SOREMA -それ、魔!- 8

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SOREMA -それ、魔!- 8

「紅白魔法合戦」

 

────


第64話 「顔合わせ」

 

────


《とある空港》

10月某日。本日は、第1支部と第2支部で合同で行われる魔裁組公式イベント、”紅白魔法合戦”当日である。


ジャ「いやーいよいよ紅白当日だねぇ!!楽しみだねぇ!!三太郎!!」

三太郎「ワクワクワクワクワクワク!!!!」

幸二「(マジで落ち着けよ...)」

一善「空港集合ってことは、飛行機で行くんですか?」

ジャ「うん。そう。会場まで少し遠くてね、でもただの飛行機じゃないよ?」

一善「?」

ジャ「プライベートジェット」キラリン!

三太郎「プライベートジェット?!」キラキラ!

一善「それはともかく、集合時間になってますけど、メンバーこれだけですか?」

ジャ「いや反応薄すぎん?w」


莉茉「遅くなりました〜」

ジャ「おうリマリマ!」

三太郎「(ん?な、なんだ...?この綺麗め系超絶かわいいお姉様は?!)」

莉茉「おはよう!幸二くん。一善くん」

幸二「おはようございます。お久しぶりです」

一善「おはようございます」

三太郎「あ、あのモジモジ、佐藤、三太郎です、モジモジ、よろしくお願い致します///」

莉茉「初めまして!越前莉茉です。よろしくね!」


三太郎「(か、かわぃぃ...)」


・・・


莉茉「あれ、これだけ?」

ジャ「うん。もう集合時間過ぎてるんだけどなぁ」

幸二「あいつら、やる気あんのか?」

ジャ「ま、来るっしょ」


~数分後~


カツカツカツ...

ガラガラガラガラ.....


靴音と、キャリーバッグを転がす音が大きくなる。


一善「?」

三太郎「?」

幸二「あ、」

ジャ「来たな」ニヤッ

 

武智 はるか

魔裁組第2支部実働班所属。元ヤン。

はるか「オッスオッス!!久しぶりだな!ジャスティン!莉茉っち」ド   ン    !


ジャ「久しぶり!」

莉茉「もっと早く来なさいよ!心配したんだから」

はるか「わりぃわりぃ、気づいたら遅くなっちまった笑」

莉茉「んもぅ」

一善「(そういうあなたもギリギリだったんだけどね?うん)」

 

空見 麗美

魔裁組第2支部実働班所属。魔法協会御用達空見家のご令嬢。

麗美「てか、出て欲しいって頼まれたから来てるんだけど、迎えに来てよね。普通に」ド    ン    !


幸二「相変わらず勝手だな」

麗美「ま、来てあげてるだけ有難く思って欲しいんだけどネ」

幸二「...」

麗美「ま、私もあっちでやりたいことあるし、いいんだけど」


南野 美波

魔裁組第2支部実働班所属。元引きこもり。遅刻魔。

美波「すみませんすみません!寝坊してしまいました!すみません!」ド     ン     !


ジャ「ま、美波にしては、今日は早いんじゃないか?」

美波「すみません!いつもすみません!」


一善「この人達が、実働班のメンバー...!」

 

衝撃の顔合わせ────!

 

────


第65話 「フライト前」

 

────


《とある空港》

美波「あの...この人達は...?」

美波は、肩をすぼめながら、一善と三太郎を見た。

三太郎「あ!俺、佐藤三太郎!20歳!よろしくお願いしまーす!!」

一善「油木一善です。同じく20歳です。よろしくお願いします」


はるか「へー!!私らみんなタメじゃん?!仲良くやろうぜ!」

三太郎「おう!よろしくな!」

はるかは、三太郎と握手をした。


三太郎「!!?!!」

一善「?」

三太郎「(...なんだ、この握力...!手が押しつぶさそうだ!)」

三太郎の顔が青ざめる!

はるか「あ!わりぃわりぃ!紅白っていうから、つい気合い入っちまった!大丈夫か?」

三太郎「...だ、大丈夫だ...」


麗美「アンタが、履術者でエレメント使いの油木一善?」

一善「あ、はい」

麗美「へぇ、見た目は全然強そうじゃないけど、結構やり手なのよね?ジャスティンくんから聞いてるわ。本番が楽しみね。フフッ」

一善「(戦わなくても分かる...この気配と圧の強さ...この人、強い!)」

麗美「何?」

一善「あ、いや、何でも...(怖っ)」


美波「...」

幸二「お、おはよう」

美波「...おはよう」モジモジ

幸二「?」


莉茉「これでみんな揃ったわね。ジャスティンさん」

ジャ「そだねー!じゃあみんな、飛行機に案内するよー着いてきてー」


一行は、飛行機の搭乗口へ向かう。

 

三太郎「あれか?!!!?!」


一行の視線の先には、黒いプライベートジェットが止まっていた。


三太郎「カッケーーーー!!」

幸二「(子供かよ)」

麗美「フン、ガキくさ」ボソッ

一善「(声に出しちゃったーー)」

三太郎「ん?今なんかディスられなかった?」ピキッ

麗美「何も言ってないんだけど?☆」

三太郎「///(...くそ!今不覚にも一瞬可愛いと思ってしまった!厄介なヤツめ!くそ!)」


美波「...よろしくね、一善くんだよね?」

一善「うん。美波さんだよね。よろしく」

美波「うん...」


・・・


一善「(会話が続かないッ!!!)」


はるか「なぁ莉茉っちー!今年って、向こうの人数何人だ?」

莉茉「4人って聞いてるけど?」

麗美「いえ、5人よ」

莉茉「1人増えた?」

はるか「もしかして、”あの人”来んの?」

麗美「うん」

はるか「うわーーーマジかよーーーあの人いなければ余裕で焼肉フルコースだったのにマジかーーー」

麗美「大丈夫だよ。流石にこっちは7人いるし、ジャスティンくんも出るんでしょ?」


ジャ「あ、俺はこっちに残るよ?!」


女子勢「え?!!!」

 

────


第66話 「快適な空の旅」

 

────


《空港/搭乗ゲート》

ジャ「俺、ここで皆とはバイバイなんだ!あとの進行は莉茉に任せてあるから!」

はるか「マジ?!ジャスティンなんででねぇんだ?!」

ジャ「ほらー7人までだしー、俺はこっちに残って街を見張らないと」

莉茉「だから、今回は私、莉茉、麗美、美波、幸二くん、そして新人の一善くんと、三太郎くんで出場します」


はるか「マジか!おい新人!よく聞け!これには焼肉フルコースがかかってるんだよ!」

三太郎「焼肉...フルコースだと?!?!」


はるか「そうだ!!!買ったチームには焼肉フルコースが全員分奢られるんだよ!!!私は!!それを!!!絶っったいに食いたい!!!」

三太郎「俺も!!!!!!!」

はるか「だから新人!!!!マジで全力で活躍しろ!!!!焼肉のためにも!!!!!」

三太郎「任せやがれい!!!!!」

はるか・三太郎「やっきにく!やっきにく!・・・」

幸二「(バカ×バカだな)」


麗美「ふんっ、私は正直勝ち負けはどうでもいいの」

美波「...麗美ちゃん?」


麗美「私は去年の屈辱を果たす。あのクソ女どもに地べたを舐めさせてやる。ついでに背骨も折ってやろうかしら...」

美波「ふぇぇ...」


ジャ「おーーーっとストップストップ!相手の魔法使い生命を断つような意図的な攻撃はダメだよ!君たちはルール分かってるでしょ?!」

麗美「はーい。じょーだんです」


一善「僕達はまだルールを把握してません」

莉茉「飛行機の中で説明するわね」


ジャ「じゃ、焼肉楽しみにしてるねーん」

三太郎「いってきまーーーす!」

莉茉「(焼肉だけ食べる気かよw)」


一同は、飛行機に乗り込んだ。


《飛行機の中》

はるかは、飛行機に入った途端に睡眠。麗美は、音楽を聴いて窓の外を見て、美波は、持ってきたマンガを読んで、それぞれ過ごした。

 

ーーーーー


回想──

 

《第2支部

犬飼「おい、”ドーベルマン”」

幸二「はい?」

犬飼「これさ、”トイプードル”に渡しておいてくれない?────」

 

ーーーーー


幸二は、犬飼から受け取った謎の紙袋を手に、飛行機の高低差にビビっていた。

幸二「(飛行機こわっ)」ブルブル


莉茉「まず、やることは、無人島に着いたら、私たちは、その島の出口を目指すの。紅組白組それぞれ別の入口から森へ入る。森に入ったらもう出られないわ。時間差で各チーム1人づつ入っていくの。そして、島の構造上、出口は1箇所、北側の砂浜のみ。それ以外は崖や柵で囲まれているわ。海に落ちたら失格よ」

三太郎「ふーん」


莉茉「そして、一定の時間が過ぎると、砂浜に一艘のいかだが隣の島からやってくるの。ここにチーム内から1人でも乗り込めば勝ちよ」

 

────


第67話 「着陸」

 

────


《飛行機にて》

三太郎「え、じゃあさ、最初足が早くて、方向感覚がある奴が、一気に出口を目指せばいいんじゃないか?」

莉茉「そう簡単に行かないわ。'森'が'動'くの。森にはマヂカラが宿ってるわ。まぁ、森自体が魔者みたいなものね。だから、ルートもすぐに変わる。一直線に出口へ向かうのは基本的に無理ね」

三太郎「ぐぬぬぬぬ」

一善「森の中で敵チームと鉢合わせたらどうするんですか?」

莉茉「それは本人たちの自由よ。逃げるもよし、もちろん戦うもよし。最初から出口を目指さずに、相手を全員行動不能にしてから出口を目指すのも手ね。やりすぎた攻撃はダメだけど」

三太郎「なるほどな」ニチャア


一善「逆に、いかだが来るまでに砂浜に2チームのメンバーが集まった場合、どうするんですか?」

莉茉「一緒に仲良くいかだを待つと思う?一善くんは」

一善「...ないですね」

莉茉「ふふっ笑」


三太郎「なるほどな!!要するに、椅子取りゲームってことだな!!」

一善「(多分違う...)」

 

ーーーーー


《第2支部

五百旗頭「おかえり、神野くん」

ジャ「見送ってきたよん。なぎちん」

五百旗頭「勝算は?」

ジャ「ぶっちゃけ、7割は負け、かな」

五百旗頭「手厳しいのね。私の技術力に不満でも?」

ジャ「いや、そういうことじゃないけど、流石にあの”モンスター”を何人がかりで止められるか」


五百旗頭「そういえば、一善くんのお母さんのご遺体、調査が終わったわ」

ジャ「結果は?」

五百旗頭「傷跡をよく見たら、”鱗”のような痕跡が残っていたの」

ジャ「”鱗”か...」

五百旗頭「確か、四十九巻だったわよね。奪われたの」

ジャ「あぁ」


五百旗頭「'可'能'性、あるわよね」

ジャ「...?!確かに...」


《とある島/緑の孤島》

一行の飛行機は、戦いの舞台...の隣の島、緑の孤島に辿り着いた。

はるか「ついたーーーー!!!一年ぶりだーーー!!!」

麗美「去年を思い出すわ」

三太郎「そういえば、去年はどっちが勝ったの?」

幸二「俺たちが負けた」

三太郎「そうなのか」

はるか「でもー?!今年は、私たちが勝ァつ!!!」

三太郎「そうだァ!!!!」


莉茉「向こうにコテージがあるから、そこで着替えましょう。ユニフォームを渡すわ」

一善「はい」

美波「あ、みんな...あれ...」


美波が指を指した先を全員が見た。それは、空に浮かぶ、今にも着陸しようとしている1機の飛行機だった。


幸二「来たな...」

 

ゴゥゥゥゥゥゥゥ....

 

飛行機は、彼らの頭上を通り過ぎ、轟音を上げながら着陸した。


一同「...」ゴクリッ


バタッ...


飛行機のドアが、空いた。


一善「...!」

 

第1支部、到着────!

 

────


第68話 「魔裁組第1支部実働班」

 

────


《緑の孤島/飛行場》

ゴゴゴゴゴゴゴ...!


伊藤 蘭

魔裁組第1支部所属。新人。紅白初参加。生真面目な性格。

伊藤「皆さん、足元、段差に気をつけて下さいね...!」ド     ン      !

莉茉「初めて見る顔ね...」

 


虎走(こばせ) 葉月

魔裁組第1支部所属。いたずら好きな性格。

虎走「ぎゃ!なんか、思ってたよりも寒!」ド     ン     !

はるか「...!」


九頭龍坂(くずりゅうざか) 小町

魔裁組第1支部所属。一見お淑やかな性格。京都出身。

九頭龍坂「ふふっ。第2支部の皆さん、元気してはったやろか」ド     ン     !

麗美「見つけた...!」ゴゴゴゴ...


村松

魔裁組第1支部所属。無口な少女。

村松「........」ド     ン     !

美波「あわわわわ...」


4人の女子が飛行機から降りる。

すると、4人は途中で、降りてこない”もう1人の仲間”の方を振り返る。


虎走「...ちょっと、先輩、早く!」

九頭龍坂「どないしはったん?」

村松「...」

伊藤「ゆ、ゆっくりでいいですよ?先輩?」


???「待って、なんかシートベルト抜けねぇんだけども?」


九頭龍坂「かわええなぁ」

虎走「ぎゃは!もういっちゃうよー」


???「取れた」

伊藤「!」


千巣 万之助 (せんのす ばんのすけ)

魔裁組第1支部所属。少し前ロサンゼルスから帰国。目が死んでる系。

千巣「わるいわるい。お待たせ」ド    ン     !

幸二「...!!!」

一善「...!」ビリビリッ!

三太郎「へっへっ...ありゃ強そうだな...」ビビビッ!

 

ーーーーー

 

《第2支部

東京では、パラパラと雨が降り始めた。

五百旗頭「雨ね。これなら神野くんも行ってもよかったんじゃない?」

ジャ「なら、安心して試合観戦出来るな」

五百旗頭「...まぁ、そうね」

ジャ「てか、姐さんまだ来ないの?」

安西「あ!もうすぐ着くとさっき連絡がありました!!すみません!!」

犬飼「勝てよ...ワンコ共...」


鬼屋敷「お邪魔するわ〜〜?!?!」


ジャ「よ!姐さん」

五百旗頭「ご無沙汰してます」


鬼屋敷「あら、どうも、人間国宝の五百旗頭さん」ド     ン     !

 

────


第69話 「火花」

 

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《緑の孤島/飛行場》


第2支部と第1支部は顔を合わせる。


莉茉「お久しぶりです、第1支部の皆さん」

伊藤「は、初めまして!皆さんとお会いできて、光栄です!」

はるか「今回勝つのはウチだぜ、焼肉は第2支部が頂くわ!」

三太郎「そうだそうだ!!」

虎走「あれ、皆、去年のこと忘れちゃったのかな?」

九頭龍坂「前向きでええなぁみなさん」

村松「...」

麗美「私は忘れてないわ。前回の屈辱、1000倍にして返してあげる」ビリビリッ!!

九頭龍坂「あら、相変わらず、威勢がええなぁ」ビリビリッ!

虎走「ぎゃは!また教えてあげよっか」ビリビリッ!


幸二「結局来たんですね」

千巣「まぁ、なんか、鬼屋敷さんが出ろって」

一善「(全員、やっぱり強そうだ...)」


三太郎「男は1人か、あんた、俺と勝負になるかもなぁ!俺は三太郎。スーパーヒーローになる男だぜ!」

千巣「へぇ。すごいな」

三太郎「あんた、強いだろ?」

千巣「いや、俺は弱いぞ?」

幸二「この人は、千巣先輩。魔裁組実働班の中では両支部合わせて最年長だ」

千巣「鬼屋敷さんは除いてな」

一善「油木一善です。よろしくお願いします」

千巣「よろしく」


莉茉「第2支部の皆、とりあえずコテージへ」


第2支部の面々は、コテージに移動した。


九頭龍坂「今年も、少しは楽しいとええけど」

虎走「ま、手応えありそうじゃん?」

千巣「(はぁ...かえりた)」

 

《緑の孤島/コテージ》

麗美「あーまじ腹立つ。マジ〇してやりたい」

美波「麗美ちゃん落ち着いて」


三太郎「何?向こうと仲悪いのか?」

幸二「ま、支部同士の仲は良くはないな。同じ魔法使いとはいえ、文化が違いすぎる」

一善「というと?」


幸二「第1支部の実質的長は、鬼屋敷蝶絵という人物だ。70歳を超えた、最年長の魔法使いで、人間国宝だ」

三太郎「人間国宝!!」

一善「マヂカラのピークって、普通26歳前後なんじゃないの?」

幸二「あの人は人智を超えてる。だから、人間国宝なんだよ。もうほとんど戦線には出ないけどな」

一善「なるほど」


幸二「で、鬼屋敷さんは、自分より年少の五百旗頭さんが開発した”エレメントシステム”をあまりよく思ってない。だから第1支部の面々は、魔導書や魔具を用いた昔ながらのスタイルを使ってくる」

一善「魔具って?」

幸二「マヂカラが宿った武器だよ。エレメントが開発される前は、非履術者は魔具を使った戦い方が主だった。第2支部では、エレメントに切り替えたからもう使う人間はほぼ居ないがな」

一善「なるほど」

 

────


第70話 「胸騒ぎ」

 

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《緑の孤島コテージ》

幸二「あの伊藤っていう新人は知らんが、他のメンバーは去年も参加してる。奴らは全員履術者だ」

一善「全員が?」

幸二「そうだ。全員手強いが、特にやばいのが千巣先輩だ」

三太郎「あの目が死んだ男だな」

幸二「あの人は、俺と越前さんと共に、”最初にエレメント注射を受けた3人”のうちの1人だ。だから、エレメントも使えるし、履術者でもある」

三太郎「一善と同じだな!」

一善「(ジャスティンさんが言ってた、海外に行ってた人ってその千巣って人だったのか)」


幸二「そしてあの人は、”魔裁組史上最強の6人”の最後の生き残りだ」


一善「?!」

三太郎「史上最強の6人!!!」キラキラ!!

一善「何それ?」

幸二「6年くらい前、魔裁組に在籍した6人の魔法使いのことさ。彼らが全員いた頃は、魔者も恐れをなしたのか、魔者がほとんど街に現れなかった程には強かった」

三太郎「なんだそれ!!すげぇ!!!」

一善「生き残りってことは、他の人たちは亡くなったの?」

幸二「'1'人'を'除'い'て、生死不明。まぁ他は皆生きてるさ。生き残りってのは、他は魔裁組からは去った、という意味だ」

一善「ふーん」

幸二「つまり、今の魔裁組実働班の中では間違いなく”最強”。お前たちも出くわしたら覚悟を決めろ」


三太郎「そんな強えやつと戦えるのか!!!マジで燃えてきたわ!!!!」

 

莉茉「皆!ユニフォームを渡すわ!」

莉茉は、白いハッピのようなユニフォームを全員に配った。背中には金色の字で”魔裁”と、大きく刺繍されている。

麗美「出たこれ。ダサ」

莉茉「それはジャスティンさんに言って」

はるか「いいじゃんこれ!!私は好きだぜ?!」

麗美「だってはるかDQNだし、ぴったりだよね」

はるか「あ”あ”?!おい麗美、私のどこがDQNだって?!」

麗美「あ、ごめんなさい私”半殺し”にされたくないんでー」

はるか「それは言わないでっ!」

一善「?」


三太郎「うわーーすげーーー!応援団長みたいだーーー!あっはっはー!」

幸二「そうか?」

一善「これ、着ないとダメなの?」

幸二「これは第2支部チームであることの証明でもあるから、自分から脱いだらルール違反で失格になる。相手もそうだ」


《緑の孤島/紅組コテージ》

虎走「こまちー、なんか、このハッピデカくね?」

九頭龍坂「せやろか?にあっとるなぁおもったけど?」


村松「.......」


伊藤「(...足を引っ張らないようにしないと...!)」

千巣「緊張してんのか?リラックス」

伊藤「はいっ!」

虎走「大丈夫だって蘭ちゃん〜!ウチらは”敵の妨害だけ”やっとけば勝てちゃうんだから」

九頭龍坂「せや。ね、千巣はん」

千巣「え、そういうこと?俺の仕事多すぎじゃね?」

虎走「”去年も”そうやって勝ったじゃないですか〜?大丈夫ですよ〜。ね、せ・ん・ぱ・い?」

九頭龍坂「楽しみやなぁ」

千巣「あは、あははははは」

 

千巣「(...この人達、怖っ!!!)」

 

────


第71話 「紅白魔法合戦」

 

────


《第2支部

鬼屋敷「そっちは、大口叩いてたけど、どうなのよ、調子は」

ジャ「さぁね。ま、”千巣さん引きずり出せた”し、俺の仕事は終わり。あとは皆がどれだけ食らいつけるか」

鬼屋敷「ハッハッハッハッ!そういう事ねぇ...あんた、私のことを利用したね?」

ジャ「乗ってきてくれて有難かったよ。これで、彼らはもっと成長する」

五百旗頭「かなり期待してるのね」


犬飼「ん?どういうことだ?」コソコソ

安西「だから、第2支部の特訓相手として千巣君を引きずりだしたくて、鬼屋敷さんを敢えて挑発したってことよ」コソコソ

犬飼「なるほど。ヒヤヒヤさせやがって」コソコソ


ジャ「俺のピークまでもう少しあるが、俺はぶっちゃけそんな強くはなれない。もう今がピーク迎えててもおかしくない。だけど、彼らは全員伸び代だらけだ。だから、少しでも多くの成長要因を彼らに与えたい。俺や”あの6人”を超えて欲しいんだ」

鬼屋敷「...!」

五百旗頭「...!」

ジャ「そもそもこの紅白の目的は、魔法使いの成長を促すためのものだ。俺の言ってること、あながち間違ってはないじゃん?」

鬼屋敷「そうね」


安西「もうすぐ、開戦ですかね」

犬飼「(ドーベルマンのやつ、ちゃんと渡したか?)」


《緑の孤島/港》

ドン!!!!!


ドン!!!!!


審判「赤いハッピの第1支部、白いハッピの第2支部、両軍とも、”黒の孤島”へご移動願います!」

審判は、大きないかだを港につけ、全員そこに乗り込んだ。


三太郎「緊張してきたな...!」ドキドキ..

伊藤「...!」ドキドキ..

一善「...」

麗美「...」ゴゴゴゴゴゴゴ...

はるか「...」ニク...

千巣「...」ボーーーーー


いかだが海を渡り出した。静けさに包まれ、膠着状態。まさに、嵐の前の静けさ。

そして、しばらくすると、前方に黒く霧のかかった島が見えた。


三太郎「ん!あれは?!」


虎走「あれが、戦場、黒の孤島よ」ド   ン    !


一善「あそこが...!」

三太郎「すげえ...強いマヂカラを感じる...!」

伊藤「...」


《黒の孤島/南の砂浜》

いかだは、南の砂浜に到着した。

審判「では、紅組は右へ、白組は左へお進み下さい」

はるか「よっしゃー!行くかぁ!」

麗美「そっちは右」

はるか「あれぇ汗」


紅組(第1支部)、白組(第2支部)共に、スタート地点に着いた。


莉茉「必ず勝つよ」

三太郎「当たり前よ!」

はるか「肉!肉!」

麗美「絶対に勝つ」

幸二「...!」

美波「頑張らないと...」

一善「(やるしかない...!)」


伊藤「はい!自分!頑張ります!」

虎走「さてと、ちゃちゃっとやろ!」

九頭龍坂「手加減なしでやらせてもらいます」

村松「...」

千巣「ま、やるか」


プヲォォーーーーーン!!

法螺貝の音色が鳴り響いた!


行くぞ!!!!!!


紅白魔法合戦、開戦────!

 

SOREMA -それ、魔!- 9 に続く。

 

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第64話 「顔合わせ」

第65話 「フライト前」

第66話 「快適な空の旅」

第67話 「着陸」

第68話 「魔裁組第1支部実働班」

第69話 「火花」

第70話 「胸騒ぎ」

第71話 「紅白魔法合戦」