SOREMA -それ、魔!- 53

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SOREMA -それ、魔!- 53

 

 

 

 

 

 

 


「ノベル」

 

────


第436話 「粟生屋 vs 一善」

 

────


《雪山》

 


粟生屋「さぁ...始めるよ...!」

一善「はい...(なんで俺達勝負始めようとしてるんだ...?笑)」

 


ジャスティンと三太郎は少し離れたところで見学する。

 


三太郎「てか、なんで一善に任せたんですか?正直ジャスティンさんも戦いたかったんじゃね?」コソコソ

ジャ「いや、なんとなく」キッパリ!

三太郎「テキトー!!!」

 

 

 

シーーーーーン

 


静寂が流れる。

 

 

 

粟生屋「いざ!!!!!」

タッタッタッ!!

 


粟生屋が一善目掛けて走る!!

 


一善「来る!!」

粟生屋「受けてみろ!!油木一善!!」

一善「!!!」

 


カァァァン!!!!

 


木刀が当たる音が響く!!

 


一善「...!!重い!!」

粟生屋「魔法が無い組手ってのも、新鮮だろう...?」

一善「...はい!!」

 


カァン!カァン!キィン!カァン!カァン!カァァァン!!

激しく木刀をぶつけ合う2人。

 


粟生屋「隙あり!!」

一善「!!」

 


グドッ!!!

粟生屋の刀は一善の脇腹に入る!!

 


粟生屋「胴ががら空きだぞ?若き魔法使い...!」

一善「ぐはっ!」

粟生屋「うぉぉるぁ!!」ブゥゥン!!

 


バコーーーーーン!!!

 


粟生屋は峰で一善の頬を思い切り打って、そのまま振り切る!!!

 


一善「うわぁぁぁ!!!」

三太郎「一善!!!」

ジャ「...(容赦ないな。粟生屋さん)」

 


一善は、後ろに飛ばされ、雪に着地する。

 


バフッ!

 


一善「ハァ...(頭が...朦朧とする...)」

粟生屋「...(刀を手放さない胆力...ま、まだまだこれからか)」

 


一善は立ち上がる。

 


一善「まだ、負けじゃないですよね」

粟生屋「あぁ。今度は君からかかっておいで」

一善「なら、遠慮なく...!!!」

 


ビュンンン!!!

 


一善が粟生屋に畳み掛ける!!

 

 

 

 

 

 

────


第437話 「芯」

 

────


《雪山》

 


そして、粟生屋と一善の取っ組み合いは、しばらく続いた。

 


粟生屋「ハァ...君達は、そんなに僕を仲間に引き入れたいかい?」

一善「ハァ...はい。絶対に」

粟生屋「どうして?」

一善「ノベルを討つ為。どんな手を使ってでも、僕達は平和を実現しないとならない...だから...その為には...あなたの力だって何だって欲しい」

粟生屋「なるほどね」

一善「...」

粟生屋「...?」

 


一善「それに僕は、白鶯をどうしても倒さないと気が済まない」

粟生屋「ほぅ...」

一善「親を殺されました。白鶯に」

粟生屋「...!」

一善「俺は白鶯を絶対に許さない。粟生屋さんと白鶯がどのような関係だったかは正直どうでもいいんです。ごめんなさい、友達だったら」

粟生屋「いや、それは別に」

 


一善「だから、俺達に協力して欲しいんです」

粟生屋「...なるほどね、復讐のお手伝い?」

一善「...そう捉えられても仕方ないですが、違います」

粟生屋「...?」

一善「一日一善。これは死んだ母との約束です。俺は、自分が善いことだと信じたことを、毎日一つ積み重ねて、少しでも誰かの人生を善い方向に導きたい。自分も、周りの人も」

粟生屋「...」

一善「そういう思いで、俺は魔法使いをやってます」

 


粟生屋「君は淡々と話すんだね。面白い」

一善「俺は自分を投げ打ってでも、戦う覚悟を決めました。もう後は進むだけなんです。だからどうか、お願いします」

 


粟生屋「...」

一善「...」

三太郎「...」

ジャ「...」

 


粟生屋「自らを犠牲にしてでも戦う...素晴らしい矜恃だ。でも」

一善「...」

粟生屋「死んだら全て終わりだよ?」

一善「...!」

 


粟生屋は、一善に一歩一歩近づいて話す。

粟生屋「どんなに君が戦おうと、君は生きねばならない。心身が傷つこうと、生きようとしなければならない。亡くなった母親を思うのなら。それが責務だ」

一善「...!」

粟生屋「一日一善。ならば守り抜いて見せろ、何年でも何十年でも。戦いという大義名分に逃げるな。人間が成せる善行は、戦いの中のみにあらず、だよ?」

一善「...!」

粟生屋「...(誰かの為に...そういう人間達は、すぐに自分を犠牲にしたがる...僕には我慢ならんのだ...'そ'う'い'う'連'中が...)」

粟生屋の脳裏には、かつて共に戦った人々の顔が浮かぶ。

 


一善「...」

粟生屋「よく考えたまえ、”若者”よ」

 


粟生屋は、自らの木刀を両手で'横'に持った。

一善「...?」

ジャ「...?」

三太郎「...?」

 

 

 

バ         キ          ッ         !

 

 

 

カランコロン...

粟生屋は、2つに折った木刀を雪に放った。

 


一善「粟生屋さん?」

粟生屋「力を貸そう。僕という素晴らしい才能を、戦力に加えることを認めよう」

 


ジャ「...!」

一善「...!」

三太郎「お!!!!マジか!!!!」

 

 

 

 

 

 

────


第438話 「egoists」

 

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《第2支部 / 研究班ルーム入口》

 


コンコン

 


入口の柱を1人の男が叩く。

 


安西「あら」

犬飼「お前は...!」

 


百目鬼「やぁ。やってるねぇ〜」

安西「百目鬼君だよね。こんにちは!」

犬飼「お前は...パピヨンだな」

百目鬼パピヨン?」

安西「あーううん!きにしないで!」

百目鬼「てか、なぎちんは?」

犬飼「おいパピヨン!新入りの分際で馴れ馴れしく呼ぶんじゃねぇ!」

百目鬼「あーうるさいうるさい。で、どこ?」

安西「...(早くも舐められてる...笑)渚は奥にいるよ!」

百目鬼「どうもありがとう」

 


百目鬼は、五百旗頭の元へ向かう。

五百旗頭は、奥の部屋で背を向けて作業していた。

 


百目鬼「やぁ」

五百旗頭「あら、百目鬼君」

百目鬼は、五百旗頭の机にミルクティーを置き、その机に腰掛ける。

五百旗頭「どうもありがとう。腕治ったのね」

百目鬼「はい。研究の進捗はどうですか?人間国宝さん」

五百旗頭「ぼちぼちね。で、何しに来たの?」

百目鬼「この間言ってた、”話したい話”の続きをしようと思って」

五百旗頭「そう。どうぞ?」

 


百目鬼「...俺もアンタと同じ人種だった」

五百旗頭「...?」

百目鬼「俺も、自分のエゴでここまで動いてた。それに気がついた」

五百旗頭「...そう」

百目鬼「それだけ伝えようと思ってな」

五百旗頭「律儀なのね。それだけ?」

百目鬼「あぁ後、」

五百旗頭「...?」

 


百目鬼「エレメントだっけ、ちょっと興味がある」

五百旗頭「...!」

 

 

 

《第2支部 / 実働班ルーム》

 


少し経ったある日。

協力を申し出た粟生屋は、ジャスティンに連れられ第2支部へやってきた。

 


粟生屋「うわー。魔裁組だ。僕超久しぶり。この雰囲気」

ジャ「変わってないですか?」

粟生屋「僕は第1支部だったからねぇ。あんまりこっちは分からん」

ジャ「適当かい」

粟生屋「ん?僕のこの眼が正しければ、もしかして、”先客”が来てる?」

ジャ「...どうでしょう」

粟生屋「'奥'に'居'るね。懐かしいのは気の所為じゃなかったね。この禍々しいマヂカラの気配...」

 


粟生屋は、奥へ向かって歩き、扉の前で立ち止まった。

 


そして、扉を開いた。

 


ガラガラガラ...!

 


粟生屋「やぁ。久しぶり」

 


ドン!

京金「あら。覚えてたの?粟生屋」

そこには、京金が座っていた。

 


粟生屋「文句あるかな?京金ルカ君」ゴゴゴ...!

京金「薄情なアンタの事だし、忘れてるかと思ったわ」ゴゴゴ...!

粟生屋「こっちも忘れたかったんだけどねぇ...!」

 


ジャ「...(なんか、圧がすげぇ!)」

 


京金「ま、良いわ。仲良くやりましょ。あの頃みたいに」

粟生屋「仲良くねぇ。そんな記憶はないけど、わかったよ」

京金「来てそうそう悪いけど、少し付き合いなさい?」

粟生屋「ん?僕?」

京金「他に誰がいるのよ。いいから、ちょっと来なさい」

粟生屋「僕をどこに連れていくつもり?デート?」

京金「ちげぇわ!」

粟生屋「じゃあ何」

京金「呼びに行くんだよ。あと一人」

 

 

 

 

 

 

────


第439話 「不安を切って」

 

────


《老人ホーム》

 


京金と粟生屋は、東海林の居る老人ホームへやってきた。

 


粟生屋「ここにいるの?」

京金「うん。そう言ってた」

 


ウィーン

 


京金らは中へ入る。

 


すると、東海林は2人を待っていた。

 


東海林「待ってたよ。2人共」

京金「...!久しぶり...」

粟生屋「どうも」

 

 

 

東海林は、2人を屋上へ案内する。

 


東海林「連絡ありがとう。まさか2人も帰って来たなんて」

京金「まぁ」

粟生屋「色々あってね」

東海林「私の所にも今の魔裁組の子が来たよ。力になってくれないかって」

京金「それで?どうしたの?」

東海林「私は保留にしちゃった。自信なくて。役に立つか」

粟生屋「...」

東海林「それに、少し怖い。今、時が穏やかに流れてるっていうか。あの時みたいに、命の危険とかないし。その方が私に向いてるかなって...」

京金「...」

 


東海林「でも、白鶯君達が悪いことしてるって聞いて、若い子達にだけ任せてていいのかなって気持ちもあって...白鶯君を止められなかったのは私達の責任でもあるでしょ?それに千ちゃんも...」

京金「...」

粟生屋「...」

 


東海林「だから、ずっと迷ってて...」

京金「...そっか」

粟生屋「...」

 


東海林「でも、決めた」

 


京金「...?」

粟生屋「...?」

 


東海林「私、やるよ」

 


東海林は、2人の目を見て話した。

 


東海林「だって、2人も一緒なんだよね?」

東海林は微笑んで言った。

 


京金「...!」

粟生屋「...!」

 


東海林「2人を見て安心した。本当は怖いけど、2人も戦ってくれるなら、私も一緒に戦いたいって思う...!」

京金「唯...!」

 


東海林「正直力になれるかはわからないけど、止めに行こう!白鶯君を!」

京金「...!うん!」

粟生屋「ふっ...!」

東海林「それで笑って報告するんだ!理子さんと千ちゃんに!」

京金「...そうね!」

 

 

 

東海林「またよろしくね!ルカルカ!あおやん!!」

 


2人は安堵の笑みを浮かべた。そこには、再会の喜びも含まれていたことだろう。

 

 

 

豊洲 / 堆家》

 


...

 


ひえりは、薄暗い灯りが着いた部屋で、赤い魔導書を眺めていた。

 


ひえり「...」ドキドキ...!

 


ひえりは、魔導書に恐る恐る手を伸ばす。

 

 

 

 

 

 

────


第440話 「ノベル」

 

────


《ノベルの拠点》

 


ヌヌヌ...

 


夜のビル群の屋上に、謎の影が1つ現れる。

巨大な赤い満月が、辺りを怪しく照らす。

 


ドン!

クリスティ「あら、私が一番乗り〜?寂しいわねぇ〜。今日は初めて全員の顔が見れるって聞いてたのに〜まだぁ〜?!」

クリスティは、ノベルの拠点に現れた。

 


ヌヌヌ...

 


また他のビルの屋上に、別の影が現れる。

 


ドン!

ユゴー。男の魔者。

ユゴー「ケッケッケッ。ここにくるのは久しぶりだァ。元気か?クリスティ?ウップ」

ユゴーは、酒の入った瓢箪を傾けながら話す

 


クリスティ「あら、ユゴー。生きてたのね。良かったわぁ」

ユゴー「名は知らんが、何人か魔者狩りに狩られたと聞いたが?俺がここに来ない間に」

クリスティ「そうなのよ〜私が知る限りで4人死んだわ〜」

ユゴー「ケッケッケッ。顔が広いんだな」

クリスティ「私この会議皆勤賞だものぉん」

 


ヌヌヌ...

 


ドン!

サド「...」

 


クリスティ「あら〜サド〜前の会議ぶりねぇ〜!遅いわよ〜会いたかったわよ〜!」

サド「俺は最初からいたがな」

クリスティ「え、そうなのん?」

サド「お前と2人は面倒だったからな。隠れて見ていた」

クリスティ「そんなぁ〜!」

サド「ちなみに離脱者は5人だ。アランという新入りも消息を絶った。魔導書が回収されてない故、生死は不明だが」

クリスティ「え、そなのん?」

ユゴー「ケッ。物騒な世の中だぜ。ウップ」

 


ヌヌヌ...

 


ドン!

ウルフ。男の魔者。

ウルフ「おいおい。久々に来てみたら、シケたツラぶら下げた奴ばっかじゃねぇか...」

ウルフは首をパキポキ鳴らして威嚇する。

 


サド「誰だ?」

ウルフ「俺はウルフ。シェイクスピアに呼ばれてここへ来た」

クリスティ「相変わらずいい男ねぇ〜さぞ強くなったのかしら〜!」

ウルフ「話しかけるなァ!カマ野郎!」

クリスティ「んむ!」

ウルフ「俺はタッパとケツがデケェ女以外興味ねぇんだ...」

クリスティ「むむーん!!!」

サド「...」

ユゴー「ケッ。変な野郎だ」

 


ヌヌヌ...

 


ドン!

セリーヌ。女の魔者。

セリーヌ「なんだ、男だらけじゃない」

セリーヌは、赤い爪で前髪を整える。高いヒールを履いている。

 


クリスティ「あら、お人形さんみたいねぇ〜!あなたのお顔を見るのは初めて!お名前は?」

セリーヌセリーヌ。アンタ達、頭が高いわよ」

ユゴー「ケッ」

クリスティ「セリーヌね。覚えたわぁ〜でもね、私も心は女よ!紅二点ねっ!」

セリーヌ「気持ち悪」

クリスティ「何よ!おだまり!」

サド「やかましい。すこし静まれ」

クリスティ「んもぅ...!」

 


ヌヌヌ...

 


そこへ、1人の青年が現れる。

 


ドン!

ダザイ。青年の魔導師。

ダザイ「...」

 


サド「...?」

クリスティ「ん?誰?」

ウルフ「なよっちぃ奴だなぁ。お前、もしかして紛れ込んじまったのか...?痛い目見たくなけりゃ、とっととお家に帰りな」

ダザイ「...」

 


ユゴー「ウップ。お前も、あの方に呼ばれたのかな?」

ダザイ「シェイクスピア様はどこだ」

セリーヌ「ふーん。アンタもなんだ」

ウルフ「なるほどなぁ。どんな女がタイプだ!」

クリスティ「質問が違うでしょん!あなた、コードネームは?」

ダザイ「ダザイだ」

サド「ダザイ。お前は見たところ人間だが、魔導師か?我らの仲間の証拠である”契りの指輪”を見せてみろ」

 


ダザイは、左手についた契りの指輪を見せた。

 


サド「そうか。ようこそ、ノベルへ」

クリスティ「新しい仲間の誕生ねぇーん!」

 


そこへ、1人の男がやってくる。

 


白鶯「待たせたな。幹部諸君」

サド「シェイクスピア様!」

クリスティ「ん〜もう!シェイクスピア様ったら!待たせすぎよ♡」

 

 

 

 

 

 

────


第441話 「準備完了」

 

────


《ノベルの拠点》

 


白鶯「サド、クリスティ、ユゴー、ウルフ、セリーヌ、そしてダザイ。全員揃っているな?」

クリスティ「え、これで全員?!」

サド「減ったものだ」

ウルフ「へっ。弱者は消え、強者だけが生き残る。この世の理よ」

ユゴー「ウップ」

セリーヌ「...」

ダザイ「...」

 

 

 

白鶯「話は簡潔だ。とうとう我々の力を示す時が来た」ドン!

一同「!!!」

 

 

 

サド「と、いうことは、やりますのか、アレを!」

ウルフ「腕が鳴るぜ」

クリスティ「私も興奮してきたわぁ♡」

白鶯「あぁ。セリーヌ

セリーヌ「えぇ。私のこの”鏡像の書”の能力で作った、1万体のクローンを東京に放つわ...!」

ユゴー「!!」

サド「おぉ!!」

クリスティ「デュマが死んじゃったから...代わりがみつかってよかったケド」

セリーヌ「代わり?!私が?!失敬な!」

クリスティ「あらま。ソーリーソーリー」

セリーヌ「私は誰よりも美しい。何人たりとも、私に勝つことは出来ないわ」

ダザイ「...」

 


白鶯「そして俺が、開幕の合図を鳴らす。人間の最終章開始の合図だ」

サド「これで凡人共がのさばる時代は終わり」

ユゴー「魔法が制す世の中になるってこったな」

ウルフ「それこそが自然の摂理...!」

セリーヌ「本当にくれるんでしょうね?”永遠の命”」

白鶯「あぁ。戦いに勝利した暁には、お前達に永遠の時を生きる力を与えよう」

クリスティ「これで一生ピンピンで暮らせるのねーん!!」

セリーヌ「そう来なくっちゃ」

ユゴー「ケッ。これで死ぬまで飲み続けられる」

サド「死なないんだがな」

ダザイ「...」

 


白鶯「セリーヌ、ダザイ、お前達にはこれを授けよう」

セリーヌ「?」

ダザイ「?」

 

 

 

ド       ク       ン       !

 

 

 

白鶯が目を見開いた瞬間、セリーヌとダザイの体に衝撃が走る!

 


セリーヌ「!!!!」ガクガク...

ダザイ「!!!!」ガクガク...

 


白鶯「その力は、お前達の力になる。選ばれし者にのみ与えられる力。魔導結界だ」

セリーヌ「...!」

ダザイ「...!」

 


白鶯「全員聞け。お前達は、俺が指定した場所でそれぞれの結界を展開し、魔裁組をおびき出せ。そして、確実に、魔法使いを闇に葬れ。今までの結界とは、少し仕様を変えてあるが」

クリスティ「お安い御用よーん!」

 


ウルフ「当たり前だ。小指1本でひねり潰してくれる...!」

 


サド「絶望を見せてやろう。凡人に」

 


ユゴー「ウップ。退屈させんなよ〜?人間...!」

 


セリーヌ「醜い者は排除してやる...!」

 


ダザイ「俺は、全てどうでもいい。邪魔をするなら殺すだけ」

 


ヌヌヌ...

 


6人の幹部は闇夜へ消えた。

 


白鶯「くくくっ。人間は間違っている。自分達がピラミッドの頂点に立っていると錯覚している。人間は間違っている。誰かと手を取ることで、危機に立ち向かおうとする。どれも愚かだ。俺はもう、人間を超えた。理解した」

 


白鶯は両手を広げた。

 


白鶯「もう十分楽しんだだろう...?人間よ。これからは魔法の時代だ!力のある者こそが勝者で善である...!俺が目指してきた”最強”の2文字は、漸く実現する!弱者など要らない...!強きもののみが生き長らえる時代になるのだ!!!」

 


白鶯は高笑いした。

 


白鶯「弱者が当たり前の様に生きる様は実に不愉快だ。偽善者の掃き溜めの様な魔裁組諸君、俺が正しかったことを証明する為に消えてくれ」

 


ヒュュュウウウゥ...!!!!

 


冷たい突風が吹き荒れる!!

 

 

 

白鶯「これは物語の結末を決める戦い...!始めようか...”NOVEL WAR(ノベルウォー)”を!!!」

 

 

 

 

 

 

────


第442話 「集合」

 

────


《第2支部 / 大会議室》

 


この日、魔裁組のメンバーは、実働班、研究班合同でノベルに対抗するべく、緊急会議を開いていた。

 


ザワザワザワザワ...

 


九頭龍坂ら元第1支部のメンバーがやってくる。

九頭龍坂「ほんま、人がようさんおるなぁ...」

虎走「んね。こんなに人が集まってるの、久しぶりに見たかも」

村松「...」

 


〜〜〜

 


一善とヒメは、やってきていた岩田と会話をする。

岩田「ご無沙汰しておる!一善少年!」

一善「拓郎さん!今日の会議、拓郎さんもいらっしゃってたんですね!」

岩田「あぁ。協力者連合代表として、私が馳せ参じた故、宜しく頼む」

一善「ありがとうございます!」

ヒメ「初めまして。久品ヒメです」

岩田「岩田拓郎と申す。よろしくお願い申し上げる」

ヒメ「この方が、ポケモンの?」

岩田「左様!この私こそがポケモンマスターという名の──────」ペラペラペラペラ

一善「そのスイッチ押しちゃダメ!!!」

 


〜〜〜

 


はるか達は、会議室の前の方の座席に腰かける。

はるか「いやー。こう見てみると、魔裁組って沢山いるんだなぁ!」

莉茉「これだけの仲間がいると、心強いわね」

美波「なんか緊張してきたなぁ...何話すんだろう」

三太郎「皆でノベルをぶっ潰そー!的な?!」

はるか「ウケる」

美波「麗美ちゃんと幸二君は?」

莉茉「なんか、誰かを呼びに行ったって」

三太郎「...?」

 


〜〜〜

 


粟生屋らは、後ろの方の座席に腰かける。

粟生屋「はわぁぁ...眠」

東海林「ちょっとあおやん!大事な会議だよ!私達の自己紹介もあるんだから!」

京金「は?そんなの聞いてないんだけど」

東海林「え、自己紹介とかしないの?これってそういう会じゃないの?歓迎会...みたいな?」

京金「相変わらずお花畑なのね。なんか安心したわ」

東海林「え?!それって褒めてる?!バカにされてる?!」

粟生屋「...zzz」

 


〜〜〜

 


百目鬼は会議室の端の壁に寄りかかり、腕組みをしている。

百目鬼「...(おい、誰か俺に話しかけろよ...!ハブかよ!!)」

 


〜〜〜

 


ジャスティンと五百旗頭らは、会議室の壇上で会場全体を見渡す。

 


ジャ「相変わらず、すごいメンツだね」

五百旗頭「まさにカオスね」

安西「これから何が起きるんだろう...楽しみ半分、不安半分だなぁ...」

犬飼「カラオケ大会でもすっか?」

ジャ「黙れバカ」

犬飼「誰が馬鹿じゃァ!!!俺のが先輩だぞ!!!」

 


善能寺「ごきげんよう、皆さん」

五百旗頭「善能寺さん!」

ジャ「お疲れ様です!」

善能寺「私もこの会議、見学させてもらうわ」

ジャ「わざわざありがとうございます」

善能寺「それにしても、凄いメンバーね。後ろの方で座らせてもらうわ。では」

五百旗頭「ありがとうございます」

善能寺は研究班のメンバーの会釈に答えながら、後ろに座った。

 


ガチャッ...

 


会議室のドアから麗美と幸二がやってくる。

 


麗美「お待たせ〜」

幸二「...」

 


すると、その後ろから、ひえりがひっそりと現れた。

 


ひえり「...」キョロキョロ...

 


三太郎「ピキーーーーーーーーン!!!!」

犬飼「ピキーーーーーーーーン!!!!」

 


はるか「おいあれ、麗美と幸二だ」

莉茉「後ろのあの子は...?」

美波「堆ひえりちゃん...!!!」

 


三太郎「ひえりちゃーーーーーん!!!」

犬飼「ひえりちゃーーーーーん!!!」

 


三太郎と犬飼は、ひえりに走り寄る。

麗美と幸二は、ひえりを2人からガードする。

 


ジャ「ふっ。役者は揃ったね」

五百旗頭「そろそろ始めようかしら」

ジャ「魔裁超会議を...!」