SOREMA -それ、魔!- 9

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SOREMA -それ、魔!- 9

「王手」

 

────


第72話 「一番手」

 

────


《黒の孤島/白組入口》

白組、1番手は莉茉。北の砂浜を目指して、進む。

 

ーーーーー


回想。

 

《白組コテージ》

幸二「莉茉さんは、最初に入ったら、敵に見つからないように森の出口を目指してくれ。そして他のみんなで、相手を食い止めよう。北の砂浜までは誰も行かせない...」

一善「わかった!」

莉茉「わかったわ──」

 

ーーーーー


《黒の孤島/白組入口》

幸二「(第2支部で一番瞬足の莉茉さんなら、相手の動きは撒けるはずだ...でも地形が地形だ、森を抜ける事自体容易ではない...あとは運が味方すれば...)」


《黒の孤島/西南西》

莉茉はスピードを上げて、北を目指す。

莉茉「私は相手に見つかってはいけない、早くこの森を抜けないと...!」

 


《黒の孤島/紅組入口》

虎走「ま、今回、ウチらぶっちゃけ余裕っしょ?」

九頭龍坂「新人の皆さんが、想像以上にやり手やったらわからんよ?」

 


《黒の孤島/白組入口》

審判「2人目!!よーい、スタートッ!!」

はるか「おっしやーーーー!!!いくぜぃ!!!」

三太郎「がんばれーーー!!!はるかーーーー!!」

はるか「待ってろ!!!焼肉ゥ!!!」


ビュン!!!!


はるかは、黒い森の中に消えていった。

 

ーーーーー


《黒の孤島/南南東》

伊藤「...!」ヒュン!

伊藤は、森を高速で駆け抜ける。

 

 

──その後、紅組陣営は、全員が森へ。2人多い白組は、2人を残して全員が森へ────

 

 

《黒の孤島/白組入口》

一善と三太郎は、入り口で控える。


一善「緊張してきた...」

三太郎「俺もだべ!!武者震いだべ!!」

一善「何その話し方w」

審判「6人目用意!」

三太郎「あ、俺の番だ、行ってくるぜ!」

一善「頑張れ!」

三太郎「へっへん!全員蹴散らすぜ!」


三太郎「俺の狙いは、”あいつ”と”あいつ”だ!」

 

ーーーーー


《黒の孤島/西北西》

ヒュンッ!!    ヒュンッ!!   ヒュンッ!!

莉茉は、島の西端を通って、北を目指す。

莉茉「(できるだけ端を通って北へ向かってるつもりだけど、この森、'移'動'す'るから分からない...!ちゃんと進めてるのかな...?」


シュンッ!!!!


その時、森の中を疾走する莉茉の目の前に、一瞬光が過ぎった。

莉茉「...?!」


コォォォォォォォオオオオ!!!


莉茉「!!!!!」


莉茉が振り向くと、紅組の新人伊藤が、超高速で莉茉に攻撃を仕掛けた。


キィン!!カァン!!


ズザザザ....


ズザザザ....


莉茉「あなた!」

伊藤「”ミス魔裁”の越前莉茉さんですよね。伊藤蘭です。正直に言います。ファンです(真顔)。でもここは足止めさせてもらいます!」ドン!


伊藤は、縄のようなものを引っ張り、サングラスのようなものをかけながら言った。


莉茉「(彼女が一番手?にしても相当早いわ...捕まったのは誤算だけど、やるしかないわね...)望むところよ!」ドン

 

西北西、莉茉vs伊藤────!!!

 

────


73話 「合図」

 

────


《黒の孤島/南》

麗美「(方角的にこっちが紅組のスタート地点ね。アイツらを待ち伏せてやる...)」


カサカサ!


麗美「?!」


バサッ!!

虎走「ぎゃは!絶対来るとおもったー!!」

麗美「アンタは!」

虎走「爆ぜちゃえ!!!」ポイッ!


ドッカーーーーーン!!!!!

大きな爆発が起きた。


麗美「...!」

麗美は素早い身のこなしで爆発を避ける。


虎走「また負けに来てくれてありがとうね!」

麗美「クソが、ぶっ潰してやる」


シュッ!!


草陰から九頭龍坂が現れた。

九頭龍坂「葉月、”合図”えらい早いなぁ」

麗美「...!」


虎走「うん!とっととシバいちゃおー」ド  ン!

九頭龍坂「ただでさえこっち人数少ないんやし、1人くらいはよう片付けんとなぁ」ド  ン!

麗美「...はっ?雁首揃えてバカみたい、痛い目みるわよ?」ド  ン!


南、麗美vs虎走&九頭龍坂──

 

ーーーーー

 

《黒の孤島/どこか》

はるか「うわーどっちがどっちか分からねえ〜迷ったわ〜」ド  ン  !

はるか、道に迷う。

 

 

《黒の孤島/南西》

三太郎「島の中心にデケェ木あるよな?あそこに登って見つけてやる!俺の”獲物”!!!」

三太郎、島の中心を目指す。

 

 

《黒の孤島/北東》

幸二「(出口には近づいたはずだが、なかなか出口にたどり着けねぇ、このままじゃ敵に先回りされてしまう!)」

幸二、出口近くで停滞。

 

ーーーーー

 

《黒の孤島/白組入口》

審判「最後、7人目!用意!」

一善「(俺の番だ...行くぞ!)」

プヲォォーーーーーン!!

一善「(よし!)」

一善、参加者中最後に出発。

一善「三十七章 操蟲ノ一、三剣黄金蟲!来い!つのキング!」

つのキング「ウォーーーー!!!」


砂浜にいかだ到着まで、あと1時間──

 

ーーーーー


《第2支部

鬼屋敷「はじまったわねぇ〜」

ジャ「いやぁ楽しみだね。なぎちん」

五百旗頭「一善くんと三太郎くん、初めてだけど、大丈夫かしら」

ジャ「ま、見てなって」

鬼屋敷「がんばれー!!!千ちゃんーーー!!」

安西「(みんな、大丈夫かな?怪我しないかな?)」

犬飼「トイプードルに負けんじゃねぇぞ!お前ら!!」


混戦必至────!

 

────


第74話 「二色(にしき)使い」

 

────


〜紅白魔法合戦〜

現在の状況。

★西北西ブロック

紅組・伊藤蘭 vs 白組・越前莉茉


★南ブロック

紅組・虎走葉月&九頭龍坂小町 vs 白組・空見麗美

 

★中心部

白組・佐藤三太郎

 

★北東ブロック

白組・天堂幸二

 

★南西ブロック(白組スタート地点付近)

白組・油木一善

 

★現在地不明

白組・武智はるか

白組・南野美波

紅組・村松

紅組・千巣万之助

 

ーーーーー

 

《黒の孤島/西北西》

キィン!!


カァン!!


莉茉「青のエレメント!!!スワンの翼!」

スワンの翼。広範囲にエレメントの弾を飛ばす遠距離技。

伊藤は、縄型の魔具で、莉茉の攻撃を受けた。そして、クナイを投げつける。

伊藤「猛魔クナイ!!!」ヒュンヒュンヒュン!


莉茉は、数発のクナイをかわした。


莉茉「(...魔具使いか...厄介な相手ね)」

伊藤「(莉茉さんの攻撃は範囲が大きい。防ぎ切るのがやっと...どうしよう)」


莉茉「ならこっちはどうかしら!」

伊藤「?!」

莉茉が、伊藤の攻撃の隙間を抜けて、懐に入った。

莉茉「”桃”のエレメント!ブロッサムフィスト!!」ドカッ!

莉茉は伊藤のみぞおちに一発食らわせる!

伊藤「(桃?!)ぐはっ!」

莉茉「ごめんね。伊藤ちゃん。私、”二色使い”なの」

伊藤「...くっ」


伊藤は、莉茉の足元に、縄状の魔具をまきつけた。

莉茉「しまった!」

伊藤「(私もなんか必殺技言いたい!)行きます!魔具トルネード!!(適当)」

伊藤は、莉茉をそのまま遠くへ投げた。

莉茉「...!!!」


ドーーーン!!


伊藤「(二色使い...遠距離の青と、桃は何?初めて聞いた)」

莉茉「(この子、やるわ...かなり魔具を使いこなしてる...油断大敵ね)」

 

ーーーーー

 

《黒の孤島/南南西ブロック》

美波「(私も、何か役に立たないと...)」


美波は、周りに警戒しつつ、森の奥へ進む。


ガサゴソ!!


美波「?!」


すると、草むらから、剣をくわえた赤い狼が現れた!

狼「ワォーーーーーーン」


狼が鳴くと、美波の頭上から、刀を持った1人のマスクをした少女が攻撃を仕掛けてきた。


シャキーーーーーン!!!!


美波「...!」

美波は攻撃を避けた。


村松「...」

美波「(この人...魔獣使いの、村松さん!)」


村松「ラキラキ!」

ラキラキ「ワォーーーーーーン!!」

村松「行くよ」


南南西、美波vs村松──!!!

 

────


第75話 「マッチング」

 

────


《黒の孤島/南南西》

村松は、日本刀型の魔具を手に、美波に遅いかかる。

村松「面!!!!」

美波「きゃあ!」

美波は再び攻撃を避けた。

村松「...!小手!!」

美波「きゃあ!」

美波は三度攻撃を避けた。

村松「ラキラキ!!!」

ラキラキ「ワォーーーーーーン!」

ラキラキと呼ばれる魔獣が襲いかかる。

美波「きゃあ!」

美波は何度も攻撃を避け続けた。


村松「(攻撃が当たらない?だが、攻撃もしてこない...なんだ?)」

美波「(この人、怖い!早くここから逃げたい!)」


村松「ラキラキ!!」

ラキラキ「ワォーーーーーーン!!」

ラキラキは、口にくわえた刀で、美波に襲いかかる。

美波「(やるしかない!)紫のエレメント...!トランプトラップ!」

美波は、地面に向けて、エレメントを放った。

村松「(当たってない。なんだ?)」

美波「よし!散!」ε=ε=ε=!


村松「ラキラキ!」

村松とラキラキが、美波を追いかけようとした瞬間...!


ザァァァァン!!!!


村松「!!」

村松の足元から紫色の光が天に登った!

村松「ぐっ!!」ガァン!

ラキラキ「ワォーーーーーーン!!!」ガァン!

村松らは、足止めをくらった!


美波「(よし、成功した。この隙に...!)」


美波は、村松とラキラキから逃げ、草陰に隠れた。


シュウ...

 

村松「(やられた...逃げられたか...だが気配がする。まだ近くにいる?追う?いや、時間の無駄か...)」


村松が、歩き出そうとした瞬間、草むらから、一善と、つのキングが現れる。


一善「あ、」


村松「...?」


「     ・  ・  ・  。」

 

ーーーーー


《黒の孤島/中心部》

三太郎は、中心に生える大木に登っていた。

三太郎「なるほど、出口は向こう側か!そして〜?」

三太郎は、手でメガネを作り、当たりを見回した。


三太郎「へっへ。みぃ〜つけた!」

 

 

《黒の孤島/南部》

はるか「うわーマジでここどこだー」

 


はるかは相変わらず道に迷っていた。すると遠くから何発もの爆音が響いてきた。

 


ドォン!!!     ドォン!!!     ドォン!!!

 


はるか「ま、とりあえずあっち行けば、誰かいっか」

 


はるか、戦火の中へ────!

 

────

 

第76話 「魔獣対決」

 

────


《黒の孤島/南南西》

一善「(この子...その狼、魔獣使いか?)」

村松「...」


一善「(これ、戦わないといけない?w)」

村松「...」


一善「やるなら、やるけど」


村松「...」


村松は、刀を強く握り直した。キン!


一善「(やる気だな)」


村松「...!」


一善「つのキング」

つのキング「ウォーーーーーーー!」

つのキングは村松に向かって飛んだ。


村松「ラキラキ!」

ラキラキはつのキングの攻撃に、真っ向から突進した。


一善「つのキング!かわせ!」

村松「...?!」

つのキングは、ラキラキの突進を交わした。


一善「緑のエレメント!巌窟王!つのキング!そのまま横腹掴んで引きずって!」

つのキング「ウォーーーー!」

つのキングは、横からラキラキを角でつかみ、地面に叩きつけて、そのまま轢いた。

ラキラキ「ワォーーーーーーン!」

村松「ラキラキ!」

ラキラキは踏ん張って立ち上がり、つのキングをしりぞけた。


ドーーーン!


つのキング「ウォーーーー!」

一善「(ごめんつのキング!だが、この隙に!)今だ!緑のエレメント!草枕!!」

村松「...!」

村松は、一善の攻撃を刀で受けた。

村松「(エレメントを剣状に...なるほど)」


サッ!!


2人は、1度離れて距離をとる。


一善「ハァ...ハァ...(呼吸を整えろ)」

つのキングが一善の元に戻る。


村松「...(エレメントと魔獣の組み合わせは厄介。でも、”疎通”はしてない)」


一善「つのキング!あのワンコを攻撃!」

つのキング「ウォーーーー!!」

村松「ラキラキ!」

ラキラキ「ワォーーーーーーン!!!」


つのキングvsラキラキ!!


一善「(俺はこの子を倒す...!)」

村松「...」


南南西、一善vs村松!────

 

そんな2人の戦いを、陰から見ている人物がいた。

美波「...!(あの子!新入りの子!頑張って...って、何してるんだよぅ私!)」

 

ーーーーー

 

《黒の孤島/北東》

幸二は北東エリアを進む。

幸二「(...潮の匂いが微かにする...海の近くにはいるはずだが...早めに出口を塞いで敵を食い止めねば...莉茉さんはもう突破したか?)」


!!!!!


その時、幸二は、自分に近づく気配を察知した。


幸二「(誰だ!!)」


砂浜にいかだ到着まで、あと30分────

 

────


第77話 「仁義なき戦い

 

────


《黒の孤島/南》

タッタッタッ...!!!ドッカーーーーーン! ドッカーーーーーン!


麗美「(...こいつら...マジウザ!)」

虎走「ぎゃは!逃げてばっかじゃダメだよね〜?!第三十四章!爆裂ノ三!花雷!!」


ドッカーーーーーン!!!!


麗美「(こいつ、相変わらず触れたもの全部爆発させやがる...うるさいっつの!)」

虎走は、地面の石を拾って投げては爆発させる。


九頭龍坂「逃がしまへん。第三十一章!伸縮!伸!!!!」


グゥイーーーーーン!!!


九頭龍坂は木の枝の1つを”伸ばして”、麗美の左腕を刺した。


麗美「(痛っ!)」


九頭龍坂「あら、可愛い体に傷がついてもうて...可哀想に」

麗美「(マジで殺す!)」

虎走「三十四章!爆裂ノ二!牡丹!!」ドッカーーン!

九頭龍坂「伸!!」グゥイーーーーーン!


麗美「(やられてばっかだと思うなよ!)チャプター・シックスティーン!サウンドワン!POP!」


ボァン!!!


九頭龍坂「...!(見えない打撃...!)」

虎走「うわぁ!!」


空見麗美は、蒼魔導書”赫魔導書第十六章”の継承履術者である。音波を具現化し、攻撃する。技名を英語で言うのは、日本語で言うのがダサいと思っているから。


麗美「チャプター・シックスティーン!サウンドスリー!SOUL!」


ポォォン!


九頭龍坂「ちっ...!」

虎走「くらくらする...!」


麗美「去年みたいにはいかないわ。2人まとめてかかって来なさいよ」

九頭龍坂「ふふふ。去年ここで半べそで泣きおったのは何処の何方やったやろか?」

虎走「ぎゃはぎゃは!」

麗美「ほざけ、クソ野郎」

九頭龍坂「ほんま、弱いものいじめは好かんなぁ」

麗美「...!!」ブチィッ!!


虎走「ぎゃは!やっちゃえー!」ドッカーーーーーン!!!

麗美サウンドツー!ROCK!」

ジャキーーン!!

虎走「爆裂ノ六!飛遊星!!」

ドッカーーーーーン!!!

麗美「...!(煙で、前が見えない...!)」

九頭龍坂「ふふ。見えた!”運”!」

九頭龍坂は、小さな魔法陣を開き、竹のような刀を取り出した。そして、煙の中に飛びこみ、攻撃を仕掛けた。

九頭龍坂「伸!!!!」グゥイーーーーーン!

麗美「(ヤバい...!!!!)」


その時、なにかが起こった。


キィーーーーン!!!


九頭龍坂「...?!」

虎走「はにゃ?!」


シュゥゥゥゥ...


麗美「?!」


カランッ...


地面には折れた刀身が転がった。

九頭龍坂「!!」


はるか「あっ折っちゃった。わり」ド    ン     !

 

はるか、参戦────!

 

────


第78話 「紫」

 

────


《黒の孤島/南南西》

一善「緑のエレメント!舞姫!」

村松「面!」

一善「うぉぉぉぉ...!」

キン! キン!   キン!


一善と村松は、剣を交え続ける。

村松「(エレメントの剣...綻びが無い分、長い打ち合いはこちらが不利か...?)」

一善「(エレメントを持続させる体力も考えると、ここは退くか...?)」

村松「...!」

一善「そりゃあ!」


美波「...(どうしよう...付け入る隙がない...)」


すると、ラキラキが、一善に斬りかかる!


一善「...?!」

一善は寸前の所で躱した。

ラキラキ「ワォーーーーーーン!」

一善「(狼が俺に?そうだ、つのキングはどうした...?)」


一善が、つのキングの方を見ると、つのキングは倒れて動けなくなっていた。

一善「つのキングーーーー!!!!」


村松「小手!!」

一善「...!」


一善は受けて押し返す。

村松「...あなた」

一善「?」

村松「疎通、しらない?」

一善「(拓郎さんが言ってたやつだ)...わからない」


バサッ!


2人は距離をとる。

村松「魔獣と人間。必要なのはコミュニケーションじゃない。疎通。”心の疎通”」

一善「...?!」

村松「ラキラキ!」

ラキラキ「ワォーーーーーーン!!」

ラキラキは、一善に高速で突進した。

一善「(速い...!)」

村松「(ラキラキのスピードよ。これから避けられるはずない)」

一善「(確かに、あの子は一度も魔獣に指示を出していない。疎通?なんだそれは)」

一善は、避けきれず、エレメントの刃で受ける。

ラキラキ「ワォーーーーーーン!」

村松「...!」

ラキラキの剣を押し返している一善に向かって、村松が斬り掛かろうとしていた!その時...


美波「一善くん!飛んで!」

どこからが声がした。

一善「!?」

一善は、言われるがままに上に飛んだ。

美波「紫のエレメント!ワープトラップ!」

すると、村松とラキラキの足場が光り、地面に大きな穴が空いた。

村松「...?」

村松らが飛ぼうとした時には遅かった。

村松「うわぁ!」

足場はとうに崩れ去り、村松らは、落とし穴に落ちた。一善は、それを飛びながら見ていた。

一善「(なんだこれは...!このままじゃ俺も穴に落ちる!)」

つのキング「ウォーーーー!!!」


すると、つのキングが傍らから一善の元に飛んできた。つのキングは、一善を空中で受止め、足場に運んだ。


つのキング「ウォーーーー!」

一善「?!何が起こったんだ」


美波「はぁ...上手くいった」ド   ン    !

 

────


第79話 「お前かよ」

 

────


《黒の孤島/南南西》

一善「これは君が?」

美波「そう...私のエレメントの能力で地面に穴を開けたの」

村松「...!」

美波「あの子はしばらく登って来れないわ。ダメージはないけど、下に引っ張る力のエレメントを使ってるから」

一善「(これが紫のエレメント...初めてみたけど、独特だな)」

美波「私がこの子を見張ってるから、一善君は外をめざして!」

一善「う、うん。ありがとう!助かったよ」

美波「///こちらこそ...ありがとう」

一善「?じゃあ、あとはよろしくね!行くよ、つのキング!」

一善「ウォーーーー!」

一善とつのキングは、再び走り出した。

村松「...」


美波「頑張ってね...」


一善「つのキング、傷は大丈夫?」

つのキング「ウォーーーー!!」

つのキングは元気いっぱいだ。

 

ーーーーー


回想──


つのキング「ウォ...」

美波「しー!動かないで」

つのキング「ウォ?」

美波「私、味方。回復魔法が得意なの、今治してあげるね」

つのキング「ウォ?ウォーーーー!」

美波「しずかにしなきゃ!あの子にバレちゃう」

つのキング「ウォウ」


美波「いい?一善くんが空に飛んだら、助けに行ってあげてね」

 

ーーーーー


つのキング「ウォーーーーーーーー!」

一善「タフだな...とりあえず、先に行こう!」


一善らは、出口を目指す。

 

 

《黒の孤島/北東(幸二サイド)》

ドゴーーーーーン!!!


シュウ....

幸二は構えた。

幸二「誰だ」


幸二の前に、勢いよく現れたのは、なんとあの男だった。

三太郎「へっへ。俺でした」

幸二「なんだ、お前か」

三太郎「おい、幸二、俺と勝負しろ」

幸二「は?!バカか?!」

三太郎「いいから構えろ!行くぜ行くぜ行くぜェ!」

幸二「ま、まて!」

三太郎「黄のエレメント!ガントレットバスター改!」ドガァーン!


幸二は、攻撃を躱した。

幸二「やめろバカ!」

三太郎「へっへ。ずっとお前と勝負したかったんだよ!ずっとな!」

幸二「バカ!お前ホントバカ!」

 

ーーーーー

 

《第2支部

モニターでその様子を見るジャスティン達。

鬼屋敷「...あの子魔導師?」

ジャ「いや、ただのバカです」

 

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第80話 「王手」

 

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《黒の孤島/西北西》

莉茉「桃のエレメント!アッサムエルボー!」

伊藤「うわぁ!」ドォン!

莉茉「(桃のエレメントは、普通の攻撃に加え、'相'手'の'マ'ヂ'カ'ラに干渉して持続的なダメージを与える効果がある...でもこの子、かなりタフね。全くダメージを受けてないみたい...!)」


ズザッッ....


莉茉「ふぅー。伊藤ちゃん。あなた、一番手よね?」

伊藤「こちらの作戦は教えられません」

莉茉「そうよね。でも、いかだももうすぐ来るわ。あなた、私を足止めしたいんでしょ」

伊藤「...」


すると、莉茉は両手を上げて言った。

莉茉「なら止まってあげるわ。私の完敗よ」

伊藤「...?!」

莉茉「だから少しお話しない?(私が捕まった以上、私もこの子を足止めしないといけない...誰かが出口に着いてることを願うしか方法は...)」

伊藤「...?」

莉茉「答え合わせしましょう?こっちは、私が逃げ切っていかだに乗る作戦だったけど。まさか、新人のあなたに追いつかれるなんてね」

伊藤「...」

莉茉「あなた、かなり速いのね」

伊藤「...それは違います」

莉茉「?」


伊藤「私、魔法使いじゃないんです」


莉茉「...?!」

伊藤「私は、魔法使いではなく、”ただの”魔具使い...」

伊藤は、さっき付けたサングラスのようなものを外しながら答えた。

伊藤「この”魔具(サングラス)”が無いと、魔法が見えないんです」

莉茉「!!!」

伊藤「マヂカラが流れていないので、皆さんみたいに動く森は見えませんし、感じません。サングラスを付ける前は、普通の森の中を走っていただけです。だから莉茉さんの場所まで一直線で来れたって感じです。”スタートが早かったわけではない”です」

莉茉「...!(てことは、まさか?)」


伊藤「私は、一番手ではありません」

 

ーーーーー

 

《黒の孤島/北の砂浜》

ザパーン...


ザパーン...


千巣「....(いかだまだかよ)」ド  ン   !

 

ーーーーー


《第2支部

安西「あ、右上!右上のモニタみてください!」

犬飼「トイプードル野郎が、もう砂浜にいやがる!」


千巣は、一番手として、いち早く森を抜けていた。


鬼屋敷「ハッハッハッハッどうやら私たちが一枚上手だった様ね」

ジャ「(なんつー化け物だよ)」ニヤ

五百旗頭「ピンチね。神野くん」


ジャ「ま、俺はまだ諦めてないよ」ド  ン   !


カッ   カッ


犬飼「ん?誰か来たか?」

一同「?」

 

SOREMA -それ、魔!- 10 へ続く。

 

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第72話 「一番手」

第73話 「合図」

第74話 「二色(にしき)つかい」

第75話 「マッチング」

第76話 「魔獣対決」

第77話 「仁義なき戦い

第78話 「紫」

第79話 「お前かよ」

第80話 「王手」