SOREMA -それ、魔!- 47

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SOREMA -それ、魔!- 47

 

「卑怯者」

 

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第392話 「解れる」

 

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秋葉原


京金「...!(出血がすごい...!早く、唯に来てもらって、治療してもらわないと!)」

京金は、魔裁組に連絡を取る。


白鶯「...」


白鶯はその場を後にしようとする。


京金「おい、アンタ」

白鶯「...?」

白鶯は振り返る。

 


京金「アンタよね、粟生屋撃ったの」

 


白鶯「...?何の話だ?」

京金「とぼけてんじゃないわよ...!私はこの目で見たんだよ!!!アンタが粟生屋を撃ってる所を!!!!」


白鶯「...?誤解だろう。仮にそうだとしても、たまたま弾が弾かれただけだ」

京金「は?そんな言い訳が通用すると」

白鶯「なら証拠をだせ。そこまで言うなら」

京金「...!」


白鶯「ほら、早く応急処置を取らないと、取り返しがつかなくなるぞ?俺は戻る。じゃあな」

京金「お前...!」

白鶯「...」ニヤッ


白鶯はその場から去った。

 

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《第1支部 / 医務室》


粟生屋は医務室に運ばれた。


東海林「とりあえず、止血はバッチリ!」

粟生屋「...悪い」


粟生屋は、ベッドに横たわる。


京金「無理しないことよ。傷が開くわ」

粟生屋「あぁ...急に優しくされると...戸惑うが」

京金「はぁ?そんな惚けたこと言ってないで、寝なさい」

粟生屋「...」


京金「私から理子さんに言っておくわ。粟生屋を撃ったのは白鶯だって」

粟生屋「...」

東海林「...それ、本当なの...?」

京金「私はこの目で見たから。間違いないわ」

東海林「でも...なんの為に...?」


粟生屋「明明後日の決闘を有利に運ぶためでしょ。僕に勝てないと踏んで」

京金「卑怯者が」

東海林「そう...なのかな」


粟生屋「京金。リーダーには伏せてくれ。証拠が無い以上、証明はできない。無駄な混乱は避けたい」

京金「...それじゃあ決闘は」

粟生屋「こんなのかすり傷だ。それに、リーダー泣いちゃうよ?チーム内の不和なんて。俺はぶっちゃけどーでもいいけどさ」

東海林「確かに、悲しむかも」

京金「...」


粟生屋「僕は勝つよ。こんなんで勝てると思ってる白鶯を、上から叩いてやる。だから、今回のことは見なかったことにしてくれ。京金」

京金「...」

東海林「...」

 


その会話の様子を、部屋の外で皆藤は聞いていた。

 


皆藤「...」

 

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第393話 「決闘前夜」

 

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《第1支部 / 廃校》


皆藤は、1人で特訓をする白鶯に声をかける。


皆藤「はりきってるね」

白鶯「...」


皆藤は白鶯に缶コーラを渡す。


皆藤「聞いたよ。粟生屋君に決闘を申し込んだんだってな。全く、よくやるよ」ヤレヤレ

白鶯「...」

皆藤「粟生屋君のことが嫌いか?」

白鶯「他人に対して好きも嫌いもない」

皆藤「...そう」


皆藤は、白鶯の背後で腰かける。


皆藤「私達は味方だ、同じ目標に向かって進むチームだ」

白鶯「...」

皆藤「互いを高め合う決闘は認める。だが、仲間を貶めるようなものは認められない」

白鶯「...」

皆藤「やるなら正々堂々、やってくれ」

白鶯「...」

皆藤「卑怯な戦法はとってはいけないよ」

白鶯「...何が言いたい」

皆藤「これは忠告。魔導師認定されたら、君はここにいられなくなる。それは避けたいの」


すると、白鶯は缶コーラを地面に置き、踏み潰した。

プシューーーー!

皆藤「...!!」


白鶯「俺は誰にも従わない。お前との約束も、お前を倒して即破棄する」

皆藤「...」

白鶯「俺は得る力を得て、ここを出ていく」

皆藤「君を縛り付けたい訳じゃない。あの約束は忘れてくれて結構。でも、強さを求めるなら、君はここにいるべきだ」

白鶯「...」

皆藤「皆で強くなろう。きっとお互いにいい刺激を与えあって、高めあえるはずだ。一人で戦い続けるよりずっと効率がいいと思うけど?」

白鶯「...」

皆藤「それに、またもう1人、強い仲間が第1支部に帰ってくる。白鶯君にも紹介するよ。いい刺激になるはずだ」

白鶯「...」


皆藤「もう一度言うね。卑怯な手を使うのはやめろ」

白鶯「...」

白鶯は、何も言わず、魔法陣の中に消えた。皆藤は、コーラが染みた土をただ見つめた。

皆藤「...」

 

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《第2支部 / ミーティングルーム》


氷室「万之助君、第1支部に異動になるのね」

千巣「えぇ。元々第1支部に合流する予定が、ごたついて伸びてたので」

氷室「そ。ま、心配はしてないけど、今の第1支部は魔境よ」

千巣「そうみたいですね。でも理子さんいるし、大丈夫だと思いますよ」

氷室「そうね。てか、万之助君も居なくなることだし、第2支部はもうなくていんじゃない?」

千巣「...?」

氷室「第1支部で事足りちゃうもの。少し退屈...」

千巣「は、はぁ...」

氷室「まぁ、なんでもないわ。忘れてちょうだい」

千巣「...」


氷室「頑張ってね。魔法使い特級、千巣万之助君」

千巣「はい...ま、俺そんな強くないっすけど...」

氷室「...?」

 

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第394話 「白鶯vs粟生屋」

 

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《廃校》


迎えた白鶯と粟生屋の決闘の日。

皆藤、京金、東海林は、その決闘を見守りにやってきた。


東海林「どうなっちゃうのかな...私、心配...」

京金「流石に、死にはしないでしょ」

東海林「え!そんなに激しいの?!やめさせようよ!」

京金「退けないのよ。男だから。ほんと馬鹿」

東海林「そうなんだ...」


皆藤「...」


皆藤は、グラウンド正面に立った2人を静観する。

 

白鶯「粟生屋昴。この決闘の意義は心得ているな?」

粟生屋「なんだっけ」

白鶯「俺が勝てばお前は俺に従う」

粟生屋「...」

白鶯「忘れたとは言わせない」

粟生屋「...いや、負けないから忘れてても同じっしよ」

白鶯「...」ピキッ

 

粟生屋は左の脇腹に手を当てて言った。

粟生屋「こんなのハンデだよ。君の実力はまだ僕に遠く及ばない」

白鶯「御託はもういい。始めるぞ」

粟生屋「ピリピリするなよ」


2人は背を向け、所定の位置につく。


粟生屋「そうだ。僕が勝った場合の報酬について決めてなかったね。1ついいかな」

白鶯「...何を望む」


粟生屋「もし僕が勝ったら、その”力”を手放せ」


京金「...?!」

東海林「??」

皆藤「...!」


白鶯「なるほど」

粟生屋「うん。魔法使いを辞めるんだ。そして、魔裁組(ここ)から出ていけ。いいね」

白鶯「...」


東海林「あおやん...白鶯君のこと...本当に嫌いなんだね」

京金「あれだけやられて、仲間と思っていられる方が異常よ」

東海林「...」

 

そして、決闘の開始を告げる合図が鳴り響く!!


粟生屋「ふっ。完膚なきまでに叩き潰してやる」

白鶯「...!」ビュン!


白鶯は粟生屋に高速で突進する!


粟生屋「...!(速い!)」

白鶯「砕け散れ...!!!」

白鶯は、自身の腕を龍化させ、粟生屋に迫る!


粟生屋「速いね。だけど、いくら速くても僕には触れさせない...!!」

白鶯「!!」


粟生屋「”Scream-G”!!!!」

白鶯「!!!!」


白鶯は、粟生屋を中心に発生した重力波に突き放され、吹き飛んだ!!!


京金「...!すごい威力!!」

東海林「やっぱあおやんヤバい!!」

皆藤「...!(なるほど...Air-Gが一点に重力のコアを集中させて引き寄せる技、Fall-Gが1つの物体の重力を操り引き寄せる技だとすると、この技は自らを中心に重力のコアを分散させて対象を散らす技なのかな...?面白いね...重力の書!)」


粟生屋「こんなんじゃ終わらないよ?」グイッ!

白鶯「...!!」


粟生屋が人差し指で宙を指すと、白鶯は引っ張られるようにして宙に浮いた!

 


白鶯「...!!」

 

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第395話 「卑怯者」

 

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《廃校》


東海林「白鶯君が!!」

京金「空に浮いた!」

皆藤「Fall-Gの応用か...」


粟生屋「ふっ。白鶯。やめてもいいんだよ?人生諦めが肝心だ」

粟生屋は、手を刀のように伸ばして振り切った!

白鶯「...!!」


粟生屋「”虚重斬(きょじゅうざん)”」


グ    ゥ     ユ     ン     !!!!!


白鶯「ブ...!!!」ゴボッ!!


白鶯は宙で血を吐いた!!


東海林「!!!」

京金「...」

皆藤「...」


粟生屋「這い蹲れ」

粟生屋は親指を下に向けた!

 

 

 

ドォォォォォォン!!!

 

 

 

白鶯は地面に強く打ちつけられた!!!


粟生屋は、地面にめり込む白鶯に近づく。


粟生屋「無駄な抵抗はよせ。もう僕勝ったでしょ」

白鶯「...見下ろすな...!!不愉快極まりない」

粟生屋「やれやれ...自分の現状が分かってないみたいだね」


粟生屋はしゃがむ。そして、地面にうつ伏せになる白鶯に顔を近づける。

粟生屋「これでいいかな?」

白鶯「...!!」


粟生屋「少しは目線、合わせてあげたけど、どう?」

白鶯「...」ピキピキッ!

粟生屋「流石に君みたいに地面に寝そべるのはちょっと」

白鶯「...」

粟生屋「ぶっちゃけると、もう少し楽しめると思ったんだけど、そうでもなかったね」

白鶯「...」

粟生屋「じゃ終わりでいいかな」


その時だった。


グシャッ!!!


粟生屋「!!!!」


白鶯は手を地面に突っ込み、地面からドラゴンの様な触手を生やして粟生屋を攻撃したのだった!!


粟生屋「...!!(なんだこの技...しかも...!)」

白鶯「...」ニヤッ

粟生屋「!!(こいつ...僕の'左'の'脇'腹を...!!!)」

 


ブシャーーーーーー!!

 


粟生屋の脇から激しく血が吹き出る!!!


皆藤「!!!」

東海林「あおやん!!!!」

京金「今何したの...あいつ!」


粟生屋は、左の脇を抑えてふらつく。


白鶯はその隙に粟生屋の背後に瞬間移動し、脇腹目掛けて蹴りを食らわす!


ボ     キ     ッ     !!


粟生屋「!!!!」

京金「粟生屋!!」

東海林「!!!」

京金「おい!いまあいつ、脇腹を!!」

皆藤「...(白鶯君...君は卑怯だよ)」

東海林「理子さんっ!!!もうやめにしません?!」

皆藤「そうね!2人とも...もうこれ以上...!!」

 


ドゴーーーーーーーン!!!!

 


粟生屋は数メートル先まで飛ばされた!


粟生屋「ハァ...ハァ...」

白鶯「...」ポポポポポ...!!

白鶯は手のひらにエネルギーを集める...!!


皆藤「2人とももう止めよ!!(言って聞かないなら割って入るしか...!)」


皆藤が2人の間に入ろうとしたその時!


粟生屋「...来るな!リーダー!」

皆藤「?!」

京金「?!」

東海林「あおやん?!」

白鶯「...?」

 

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第396話 「僕が僕であるために

 

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《廃校》


粟生屋「ハァ...リーダー...僕は大丈夫だ...!」

皆藤「?!」

京金「粟生屋?!」

東海林「無茶だよ!その傷じゃ」


粟生屋「止めてくれるな...これは決闘なんだ...!」

皆藤「!!」

京金「!!」

東海林「!!(あおやん、、いつもすぐにやめちゃうのに、なんで今日だけ...?)」


粟生屋「ハァ...これは...意地だよ」

白鶯「...?」ポポポポポ...!!

粟生屋「白鶯、君は僕に従えと言ったね?」

白鶯「...」ポポポポポ...!!

粟生屋「僕はね、自分の生き方を邪魔されるのが大嫌いなんだよ」

白鶯「...?」ポポポポポ...!!!

粟生屋「僕の生き方は誰にも決めさせない...僕は僕が決めた生き方を、僕自身の足で生きていく。地図は僕の頭の中にちゃんとあるから」

白鶯「...」ポポポポポ...!!!!


粟生屋「僕の自由が脅かされているんだ...だから絶対に負けない。僕はやる時はやる男だ」

白鶯「...くだらん意地に散れ」ポポポポポ!!!

粟生屋「散ってやるかよ」

京金「粟生屋!!」

東海林「あおやん!!」

皆藤「!!!(2人とも...!)」

 

 

白鶯「龍ノ息吹!!!!!!」

 

 

 

ドォォォォォォォォン!!!!!!!

 

 

 

京金「!!!」

東海林「!!!」

皆藤「...!(あの技...前よりもかなり威力が上がってる...!)」


シュウゥゥゥゥ...


粟生屋は煙の中で攻撃を受けきった。


粟生屋「ハァ...こんな攻撃じゃ、僕は倒せないよ」

ブシュー!

脇腹から出血する。


皆藤「...(あんなこと言われたら...私はどうすれば...?)」

皆藤は焦る。東海林は横目に皆藤を見る。

東海林「...(理子さん...?冷や汗が...)」

京金「(こんな理子さん…初めて)」


粟生屋「ハァ...こんなものかい?」

白鶯「...いや、想定内だ」

粟生屋「...」


白鶯「ならばこれでどうだ?」

白鶯は、両手の親指と小指をそれぞれくっつけて、貝殻のように手を開いた。

粟生屋「...」

京金「あの構え...何をするつもり?」

東海林「マヂカラが白鶯君に集まってる...!」

皆藤「...!」

 


白鶯「”龍ノ顎(あぎと)”...!」

粟生屋「...来いよ」

白鶯「...!!」

 


白鶯が粟生屋に突進する!!!


粟生屋「守護...!!!」


ブシャーーーーーー!!


その瞬間、粟生屋の脇腹から血が吹き出す!!


粟生屋「...!!(ヤバい!!)」

白鶯「!!!!!」

白鶯は、左の脇腹目掛けて両手を伸ばす!!!

京金「!!!」

東海林「!!!」

皆藤「...!」

皆藤は目を瞑り、唇を噛み締めた。

 

 

キィィィィン!!!!

 


粟生屋、万事休すか────!

 

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第397話 「6人目」

 

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キィィィィン!!!!

 


粟生屋「!!!?!?!」

白鶯「!!!!!」


白鶯の攻撃が、粟生屋にヒットした...かと思われたその時...!


白鶯「?!?!」


白鶯の両手がぶつかっていたのは、粟生屋の胴体ではなく、長刀の峰だった。


白鶯「...?!」

粟生屋「...君は?!」


千巣「悪ぃ...面白そうだったんで...邪魔した...!」


京金「...?!」

東海林「え?!誰?!」

皆藤「千巣君...!」


スタッ


白鶯「貴様、何者だ」

千巣「千巣万之助。よろしく」

千巣は長刀を振り回して言った。

 

白鶯「これは決闘だ。邪魔をするな」

千巣「こいつ(粟生屋)は手負いに見えたが?魔法を使用した特訓中、片方が重大な負傷をする可能性がある場合、魔法を使用して第三者が割って入ることが許されている」

白鶯「そういう問題ではない。そこを退け」

千巣「嫌だと言ったら?」

白鶯「潰すのみ」

千巣「...お前からは底知れない敵意を感じるなぁ。動機はなんだ?」

白鶯「...」


千巣「とりあえず、理子さん、それとそこの子達!こいつを医務室へ!」

皆藤「...あ、うん!」

東海林「は!!はいっ!!」


東海林と京金が、粟生屋の元へ駆け寄る。

粟生屋は、2人の肩を借りて外へ出る。


東海林「あおやん大丈夫?」

粟生屋「...」

京金「唯、傷を」

東海林「あ、うん。一応治してる」

粟生屋「...」

東海林「あおやん...」

粟生屋「...僕、カッコ悪すぎだよね」

東海林「そんなことないよ...!怪我してなかったら、いい勝負になったと思うよ...!」

京金「それにあんなやつ、相手にしなくていいわよ...」

粟生屋「...」


京金は振り返り、グラウンド方面に視線を飛ばす。

京金「......」

 

 

皆藤「千巣君...」

千巣「ご無沙汰してます」

白鶯「...」

千巣「改めて問おう。白鶯だっけ?お前はどうして魔法使いをしてる?」

白鶯「...」

千巣「...?」


白鶯「魔法使いも魔者もどうだっていい。俺は最強になるべく生まれてきた存在だ」

千巣「...最強ねぇ」

白鶯「あの男を倒し損ねたのはお前のせいだ。ならばお前が俺の相手になれ」ポポポポポ...!

千巣「まぁ...いいけど。いいですか?理子さん」

皆藤「...」


白鶯「教えてやる。最強は俺だ」ポポポポポ...!

千巣「己が最強と錯覚したその時が、そいつのピークだよ」ゴゴゴゴゴ...!

白鶯「...?」ポポポポポ...!

千巣「それにな、1人じゃ最強にはなれねぇよ」ゴゴゴゴゴ...!!


千巣は、剣を構えた。


白鶯「ちっ...!龍ノ息吹!!!!」


ドォォォォォォォォン!!!!!!!


千巣「うぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

ドッカーーーーーーーーン!!!!

 

その後、天の雲が割れる程の戦いは、小一時間続いた。

 

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第398話 「勝敗」

 

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《医務室》


粟生屋はベッドに横たわり、千巣と京金が隣で座っている。


粟生屋「あの後、結局どうしたの?」

千巣「適当に戦ってやめたよ。腹減ってたんでな」

粟生屋「白鶯は?」

千巣「あいつもバテたんだろうな。ひとまず引き分けってことで手打ちになった」

粟生屋「そうか...」

京金「...」


粟生屋「あれは僕の負けだよ。どんな手を使われても負けは負け。ま、どうでもいいけどさ」

粟生屋は強く拳を握った。

京金「...」

千巣「白鶯って奴は、お前の急所を執拗に狙っていたらしいが」

粟生屋「まぁね」

京金「しかもその傷は、白鶯が意図的につけたものなのよ」

千巣「そうなのか...報告しなくていいのか?」

粟生屋「人生なんて、結局は自己保身の物語にすぎない。報告した所で、あいつはしらを切るだろう」

京金「...」

千巣「...」


粟生屋「アイツはその典型。放っておけばいいんだよ。興味無いし」

京金「私達にまた何かしないとも限らないわよ?」

粟生屋「問題ない。もう抜からない。僕は彼を敵とみなす」

京金「...!」

千巣「...」

 

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《第1支部 / 廊下》


東海林「ハァ...ハァ...白鶯くん...どこ...?」

東海林は、白鶯を探す。

東海林「...(白鶯君...君は何を考えてるの...?私達仲間だよね...?ちゃんと教えてよ...!)」

 

《格技場》


格技場には、夕日が差している。


皆藤「君は間違ってる」

白鶯「...は?」

皆藤「相手を下げて勝っても、君は1歩も進んでないよ」

白鶯「部外者が口を挟むな」

皆藤「...」

白鶯「お前は俺の何でもない。赤の他人が、俺のやり方に口を出すな」

皆藤「同じチームとして、君のやり方は看過できない」

白鶯「チーム?ただの寄せ集めだろう。無駄な馴れ合いなど必要ない。俺はお前たちを踏み台にして上へ行くだけだ」

皆藤「どうしてそういう考えしか出来ないの...?」

白鶯「他人と支えあうなど、そんな幼い考えしか出来ない陳腐な脳味噌の持ち主には到底理解できないだろう。俺一人で最強になればそれでいい」

皆藤「それは絶対違う!!!!」

 


白鶯は去った。

 


皆藤「...」

皆藤は俯き、また、唇を噛み締めた。

 

SOREMA -それ、魔!- 48へ続く。