SOREMA -それ、魔!- 34

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SOREMA -それ、魔!- 34

 

「復讐の炎」

 

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第290話 「差」

 

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《ショッピングモール(回想)》


凛「ここであなたを捕まえます!」

白鶯「ほう」

凛は、指で輪っかを作った。そして、シャボン玉を吹くように、白鶯に飛ばした!

凛「催眠泡!」

ポワワワワァン…!

白鶯「…」


パチッ!


シャボン玉は、白鶯に当たって割れた!

凛「(よし…決まった!)」

白鶯「…」

凛「(…?この技がヒットすれば、相手は眠りにつくはず...でも起きてる)」

白鶯「何かしたか?」

凛「…!!(効いてない?!)」


白鶯は、凛に歩み寄る。

凛「(大丈夫、まずは相手に攻撃を…!)」

凛は、レイピア型の剣を取り出して、白鶯に突き刺す!白鶯の腕に剣先が刺さった!

白鶯「…」

凛「このまま切り裂いてやる…!!」

白鶯「!!!」ゴゴゴ…!!


すると白鶯は、剣の刺さったまま腕を龍の腕に変化させた!

凛「…!!(腕が、鱗だらけに…!!)」

そして、白鶯は、腕を思いっきり振り切った。剣は折れてしまった。


凛「(そんな…折れた?!)」

白鶯は、刺さったままの剣先を抜き、投げ捨てた。

白鶯「術の種は分からんが、履術者か。いいだろう」

凛「…!」

白鶯「魔導書ってモンは、強い者が使って初めてその真価を発揮するものなんだ…よく覚えておけ」

凛「!!!」

 

 

グシャッ!!!!

 

 

白鶯の腕が、凛の腹部を貫く…!!

凛「!!!!」

白鶯「俺が正しく使ってやる…!」

ブシャッ!!


白鶯は、凛から魔導書を抜き取った!

凛「魔導書が…?!どうして…?!」

白鶯「引力だよ。金と同じさ。金はより金が集まるところに集まる。魔導書も同じ」

凛「?!?!」


白鶯「!(何か別のマヂカラの気配が近づいているな?しかも”妙な馴染み”がある...面倒だ)」

凛「待ちな…さい!」ゲボゥッ!

凛は出血の止まらない腹部を抑えながら、膝をついた。

白鶯「待たない」


ボウゥゥゥゥゥ…!!!


白鶯はその場から姿を消した。


魔者「ビュギュゥァァァァァ!!」

その場にいた魔者が雄叫びを上げる!

凛「(周りの人が…逃げ…て…)」


ズバッ!!!!!!


すると、どこからともなく1人の女性が現れ、魔者を一撃で退治した。


???「…」

 

────


第291話 「錯乱」

 

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《ショッピングモール(回想)》

凛「(…あな…たは?)」

???「(…この傷は…手遅れね)」

凛「…妹…妹は…?」

???「…大丈夫(知らないけど)」

凛「そう…ですか…」


凛は、その場で息を引き取った。


???「(この子、魔法使いね。マヂカラが流れていた形跡がある)」

通行人「うわ!人が倒れてる!」

通行人「流血してるわ!キャーーーーー」

???「(野次馬ね。うるさいわよ!早く魔裁組に連絡を…)」

ピポパ...


────


蘭はお手洗いを終えて、凛のいた場所へ戻る。

蘭「(お姉ちゃん、どこかな?)」

蘭は電話をかける。

蘭「(出ないなぁ…)」

すると、奥で人だかりが出来ているのを見つける。


蘭「なんだろう?」

蘭は人だかりに近づく。真ん中で凛が倒れているのを見つける。


蘭「え…?お姉ちゃん…?!」

蘭は人だかりをかき分けて、凛に話しかける。

蘭「お姉ちゃん!!!ねぇ!!お姉ちゃんってば!!」

???「…(この子か…殺された子が言ってた妹ってのは)」

蘭「どうしたの?!何?!魔者が出たの?!なんで…なんでよ!!!」

???「(魔者の存在を知っている…でも恐らくこの子は魔法使いでは無いんだな…)」


蘭「お姉ちゃん!!!お姉ちゃん!!!」

???「もうその子は助からないわ」

蘭「?!」

???「あなた、魔法について分かるのね。なら話が早いわ。恐らく彼女は殺された」

蘭「誰に…ですか?」

???「わからない」

蘭「…!あなたは…何者ですか?」

???「通りすがりの元魔法使いよ」

蘭「!!!」


研究班員「はい、通して通して〜」

???「こっちよ」

蘭「!?」

 


研究班員「久しぶりに京金さんから連絡があったから、何かと思えば、事件ですか」

 

京金ルカ(きょうがねるか)

自称・元魔法使い

京金(=???)「私も、たまたま遭遇して驚いたわよ。もうこういうのうんざり」


研究班員「派手にやられちゃったねぇ…よし、運ぼう」

京金「よろしく」

蘭「待ってください!!!私の姉なんです!!!」

研究班員「京金さん、この子は?」

京金「死んじゃった子の妹よ」

研究班員「そうか。それは気の毒だ…じゃ、運ぼう」

蘭「待って!!!待って!!!」


ガッ!!


京金は、蘭を掴んだ。

蘭「待って!お姉ちゃん!!!」

 

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第292話 「姉の願い」

 

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《ショッピングモール》


蘭は一人泣きわめいていた。

京金「あのさ。いつまで泣いてるわけ?もう行くわよ?」

蘭「うぇぇぇぇぇぇん」

京金「…」

蘭「お姉ちゃん…!!お姉ちゃん…!!」

京金「ま、あんただけでも生き延びたことを幸運に思いなさいよ…」

蘭「…」

京金「死んだ人間は戻らないんだから」


蘭「…あなた…さっきから冷たすぎませんか…?」

京金「…は?」


蘭「あなたには関係無いかもしれないけど!!私は!!お姉ちゃんが大好きで!!!ずっと一緒にいたんです!!!なのに…なのに…!!お姉ちゃんが魔法使いじゃなかったら良かったのに…」


京金「…」

蘭「私だけでも生き延びたことが幸運…?!私はひとりぼっちにしておいて…?ひどいよ…お姉ちゃん…」

京金「…」


蘭「だったら…私もお姉ちゃんと死にたかった!!!!」

京金「…!!!!」


パシィン!!!!


京金は、蘭をひっぱたいた。

蘭「…?!」

京金「あんたさ、あの子がどんな魔法使いだったか知らないけどさ、魔法使いになる人間がどういう思いで魔法使いやってるかわかる?」

蘭「…?」

京金「死にたくて魔法使いやってる奴なんて一人もいない…でも人を守るために自分の命をかけてる。この意味がわかる?!

蘭「…」

京金「死なせたくないんだよ!!自分の命を危険に晒そうと!!アンタみたいななんも出来ない、魔法も見えない弱い人間を守りたいんだよ!!だから日頃から血の滲むような努力をしてやってんだよ!!!」

蘭「…!」


京金「死にたいなら勝手に死んどけ!もう二度と魔法使いに守って欲しいだなんて思わないことね!死にたい奴に命かけるほど、魔法使いは暇じゃない!!」

蘭「…」


京金「私は…そういう魔法使いを一人知ってる」

蘭「…?」

京金「大事な人の為に戦う魔法使い。私はもう辞めちゃったから、そういう魔法使いがすごく眩しい。私にはそういうの無理だった」

蘭「…」

京金「きっとあんたのお姉さんも、そういう魔法使いだったと思う」

蘭「……!」


京金「私はもう行くわ。もう好きなだけ泣いていいわよ。でも」

蘭「…」

京金「死にたいなんて、二度と口にするな。お姉ちゃんが泣くわよ」

蘭「…!」

 

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第293話 「私も」

 

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後日、魔裁組の人が、私の家にやって来て、凛姉さんの死因や事件現場で起こったことなどを報告しに来た。


鬼屋敷「凛ちゃんは、素敵な子だった…もっと長生きして欲しかったけど…」

蘭「…」

鬼屋敷「では、私達は、これで失礼するわ」


蘭「…待ってください!」

鬼屋敷「?!」

蘭「私…私を…魔法使いにしてください!!!」


鬼屋敷「いやぁそれはちょっと厳しいわよねぇ。まず、あなたは履術者でもなんでもないわよね?」

蘭「知識は多少あります。姉さんから教えてもらいました。お願いです。どんな仕事でも構いません…どんな特訓もします…!私を魔裁組に入れてください…」

鬼屋敷「そう言われても…ねぇ」


蘭「今、もし私がこのまま普通に生きていったら…ずっと無力なまま生きていったら…」

鬼屋敷「…?」

蘭「自分を…情けない自分を、殺してしまいそうで…」

鬼屋敷「…!!」

蘭「このまま魔法について知らない顔したまま生きていくなんで出来ません。お姉さんが目指した”魔法のない世界”。その夢を、私が叶えたいんです。お姉さんが生かしてくれた命で…!」

鬼屋敷「...」


鬼屋敷は、背中を向けた。


蘭「お願いします!!!!」


鬼屋敷「死ぬより辛いわよ。わかったならついてきなさい」


蘭「!!!」

 

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《第1支部

蘭「今日からお世話になります!!!伊藤蘭です!!!よろしくお願い致します!!!」

千巣「おう、よろしく〜」

虎走「うわー!凛ちゃんとそっくり!!!」

九頭龍坂「かわええなぁ」

村松「…!」


鬼屋敷「みんな〜ビシバシ鍛えてあげてねぇ〜ん」

蘭「よろしくお願いします!!」

虎走「ま、楽しくやろうよ」

九頭龍坂「ヤバくなったら、先輩(コレ)呼べばええんやし」

千巣「セコムかよ」

村松「www」

 


蘭「(お姉ちゃんが言ってた通り…みんな優しい人達だ…!)」

 

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第294話 「表彰」

 

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そして、私は唯一、”魔法が使えない魔法使い”として、先輩達に必死に食らいついた。魔具を勉強し、誰よりも魔具を使いこなそうと特訓した。そして、魔者が1人で退治できるようになり、魔具をたくさん扱えるようになり…

 

《緑の孤島 / 紅白魔法合戦の夜(回想)》


千巣「伊藤も随分強くなったな」

虎走「伊藤ちゃん、マジでMVP級の活躍だったよ!」

九頭龍坂「うちら遊んでただけやしなぁ」

千巣「それは問題発言」

村松「w」


蘭「ありがとうございます。でも、私はお姉ちゃんの仇を取りたい…お姉ちゃんの夢を叶えたい。まだ沢山やりたいことがあるんです。弱いままでは、やりたいことが叶えられませんから」

一同「…」

蘭「そのためには、もっともっと強くなって、沢山経験を積みたいんです。だから、これからもよろしくお願い致します!」

虎走「ぎゃは!伊藤ちゃん真面目w」

九頭龍坂「私も見習わんと」

千巣「ま、これからもよろしくな」

村松「…」コクリコクリ

────

───

──

 


それなのに…なんで、こんなことに…


これじゃあ私は、死に損じゃないか…!


お姉さん…お姉ちゃん…!


ごめんね…!私はお姉ちゃんが大切にしてきたものを壊した…お姉ちゃんの仇もとれなかった…夢も叶えられなかった…誰の役にも立てなかった…

 

無念……!!!


そして、大事な人の命を奪ってしまった...私は仲間を...鬼屋敷さんを裏切った...!


あぁ…私は…どうしようも無いクズだ…魔法使いの汚点だ…

 

 

”そんなことないよ、蘭”

 

 

どこからか、声が聞こえる。


蘭 ”?!”


”だから、もう自分を責めないで?”


蘭 ”お姉ちゃん…?”


凛 ”蘭、よく聞いて。蘭に救われた人はたくさんいる。蘭は魔法が使えないのに、誰よりも一生懸命頑張ったじゃない。私はちゃんと見てたよ…!”


蘭 ”…!”


凛 ”ありがとう。私の夢を叶えようとしてくれて。蘭が自分で考えて、努力して、叶えようとしてくれたこと。それは、私の夢であり、蘭自身の夢でもあったんじゃないかな。私はね…それが嬉しい。いつも私の後を追いかけていた蘭が、一人でもこんなに頑張ってくれた事が、嬉しい”


蘭 ”お姉ちゃん…!”


凛 ”寂しい思いさせてごめんね…!もうこれからは、一人にはしないから”


蘭 ”……!”


凛 ”私たちの仕事は、残念だけどここでおしまい。後はきっと皆が、私たちの分まで頑張ってくれる…!”


蘭 ”う……うん………”

 

凛 ”おかえり、蘭”

 

蘭 ”うぅ…うわぁぁぁぁぁぁん!!お姉ちゃぁぁぁん!!!”


凛は、優しく、全てを包み込むように微笑んだ。

 

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第295話 「復讐の炎」

 

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《第2支部 / 実働班ルーム》


幸二「…」

莉茉「そんな…伊藤ちゃんが…なんで…!」


第2支部のメンバーは、鬼屋敷と伊藤の訃報について聞かされた。涙を流す者、顔を曇らせる者、言葉を詰まらせる者、決意する者…それぞれ思いをつのらせた。


美波「…」

ヒメ「…」

三太郎「…くそ!!!!」

はるか「マジで、許せねぇな」

麗美「ちょっと、怖くなってきた」

ジャ「皆もわかったよね。きっと脅威は、もっと大きくなって、俺たちに迫ってくる」


ジャスティンは立ち上がった。

 

ジャ「魔法は…俺たちの代で殲滅せねばならない…!!」

 

────

 

《ノベルの拠点》

白鶯「…」

白鶯=シェイクスピアの手には、魔導書が二冊握られていた。

”蒼魔導書第二十八章 封印の書”

”蒼魔導書第三十三章 硬度の書”


ズズズズ…


デュマ「あれれ、2人とも死んじゃったんだ」

白鶯「あぁ。残念だよ。大事な駒が無くなった」

デュマ「じゃあ次の駒を探さないとねーシェイクスピア様」

白鶯「そう簡単に見つからないだろう。我々は選ばれた者達。故に、勝手に危険を冒す行動は慎んでもらいたいものだ」


デュマ「ねーねー。俺も少し遊びたいんだけど」

白鶯「ダメだ。お前の能力は作戦決行の鍵になる」

デュマ「もしかして、僕が負けるって思ってる?」

白鶯「…」


デュマ「俺がどれだけの人間を葬ってきたか、知ってるよね?多分シェイクスピア様より多いよ?」

白鶯「…」


デュマ「ま、とりあえずその魔導書片方貸してよ。新しい駒見つけてきてあげるから」

白鶯「...まぁ、いいだろう。俺は今鬼屋敷(かこのぼうれい)を葬ることが出来て気分がいいんだ」

白鶯は、デュマに魔導書をひとつ渡した。

デュマ「いぇーい」

白鶯「抜かるなよ」

デュマ「ホント、心配症だよねーシェイクスピア様!了解!」


ズズズズ…


デュマは消えた。

白鶯「…」

 

────

 

《第1支部


五百旗頭は、第1支部にやってきた。

五百旗頭「こんにちは」

虎走「あ、どうも…」

九頭龍坂「お久しぶりです」

五百旗頭「(皆表情が暗い…無理もないわ…)千巣君は?」


五百旗頭は、千巣の部屋へ行く。


ガチャッ!


千巣「あ、五百旗頭さん」

五百旗頭「悪いわね。取り込み中に」

千巣「大丈夫です。こちらこそ、ご苦労さまです」

五百旗頭「心配になってね。この間、昔魔裁組(ここ)にいた魔導師?とやり合った時の傷。とはいえ、心の傷の方がだいぶ重症そうね」

千巣「まぁ…」


五百旗頭「彼ら、何なのよ」

千巣「白鶯の作った組織らしいっす。魔導師ややばい魔者がゴロゴロいるらしい」

五百旗頭「…」


千巣は、拳を強く握りしめた。

 

千巣「もう、全員皆殺しにしてやりますよ。俺達が」

 

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第296話 「それぞれの正義」

 

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《とある路地裏》


天気は雨。

一善は、とある街にやってきている。人が一人通れるかどうか程の、ビルとビルの間を通り抜ける。すると、ビルに囲まれた狭い十字路に突き当たる。

一善は、一つの角の壁に寄りかかる。


そこへ、百目鬼が現れる。百目鬼は、一善と同じ角の、もう一つの壁に寄りかかる。2人は、顔を見ずに話を始める。


百目鬼「聞いた。死者が出たらしいな。あの日の夜」

一善「あぁ」

百目鬼「俺はそれについて聞かされてなかった…何も知らなかったんだ」

一善「…」

百目鬼「知ってたら伝えたさ…」

一善「シェイクスピアが、白鶯蓮源ということも?」

百目鬼「…!」

一善「(知らなかったのか…)まぁ、わかったからいいけど」

百目鬼「…」


ザーーーーーー

雨は少しずつ強くなる。


百目鬼「俺のことは、もう信じなくてもいい…」

一善「…?」

百目鬼「俺はもうノベルを辞める。魔法使いも辞めようと思う。この力も、お前達に渡すよ」

一善「…」

百目鬼「記憶を失って、人生清算するのも、悪くないかな…とか」

一善「…」

百目鬼「もう色々忘れてくれ。邪魔したな」


百目鬼は、その場を後にしようとした。


一善「待ってよ」

百目鬼「?」

一善「君が逃げてどうするんだよ」

百目鬼「…?」

一善「君も魔法使いの端くれだろう?この状況で匙を投げられるのか?本当に」

百目鬼「…」


一善「やりたいことがあるんだろ?」

百目鬼「…」

百目鬼は、唇を噛み締める。


一善「君も、魔裁組に来なよ」

百目鬼「!!」

一善「今の俺達には力が必要だ。そして奴らに対抗するための作戦や知識。君の力があれば、奴らを倒す希望が見えてくる」

百目鬼「…裏切ったらどうする?俺が」

一善「問題ないよ。君は俺に勝てないだろう?」

百目鬼「ふっ…言うねぇ」


一善「でも、君は奴らを倒すのに必要な存在だ。だからどう?やらないか?」


百目鬼「…なるほどねぇ」

一善「…」


百目鬼「ま、それはやめておこう」

一善「…!」


百目鬼「俺の立場でしか出来ないこともある。また連絡するよ」

一善「!!!」


百目鬼「それまでお互い、生きていようぜ」

一善「…当たり前だよ」

 

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第297話 「消えない憎しみ」

 

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《第2支部

一善が支部に戻る。

三太郎「あ、一善おかえり!」

幸二「おかえり」

一善「ただいま...」

幸二「...」

三太郎「...?」

 

────

 

《東京某所》

 


ガァン!!!!

 


ジャスティンが、2人の男をフェンスに押し付ける。


ジャ「おい...さっきの地下駐車場の魔者、お前らが作ったんだろ?その紙で」

男A「は、はぁ?な、何言ってんだァゴラ?(こいつ...!隠れてたのにすぐに見つけやがった!)」

男B「ら、乱暴は良くないぜ?!兄ちゃん...!」


パキパキパキィ...!

ジャスティンは、エレメントを地面から発生させ、男達の脚を折った。


バキッ!!!


男達「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ジャ「死にたくなければ3秒で話せ」

 

男達「!!!」

ジャ「ノベルとは何だ。何が目的だ。その中に、”ガスマスクの魔者”はいるか?」

男A「お、おぃ...!お前、俺を殺してみろ?!ボスが...シェイクスピア様が黙ってねェぞ?!」

男B「お前も死にたくなければ...やめとけよ!今なら許してやるから!」


バキッ!


男達「!!!!!!!!」

ジャ「聞こえなかったのか?話せ」

男達「...!!」

ジャ「シェイクスピア、お前らの上の名前か。本名か?」

グサッ!!!

ジャスティンは男達の肩にナイフを突き刺す。


男A「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!」

男B「わかったわかった!!!話す!!話すから!!!殺さないで!!!」

男A「お、俺達は、この紙をエミリーって言うナンバー2の女に渡されて!それで遊んでただけだ!!シェイクスピアの顔も何も知らねぇんだよ!」

男B「他の幹部たちもそうだ!!顔を知ってるのはエミリーだけで、その女はもう死んだ!だから俺達はこの紙パクって、トンズラしようと思ってたんだよ...!」

ジャ「...」

男A「俺達は下っ端だから、魔者が見える程度の力をエミリーに貰っただけで、だから他には何も...!」


ジャ「...」

 

────

 

《第2支部

三太郎「ジャスさんおっそいなー」

幸二「...」

一善「...」


三太郎「って!なんだよ!流石に暗すぎるぞ!お前ら」

幸二「俺は暗いんじゃない。デフォルトだ」

三太郎「確かに」

幸二は、一善に目をやる。


一善「今日は、魔者の出没もほぼなかったね」

幸二「雨だしな」

三太郎「一善、今日一応オフだよな?休めた?」

一善「まぁね」

三太郎「ま、この雨だしなー」

幸二「...」

一善「明日は、もっと手がかりを見つけないと...」

三太郎「?」

幸二「...?」

一善「これ以上...魔導師(クズども)にのさばらせる訳にはいかない...!」


三太郎「...そうだな」

幸二「ちょっと、買い物」


幸二は外へ出た。

幸二「ふー」

 

────


第298話 「誰が為」

 

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スカイツリー


幸二「...」


最近、支部の雰囲気が悪い。


ノベルの暗躍...


第1支部の一件...


こういう状態になる理由としては十分すぎることが、立て続けに起きた。


三太郎は、皆を少しでも元気付けようと、気丈に振舞っている。

一善は、一刻も早く事態を収束させるために、任務に没頭している。


どちらも、皆の為を思って、自分に出来ることを模索している。


俺は...?


俺は、皆の為に、今何が出来る?何をやっている?


三太郎。辛いよな。きっと笑顔の裏には、沢山の苦悩や、不安があるんだろ...?お前はそういうやつだもんな。


一善。お前は本当に逞しくなったよ。あの時、ここへ来て泣いていたお前のことを俺は忘れない。俺は、あの時のお前みたいな人を助けたくて、魔法使いをやっている。

 


だけど、今の一善からは、簡単に自分の命まで投げ捨ててしまいそうな怖さを感じる。まるで、憎悪に取り憑かれたような...


俺はお前たちを...守りたいんだ。一人の人間として、しっかりと生きていく人生を、守りたいんだよ...!


なのに...


...今のままじゃ、ダメだろ...!

 

────

 

《第1支部 / 検査室》


この日、伊藤と鬼屋敷の追憶調査が行われた。

ヒメ「やはり、千巣さんが伊藤さんから聞いたことは、だいたいその通りでした」

千巣「そっか」

五百旗頭「2人ともありがとう。2人の証言を元に、研究を進めるわ」


ヒメ「魔導書を奪う方法が分かれば、私たちが魔導放棄せずに、魔導書を放棄する方法が分かりそうですよね」

千巣「”魔導書は、引き寄せ合う”。白鶯が残したこの言葉が鍵になると思うんだが」

ヒメ「どういう意味なんですかね」


五百旗頭「...なるほどね」

千巣・ヒメ「?」

五百旗頭「少しわかったかも」

千巣「まじっすか?」


五百旗頭「ええ。必ず成功させてみせる。この研究を!」

 

次回、新章突入──!

 

SOREMA -それ、魔!- 35へ続く。

 

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第290話 「差」

第291話 「錯乱」

第292話 「姉の願い」

第293話 「私も」

第294話 「表彰」

第295話 「復讐の炎」

第296話 「それぞれの正義」

第297話 「消えない憎しみ」

第298話 「誰が為」