話 「災厄の日」
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《渋谷 / スクランブル交差点》
電光掲示板では、臨時ニュースが流される。
キャスター「緊急事態です、只今東京では、”突風”が吹き荒れ、建物の倒壊が起き、多数の怪我人が出ています」
キャスター「皆様気を付けてください。建物の外を出ないように!」
通行人「突風?全然、風なんか吹いてるか?」
通行人「いや、普通じゃね?」
通行人「ニュース何言ってんだ?笑」
ジャ「...!」
ジャスティンは、スクランブル交差点のど真ん中で立ち尽くす...!
ジャ「...(突風...?違う!これは...魔者、いや、ノベル(奴ら)だ...!!!)」
キャーーーーーーーー!!!!!!
ジャ「...!!」
ジャスティンは、公園通り方面から人々の悲鳴が上がるのを聴く。
ジャスティンは群衆を掻き分け、QFRONT横を疾走する。すると、渋谷のビル群が次々と倒されていた!!
ドガーーーン!!!ボガーーーン!!!!
人々は逃げ惑い、悲鳴をあげ、文字通りパニック状態に陥っていた!!!
ジャ「...(強いマヂカラ反応...!なのに、見えない...?それ程に早いのか?!)」
すると、ジャスティンの後ろに、女性(セリーヌ)の形をした魔者が現れた!
ジャ「...?!(魔者?!)」
魔者はジャスティンを襲う!!
バッ!!
ジャスティンは、攻撃を躱す!
ジャ「白のエレメント...!氷結のアリア!!!」
パキィーーーー!!!!
魔者は滅びた。
《セリーヌの脳内》
セリーヌ「チッ。1機やられた、まぁいいか、あと1万機あるし。いや、9999機か」
セリーヌは自らの分身を1万機作り、東京各所に放った。それぞれは独立して動くが、本体ほどの強さはない。セリーヌ本体は、分身が潰されるとそれを把握出来る。
《渋谷 / MODI前》
ジャスティンは足を進める。
ジャ「...(弱い?この魔者はブラフか?)」
ドガァーーーン!!ズガァァーーーン!!!
キャーーーーーーーー!!!!
ジャスティンの目の前で、ビルが何棟も倒壊していく。
ジャ「これをやってるのはどこだ...出てこい...!!」
ジャスティンは神経を研ぎ澄ます。
ジャ「...(まさかな)」
ジャスティンは大きく息を吸う。
ジャ「出てこいよ!!!!!ノベル!!!!!お前の相手は俺だ!!!!!」
ジャスティンの声は、悲鳴と轟音に掻き消される!
ジャ「ちっ...!出てこないなら、仕方ないか...?」
ジャスティンは、手にマヂカラを込める...!
すると、ジャスティンの目の前にから、いきなり魔者が現れた!
ジャ「...!!!!」
ジャスティンの視線は、一瞬にしてその魔者に釘付けになる。男の姿、緑の顔、そして顔にはガスマスク。
ジャ「...!!お前は...!!!!!!」
サド「呼んだかな?魔法使い」ドン!!!!