SOREMA -それ、魔!- 6

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SOREMA -それ、魔!- 6

「俺達」

 

────


第47話 「役立たず」

 

────


《第1支部/鬼屋敷の部屋》

プルルル プルルル...


???「もしもし」

鬼屋敷「もしもし千ちゃん?!元気?」

”千ちゃん”「はい、元気です」

鬼屋敷「そっちはどう?ロサンゼルスは?」

”千ちゃん”「まぁ、悪くないですね。それと、例の件ですが、やはりハッタリでした」

鬼屋敷「やっぱそうよねぇ?まさかアメリカで魔者が出るわけないものね?ハッハッハッ!」

”千ちゃん”「オカルトの類かと。なので少しゆっくりしたらそっち帰りますね」


鬼屋敷「それなんだけどね?やっぱり千ちゃんにも”紅白”出て欲しいのよ?」

”千ちゃん”「...4人で充分と仰ってましたよね?」

鬼屋敷「まぁそう思ってたんだけどねぇ、なんか”向こう”が本腰入れてくるみたいなのよ〜それに強い新人も何人かいるらしくてねぇ...」


ジャスティ

”高笑いしてられるのも今のうちさ。彼らはいずれ、”あの6人”を超える逸材になる──”


”千ちゃん”「それは怖いですね」

鬼屋敷「だからおねがぁい。帰ってきてぇ〜?」

”千ちゃん”「俺はいいですけど、弱いっすよ?俺」


鬼屋敷「ハッハッハッハッ!冗談よしなさい。”魔裁組史上最強の6人”に数えられたキミが弱いわけないじゃないの!」

”千ちゃん”「はぁ...」


鬼屋敷「とにかく、頼んだわよ」ブチッ

”千ちゃん”「あっ...」


プー  プー  プー


”千ちゃん”「はぁ...勝手だなぁ」

 

ーーーーー


《幼稚園》

幸二「ハート・THE・トリガー!!!」

バキューーーーン!!!!


魔者「ギャリャヤリャァァォ!!!」

幸二は、青のエレメント使い。狙撃が得意で、狙った獲物は逃がさない。

一善「すごい...」

三太郎「(かっけぇ...!)」


幸二「何をしてる!早く逃げろ!」

三太郎「うるせぇ!俺も力を授かったご身分だ。はいそうですかなんて、逃げてられるかよォ!!」

幸二「...!」

三太郎「黄のエレメント!ガントレットバスター!!!」

三太郎は、魔者のみぞおちに一発入れた。


魔者「ギモェェェェエエエエエエエエオオエオエオ!!」

幸二「...!(かなり効いてる?!)」

一善「(前よりも威力が!)」

三太郎「へっへっへっ!!どうだ!」


その時、一善はある異変に気がつく。

一善「おい、三太郎!!」

三太郎「ん?」

一善「腕が!」

三太郎「へ?」


三太郎がパンチした右腕を見ると、手首から先が、玩具の手になっていた。


三太郎「は?!なにこれ?!」

幸二「だから逃げろといったんだ!」

三太郎「いや、なんなん?これ!」

幸二「こいつの能力だ。こいつは恐らく四十一章、人形の書の魔者だ。こいつに触れるとオモチャになっちまう。お前はまだマヂカラを持ってる人間だったから片腕で助かったかもだが、普通即アウトだ」


三太郎「うそだろ?!何とかしてくれよ!!マジで!!」

幸二「お前はすっこんでろ!近距離型のお前は特に役に立たない!俺がこの魔者を倒す」

三太郎「...」

一善「...!」


幸二「厄介な敵め...」


どうする、幸二────!

 

────


第48話 「衝撃」

 

────


《幼稚園》

バァン!バァン!

幸二は、魔者と距離を取り、じわじわと魔者を追い詰めていた。

幸二「(くそ...効いてはいるが、これじゃあ時間の問題だ。俺のエレメントも長くは続かん...大技も出せてあと1回...どうする...?)」


一善「(つのキングは人形のままだ。俺の術では幸二のように距離を取った戦法は出来ない。でもこのまま突っ立ってていいのか...?いや、なら...!)」


一善は魔者に向かって走り出す。

一善「うぉぉぉぉ!」

幸二「一善!!よせ!」

一善「緑のエレメント、草枕!!!」


一善は、魔者の横をすり抜け、敵に触れないようにエレメントの剣を振りかざした。

幸二「(なるほど...あの技なら直接触れる訳では無い上に、近接攻撃だから威力も出る...!)」


一善「緑のエレメント!伽羅枕!!」


一善は、エレメントを槍状にして突き刺した。

一善「幸二!突き刺した所を狙うんだ!」


幸二「...!青のエレメント!ハート・THE・トリガー!!!」


バキュシュシューーーン!!!


魔者「ギィチャァァァァァ!!」

一善「(効いてる!)」

幸二「(的確な状況判断と、応用の効く戦闘スタイル...なるほどな)」


幸二「このまま畳み掛けるぞ!」

一善「わかった!」


三太郎「...役に立たない...か...(そうだよな。お前ら...強いもんな。凄いよ。。大人しく、逃げておけば...くっ...)」

三太郎は、力の入らない右手を見つめた。

三太郎「(でも、それでいいのか?俺は、考えたか?今俺に出来ることを、考えたか?ただ闇雲に戦うだけじゃダメなんだ。俺も役に立て!頭を回せ!俺だって...沢山特訓してきただろ?)」


三太郎は、練習風景を思い出す。


三太郎「(”あの技”はまだ完璧じゃない。今だって、この右手で出来るかなんて分からない。左手ならやれるか?でも、威力が足りないか?)」


幸二「一善!俺が一撃食らわす!お前はそこを狙って貫け!」

一善「わかった!」

幸二「...(この技で決める。ここで倒せなければ終わりだ)」

一善「行くよ!」

 

幸二「青のエレメント!!!ミリタリー・THE・アサシン!!!」

ビュコーーーーーーン!!

青の激しい閃光が、魔者の心臓目掛けて放たれた。


魔者「ギャリャヤリャァァォ!!!」

幸二「今だ!行け!」


一善「ここで倒す!!緑のエレメント!!!」


一善が、技を繰り出そうとしたその時...!

 

 

魔者「ぉ、ォニィチャン...」

 

 

 

一善「!!!!?!?!?!」

一善の足が止まった!

その隙に、魔者が、一善を包みこまんと襲いかかる。

幸二「一善!?!!!?!」


三太郎「(考えるのは終わりだ!俺がやる!!!)」

 

三太郎「お前ら!!!飛ぶパンチを見た事はあるか?」

幸二「?!」

一善「...!?」


三太郎「黄のエレメント!!!」

一善「ま...待って!」


三太郎「ジャスティス・THE・ハンド!ver.レフト!!!!」

 

バッコーーーーーーン!!!!!

 

────


第49話 「人殺し」

 

────


《幼稚園》

魔者「キュェェェェェェェ!!!」

魔者は一善の目の前で大きな断末魔をあげた。

一善「!!!!」

三太郎「やったか?!」

幸二「(なんだ、今のパワーは...?!利き手はやられてるはず)」


魔者「シュルルルユゥゥゥゥ....」

魔者は、叫びと共に消え失せ、魔導書が一つ、残った。


一善「...」

幸二「...?」

三太郎「よっしゃーーー!!」


幸二は、佇む一善を通り越し、魔導書を拾い上げた。


幸二「魔導書。第四十一章、人形の書。これで本当に任務完了だ。よくやった」

一善「....」

幸二「一善?」

三太郎「2人ともー!!やったなぁ!!ってお!手治った!!!」


人形と化していた園児らも元通りに戻り、つのキングも、元に戻った。


三太郎「おい、一善?大丈夫か?もう終わったぞ?」


一善「...」


三太郎「一善?」

幸二「?」


一善「...つぐみちゃんは?」

幸二「...」

 

一善「魔者を退治する直前。一瞬つぐみちゃんの声がしたんだよ...いや、まさかね。幻聴か。これって、気のせいだよね?”そういうこと”じゃないよね?!なぁ!幸二!」

幸二「...」

一善「...?!」


幸二「これが仕事だ」

 

一善「幸二は知ってたの?知ってて...知ってて俺に黙ってたの?なぁ!答えろよ!!!」

幸二「...」

三太郎「さっきから何の話してるんだよ2人とも」

 

一善「あの魔者はつぐみちゃんなんだろ!!!?俺達が今殺したのは、人間の少女なんだろ?!」

 

三太郎「!!」

幸二「...」

三太郎「...いや、違うんじゃん?気のせいっしょ。だってほら、ジャスさんだって、魔者は”魔導書”の化身だって、」

 

幸二「それは嘘だ!」


一善「!」

三太郎「!」


幸二「魔導書の魔者の正体は、人間だ」


三太郎「!!」

一善「...」


幸二「ジャスティンさんは黙ってたんだ。人間を殺すのが仕事だなんて言ったら、お前らが躊躇すると思ってな。魔導書のマヂカラは、人間に術という形で宿る。履術者は、人間本来の精神力が、マヂカラに耐えられる場合にのみ、履術者となるのだ。だが、今回のように、まだ幼く、器が小さい子供や、妬みや嫉み、性悪な精神のように、精神力が弱っている成人などにマヂカラが宿ると、マヂカラが人間を蝕み、魔者になるのだ」

三太郎「...ってことは、あのマグマの魔者も...」

幸二「人間だ」

三太郎「そ、そんな...」

幸二「一度魔者となった人間は、魔法そのものをなくさない限り人間に戻ることはない。だがそれは現状ほぼ不可能に近い。魔者になった時点で、人間としてはもう死んでる。魔者は極めて危険な存在故に、俺たちは例え元人間であっても、即刻、殺さなければならない」

一善「...」


幸二「一善。君にもし、魔者の正体を伝えていたら、君は魔者と戦えたか?他の人間達を守れたか?」

 

────


第50話 「俺達」


《幼稚園》

一善「...」

幸二「魔者に対峙した場合、情に流されることなく退治しなければならない。例えそれが、家族だったとしてもだ」


一善「...」

三太郎「...」


幸二「”俺達”魔法使いは、みんなのヒーローなんかじゃないんだ。時には、誰かの大切な人を殺さなければならないことだってあるだろう。だが忘れないで欲しい。この力は常に”正義のために”使われるべきものだと言うことを。魔法使いとして、忘れてはならないことだ」


三太郎「...俺...人を...」

幸二「違う。俺達は間違ってない」

一善「...」

幸二「帰るぞ」


一善「俺はつくづく運がよかったんだなぁ...」

 

一善は、涙を流しながら言った。

幸二「...?」

一善「魔導書に触れた時に死んでいたかもしれない。魔者になって、人を襲っていたかも知れない」

幸二「(そうだよ...今なら俺にも理解出来る。お前は普通じゃない。魔法に選ばれた人間なんだよ...)」

一善「幸二の言ってること。分かるよ。全部”正しい”」

幸二「...」

 

一善「俺、やっぱりこの仕事向いてないや」

 

三太郎「一善?」

幸二「...」


一善「俺、人を殺したんだなぁ...守りたかったのに...守れなかった。俺にも出来るって思ってたのに、出来なかった。無力だった。今後、俺が皆の役に立てる未来が、全く見えない...!」


幸二「一善」


一善「もう嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ!!!何も知らない頃に戻って!平和に暮らしたい!!一人で、寂しくてもいいから、もう何も...」

幸二「一善!」

一善「もう...楽になりたい...いっそ死んじゃった方がいい...」

 

幸二「それ以上言うな!!!!」


一善「!」

三太郎「!」

 

幸二「選ばれた人間なら、そうでしか出来ないことをやれ!お前が普通の人間だったとして、魔者と遭遇したらどうする?魔導書に呪われたらどうする?普通の人間なら、自分が危機的状況にあることも気が付かない!何も見えない恐怖の中で、積み上げてきた人生が一瞬で終わるんだぞ!そんなことがどこかで起こってるこの世界を、本当に平和だと呼べるのか?!楽になったと言えるのか?!」

一善「!」

幸二「でもお前はそうじゃない、自分の力で自分を守れる!人を守れる!そんな人間が、力なんていらない?普通の人生に戻りたい?挙句の果てには、死にたいだと?!ふざけるのも大概にしろ!亡くなった母親に同じことを言えるのか?!恐怖を抱くことは否定しない。俺だって怖い。だが、自分の力に!能力に!責任を持てよ!」

一善「そんなこと...言ったって...」

 

幸二「お前はもう、ただの人間じゃない。お前はもう”魔法使い”なんだぞ!!!」


一善「...!!!」


ジャスティン ”君にしかできないことがあるから、俺は君に頼んでいる”


三太郎 ”俺もさ、まずは一善を目指すよ”


拓郎 ”君はこれからもっと立派な魔法使いになる。そう信じております”


ジャスティン”共に戦ってくれないか?一善”


一善「........」

一善は、大粒の涙をこぼした。

 

────


第51話 「凶」

 

────


《第2支部/一善の部屋》

時は過ぎた──


回想(幼稚園での続き)

──幸二「それでも辞めたいと言うのなら、荷物をまとめて出ていけ」

三太郎「一善...」

一善「...」

 

ーーーーー


一善「...俺は、この先どうすれば...」


東京スカイツリー/天望回廊》


ジャ「ご苦労だったな。この間の任務」

幸二「...」

ジャ「あいつらは?どうだった。お前の期待以上か?」

幸二「...まぁ」

ジャ「そうか」


幸二「...凶と出ましたよ」

ジャ「...」


幸二「やはり、伝えるべきことは、伝えるべきです。それで逃げ出すような人間ならばそれまで。彼らに”既成事実”を擦り付けて引き込むなんて、やり方が卑怯ではないですか?彼らが気の毒です!俺はあのやり方に賛同出来ません!」

ジャ「...幸二、君の言っていることは正しいよ」


幸二「...」

ジャ「すまなかったな。俺も反省している。でも、俺たちは、近い将来までに大きな力を蓄えないといけないと、俺は思っている。どんな手を使ってもだ。責任は、俺が彼らを育てる事で取ろうと思う」

幸二「...」

ジャ「この2、3年で全ての悲しみを終わらせる為だ。分かってくれ、幸二」

幸二「...」


《三太郎の通う大学》

三太郎「...」

友人A「おい、三太郎。元気ねーじゃん?どした?」

三太郎「いや、なんでもない」

友人B「どう考えても元気ないじゃんwふられたとか?」

友人A「それだな」

三太郎「ごめん。今日はもう帰るわ」

友人A・B「...!」


友人A「あいつ、大丈夫か?」

友人B「放っとけば、元気になるっしょ」


三太郎「(俺は、俺が憧れるようなヒーローには、なれないのかな...?)」


幸二 ”俺達魔法使いは、みんなのヒーローなんかじゃないんだ”


三太郎は空を見上げた。

三太郎「(魔法使いって、なんだよ...)」


《第2支部

ジャ「...」


ガチャ!


ジャ「...!」

???「ジャスティンさん、久しぶり!」

ジャ「あ!リマリマ!」


越前 莉茉

第2支部実働班、女子勢最年長。

莉茉「いやー相変わらず誰も居ないわね」ド   ン!


ジャ「そうなんだよー!寂しかったなァ」

莉茉「女子勢は?見てない?」

ジャ「だーれもいないよ笑」

莉茉「そう。幸二くんは?」

ジャ「出かけてる」

莉茉「そっか。あ!そういえば、新人の子が入ったんだよね。挨拶したいんだけど...」

ジャ「奥の部屋貸してるけど、今はやめときな。ちょっと落ち込んでるから」

莉茉「わかった。ちょっと行ってくるね」

ジャ「いや話聞いてたァ!!!?」

 

────


第52話 「迷っても」

 

────


《第2支部/一善の部屋》


コン  コン!

一善「どうぞ?」


ガチャ!


莉茉「初めまして、新人の子だよね?越前莉茉です。実働班のメンバーで、一度挨拶しようかなって」

一善「あ、初めまして、油木一善です」


莉茉「話は聞いてるよ一善くん!もう魔導書の魔者を2体倒したんだってね!」

一善「...どちらも、たまたま遭遇しただけです」

莉茉「履術者なんでしょ?結構昔から?」

一善「はい。子供の頃からです」

莉茉「そうなんだ!珍しいね!すごく強いんだね!」

一善「(やっぱり、俺は普通じゃないんだな)」

莉茉「どう?この仕事」

一善「...実は」

莉茉「ん?」

一善「もう辞めようかなって」


莉茉「え?なんで?」

一善「正直、きついです」

莉茉「確かに、楽な仕事ではないよね」

一善「...ひとつ聞いていいですか?」

莉茉「ん?」

一善「越前さんは、どうしてこの仕事をしてるんですか?」


すると、莉茉は驚いた表情をした後、少しトーンを抑えて話し出す。

莉茉「...私ね、シングルファーザーの家庭だったんだけど、父が魔者になってしまったの」

一善「...!」

莉茉「帰ったらお父さんの代わりに、若い女性の魔法使いがいて」

一善「...」

莉茉「私は元々普通の人間だったから、何も見えなかったけど、その人に見せてもらったの、魔者と化した父親を」

一善「...!」

莉茉「とても醜かったけど、苦しそうで、私はどうすることも出来なかった...結局、その人が退治したけど、最初はその人を恨んだわ。どうして父親を殺したのか、って」

一善「...」


莉茉「でも、その人が来てなかったら、私は死んでたし、父親は人を殺してたかもしれない。私は人殺しの娘になっていたかもしれない。私は父が好きだった。だから、父を人殺しにするのも、そんな父を胸を張って父親だと言えなくなるのも、私は嫌だった。だから、今ではその人にとても感謝してる」

一善「...」

莉茉「だから、私みたいな人が少しでも少なくなるようにって思って、私はこの仕事を続けてるの。でも私も、一善くんくらい新人の時は、今の一善くんみたいに、行ったり来たり、すぐ辞めたいって思ったりした。でもそれは仕方のないことよね」

一善「...」


莉茉「一善くんも、本当は迷ってるんでしょ?自分の能力に気づき始めてる」

一善「...!」

莉茉「また辞めたいって思ってもいい。迷ってもいい。ただ、今は迷ってるってことなら続けてみれば?」

一善「...越前さん」

莉茉「莉茉でいいわ。私、そろそろ行かないとだから、一方的に話し込んじゃってごめんね。傷心中に」

一善「...いえ」


莉茉「また話そうね、一善くん」


そう言うと、莉茉は部屋から出ていった。


一善「...迷っても、いい、か」

 

────


第53話 「銀座連続殺人事件」

 

────


《銀座》

???「ヒェッヒェッヒェッ!!」


ガリッ!!!

 

(女性の声)キャァァァァァ!!!!!

 

ーーーーー


《第2支部

ジャ「近頃、銀座や日比谷を中心に、微量のマヂカラ反応が多数確認されている」

幸二「珍しいですね」

三太郎「珍しいって、なんでだ?」

幸二「銀座や日比谷って言ったら、ビルが多いだろ?通常、高い建物が多いところには、あまり魔者は出ないんだ」

ジャ「つまり、マヂカラ反応も出にくいってこと」

三太郎「なるほど」

ジャ「だが、このエリアでは、女性を中心とした、不審な失踪や殺人の報告が相次いでいる。俺はこれを魔者の仕業だとみている」


三太郎「でも、マヂカラ反応は微量なんだろ?」

ジャ「そうだけど、魔者の知能が高く、マヂカラ反応を制御できる個体の可能性もある」

三太郎「そんなことも出来るのか」

幸二「稀だがな。そう言う個体は見た目もほとんど人間の形に化けられる」

三太郎「うげ!じゃあわかんねぇじゃん!」

幸二「マヂカラが体に流れてる人間なら、パッと雰囲気で分かるはずだ」

三太郎「じゃあ、魔導師の仕業って可能性は?」

幸二「魔導師は、自らのマヂカラが強大であるからこそ魔導書に打ち勝てるんだ。魔導師のマヂカラ反応のピークは大きいから、今回に限ってはその線は薄いかもな」

三太郎「いい線いってると思ったのに。ちぇっ」

幸二「なんだよ」

三太郎「なんでもねーよ」


ジャ「それで、また3人にこの件について調査をお願いしたいと思うんだけど、どうだい」

幸二「承知しました」

三太郎「俺は...」

ジャ「...」

 

三太郎「やってみるよ。やっぱり俺、難しいことはよく分からん。考えるの苦手だからな。考えるのは、戦う時とか、大事な時だけにするわ。そして、ヒーローを目指すこともやめない。俺は誰になんと言われようがヒーローになる。だから、今回の件もやってみるわ」


幸二「...」

ジャ「ありがとう三太郎。一善は?」


一善「...」

三太郎「?」

幸二「...」


一善「とりあえず、やります」


ジャ「わかった。よろしく頼む」

幸二「...」


こうして、3人は、事件現場が多数存在する銀座へ向かった。


ジャ「(今回は、俺も少し見守ってやらんとな)」


《銀座》

幸二「とりあえず、匂うポイントがあったら即座に知らせてくれ、微量でもだ」

一善「了解」

三太郎「てか、毎回毎回幸二がリーダー的な感じじゃんなんで?前回の魔者倒せたの俺のおかげでもあるよね?ね?」

幸二「当たり前だろ。俺はお前らより10年も先輩なんだよ」

一善「10年?!」

幸二「あぁ」

三太郎「じゃあ、10歳の時から、魔者と戦ってたのか?」

幸二「まぁ最初は補佐だったり見学だがな」

三太郎「ふーん。だが!俺に芸歴マウントはききませーーーん!!」

一善「芸歴て...」

幸二「とにかく、散らばるぞ」


一善・三太郎「了解!」

 

────


第54話 「集合場所」

 

────


《幸二サイド/銀座》

幸二「(人が多いなぁ...こっちは怪しい物は無さそうだ。流石にビルの真ん中だと、魔者もほとんど居ないな)」


《一善サイド/日比谷》

一善「(人の気配が多すぎてマヂカラが探知できない。微力な反応の場合取りこぼしてる可能性がある。慎重に探らないと...)」


《三太郎サイド/新橋》

三太郎「ここどこだ?」

三太郎は、SL広場まで来ていた。三太郎は、ジャスティンが書いた地図を広げる。そして、スマホのマップの現在位置と照らし合せる。


三太郎「いや、ここ範囲外じゃん!!」ド  ン  !

 

ーーーーー


《第2支部

夜、手がかりは掴めず3人は支部へ帰還。


ジャ「どうだった、3人とも」

幸二「今日の所はあまり反応は見られずでした」

三太郎「俺は道に迷ってました」

幸二「アホかァ!」


一善「俺のところも、反応はありませんでした」

ジャ「こっちは一つ新しい情報が入ったから共有しておく。発見された遺体は3人。全て女性で、全て片方の手首から先がなかったらしい」

幸二「...犯人が持ち去ったということか?」

ジャ「手の方は一つも発見されておらずだ」

三太郎「気持ち悪!」

一善「女性の手...か」

 

ーーーーー


《銀座》

???「ヒェッヒェッヒェッ!」


女性A「あなた、なんなのよ、不気味よ!」

???「そなたは美しい。その綺麗な手、指、なんて美しいんだ!」

女性A「気持ち悪い!誰か、助けて!!」

???「ヒェッヒェッヒェッヒェッ!!」


キャァァァァァァァァァァ!!!!!


~翌日~


3人は別れて銀座周辺を捜索する。


《幸二サイド/日比谷》

幸二「(狙われているのは全員女性...ならば、女性が集う場所に魔者は現れるのか?狙われた女性に何か共通点はないのか?)」


《一善サイド/銀座》

一善「(犯人は女性の手に執着している。ということは、手にまつわる何かに関係した女性が狙われている...?銀座周辺、女性の手...?)」


《三太郎サイド/銀座》

三太郎「(要はマヂカラの火元を見つければ良いだけの話だろ!!!嗅ぎ回って見つけ出してやるz...ん?!クンクン、匂うぞ?!あっちだ!!!)」


《一善サイド/銀座》

一善「(ここでもないか...次の店に行ってみよう)」


《幸二サイド/銀座》

幸二「(僅かながら気配が強くなってきたな。急ごう)」


《三太郎サイド/銀座》

三太郎「間違いねぇ!あの角を曲がったところだ!!!」

三太郎は、交差点の角を曲がり、マヂカラ反応の火元を突き止めた。

すると、そこには幸二が居た!

三太郎「!!」

幸二「三太郎!!」

そこへ一善もやってくる!

一善「あ、2人とも!」

三太郎「やはりお前らも”ここ”か?」

幸二「俺もそう睨んでる」

一善「行ってみよう!」

 

”VENUS RING GINZA” ド     ン      !

 

3人が鉢合わせたそこは、とある宝石店だった。


ウィーーン

自動ドアが開く。


???「いらっしゃいませ。ヒェッ」

 

SOREMA -それ、魔!- 7 に続く。

 

第47話 「役立たず」

第48話 「衝撃」

第49話「人殺し」

第50話「俺達」

第51話 「凶」

第52話 「迷っても」

第53話 「銀座連続殺人事件」

第54話 「集合場所」

 

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