SOREMA -それ、魔!- 58
SOREMA -それ、魔!- 58
”Blizzard”
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第471話 「氷」
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【ノベルウォー現在の動向】
・渋谷(結界・炎)
ジャスティン vs サド
・池袋(結界・煙)
莉茉 vs クリスティ
はるか、結界外
・上野(結界・霧)
美波移動中
・新宿(結界前)
麗美・京金
・品川(結界前)
幸二・三太郎
・東京(結界前)
一善
・表参道
虎走 vs アール・カルマ & 魔者数体
・上空基地
五百旗頭・ひえり
ヒメ、外へ
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《第2支部 / 実験室》
黒髪のジャスティンと五百旗頭。
テーブルには空になった注射器が置かれている。
ジャ「五百旗頭さん。僕はなれたんでしょうか?魔法使いに…」
五百旗頭「ジャスティンくん。正直に言うと、成功とは言い難いわ」
ジャ「...!」
五百旗頭「貴方に打ったのは、赤のエレメント。だから本来はオーラが赤く光る筈なの。または原色持ちと言って、既に体にマヂカラが流れている場合、色が自動的に決まる人もいる。でも、貴方の指から上がったオーラの色は”無色”。だから...」
ジャ「そ、そんな…!」
五百旗頭「ごめんなさい…私の実力不足で」
ジャ「悔しいですけど…自分で志願したことですから」
五百旗頭「私も悔しい…!」
五百旗頭は涙を流した。
ジャ「五百旗頭さん...」
五百旗頭「ごめんなさい...でも、貴方の体には確かにマヂカラが流れたわ。だから、これからは魔者がその目で視認出来るようにはなる...でも、これ以上のことが出来るようになるとは、必ずしも言ってあげられない...」
五百旗頭はメガネを取って目元を拭う。
ジャ「五百旗頭さん!僕!」
五百旗頭「…?」
ジャ「僕、もう少し足掻いてみます。可能性は0じゃないんですよね?なら、魔法使いになった自分をイメージし続けます!五百旗頭さんの研究を無駄にはしない…!」
五百旗頭「…!」
ジャ「想像(イメージ)をやめてしまったら、死ぬのを待つだけだ。そんな人生、僕は嫌だから…!」
回想終わり────
《魔導結界・炎》
ジャ「(俺のこの力は...”失敗”なんかじゃない...!この力はなぎちんや姉さんから確かに渡された...バトンなんだ...!)」
サド「...」
ジャ「おい...覚悟は出来たか?」
サド「何の覚悟だ?」
ジャ「消し炭になる、その覚悟だよ...!」
サド「ふっ。戯言か」
ジャ「その余裕もいつまで続くか、”これ”を見ても正気でいられるか見ものだな...!」
ジャスティンは、右手と左手の指と指を重ね合わせて、目を据わらせる。
サド「何をする気か知らないが、まぁいい。この紅蓮の炎の中で、消し炭になるのはお前だ...!」
サドは瞬間移動し、ジャスティンに迫る!
ジャ「...こう言うんだっけな」
サド「...!」ビュンッッ!!
サドの拳がジャスティンに届かんとしたその時...!!!
ジャ「”魔導結界展開”!!!!!!」
サド「?!?!?!?!」
ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ...!!!!!!!!
キ ィ ィ ン !!!!!!!
辺りの燃え盛っていた景色は、一瞬にして凍結した!!!辺り一面は白く、凍てつく空気にのまれた。
これが、ジャスティンの魔導結界展開。
サド「...まさか...?!?!」
ジャ「ここがお前の墓場だよ」
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第472話 「サド」
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《ジャスティンの魔導結界》
サド「...(これは、少し仕様が異なるが、魔導の力による結界で間違いない...!だが、何故この男が?)」
ジャ「どう?出来栄えは」
サド「そう簡単にできるモンじゃないがな...貴様...」
ジャ「これは、僕にしか出来ない超技さ」
サド「...」
ジャ「...(百目鬼に教えて貰った魔導結界の仕組み。百目鬼は殆ど分かってなかったけど、彼の少しのヒントと、俺の”覚醒”したエレメントの力で、膨大な量のマヂカラをコントロール出来る術を知れた。結界が既に貼ってあったおかげでマヂカラの土俵があったのは救いだな。おかげでタダ乗り出来た。これならアイツを封殺出来る...!!)」
サド「成程な。見くびっていたよ。少しはやるようだ」
サドは、顔についたガスマスクを投げ捨てた。
ジャ「...!!」
サドの素顔が顕になった。ガスマスクで覆われていた部分は巨大な口があり、何十本もの長く鋭利な牙が禍々しく生えている。
サド「...」ググゥ...
ジャ「...」
サド「さぁ...どうやって殺してやろうか」
ジャ「こっちのセリフだよ...!」
ジャスティンはサドに迫る!
ジャ「白のエレメント!イエティの鉄槌!!」
ドゴーーーーーン!!!
サドは攻撃を躱す!
サド「...(恐らくこの結界のせいでこの男の技の威力が上がっている...だが)」
サド「魔導拳法...!”カルバリン”...!!」
ジャ「...!」グハッ
サド「さっきまでの威勢はどうした?」
サドはジャスティンに追撃をくらわす!
サド「”カロネード”!!!」
ジャ「...!」ズズズッ...
ジャスティンは押されながらもサドの右手を掴む!
ジャ「白のエレメント!アイスティネイル!!」
ズバッ!!!
サド「...!!」
サドの右手が吹っ飛ぶ!
ジャ「白のエレメント!一貫ピック!!」
ジャスティンは、手にアイスピック状にしたエレメントを握り、サドの顔面目掛けて突き刺す!!
サド「...!!!」
ガブッ!!!!
ジャ「...!」
サドはジャスティンの攻撃を牙で受止め、噛み砕いた!
ジャ「くそっ...!」
サド「甘いな」
サドは回転し、再び生やした右手でジャスティンに裏拳をくらわす!!
サド「魔導拳法...!”カノン”!!」
ジャスティンは飛ばされる!
ジャ「...!くっ!どこだ?」
ジャスティンが目を開けると、サドは消えていた。
ジャ「出てこい!魔者!」
すると、ジャスティンの腹を衝撃が襲う!
ジャ「...!」グハッ!!
サド「ずっとここにいたぞ?」
ジャ「...!?」
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第473話 「一手」
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《ジャスティンの魔導結界》
ジャ「...!」グハッ!!
サド「ずっとここにいたぞ?」
ジャ「...!?」
サドは、ジャスティンの目の前に現れ、ジャスティンの腹に前蹴りを食らわせた!
ジャ「...?なんだ?能力か?」
サド「まさか俺が無能力の魔者とでも思っていたのか?」
ジャ「...(確かに、こいつはまだ能力を明かしてなかったが...!)」
サドは再び消える。
ジャ「速い...!いや?これは、速さの問題か?」
ドカッッ!!!
サドは背中からジャスティンを蹴り飛ばす!
ジャ「うわぁぁ!!」
サド「やはりつまらんな。手加減してやろうか?」
ジャスティンは前に倒れ、手をつく。
ジャ「...(後ろから...!わかったかもしれない。こいつの能力は恐らく...!!)」
すると、サドの爪先がジャスティンの顔面を蹴り上げる!!
ジャ「!!!!」ガハッッッ!!
サド「...」
ジャスティンは飛ばされながらも、バランスを取り戻し、足を広げて地面に着地する。そして、顔面の血を腕で拭う。
サド「...」
ジャ「お前、消える能力者だな」
サド「あぁ。如何にも」
サドは腕を背景の色彩に同化させながら言った。
サド「魔導書第二十九章 透過の書。俺は背景に自身を同化させることが出来る」
ジャ「...ご丁寧にどうも」
サド「教えた所で力の優劣に変動あるまい...」
スススッ...
サドは再び姿を消した。
ジャ「...(姿を消したな...いや、だが、マヂカラの流れを感知すれば、視界から消えても動きを追えるかもしれない...!)」
ジャスティンは目を瞑り集中する。
すると、サドはジャスティンの背後に現れる!
ジャ「...」
ジャスティンは全く気が付かない...!
サド「ふっ。無駄だぞ?」
ジャ「...!!」
ドカッッ!!!!
ジャスティンはサドに殴り飛ばされる!!
ジャ「ぐわぁぁっっ!!!」
サド「残念だが、透過中の俺のマヂカラは、余程のモンがねぇと追えないぞ」
ジャ「...(ちっ...千巣さんや粟生屋さんの能力なら追えたかもしれないが...俺は二人じゃない...なら...!!)」
サド「ふっ...」
スススッ...
サドは再び消える。
ジャ「簡易エレメント...!!マヂカラを追え!!」
ジャスティンはシャボン玉の様な透明なエレメントを幾つか繰り出した。
これは、前に莉茉との協力技で繰り出したのと同じ簡易エレメントの一種。攻撃能力が無いのが特徴で、今回はマヂカラが流れる場所に集まる習性を持った簡易エレメントである。
ジャ「...(俺自身が追えなくても、奴の場所さえ分かれば...!)」
しかし、エレメントの玉は動かない。
サド「...ふっ愚かな!」
サドはまた背後に現れ、ジャスティンに迫る!
ジャ「...!!」
バッ!!!
ジャスティンはサドの攻撃を避けた!
サド「今度は避けたか」
ジャ「...(簡易エレメントは俺のマヂカラには反応しない。動かなかったということは、やはり消えた状態のあいつには反応しないということか...)」
サド「戦意喪失か?」
ジャ「まさか。(なら、やってみるしかないか...!)」
サド「?」
────
第474話 「バッドエンド・ドラッガー」
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《ジャスティンの魔導結界》
囚われるな...漲らせろ。
己の限界を超える為に...
目の前の魔者を葬る為に、己の復讐を果たす為に...
俺は、こいつに何を奪われた?
何を失くした?
ジャスティンは、足元に散らばったペンダントの欠片を拾い集める。
どんなに明るく生きようとも、人には退いてはならない一線がある。
本当の意味での笑顔を取り戻す為に、
例え誰かが悲しむとしても、
今は、
怒れ。
ジャスティンは、じっと待つ。
サド「考えたって無駄だぞ」
ジャ「...」
サド「何もしないならこっちから行くのみ」
サドは瞬く間にジャスティンに迫る!
ジャ「...!結界操魔法!エッジ・オブ・アイス!!」
サド「...!」
走り来るサドの地面から氷の棘が生え、サドを凍らせる!!
サド「...(くっ...動けない)」
ジャ「今だ!!白のエレメント...!」
ジャスティンはサドに迫る!
サド「...!!!!」
パリィィィンン!!!!
すると、サドは氷を破って再び姿を消して距離を置く!!
ジャ「ちっ...これならどうだ!白のエレメント!!月白!!!」
ヴォォォォォォォン!!!
ジャスティンを中心にエレメントの波動が広がる!!
サド「ぐはっ...!!」
ジャ「...!!」
サドは、薄っすらと姿を現した!
サド「ちっ...」
サドは姿を現し、膝をついた。
ジャ「成程。姿を消していても攻撃は当たるんだね」
サド「...」
すると、ジャスティンは青い手袋=魔導書ゲッターを取り出し、手にはめた。
回想──────
数日前
《第2支部 ・ 研究班ルーム》
五百旗頭はジャスティンに魔導書ゲッターを手渡した。
ジャ「これを俺に?」
五百旗頭「ええ」
ジャ「でも、俺、履術者じゃないですよ」
五百旗頭「いいの。あなたのエレメントは特別だから」
ジャ「?」
五百旗頭「最初の貴方のエレメントは他のエレメントよりも魔導書に近い成分が強めに入ってる。だから履術者でなくてもゲッターが作用するかも」
ジャ「成程...」
五百旗頭「私は成功を確信してるわ。ま、これがあなたじゃなければ、わからなかったけどね」
ジャ「え?」
五百旗頭「あなたは不可能を可能にする男。でしょ?そのあなた自身の”イメージ”で」
ジャ「...はい!」
回想終わり──────
サド「...?」
ジャ「色々勉強させてもらったよ」
サド「...」
ジャ「もう終わりだな」
サド「?」
ジャ「見せてやるよ。最高のバッドエンドを」
サド「...?」
────
第475話 「Blizzard」
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《ジャスティンの魔導結界》
ジャスティンは、エレメントの球をサドに飛ばす!!
ビュンビュン!!!
サドはそれらを軽く躱す。
サド「当たらん、当たらんなぁッ!!!」
ジャ「エッジ・オブ・アイス!!」
パリィィィンン!!
サドは足元から再び凍りつく!!
ジャスティンは、凍りついたサドに迫る!
パリィィィンン!!!
サドは氷を破り暴れ回る!!
サド「二度も同じ技を...!舐められたモノだなァ!!!」
サドは再び姿を消す!!
ジャ「そう来ると思ったよ...!!!」
サド「...?!」
ジャ「月白・反転!!!!!」
サド「?!?!?!」
パ リ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ン!!!!
ジャスティンの結界が全て破れた!!!!
サド「結界を...破った...?!」
ジャ「ふっ...イメージ通りだ...!」
ド ク ン!!!
消えた筈のサドを猛烈なダメージが襲う!!!
サド「うわぁぁぁぁ!!何だ...これは!!!」
サドはまるで360°とめどなく攻撃を浴びせられる状態に陥った!
バキシュバキシュバキシュバキシューーー!!!!
サド「くっ...!!何だこの攻撃は...!!(消える為のマヂカラが生み出せない...!!)」
サドは姿を現し、悶絶している!
ジャ「ターゲット...ロックオン...!!」
サド「しまった...!」
ジャ「見せてやる...全てをかき消す吹雪...!」
ジャスティンは両の腕にマヂカラをチャージする...!!
サド「...!」
ジャ「うぉぉぉぉぉぉ!!!」
サド「!!!!」
ジャ「白のエレメント...!!ファイナルクロスブリザードォォォ!!!!!!」
サド「!!!!!!!」
ジャ「うぉぉぉぉぉぉぉぉああああ!」
サド「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカ!!!!
それは目にも止まらぬ速さの百裂の拳!!!
サドは何も出来ない!!!
ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカ!!!!
ジャ「うぉぉぉぉぉらぁぁぁぁ!!!!」ドカドカ!
サド「...!!!!」グハッ ドカッ ボカッ ゴハッ...!!
ジャ「おりゃあ!!」
ニュルッ!
ジャスティンは、サドの腹部に青い手袋の着いた手をねじ込んだ!
ジャ「...いける!!!」
ズ ボ ッ !
ジャスティンは勢いよく手をサドから引き抜いた!!!
サド「...!!!!それは...!!!!」
ジャ「終わりってことだよ」
ジャスティンの手には、サドの身体に眠っていた魔導書がしっかりと握られていた!
サド「くっ...愚かな...」
サドの身体は足元から崩れ去る...!!
サド「馬鹿な...そんなことが...!!!」
ジャ「...」
サドは下半身が殆ど消失し、上半身にかけてどんどん消えていく。
サド「ありえない...ありえないッ!!!」
サドはいよいよ、顔面を残して消える。
サド「お前らに未来はない!!フハハ!!愚かn」
ド カ ッ !!
ジャスティンは、サドの顔面を蹴りあげた。
サドの顔面はバッサリと消えた。
ジャ「...」
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第476話 「描写の書」
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月白・反転
ジャスティンが月白を放った時、マヂカラの流れはジャスティンから放射状に放たれたものと、ジャスティンの結界を形成する周囲に集まっていた。
サド視点からすると、ドーナツのように囲まれた状態となっていた。
ジャスティンはそのサドを囲う空白部分に目をつけ、自ら放つマヂカラと、結界のマヂカラを0にする代わりに、空白部分に全てのマヂカラを注いだ。
空白部分に存在する存在=サドはマヂカラの圧に押しつぶされるようなダメージを受け、動きが静止した。
これが、マヂカラの範囲を反転させる技、月白・反転である。
《渋谷 / MODI前》
ジャスティンは、ポケットから壊れたペンダントを持ち出して言った。
ジャ「一つ、終わったよ。あと少しだから...」
ジャスティンは辺りを見回す。
ジャ「あと少し...だ!」
ーーーー
《上野 / 魔導結界・霧》
3人は戦闘中。
百目鬼「くらえ!!!朝霧!!!」
バチッ!!!!!!!
ユゴー「ウップ。当たってないよ〜」
ユゴーは瓢箪を傾け、顔を赤らめて話す。
百目鬼「何故だ?確実に当てただろ今。分身か?それとも瞬間移動...?」
東海林「違う!多分こう!!!」
ピュン!!!!
東海林は二本ある剣の片方を投げた!!!
しかしその軌道は明らかにユゴーの右にズレている!!
百目鬼「外した...!」
東海林「ううん」
百目鬼「?」
ブスッ...!!!!
ユゴー「うぃえ...?」ブシュッッッ!
剣はユゴーにヒットし、血が吹き出る!
ユゴー「はぁ...いてぇなぁ...ウップ」
ユゴーは座り込む。
百目鬼「途中で軌道を変えたのか?まぁアンタの魔法なら出来るだろうが」
東海林「いや、違う。外させたのは魔者の”魔法”よ」
百目鬼「そうなのか?」
東海林「あの魔者の魔導書は、魔導書第四十五章 描写の書よ」
百目鬼「それって、元々魔裁組が持ってたやつだよな」
東海林「うん。どめきんが入ってくる前にいた人が使ってた」
東海林は少し顔を暗くした。
百目鬼「...」
東海林「あの魔者は恐らく影と背景を書き込んで、自分の位置を私達に錯覚させてるの!だから攻撃が当たらない。それにこの結界の霧。これも私達の距離感を絶妙にずらしてる」
百目鬼「...成程。トリックアート的な感じか」
東海林「そう!飲み込みが早い!さすがどめきん!」
百目鬼「どうりで俺の位置交換の座標(ピント)も合わなかったわけだ。でも、どうやって見抜くんだ?本来いる場所は」
東海林「多分あの術はマヂカラの消費が大きい。だから乱発はしてこない。それに、その術を出す時...」
東海林は百目鬼の頬に顔を近づける。
百目鬼「...?!」ドキッ
東海林「──────」
東海林は百目鬼に耳打ちする。
百目鬼「...!」
東海林「”その瞬間”を見逃さなければ...」
百目鬼「攻撃を当てられる...!」
東海林「うん...!」
百目鬼「よし、やってやる...!」
ユゴーはふらつきながら立ち上がる。
ユゴー「おい...お前さん達...魔者を前にイチャコラするなんて...いい度胸だねぇ...ウップ」
百目鬼「お前の方こそ、魔法使いを前にして潰れて座り込むなんて、余程死にたがりか?」
ユゴー「ウップ...言うねぇ...」
東海林「行くよ!どめきん!」
百目鬼「あぁ...!」
────
第477話 「ユゴー」
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《魔導結界・霧》
百目鬼「...!!!」ビュンッ!!
ユゴー「ウップ」...!
百目鬼「フッ」
パッ...!
ユゴー「消えた...ウップ」
百目鬼「(術は発動してない!紫のエレメントを纏わせて...!)くらえ!!!」
百目鬼がエレメントを纏った妖鋏・加具土命を突き刺す!!!
東海林「...(すごい...!武器にエレメントを纏わせるなんて...結構難しいよね?)」
ガシッ!!!
百目鬼「...!」
ユゴー「攻撃は当たったな。でも止められちゃあ意味ないよねぇ...」
百目鬼「クソっ!!」
東海林「どめきん避けて!!」
百目鬼「...!」パッ!
そこへ東海林が畳み掛ける!
東海林「剣の舞!!!」
翼の生えた剣がユゴーの周りを廻る!!
ユゴー「ウップ...酔うなぁ」
百目鬼「あいつ...!」
東海林「...!」
ユゴーは鼻歌を歌いながら剣の翼を切り刻んだ!
東海林「...!」
ユゴー「良い切れ味だな。ウップ」
百目鬼「ならどっちが本物か試してみるかぁ?!」
その時、ユゴーは舌を右にペロリと出した。
百目鬼「...!!」
スカッ!!!!!
百目鬼は攻撃を空ぶった!!
百目鬼「クソっ...”見えた”のに...!」
ユゴー「ウップ」
バシューーーーーーン!!!!
百目鬼「うわぁぁぁぁ!!!」ブシャーーーー!
東海林「どめきん!!!!!」
百目鬼はふらつきながら座り込む。
ユゴー「どっちが酔いどれか分からんな。ウップ」
東海林は百目鬼に駆け寄る。
東海林「出血がすごい...今治すから...!」
東海林は傷跡に手を当てる。
百目鬼「...(クソっ...足引っ張っちまった...)」
ユゴー「ウップ。黙って見てると思ったら甘いよ」
百目鬼「...!」
東海林「...!」
ピカッ...!
バシューーーーーーーーーーーーン!!
石像の目から出た破壊光線が2人を襲う!
シュウゥゥゥ...
ユゴー「ん」
焼け焦げた地点に2人は居なかった。
ユゴー「どこだ?それとも灰になったか?」
パッ
2人は百目鬼の術で間一髪逃げていた。
百目鬼「ハァ...ハァ...」ブピュッ!
百目鬼は吐血した。
東海林「どめきん!もう術使わないで!」
百目鬼「でもアレうけてたら死んでたろ」ハァ...
東海林「...そうだね...ごめん!!ありがとう〜!!」
東海林は泣きながら百目鬼に抱きついた。
百目鬼「痛てぇよ!てかどういう情緒だよ!///」
東海林「とりあえず、止血は出来た。でももう動かないで」
東海林は立ち上がり、腕に魔導書ゲッターを装着しながら、寝転がる百目鬼に背を向けて言う。
百目鬼「いや、でもアンタ1人でやれるのか?」
東海林「少し戦って、戦いの勘が戻ってきた」
百目鬼「だとしてもアイツ相当やべえぞ」
東海林「私は誰よりもあの能力を知ってる」
百目鬼「...」
東海林「それに、舐めないでよね。私こう見えても元特級だから」
百目鬼「...ひとつ聞いていいか」
東海林「...?」
百目鬼「この戦いで、俺が術を使えるのは、何回だ?」
東海林「だから...!」
百目鬼「何回だ?」
百目鬼は真剣な表情で東海林に問う。
東海林「...ほんとにほんとにほんとにオススメしないけど...1回。1回だけなら!」
百目鬼「...」
東海林「流れ弾避ける為に取っておいて」
百目鬼「...あぁ」
ユゴー「優しい女の子が頑張って...偉いなぁ...ウップ」
東海林「そんなこと言ってられるのも今のうちよ」
ユゴー「その手袋着けて顔つきが変わったなぁ...なんかのおまじないか?」
東海林「おまじない...そうね。悲劇を終わらせるおまじないよ」
ユゴー「ウップ...いいねぇ」
東海林「そういえば、背中。気をつけたら?」
ユゴー「...?」
グサッ!!!!!!
ユゴーは背後から翼の生えた剣に刺された!!
ユゴー「ウップス!」グハッ...!
東海林「もっと苦しませてあげる」
グリグリグリグリ...
東海林は剣を操り、ユゴーの内蔵を抉る!
ユゴー「あぁ...痛てぇ...!」
東海林「優しい女の子だって思ったでしょ?私、結構獰猛なんだ」
ユゴー「...!」
百目鬼「...」