SOREMA -それ、魔!- 32

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SOREMA -それ、魔!- 32

 

「契(ちぎり)」

 

────


第273話 「ワーカホリック

 

────


《原宿 / スターバックス

 

百目鬼「油木君。ひとついいかな」

一善「?」

百目鬼「どうしてショートにしたのかな?普通ベンティでしょ」

一善「え、早く飲み終わるかなって」

百目鬼「いやさ!16時過ぎのスタバなんて長居確定コースじゃん?ベンティとかグランデをちびちび飲みながら語らうやつじゃん?」

一善「女子か」


百目鬼「ま、別にいいけどさ」

一善「...」チュー チュー


百目鬼「君は、どうして魔法使いになったんだい?」

百目鬼は、微笑みながら問いかける。

一善「成り行き。親が魔導師に殺されて」

百目鬼「それは気の毒だったね。魔導書は?どこで?」

一善「それは子供の頃から」

百目鬼「ってことは、君のマヂカラが、魔導師を呼んだのかもね...!」

一善「いや、正確には俺自身じゃなくて、親が拾った別の魔導書だと思う。四十九章、予知の書」

百目鬼「...なるほど」


一善「白鶯蓮源。この名前に聞き覚えは?」

百目鬼「ない。誰?それ」

一善「魔導師。昔魔裁組にいた」

百目鬼「履術者?」

一善「そう。さっきノベルは、13の魔導書の在処を知ってるって言ったから」

百目鬼「まぁ、もしかしたらいるかもねぇ。さっき言ったけど、本名はお互いに知らないんだ」

一善「まぁいいけど...全員魔裁組が倒すから」

百目鬼「...」


百目鬼「それで?油木君は、なんで今も魔法使いを続けてるの?」

一善「なんでって、”仕事だから”」

百目鬼「それだけ?」

一善「後は、魔法を無くしたいから」

百目鬼「そんなマクロな話じゃなくてさ、もっとミクロの話...君自身のことだ、油木一善クン」

一善「...そんなに興味ある?」

百目鬼「俺は皆にこの話をする。その人間の度量を見極めるためにね」

一善「...」

百目鬼「人の行動には理由があるだろう?人のために命をかける仕事なんて尚更だ。感謝されるため、英雄になるため、承認欲求を満たすため...じゃあ君は?何かあるだろう?」

一善「...」


百目鬼「で?答えは...?」

一善は、考えた。そして口を開いた。

 

 

一善「忘れた」

 

 

百目鬼「...!」

 

────


第274話 「追手」

 

────


《原宿 / スターバックス

 

百目鬼「はははっ。君はバーサーカーか何かかな?そんなに戦いが好きなのか...?」

一善「戦いは嫌いだよ。誰かを傷つけたり、傷ついたりしたくない」

百目鬼「じゃあ何故」


一善「やるしかないんだから、やるしかないだろ」

一善の目は、真っ直ぐ乾いていた。

百目鬼「...?」

一善「魔法使いって、誰にでもできることじゃないだろ。だから、俺がやる。それだけ」

百目鬼「...なるほどなぁ」


一善「(違う...自分で言っていて違和感がある...何か、もっと違う何かがあったはずなんだ...でも、この仕事が当たり前になった今...俺がやることは、魔者を倒して、人を守ること...)」

 

百目鬼「君は目の前のことに夢中になって、向き合うタイプなんだね」

一善「これで満足?」

百目鬼「いやもっと...湿った回答を期待してたんだけどなぁ...ま、いいや、そういうことなら...」

一善「?」

百目鬼「次の質問はぁ...」

 

 

ゾ    ク     ッ   !!!!

 

 

一善「!!」

百目鬼「!!」


カフカ「へー。僕がみえるんだぁ。2人とも...!」

2人のすぐ横に、1人の魔者が現れた!


一善「...!!!」

百目鬼「魔者...!」

カフカ「な〜んてね。ずっと探してたんだよ。君を」

カフカは一善を凝視して言った。

一善「...俺を?」

カフカ「あぁそうさ。僕の遊びを邪魔したよねぇ?覚えてない?」

一善「...?」

百目鬼「(この独特な雰囲気...まさか?!)」

カフカ「ほら、君が退治した魔者...本当に覚えてない?あれ、僕が作ったんだよ...!」

カフカは、テーブルに蝶々紙を置く。


百目鬼「(こいつ...!やはり!!)」

一善「(百目鬼が持っているのと同じ...こいつもノベル!魔導書の魔者...!!)」


カフカ「隣の君も、魔法使いなのかな?魔裁組の子...?」

百目鬼「さ、さぁな...」

一善「(こいつら...お互いに仲間だと知らないのか)」

カフカ「ま、いいや、魔法使いならどっちにしろ消さないといけないし...2人まとめて殺しちゃおうかな...!」

一善「やめろ!ここでは周りの人が...!!」


カフカ「安心して。君達2人にしか用はない...魔導結界展開...!」


ゴォォォォォォォ...!!!!


一善「!!!(眩しい...!!)」

百目鬼「(魔導結界が使えるのか...!つまりこいつは大幹部級...!!!)」


2人が目を開けると、そこは青白いクリスタルが輝く洞窟の中だった!


カフカ「魔導結界...”洞窟”...!!」

一善「(何だこれは...?!)」

百目鬼「...!!」

 

────


第275話 「カフカ

 

────


《魔導結界・洞窟》

一善「これは...お前の術か?」

カフカ「そうだが、少し違う。これは我らがボスに与えてもらったもの...」

一善「お前たち、何を企んでいる...?」

カフカ「そんなこと、君に言う必要は無いよ」

百目鬼「お前の名前は何だ」

カフカカフカ。でもこれは、仮の名前さ。本当の名前は忘れたよ」

百目鬼「(カフカ...それがこいつのコードネームか。聞いたこと無いな)」


一善「なんでもいいけど、俺は君に負けないよ?」

カフカ「そうか。でも、僕はね、今まで邪魔して来た人間達はみんなちゃんと殺して来たんだ...だから君もきっちり殺してあげる...!」

一善「知らないけど、俺にとって魔者って殺すものだから、君は死ぬよ」

カフカ「あぁ...なんかすごいイライラするなぁ...!早く殺してやりたい...!」ボリボリ...!


百目鬼「...どうする油木クン?策でも練っちゃう?」

一善「おい、まだ君を信頼した訳じゃない。君が妙な気を起こしたら、容赦なく攻撃する」

百目鬼「じゃあ、ここで俺への信頼を確固たるものにして貰おうか...!」


カフカ「ごちゃごちゃうるさいな!」

一善「つのキング」ボワンッ!

つのキング「ウォーーーーー!!」


つのキングは、カフカに突進した!


カフカ「ははっ...!」


ドカッ!!


カフカは、つのキングを蹴飛ばした!

カフカ「しょうもない」

その瞬間、一善はカフカに迫る!


一善「緑のエレメント...!地獄の花!」

カフカ「(速いな...!)」


ヒュン!!!


カフカは、一善の攻撃をかわした!

一善「(かわされた)」

カフカ「次は僕の番だな...!」ゴォォォォ...!

一善「!!!」

カフカ「ぶっ飛びな!!」

カフカが、一善に殴りかかろうとしたその時...!

 

パッ!!

 

カフカ「???(消えた...?)」

一善「???(場所が...入れ替わった...?)」


百目鬼「...」

 

────


第276話 「翻弄の洞窟」

 

────


《魔導結界・洞窟》


カフカ「(なんだ...?どちらかの能力か...?)」

一善「...?」


少し動揺した2人に、百目鬼が口を開く。

百目鬼「おい魔者。この結界は、お前を殺さないと消えない。そうだな」

一善「...?」

カフカ「そうだよ。でも殺せるかな?僕、結構強いけど...?」

百目鬼「何とかなるよ...きっとね」

一善「...」


カフカ「まぁ出来るものなら、挑戦だけでもしてみなよ」


その時だった。

一善「...」


グサッ!!!!!


カフカの胴に強烈な痛みが走る...!


百目鬼「...!」

カフカ「なんだ...これ?」グハッ...!


つのキングの真ん中の角が、カフカの胴体を貫いた...!


百目鬼「...!(魔獣が後ろから奴を...!)」

一善「散れ」

つのキング「ウォーーーーー!!!」グルグルグルグル...!!

カフカ「...!」


つのキングは、カフカに角を突き刺したまま、高速で回転した!!

カフカの胴体は、肉片となって飛び散る...!!


カフカ「くそ...!」ドリリリィィィィ...!!!

百目鬼「(奴の体が攻撃を受けて飛び散っていく...!!)」


バッシャーーーーーーン!!!


カフカの体は、砕け散った!!!


百目鬼「(終わった...のか?!)」

一善「...!!」

つのキング「ウォーーーーー!」


ビチャッ。


肉片は、カフカが立っていた場所を中心に散らかっている。

一善「死んだか?」

百目鬼「だが...結界は壊れないな...」


その時、どこからともなく声が聞こえた...!


カフカ「なるほどねぇ...ますます殺したくなっちゃったよ...!」

一善「!!!」

百目鬼「!!!」

 

────


第277話 「はじめまして」

 

────


《魔導結界・洞窟》

ニュルニュルニュル...

グチャッ!グチャッ!

すると、肉片がスライムのようにくっつき出し、固まりだした。そして、カフカは元通りの姿になった。


カフカ「...」ニヤッ

一善「凄まじい再生力の魔者だな」

百目鬼「何かの能力か?お前の能力は何、」


シュバッ!!!


百目鬼「!!!」ビュンッ!

カフカは、手を刀状にして、百目鬼の耳元を掠らせた!

一善「手が剣に?」

百目鬼「ちっ...話してる途中だろうが...!」

カフカ「君達、何と戯れてると思ってる?」

百目鬼「...!」

一善「...!」


スタッ


カフカ「魔者だよ?僕は」

百目鬼「ははっ。そうだった...な!!」


パッ!


百目鬼カフカの背後に移動した!

カフカ「!!(後ろ?!)」

百目鬼「”運”!!妖鋏(あやかしはさみ)!加具土命!!!」ズバッ!!!!

百目鬼は大型の鋏型の魔具で、カフカの胴を真っ二つに切り裂いた!


しかし、カフカの胴は伸びきって、断ち切れない!


カフカ「いひぃ!」ビヨーーーーーン!

百目鬼「!(切れてない...?)」

一善「...!(体がゼリーのように伸びた...?!)」

カフカ「わかった。君から殺してあげるよ!」グチャグチャ...!


カフカは、片手の5本指を遠心力で伸ばし、硬化させた。そしてそのまま、百目鬼を切り裂く...!


一善「百目鬼!」

カフカ「ひぇい!」

百目鬼「...!!」


パッ!


カフカと一善は位置が入れ替わった。


バシューーーーーーン!!

カフカの攻撃で、洞窟の一部が破壊された。

カフカ「あぁ、うざったいなぁ...!」


一善「...?!」

百目鬼「ハァ...油木よく聞け...これは蒼魔導書第二十三章 置換の書の能力...物や人の場所を入れ替えられる。走と組み合わせることで、さらに遠い場所に移動することも出来る」

一善「なるほど」


カフカ「君はさ...なんなんだよ。さっきから邪魔ばっかしてさ。何もしなかったら、命だけは助けてあげても良かったのに。本命は虫の子だったんだからさ」

百目鬼「もう助けてくれないってか」

カフカ「そうだね。死んでよ」

百目鬼「ははっ。死ぬのはお前だ」

一善「...」

カフカ「...?!」


百目鬼「”アラン”これが俺のコードネームだよ...!」

一善「...!」

カフカ「...は?」

 

────


第278話 「五月蝿(さばえ)」

 

────


《魔導結界・洞窟》


一善「(正体をばらした...大丈夫なのか?)」

百目鬼「ハァ...この結界の中の出来事は、外の世界に干渉しない。つまり、ここの中で起きた出来事は、結界が閉じている限り外の人間には知られない。そして、ここを出るためにはお前を倒さないといけない。なら、関係ないだろう?」


カフカ「アラン...?そうか、新人の子かぁ...魔裁組のスパイだったの?」

百目鬼「いいや。俺はただの魔法使いさ。そして...お前らノベルを壊滅させる引き金さ...!」

カフカ「君さ...これは裏切りだよね?わかってる?君、もうおしまいだよ?」

百目鬼「...」


カフカシェイクスピア様に殺されるよ?」

百目鬼シェイクスピアもいずれ消すさ...お前を消してからゆっくりとなァ!!!」


カフカ「ははっ。決めた。君は半殺しにして、シェイクスピア様に突き出してあげよう。どんな惨い死に方をするのかなぁ...!楽しみだよ!!!」

百目鬼「それはあの世で妄想しときな」


カフカ「(あの虫の魔法使いは後だ。まずこの男を...!)」シュバッ!!!

カフカが攻撃を仕掛ける...!

百目鬼「!」

パッ!

カフカ「...!(虫の男と位置が入れ替わった!)」

そして、百目鬼は一善に攻撃を仕掛ける!

百目鬼「くらえ!!!」

一善「!!!!(こいつまさか俺に...?!)」


百目鬼「朝霧...!!!」

ズ         バ         ッ         !         !

カフカ「ぐはぁ...!!」バシューーーン!

一善「(攻撃の直前で位置が入れ替わった...!)」ホッ

カフカ「...!」

百目鬼「ふっ。今度は効いてるな」


カフカ「ちっ」

百目鬼「ふっ」  ヒラッ

百目鬼は、蝶々紙を目の前に一枚放った。そして、鋏を大きく開いた。

パッ!

蝶々紙とカフカの位置が入れ替わる。そして、百目鬼は鋏を閉じる!

百目鬼「弓張月...!」


バ     チ     ッ     !


カフカ「ぎゃあぁぁぁぁ!!!」バッスン!!!


百目鬼「お前の能力、体を硬くしたり柔らかくしたりする能力だな?だが、それはお前が意図的に変化させるもの。反応出来なければ、デフォルトの体に攻撃がヒットする。そうだな?」

カフカ「...さぁ?」

百目鬼「おいおい...胴体真っ二つにしてんだから...とっととくたばれよ」

カフカ「ゴフッ...魔者にとってはこんなの擦り傷だよ」ポタッ


ビヨーーーーーーーン!


グチャッ!

カフカは、胴と胴の断面を液体状に伸ばしてくっつけた。


カフカ「くくくっ。お前たちじゃ俺は倒せない...ハンデとして、さっきの答え合わせでもしようか?俺の能力は蒼魔d...」


ド    カ     ッ!!!!


百目鬼「!?!?」

カフカ「あ゙ぁぁ」ガホッ


一善が背後からカフカの顔面を地面に叩き潰した!


一善「...」

百目鬼「うっわぁ...痛そ」

ドスッ!

一善は、カフカの背中に腰掛けた。


一善「お前さ、煩いよ」

 

一善の冷たい視線──────!

 

────


第279話 「作業」

 

────


《魔導結界・洞窟》

一善「...」

百目鬼「お、おい...油木?能力の話は聞いておいた方がいいんじゃ...?」

一善「どうだっていいよ。こいつ弱いし」

百目鬼「...?(弱い...?どう考えても頭おかしいだろ!)」

カフカ「ゴホッ...僕が弱いって...?」ギリギリ...!

一善は、カフカの頭を更に沈める!

カフカ「...!(上手く'液'状'化できない...!)」


一善「俺はさ、ずっとお前ら魔者を倒す訓練をして来たんだよ...そこらの野良の魔法使いと一緒にするな」

百目鬼「...!」

カフカ「...少し黙れよ...人間如きが...!」

カフカが、手足の指を上に伸ばして、一善を上から突き刺す...!

カフカ「ならお前だけでも殺させろ!!!!!」

百目鬼「...上!」

一善「...」


ジャッキーーーーーン!


つのキング「ウォーーーーー!!!」

つのキングは、一善の上を飛び、カフカの伸びた指を切り落とした!

一善「ありがとう。つのキング」

カフカ「?!(斬られた...?!)」

一善「どうやら、こっちに軍配があがったみたいだね」

カフカ「...?!(何故だ?!いくら紫の男にマヂカラを消費させられたとはいえ、ただの人間如きにこれ程簡単にやられるとは...?!)」

百目鬼「...(例え油木の能力が、奴の能力と相性が良かったとはいえ、こんな簡単に...?!)」


一善「勝利の道筋は見えてる...仕上げと行こうか」

カフカ「(なんだろう...体が...マヂカラがどんどん溶けていくような...)」

カフカは、力が抜けていく。


一善「終わりだ」

百目鬼「...!」

一善は、カフカの顔面を地面に押しつけながら、後頭部に手を当て力を入れる!

 

ガ     ァ      ン!!!!!

 

一善は、カフカの頭蓋骨を粉砕した...!

一善「緑のエレメント。破戒」ドン!!!


カフカ「゙゙゙゙〜!!!!!」


ビュシュゥゥゥゥゥァァァァァア...!!!!


カフカから黒い液体のようなものが勢いよく吹き出した!!!

そして、カフカは消滅した...!!!


一善「...ふぅ」


百目鬼「す、すごーい」パチパチパチパチ

一善「...」

百目鬼「コングラッチュレイション!'あ'の'時よりだいぶ強くなったみたいだねぇ...」

一善「は?」

 

 

バオォォォォォォォン!!!!

 

 

2人が辺りを見渡すと、結界にヒビが入っていくのが見えた。

百目鬼「結界が...!」

一善「壊れていく...!」


そして、2人は強い光に包まれた!


目を開けると、そこはスターバックスだった。外は暗くなっていた。

 

────


第280話 「契(ちぎり)」

 

────


《原宿 / スターバックス


百目鬼「戻ってきたな」

一善「本当だ」


客A「あれ?あんな所に男の2人座ってたっけ?今パッと現れた気がするわ...!」

客B「何言ってんだよぉ。疲れてるんじゃないの?」

客A「そ、そうよね...」


百目鬼「みただろう。あれがノベルさ。醜いだろう?」

一善「あいつ、強かったなぁ」

百目鬼「え?弱いって言ってなかったか?」

一善「それは百目鬼が追い込んだからだよ」

百目鬼「だとしても」

一善「それに、最初につのキングで刺した時、吸魔の札を仕込ませておいたから...勝てたのかも」

百目鬼「(なるほど...?胴を攻撃した時に、奴が吸収した吸魔の札に反応したのか...?ま、よくわからんけど)」


一善「ま、今回は百目鬼がいたから勝てた。それはありがとう」


百目鬼「...なんか、油木クン、つかめないねぇ」

一善「それは君も同じ」

百目鬼「ははっ。そりゃどうも」

一善「ていうか、魔導書は?」

百目鬼「あ」

一善「あれ?さっき魔者倒したよね?魔導書の魔者じゃないの?あいつ」

百目鬼「契りの指輪。これは、ノベルのメンバーが付けている魔具さ。俺もほら、つけてる」バッ


百目鬼は、手袋を外して、その下についた指輪を見せる。

一善「これが何なの?」

百目鬼「この指輪をしている者が死んだ場合、魔導書はある一定のスポットに送られるように契約されているのさ」

一善「ということは...さっきの魔者の魔導書もどこかに?」

百目鬼「そう。ノベルのボス、シェイクスピアの元へ渡った」

一善「...!!」

百目鬼「ノベルは、魔導書の適合者を探してる。人間だろうが魔者だろうがなんだっていい。同じ目的の為に動ける強力な駒を集めてるんだ。ま、そんなの簡単に見つからないから、下手に魔者になって自我も保てず、街に捨てられるんだけどね」

一善「それを俺たちが退治してたわけか...許せないな...!」

百目鬼「つまり、奴らの魔導書を全て回収するには、ノベルという組織そのものを崩壊させるしかないんだよ。一人一人倒しても、また新たな駒が生まれる。無駄だろう?こんないたちごっこ

一善「確かに」


百目鬼「だから俺に協力してくれ。俺もお前たち魔裁組に対して悪いことはしない。俺の目的はとある魔導師を倒すこと。でもそいつは俺一人で倒せる相手じゃないんだ」

一善「...」

百目鬼「油木」


一善「...いいよ」

百目鬼「...!?」

一善「いいよ」

百目鬼「本当か?!」

一善「どうせやることは変わらないからね。魔者を倒す。魔導師を倒す。これだけだから」


百目鬼「恩に着る...」

 

一善は、百目鬼という少年と共に、悪の組織の魔者を退けた。そして彼と契りを交わしたのだった。

 

 

同時刻、魔裁組を揺るがす大事件が起きていたことを知るのは、少し後の話だった────

 

────

 

第281話 「エミリー」

 

────


《第2支部 / 実働班ルーム》

午後6時半頃。


三太郎「(一善、帰ってこないなぁ...ジャスさんも今日はどっかに泊まるらしいし...女子はお泊まりか...)」


三太郎は、1人でアイスを食べていた。


三太郎「(あと1人は居ても喧嘩するだけだしな...実家に帰ってるんだっけ?ま、どうでもいいや。なぎちん達は最近ずっと忙しそうだし...暇だなぁ...パズドラでもやるか)」


三太郎はパズドラを始めた。


三太郎「(最近...一善が心配だ。なんか、心から笑えてないような気がする。一善は誰よりも仕事に打ち込むようになった。ジャスさんが言うように今年が大事な年なのは分かるけど、一善は仕事以外何も見えなくなっているような気がして、正直...怖い。確かに、今の一善は強いし、すごい頼りになるけど...」


三太郎「(なにか、”大切なこと”を忘れてしまっているような気がする)」

 

────

 

《魔導結界・荒野》


エミリー「抵抗しないの...?」バァン!

千巣「...!」バシューーーーーーン!

千巣は膝をついたまま、エミリーの弾を受ける。


エミリー「なんか、可哀想になってきたわ。やっぱり、可愛い先輩は攻撃出来ない...ってことねぇ。あなたも人間ね」

千巣「ハァ...でも、それと同時に魔法使いだぜ?」


ビュンッ!!!


千巣は、隠し持っていたナイフをエミリーの足元に投げつけた!

エミリーのふくらはぎから血が出る。


千巣「レディの武器に傷つけてすみませんね」

エミリー「心配いらないわ」


スッ...!


エミリーの傷が治った。

千巣「...?」

エミリー「回復魔法。それに私、魔者の細胞を移植してあるから、人間でありながら魔者の再生能力を持ってるの。オリジナルには劣るけどね」

千巣「もうそれは魔者だな」


エミリー「ほら、斬ってみなさいよ、私の喉元にナイフのひとつでも当ててみなさい」

カランカラン...!

エミリーは、転がったナイフを千巣に蹴って渡す。

エミリー「あとその眼、温存しているようだけど、なんでかしら」

千巣「こいつは切り札だからな...!」

エミリー「(この子、私の術に気がついている...)」

千巣「...(”虚”を発動するには相手を削りきれていないからリスクが大きい、もし術がかからなければ即アウトだ。五感それぞれにアプローチするだけでは一撃で殺せない。途中で使えなくなったら終わる...どうする...?!)」


エミリー「ふふっ。可愛いわね」

 

SOREMA -それ、魔!- 33に続く。

 

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第273話 「ワーカホリック

第274話 「追手」

第275話 「カフカ

第276話 「翻弄の洞窟」

第277話 「はじめまして」

第278話 「五月蝿(さばえ)」

第279話 「作業」

第280話 「契(ちぎり)

第281話 「エミリー」

SOREMA -それ、魔!- 31

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SOREMA -それ、魔!- 31

 

「クラクション」

 

────


第264話 「百目鬼とアラン」

 

────


四ツ目通り裏》

一善「君が持ってるその紙...何?」

百目鬼「ん?これ?おもちゃ」

一善「???」

百目鬼「これを使えば、塵一つあれば魔者が作れるんだ」

一善「...!ならさっきの魔者はお前が...!」

百目鬼「あぁ。そうさ」


バッ!


一善は、百目鬼の胸ぐらを掴んだ!

 

一善「ふざけるなよ?!どういう手口か知らないが、あれでもし1人でも人が死んだらどうするつもりだ?!今までも同じような魔者を何体か倒したが、それも全部お前の仕業か!?!」グイッ...!

百目鬼「おいおい!まてまて。俺が魔者を作ったのは今回が初めてだ。そして、今回の魔者は誰も襲ってないだろう?ただ君達魔裁組を誘き寄せるために俺が仕組んだ罠だよ...!」


一善は手を離した。

一善「聞きたいことが山ほどある。一つ一つ全部答えろ」

百目鬼「答えなかったら?」

一善「消す」


百目鬼「...こわいなぁ。ま、いいよ。答えてあげる」

一善「お前は誰だ」

百目鬼百目鬼藤。一般の魔法使いさ。そして...」

一善「?」

 

百目鬼「魔法犯罪組織”ノベル”のメンバーさ」

 

一善「?!魔法犯罪組織?!」

百目鬼「あぁ。コードネーム”アラン”。これが俺の組織での名前だよ」

一善「お前、魔導師か...?」

百目鬼「おいおい。俺は君の味方だって言っただろう?俺は魔法使いだって」

一善「全て分かりやすく説明しろ」


百目鬼「犯罪組織ノベル。組織のボス ”シェイクスピア”を中心とした魔法犯罪組織さ。構成員は10人前後。魔者もいれば魔導師もいる。その境界線は曖昧さ」

一善「...」

百目鬼は、蝶々紙を風になびかせて、不敵な笑みを浮かべる。

百目鬼「この蝶々の書かれた紙。これは俺たち組織の人間が作ったものさ。まだテスト段階だけどね」


一善「...お前らの目的はなんだ?」

百目鬼「ずばり、魔法を使った世界征服さ。今俺たちは、13の魔導書の在処を知っている。もちろんほとんど履術者がいる。この力を使って、魔裁組が持つ全ての魔導書を奪い、魔法の力を使って世界をこの手にしようってのが、俺たちの野望さ」


一善「(13個...?ってことは、魔裁組が把握していない魔導書の全てはこいつらが分かっているということなのか?なら、白鶯もそのメンバー?お母さんから奪われた予知の書の在処を知ってる...?)」

百目鬼「まぁ、ここまでは、'ア'ラ'ン'と'し'てのお話で、本題はここからだ...」

一善「?」


百目鬼「ノベルを破滅させるために、俺と組まないか?」

 

────


第265話 「駆け引き」

 

────


四ツ目通り裏》

一善「壊滅...?お前はそのメンバーなんじゃないのか?」

百目鬼「俺はとある魔導師を探してたんだ。そしたら、魔導師が集まる組織が見えてきた。それがノベルだった」

一善「...」

百目鬼「俺はその魔導師を殺したいんだよ。その手がかりを掴むためにノベルに潜入したってわけ。俺も履術者の端くれだから、簡単にコードネームまで貰えたよ」

一善「で、その魔導師ってのは?」

百目鬼「名前も言いたくないねぇ...でもまだ生きてるよ。勝手にくたばってなければな」


一善「その魔導師は、ノベルの中にはいたのか?」

百目鬼「俺たちはコードネームでしかやり取りをしない。それに、ごく一部のメンバーにしかお互いの顔は明かさないんだ。だから俺も顔が分かるメンバーは数える程しかいない。その中にはいなかった」

一善「なるほど」

百目鬼「第四十三章 強震の書。これが俺の追ってる魔導師の能力だ。お前たちが保管していなければ、きっとノベルの1人として生きている」

一善「...(四十三章は欠番だったはず...)」

百目鬼「ノベルは近いうちにお前たちに奇襲を仕掛ける筈だ。そして全ての魔導書を奪う算段がついてる。お前たち魔裁組にとっても、今ノベルを叩くメリットはある」

一善「...」

百目鬼「それに、俺をお前たちの支配下に置くことも重要ではないか?なにせおれの胸(ここ)には魔導書が眠ってるからな」

一善「...(こいつが言っていることは一理ある...)」

百目鬼「俺と組まないか?」


一善「...少し考える」

百目鬼「君、名前は?」

一善「油木一善」

百目鬼「油木一善クン。明日、12時にスカイツリーの駅改札に来てくれないか」

一善「なんで?」

百目鬼「男同士のデートは嫌いかな?」

一善「...は?」

 

────


《ノベルの拠点》

 

────


ド       ン       !


空は夜のように暗く、赤く巨大な月が照らしている。

幾つも並び立つ高層ビルの屋上の様な空間に、それぞれ一人一人が違うビルの屋上に立っている。その場にいる者の顔は見えず、黒く靄がかかっている。


ドン!

エミリー。ノベルのナンバー2。

エミリー「遅いわね。何やってるのかしら、あの子」


ドン!

クリスティ。ノベル幹部。ゲイ。

クリスティ「全くもう...焦らしちゃって♥」


ドン!

サド。ノベル幹部。

サド「まぁ、待ってれば来るだろう」


ドン!

ドイル。ノベル幹部。

ドイル「...」

 

ゴゴゴゴゴ...!!


ドン!

デュマ。ノベル幹部。

デュマ「あ!来たんじゃない?向こうのビル!」


シュゥゥゥゥ...

 

「待たせたな」

 

エミリー「やっときたわね。シェイクスピア


ドン!

シェイクスピア。ノベルのボス。顔は見えない。

シェ「さぁ、始めようか」

 

────


第266話 「標的」

 

────


《ノベルの拠点》


シェ「全員揃ってるか?」

クリスティ「全員って...私たち何人いるか分からないじゃない〜?」

デュマ「確かに!顔も見えないし!」

エミリー「ウルフが居ないわ。あとは新人のアランが」

シェ「その2人はいいだろう。他はいるなら始めようか」

サド「今日は、何故我々を呼んだのだ?」

シェ「あぁ。魔裁組には、少なく見積っても20は下らない数の魔導書がある。それらを全て手にするためには、魔裁組を殲滅せねばならない」

クリスティ「なんで殲滅するのよ。仲間にしちゃえばいいじゃない」

サド「お前は馬鹿か。魔裁組は魔法を無くすことを最終目標としている。我々の思想にとっての反乱分子は全て抹消せねばならない」

クリスティ「なるほどねぇーん」


シェ「話が逸れた。今回お前達を呼んだのは、魔裁組殲滅作戦の前準備として、摘んでおきたい芽があるからだ」

サド「なるほど」

デュマ「なにそれなにそれ!」

シェ「1人はこの男だ」


ボワァァン...!

上空にとある顔が浮かぶ。

 

クリスティ「わぁお!いい男ねぇん♥」

サド「こいつは?」

シェ「千巣万之助。魔裁組のエースだ。こいつを先に消しておきたい」

クリスティ「うふん。なるほどねぇ」

デュマ「やりたいやりたい!俺やりたい!」

エミリー「いいえ、この男は私がやるわ」

シェ「そうだな...俺もエミリーに任せようと思っていた...」


デュマ「ちぇっ。なんでだよ!」

エミリー「私は顔見知りなのよ...この男と。私がまだ'魔'法'使'い'と'呼'ば'れ'て'い'た'時のね」

シェ「奴は強い。だがエミリーなら、心理的に隙をつける」

エミリー「そうね。久しぶりだわ。本当の名前で振る舞うのは...!」


シェ「そしてもう1人は...」


ボワァァン...!


ある1人の顔が浮かぶ。


エミリー「あら」

サド「ほほぅ」

クリスティ「なるほどーん?」


シェ「こいつは俺が直々に消しに行く。布石はもう打ってある」

デュマ「なんだー。俺はお留守番かー」


シェ「何か、異議のある者は」


???「一ついいかな。シェイクスピア様」


シェ「なんだ?カフカ


ドン!

カフカ。ノベル幹部。魔者。

カフカ「俺、ちょっと殺したい奴がいるんだよねぇ...」


シェ「というと?」

カフカ「俺が操っていた蝶の魔者が2体同じガキにやられたんだよ...あいつはちょっと、生かしておけねぇや...」

シェ「どんな男だ」

カフカ「虫の魔獣を使う若い男だよ...エレメントの色は緑...!」

シェ「魔裁組の新顔か。まぁ、好きにするといい...だが相手の戦力は削ぎすぎるなよ...雑魚はまとめて処理する。その方が我々の力を誇示できるからな」

カフカ「ヒヒヒ。わかったよ。感謝する。シェイクスピア様」


ズズズズ...


カフカは、黒い闇の中に沈んで行った。


シェ「まぁ、敵の駒を散らせるには丁度いいだろう」

エミリー「いいの?もしカフカが死んだらどうするの?貴重なコマが減るわよ」

シェ「どうにだってなる。俺たちは契りの指輪によって、例え死んでも、魔導書はこの場所に帰って来る」

サド「魔者の我らでも、奴らに魔導書が奪われることは無い」

クリスティ「心配しすぎじゃな〜い?可愛い顔が台無しよエミリー♥ま、見えないけどねん」

エミリー「...ふっ。ま、いいわ。でも魔導書に選ばれる人間は多くない。お前達も、簡単にくたばらない事ね」


ズズズズ...


エミリーはカフカと同じように闇の中へ沈んでいった。


デュマ「ま、そんな簡単にしなないっしょ!」

ドイル「...」

シェ「お前達も、魔裁組の人間と遭遇したら分かっているな?殺すか、逃げ切るかだ。準備が整うまでまだ少し早い...勇み足は禁物だ」


ズズズズ...


全員闇の中へ消えた。

 

────


第267話 「クラクション」

 

────


《第2支部 / 実働班ルーム》

とある日。


三太郎「ジャスさん。今日は静かだな」

ジャ「実働班は俺たち2人しか居ないしな」

三太郎「一善は?どこ行ったんだ?また任務か?」

ジャ「いや、今日は予定があるって。原宿に」

三太郎「原宿!じゃあ遊びにいったのかな?デートとか!」

ジャ「女の子ではないってさ」


三太郎「そっかー。でもよかったわ。最近の一善、優しいんだけど、どこか怖いっていうかさ。いつも気を張ってたから、リラックス出来る時間があるならよかったよ」

ジャ「確かにな。魔法使いとしての責任感を強く感じているように見える」

三太郎「俺も一善とスポッチャとか行きたいな...」

ジャ「...連れてってやりなよ。喜ぶと思うよ」

三太郎「よし!今度落ち着いたら誘ってみよっと!」

ジャ「俺も行きたい!」

三太郎「ジャスさんも行こうぜ!」

ジャ「いえーい!!」


三太郎「あと、女子勢は?」

そこへ五百旗頭がやってきた。

五百旗頭「あの子達なら、越前さんの家に泊まってるわよ」

ジャ「あ、なぎちんちっすー!」

三太郎「おうなぎちん!お泊まりか?!いいな!」


五百旗頭「最近よく泊まってるわよね。前から越前さんが三人娘の面倒を見てあげていたのは知ってたけど」

ジャ「三人娘は3人とも長女じゃん?だから、甘えられる年長の女の子の存在は貴重なんだろ」

三太郎「それに莉茉っちさん。あぁみえて寂しがり屋だしなぁ」

五百旗頭「独り身の越前さんにとって3人は、妹の様な存在...なのかもしれないわ」

ジャ「ヒメちゃんも一緒なのかね」

五百旗頭「そうらしいわよ」

ジャ「楽しそうでいいねぇ」


三太郎「ひぇっくしゅん!!ひぇっくしゅん!!!あれ、急にくしゃみが止まらねぇ!ひぇっくしゅん!!...」


ジャ「どうした?花粉症か?」

五百旗頭「きっと今頃、三太郎君の悪口で盛り上がってるんだわ」フフフ

ジャ「ははっ!まちがいないな!」

三太郎「やめてぇ!こわい!!」

 

────

 

《麻布付近商店街》

千巣は、マクドナルドを出て六本木方面に商店街を歩く。

千巣「...(シェイクうま)」チューチュー

千巣は、シェイクを飲みながら、車道を横切る。わたり切ると、片手に持った階級試験の結果用紙に視線を落とした。

千巣「...(特級...ねぇ)」


プーーーーーーーーーー!!


すると、大きなクラクションが鳴った。

千巣「!!(ノイキャン貫通して聴こえるってどんな音だよ!)」

千巣が横に目をやると、黒い高級車の左ハンドルから女の顔が覗いていた!


千巣「...あなたは!」

エミリー「久しぶりね。万之助君」

 

────


第268話 「小夜のドライブ」

 

────


《原宿 / 竹下通り》


百目鬼「うわー。人がいっぱいだぁ」

一善「...」

百目鬼「おいおい油木君。今日は休日だろう?しかも原宿に来てるんだよ?何そのローテンション。楽しもうぜもっと!クレープでも食う?」

一善「逆になんで君と原宿に来ないと行けないわけ...」

百目鬼「君じゃない君じゃない。俺は百目鬼藤。ちゃんと名前があるんだから、呼んでよ」

一善「百目鬼。これで十分だな。帰る」

百目鬼「おいおい...つれない男だなぁ...」

一善「...何をすれば満足なの!」

百目鬼「本日の目的は、俺が悪いやつじゃないよってことを、油木クンに教えてあげたいんだ」

一善「...」


百目鬼「とりあえずクレープ食お」

一善「男2人で?」

百目鬼「嫌ならプリクラでも撮る?」

一善「もっと嫌だわァ!」

 

────

 

《麻布付近商店街》


プーーー!  プップーーーー!

エミリーの車は、後ろの車の交通の妨げになっていた。

エミリー「ほら」ポンポン

エミリーは、助手席を叩いた。

千巣「は...?」

エミリー「後ろの車に迷惑でしょう。早く乗りな」

千巣は渋々車に乗り込む。


ガチャッ!


エミリー「久しぶりねぇ。元気?」

千巣「まぁ。季彩先輩こそ、何してるんですか?」

 

氷室季彩。エミリーの本名

エミリー「まぁ、貴方に話すほどのことは無いわ」


千巣「...」

エミリー「今日は何してたの?」

千巣「散歩です」

エミリー「そう。暇なのね」

千巣「夜から予定が...」

エミリー「少しドライブしましょう?お話がてら」

千巣「...?」


エミリーは都内を適当に走らせた。千巣は終始窓の外を見ていた。


そして日が落ちる頃、エミリーの車、メルセデスAMG GT Cロードスターはアクアブリッジを渡る。


千巣「これ、どこへ向かってます?」

エミリー「千葉方面かしら」


千巣「困りますよ。俺予定あるって」

エミリー「近所にね、昔からやってたパン屋があったの」

千巣「...急に何の話ですか?」

エミリー「そのパン屋はそれなりに人気だったんだけど、ある時、とある人気のパンが出来て、とても賑わった時期があったの...」

千巣「...」

 

────


第269話 「時に善意は、刃物と化す」

 

────


アクアライン

エミリー「でも、そのパンは、原料の値上がりや、人手不足もあって、棚から姿を消したのよ」

千巣「...」

エミリー「そしたらそのパン屋にたくさんの人が押しかけたの。そのパンを何とか復活させてくれって」

千巣「...」

エミリー「その人たちはきっと、そのパンを本気で好きだったんでしょうね。その思いを伝えるべく、押しかけたのだろうけど、パン屋のオーナーは頭を抱えちゃったのよ。そのパンは簡単に作れなくなったから」

千巣「ほぅ」

エミリー「その時期を境にそのパン屋に足を運ぶ人は減ったわ。あんなに盛況だったのに、ちらほらと見える程度になった。そんな時、オーナーは意を決して、その人気だったパンを復活させようと奮起したのよ」

千巣「...」

エミリー「すると口伝に噂が広がって、何日かは人が溢れたわ。皆、ありがとう、ありがとうって。でも」

千巣「?」


エミリー「近くに新しいパン屋が出来たの。それもすごい有名店の2号店」

千巣「...」


エミリー「そしたら、バケツを返したように人は居なくなって、皆その新しい店に行ってしまったの。おかげで店は大赤字。オーナーは頭を抱えた後、店を閉じたの」

千巣「...」

エミリー「すると今度は、店が無くなった悔みや悲しみの言葉や投稿がSNSなどに溢れたのよ。なんで、どうしてって...」

千巣「...」

エミリー「人って残酷よね」

千巣「...」


エミリー「あなた、まだ魔法使いやってるのよね。なんで?」

千巣「それは...」

エミリー「あなたが守っている人間たち。人は人を助ける時、助けようとする人を”綺麗な心の持ち主”だと錯覚する癖があるけれど、そんなことは無い」

千巣「...!」


エミリー「そんな綺麗なものじゃない。人は」


千巣「...あなたも昔は、魔法使いでしたよね」

エミリー「やめたのよ。もううんざりしてたから」

千巣「季彩先輩...?」


エミリー「私は今、もっと楽しいことをやっているから...!」

 

────


第270話 「終着駅」

 

────


アクアライン

千巣「楽しいこと...?」

エミリー「あなた達、魔法を無くすために戦っているんだろうけど、本当にそれでいいの?」

千巣「というと?」

エミリー「魔法を無くすということは、即ちあなたは普通の人間になるということ。魔法を持っているあなたは今、特別な存在。その力で、どうとでもなれるのよ。あなたの心が許す限り」

千巣「...」


エミリー「あなたも、私達と来ない?魔導師としての道」

千巣「!!!!」


エミリー「あなた達がどれだけ人を救おうと、それに見合った見返りは絶対に帰ってこない。だって、皆何食わぬ顔して生きているでしょう?魔法を知らない凡人たちは、私たちが命を削る戦いの前線に立たされていることを知らないもの...」

千巣「アンタ、魔導師に堕ちたのか...?」

エミリー「あなたも消費されるだけ。そして私は堕ちたんじゃない。気がついたの。この力の本当の使い方」


千巣「...違うな」

エミリー「?」

千巣「俺の戦いのゴールは、感謝されることじゃない。もっと手前にあるんだよ」

エミリー「...?」

千巣「大切な人が傷つかなければそれでいい」

エミリー「は?」


千巣「ま、俺も自分と関係ない人間を助ける。その人も誰かにとって大切な人かもしれないから。だから別に、その人に感謝される所まで、俺のレールは伸びてないんだわ」

エミリー「...変わった人ね」

千巣「何となく分かったよ...アンタが今日、何か禍々しい気配を纏っていた理由がな...!」

エミリー「ふぅん」

千巣「車を止めろ。ちょっと外で話をしましょうか...!」ゴゴゴゴゴ...!

エミリー「あら、決裂?なら可哀想だけれど...ここで死んでもらうしかないようね...!」


エミリーは、アクセルをベタ踏みした!

千巣「...!!!」


エミリー「魔導結界...展開!!!」


車は、高速で光の中に飛び込んだ!!!

千巣「...!!(眩しい...!独特なマヂカラの気配...!!)」


千巣が目を開けると、そこはサボテンの生えた、まるで西部劇の舞台のような空間だった...!


千巣「...!(ここは?)」

エミリー「魔導結界...”荒野”」

 

────


第271話 「怒りの荒野

 

────


《魔導結界・荒野》

千巣「こんな術、昔は使わなかったよな」

エミリー「そうね」

千巣「なんですかこれは」

エミリー「教えてあげるわ。これは魔導結界。私を中心に展開される異空間領域よ。私たちの組織、ノベルの中でも、選ばれたものにしか与えられない特別な術...」

千巣「(ノベル...?)」


エミリー「ここを出るには、私を倒すか、私が術を解くかしかない」

千巣「なるほど。どうすれば解いてくれる...?」

エミリー「あなたが、私の誘いに頷いたら、考えるわ」


千巣「なるほど、なら残念ですが、さようなら」


キィィィィン...!!!


千巣は、四十六眼を発動させた!

エミリー「ふふっ」

千巣「...?(昔とマヂカラの気配が大きく違うな...まさか)」


千巣は、四十六眼を解いた。


エミリー「あら、やらないの?待ってたのに」

 

千巣「あんた、'履'術'者だな?前と違う」

 

エミリー「ふふっ。あなた、なんでもお見通しなのね。そうよ。あの時の私だと思って貰ったら大間違い。あなた達モンスター6人の後塵を拝する私はもう居ないわ」

千巣「でも俺はあんたを尊敬していたんだぜ?」

エミリー「そう?それはあの時伝えて欲しかったわねぇ!」

カチャ...!


バァン!!バァン!!


エミリーは、ピストルを放つ!


千巣「赤のエレメント...!唐紅!!」


ボワァァン...!!


エミリーの弾は唐紅に弾かれる!

エミリー「ふふっ。封印(ロック)...!」

千巣「...?」


エミリー「ふふっ!くらいなさい!」カチャ!


バァン!!バァン!!


千巣「赤のエレメント!唐紅!」

エミリー「ふっ」ニヤッ


バスゥーーン!バスゥーーン!!


エミリーの放った銃弾は、千巣にヒットした!

千巣「...!」ゴボゥ!!


ビチャッ!


千巣は吐血した。

千巣「...?!(エレメントが...不発?!)」

エミリー「ふふっ。もっと遊びましょう?万之助君?」

 

────


第272話 「封印(ロック)」

 

────


《魔導結界・荒野》

千巣「...」ポタッ ポタッ

エミリー「私ね、組織ではこう呼ばれてるの」

千巣「?」


エミリー「”エミリー”。これが私のコードネームよ」


千巣「何の組織だ…?」

エミリー「素晴らしい仲間たちよ。魔法をこよなく愛する良き仲間」

千巣「...そうですか...ゲホッ。それはよかったな。魔導書の力まで貰っちまってよ...!」ポタッ...

エミリー「私には才能があったみたい...なにせ、'魔'導'師'に'な'れ'たんだから。普通なら、魂を食われて魔者になるのが関の山ってとこよね」

千巣「...みたいだな」


エミリー「ま、お話しながら、ゲームも続けましょ」バァン!!


千巣「...!(エレメントは使えないかもしれない、なら!)守護!!」カキィン!!


エミリー「ふふっ。封印(ロック)」

千巣「...?」


エミリー「あなたじゃ私には勝てない...私はそう思うけれど、どう?考えを改める気になった?」

千巣「それは期待するな...!俺が外道の道に進むことは、絶対に有り得ない...!」

エミリー「そうかしら。それに、さっきから全く攻撃をしかけてくる気配がないけれど、やる気あるの?」

千巣「そりゃ俺だって、一度同じ釜の飯を食った人間を殺したくはないさ...でも、やらないといけない時もあるんだよな。だから許してくれ」

エミリー「...!」

千巣「”運”!!」


シーーーーーン


千巣「?!(今、夜叉を出そうとしたよな?だが、出てこない...?)」

エミリー「ふふっ」

千巣「運!運!」

エミリー「あらら〜?どうしたの〜?自慢の刀はどうしたのかしら?」

千巣「(なんで...?基礎魔法が使えない...?)」

エミリー「なら攻撃しちゃうわよ?こっちから」バァン!


千巣「守護っっ!!うわぁぁぁ!!!」バシューーン!

千巣は、膝をついた。


エミリー「なんか、可哀想になってきたわね。一時代を築いたあの”SHAKKS(シャックス)の千巣”が、まさか私の前で無様な姿を晒してるだなんて」

千巣「...その呼び方はやめてください」ゴボッ!


エミリー「(私の能力は、蒼魔導書第二十八章、封印の書。円陣内で動いたマヂカラの発生源に負担をかけて、一定時間マヂカラを流せなくする。エレメント、魔導書、基礎魔法。それぞれ別の発生源からマヂカラが流れている...だけどその3つさえ塞げば、どんな技だろうと関係はない...あとはその眼。眼さえ封印(ロック)出来たら、私の勝ちは確実なものになる...!)」


千巣「...(わかんねぇけど、この人の能力は恐らく技を封じる能力だ。エレメントは出せそうにない。そして守護を封じられたのと同時に、運も出来なかった。走も試しているが使えない。この眼は生きてる...だが、あと1回のチャンスでこのロックのカラクリを解こうとするのはリスキー過ぎる...つまり...)」

エミリー「...」


千巣「(あと一撃しか...攻撃できない...!!)」

 

千巣、絶体絶命──!

 

SOREMA -それ、魔!- 32へ続く。

 

nbsrskniw.hatenablog.com

 

第264話 「百目鬼とアラン」

第265話 「駆け引き」

第266話 「標的」

第267話 「クラクション」

第268話 「小夜のドライブ」

第269話 「時に善意は、刃物と化す」

第270話 「終着駅」

第271話 「怒りの荒野

第272話 「封印(ロック)」

SOREMA -それ、魔!- 30

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SOREMA -それ、魔!- 30

 

「動き出した時代」

 

────


第255話 「蝶」

 

────


《東京 / 上野公園》

 


パタパタパタ...!

鳩が群れとなって飛び回る。

 


魔者「デュリャァァァァ!」

一善「緑のエレメント…!草枕!!!!」


ズバッ!!!!


魔者「デュリャァァァァ!!!!!」

 


シュルルルル…

 


一善は、単独任務で上野公園を訪れていた。激闘の末、魔者を1体退治した。

 

この時、一善は魔裁組に所属して1年以上経っていた。


一善「…(魔導書の魔者では無いな…)」


通行人「あの人、何してたのかな…?」

通行人「ダンスの練習?ウケる」

通行人「いやあれは劇団員じゃないか?」

一善「…(そうだよな。皆には魔者は見えないもんな。でもそれでいい。今日も1人も被害を出さずに済んだ)」


一善は水筒から塩水を撒く。


一善「…(最近、魔導書の魔者じゃなくても強力なマヂカラを持った魔者が多い…今回のもそうだった。それと…)」


ド   ン   !

一善は、魔者が消えた場所に残った”小さな紙切れ”を拾い上げた。その紙切れには、絵本のような形の蝶々が描かれている。


一善「(またこの紙切れだ。最近多い。なんなんだ?早く支部に戻って報告だ)」


一善はその場を去る。

そんな一善を遠くから見る男がいた。


???「元気そうだね…」ニヤッ

 

────

 

《魔裁組第2支部 / 実働班ルーム》

 

一善が支部に戻ると、第2支部実働班のメンバーが勢揃いしていた。

一善「戻りましたー」

一同「!」

幸二「おかえり」

三太郎「おそかったな一善!寄り道か?」

ジャ「お!一善おかえり!どうだった?」

一善「魔導書のドロップはありませんでした」


ジャ「そうか。お疲れさん。でも落ち込むことは無い。今まで魔裁組の皆が頑張ったおかげで、残る行方不明の魔導書はあと13個だ」

三太郎「てことは、それを全部拾い集めて燃やせば、魔法を封印できるんだな!」

麗美「私達含む味方側の履術者が持ってる魔導書と、魔裁組が保管してる魔導書。これらを合わせて51個になればいいのよね」

ジャ「ま、そだね」


はるか「でもさ、味方側の履術者って、麗美とか一善とかはいいけどさ、今いない人とかもいるんだろ?どうやって探すんだ?」

ジャ「一応、認定された履術者と魔法協会は定期的に連絡を取ることになってるから、居住地は分かってる。魔導書が全て集まったら返還してもらう契約を結んでるのさ。岩田さんとかね」

美波「そうなんだ…」

莉茉「でも、一善くんみたいに体内に魔導書が宿ってる履術者の人は、どうやって魔導書を顕現させるの?」

ジャ「今の所は”魔導放棄”しか方法はない。けど、なぎちんが長らく、新しい方法の研究をしてるから、何とかなるはずだよ」

莉茉「そうなんだ」


ジャ「そして!皆に今日集まって貰った理由の一つはね!新しい仲間を紹介するためです!!」

一同「!!!」

 

────


第256話 「新しい仲間」

 

────


《第2支部 / 実働班ルーム》


ジャ「入ってきていいよ!」

ガチャ!


一同「!!!」

ヒメ「皆さん。お久しぶりです」

三太郎「ヒメちゃん!」

幸二「…!」

 

久品ヒメ。追憶の書の履術者。

 

ヒメ「今日から私も、正式に、魔裁組の一員としてお世話になります!」

麗美「えーほんと?!」

三太郎「新しい仲間だ!!」

莉茉「楽しくなりそうね!」


ジャ「ヒメちゃんには、今まで通り追憶調査に携わってもらいつつ、実働班や研究班の包括的なサポートをお願いすることになったんだ!」

ヒメ「私も、皆さんの力になりたいなと思って、一善と話し合って志願したの。皆さんの暖かい雰囲気も好きなので」

美波「やったぁ!嬉しい!」

はるか「これからよろしくな!」

ヒメ「よろしくお願いします!」


パチパチパチ…!


麗美「いやぁでもあの時は驚いたな。まさか、一善くんとヒメちゃんが双子だなんて」

一善「俺も最初は驚いたよ」

ヒメ「そうね」

三太郎「なんか、割とさらっとしてるんだな...笑」

一善「そう?俺もヒメも最初はどう振舞っていいか...」

ヒメ「そうだったわね」

はるか「うーん。でも顔はそこまで似てないなぁ」

莉茉「そうかな?タレ目な感じとか似てない?」

ヒメ「あはは」

一善「あはは...」


ジャ「はい、そういうことで、よろしくね!次はね。皆さんお待ちかね…!」

はるか「なんだなんだ?」

三太郎「あれか?」

幸二「…!」


ジャ「階級試験の結果発表です!!!」


三太郎「待ってました!!!!」

はるか「いよ!!!」

莉茉「緊張するな…!」

麗美「とうとう来たわ…!」


ヒメ「階級試験?」

一善「魔裁組実働班のスキルを測る試験の事さ。実技、知識、実績の3つの観点から、階級が分けられるんだ」

ジャ「プラスで、審査員の人達の意見も加味される。姐さんやなぎちん、善能寺さんとか、要はお偉いさんね」

三太郎「去年も紅白やりたかったけど、実技試験も楽しかったよな!個人戦!」

幸二「……」

美波「でもテスト難しかったよ…魔法に関する歴史とか」

麗美「魔導書について知識とかね」

ジャ「俺が在籍する前の年まではしばらく行われていたらしいんだけど、その年に”階級のインフレ”が起きて、無意味と化して無くなったらしい」

一善「なるほど」

三太郎「俺は柱かな?!柱かな?!」

一善「それは違う作品!!」

三太郎「じゃあ特級とか?!」

一善「それも違う作ひ」

ジャ「いや、この階級試験の最高階級は特級だ」

一善「あ、そうなんですね」

三太郎「すげぇ!!俺も無量空処するわ!」

一善「それは確実に違う作品!」


ジャ「さぁ、皆、結果を配るよ…!」

一同「…!」ゴクリ!

 

────


第257話 「試験結果」

 

────


《第2支部 / 実働班ルーム》


ジャスティンは、全員に試験結果の紙を配る。

三太郎「ん?これ、沢山数字があるけど、どこを見ればいいんだ?」

ジャ「3つの分野それぞれのスコアと、それとは別に右下に漢字があるでしょ」

三太郎「”普”って書いてあるけど?」

ジャ「wwwじゃあ三太郎は”普級”だな!」

三太郎「え!!特級じゃねぇのかよ!!」


一善「俺は”快”って書いてある」

麗美「私も!」

莉茉「私もだ!」

ジャ「3人は”快級”だ」


はるか「私”準”」

美波「あ、私も同じ!」

ジャ「2人は”準級”だね」


三太郎「おいおい!2級とか1級みたいに数字じゃないのか!これ、どれがいちばん高いんだ?」

はるか「んだんだ」

ジャ「上から特級、準特級、快級、準級、普級だ」

三太郎「え」

ジャ「分かりにくかったら、電車の種別を思い出すとわかりやすい」

一善「あぁ。普通がいちばん遅くて、特急が1番速い的なあれですか」

三太郎「も、もしかして…俺…」

ジャ「1番下ですね」

三太郎「なんですとーーーーー?!?!?!」


ジャ「ま、まぁ三太郎は実技のスコアは割と高めだし、この階級が強さに直結する訳じゃないから、あんまり気にしすぎるなよ」

莉茉「それに、三太郎君は歴が周りより浅いからね」

三太郎「だとしても…もう3年目だぞ…俺…」   チラッ

麗美「あれれ?知識部門壊滅的じゃんww」

一善「もっと勉強しなよ笑」

三太郎「てかお前!俺と同時入部なのに何涼しい顔して快級とってんだよ!!!」

一善「お、俺は勉強したしさ…」


莉茉「ちなみにジャスティンさんは?」

ジャ「俺は、準特級」

はるか「すげぇじゃん!上から2番目!」

ジャ「本当は特級が良かったけどね…ま、いいや」

一善「特級はやっぱり難しいんですか?」

ジャ「まぁいつからこの形式の試験があったか分からないけど、何百人受けてきたとされる試験で、特級はたったの6人しか出てないらしい」

一善「へぇ〜」

 

ジャ「そしてその6人は”同じ年”に出た。その年からこの試験は無くなったのさ」

 

一善「それが”史上最強の6人”ってやつですか」

ジャ「さすが一善くん!知識部門第2支部トップ2だっただけあるね」

一善「そうなんですか?てか、幸二は?この試験受けたことある?」

ジャ「幸二は昔受けたことあるんだろ?それに知識部門は一善と並んでトップだったけど…」

 


幸二「......」

三太郎「あ…笑」

ジャ「そっか…」ニヤニヤ

 


幸二「…うるせぇ!俺だって、食中毒で大変だったんだよ!!」

※幸二は、実技試験当日食中毒で欠席し、階級は普級(仮)。

 

────


第258話 「動き出した時代」

 

────


《第2支部 / 実働班ルーム》


幸二「だいたい三太郎!お前が階級とか欲しいとか言わなければ、ジャスティンさんが上にかけあうことも無かったんだ!」

三太郎「おまwww悔しいのかよ普級でwww」

幸二「おまえも同じだろ?!俺はちゃんと試験受けたら少なくとも準級以上はあるわ!」

三太郎「いいんだよ!俺数学とかの勉強は割とできるもん!魔法のことはよくわからん!」

幸二「なんだその理論!」


ヒメ「あはは」

はるか「仲良いんだか悪いんだか」

麗美「んね」


ジャ「ま、こんなのいいのいいの。お飾りだから。でも三太郎、最低限の知識は持っとけよ?それが人の命を救うことにも繋がるかもしれないからな」

三太郎「お、おう...」

ジャ「とにかく、これからもジャカジャカ魔者を倒して、魔法を封印するぞー!」

三太郎「いえーーい!」


一善「あ、そういえばジャスティンさん。またこれが」

一善は蝶々の書かれた紙切れを見せる。


ジャ「またこれか...これで何件目だ?」

幸二「ここ数ヶ月で、よく目にしますね」

はるか「最近、魔者が全体的に強くなってるのも、それのせいなのか?」

ジャ「分からないが、蝶々紙が発見されないケースでも、魔者のレベルは高い。魔導書の魔者と比べても遜色はないくらいには。皆もそう思わないか?」

幸二「そうですね」

はるか「たしかに」

ジャ「この蝶々紙については、善能寺さんにも報告している。何か大きな陰謀が動き始めているのかもしれない」

一善「...なるほど」

ジャ「何か分かったら共有しよう。また、蝶々紙が手に入ったら教えてくれ...今年は否が応でも...」

一善「?」

幸二「...」

三太郎「!」


ジャ「”時代が動く”...!」

 

────

 

《第2支部 / 研究班ルーム》

善能寺「ごきげんよう

犬飼「善能寺さん...!」

安西「こんにちは。今日はどういったご要件で...?」

善能寺「例の研究の進捗を聞きに来たの。五百旗頭さんはどこに?」

安西「奥です!犬飼案内してもらえる?」

犬飼「おう。こちらです!」


犬飼は、善能寺を、奥にいる五百旗頭の元へと案内した。


善能寺「ごきげんよう。五百旗頭さん」

五百旗頭「こんにちは」

善能寺「調子はどう?」

五百旗頭「何となくですが、道筋は見えてきました。あとはその実証が出来れば...」

善能寺「なるほど」


五百旗頭「ええ。成功すれば、”履術者の心身に影響を与えずに、魔導書のみを摘出出来るようになる”...!かと」

 

────

 

《岩田家》

一善は、岩田の家に定期面会にやってきた。

一善「お久しぶりです。岩田さん」

拓郎「お待ちしておりました。一善少年」

一善「お元気そうで何よりです」

拓郎「一善少年も、元気そうで」

 

────


第259話 「久しぶり」

 

────


《岩田家》


2人はテーブルの上に置かれた魔導書を挟んで会話をしている。

拓郎「この1年半で随分と成熟した男の顔になられましたな。一善少年」

一善「そうですかね」

拓郎「あの時は、誠実さの中にどこか迷いがあったのでは無いですか?」

一善「...そう、だったかも」

拓郎「今の一善少年は、気の張り方が真っ直ぐだ。あるべき自分を見据えていて、そこへ向かって進んでいかんとする決意が目に見える」

一善「ありがとうございます」

拓郎「うむ!!!!!」

一善「!!」ビクッ

 
拓郎「前回ジャスティン殿とこちらにいらしたのは半年前でありましょうか。その時からこちらは変わらずでございます。魔裁組の皆様はいかがでしょう」

一善「最近、街の魔者が少々様子がおかしいと言いますか」

拓郎「と、いうと...?」

一善「これ、なんだか分かりますか?」

一善は、蝶々紙を拓郎に見せた。

拓郎「蝶々...?本...?見たことがないな」

一善「そうですよね...」

拓郎「これは、なんです?」

一善「最近、魔者を倒すとこの紙が現れるんです。これが何なのか、協会も魔裁組も把握していなくて...」

拓郎「もし見かけたら報告に伺います。我々も、何か皆様の役に立てたらと、常日頃から思っておりますので」

一善「ありがとうございます。助かります」


拓郎「そうだ、一善少年。久々に道場で一汗流してみませぬか?新しく作った魔者のテストプレイをしたいのであるが...」

一善「そうなんですね!是非お願い致します!」

拓郎「名付けて!超巨大魔者!!キョダイマモノアドベンチャー!レイドバトル編!!!」ドン!!

一善「(相変わらずだな...)」

拓郎「では、行きましょうぞ」ワクワク...!

一善「はい」


プルルル...! プルルル...!


一善「あ、電話だ」

拓郎「お出になるといい」

一善「ありがとうございます」


自動音声「墨田区錦糸4-15-1にレベル3相当のマヂカラ反応あり。繰り返す墨田区...」

一善「!!」

拓郎「!!」


一善「拓郎さんすみません...!魔者が!」

拓郎「問題ありませぬ。私も馳せ参じようぞ!」

一善「(錦糸公園だ...!ここから走って20分くらい...タクるか...?どちらにせよレベル3なら、1人で!)」

拓郎「どうされた?一善少年!」

一善「俺1人で大丈夫です!今日はありがとうございました!」


ポイッ


拓郎は、一善にヘルメットを投げた。

拓郎「バイクの方が速い!乗っていきたまえ!」

一善「(バイク乗れるの...!)」

 

────

 

錦糸公園

公園の中心に、1体の魔者と、1人の男がいる。


魔者「ビュハァァァァ...!」

???「おい、いい子にしろって」

魔者「ビュハァァァァ...」

???「人を襲ったらダメだよ?もうすぐお目当てが来るだろうから...」

魔者「ビュハァァァァ...」


百目鬼「あー久しぶりだなー!魔裁組の皆さん...!」


ド     ン     !

百目鬼の手には、何枚もの蝶々紙が、ひらひらとなびいていた。

 

────


第260話 「準特級」

 

────


《第1支部

第1支部の実働班5人のうち、千巣を除いて4人は合同生活をしている。


虎走「私!快級!まぁまぁじゃん?」

九頭龍坂「うちもやわぁ」

村松「...」

チラッ

虎走「村松ちゃんも快だ!3人同じ!」

九頭龍坂「まぁまぁレベル高いんとちゃう?」

虎走「確かに!」

九頭龍坂「で、某先輩は間違いなく特級やろうなぁ」

虎走「パイセンはねぇ...笑」


伊藤「......」

伊藤は、自分の試験結果をじっと見つめていた。

虎走「伊藤ちゃんは?」

九頭龍坂「伊藤ちゃん?」

村松「...?」

伊藤「......」

 

・・・


虎走「ま...まぁ!伊藤ちゃんはさ!1番歴が短いのもあるし!気にすること、ないんじゃない?」

九頭龍坂「こんなのオマケやて。あれやろ?向こうのなんやったっけ...サンジロー?みたいな子がやりたい言うてやっただけやろ?」

虎走「気にしない気にしない...!」

村松「...!」コクリコクリ!


伊藤「...違うんです」

一同「?」

伊藤「私...準特級...らしいです」ド   ン   !

一同「!!!!」


虎走「へ、へぇー!凄いじゃん!」

九頭龍坂「オ、オマケ言うたけどあれは嘘や。ほんまにすごいことやで?準特級やろ?」

村松「...!!」

虎走「確か向こうのジャスティンさんと同じだよね?それ、めっちゃすごくない?」

伊藤「でも...スコアは全部平均...これ、何かの間違いなのでは...?」


鬼屋敷「間違いじゃないわよ」


虎走「!!」

九頭龍坂「姐さん!」

村松「...!」

伊藤「......!」


鬼屋敷「間違いじゃないわよ。あなたは準特級の女よ」

伊藤「......!」

鬼屋敷「精進なさい...!」


鬼屋敷は去っていった。


伊藤「あ!あの!」

鬼屋敷「何よ?」

伊藤「...おやすみなさい!」

鬼屋敷「ハッハッハッ!まだ17時よ?これから溜まった韓流ドラマ見るんだから、まだ寝ないわよ」

伊藤「そ、そうですよね」

鬼屋敷「じゃあねぇ」


鬼屋敷は、どこかへ消えた。


伊藤「...(まさか...?)」

虎走「...?」

九頭龍坂「どうかしたん...?」

村松「...?」

 

────


第261話 「X」

 

────


時は、1年と少し前。ジャスティンらが折紙山で魔者を退治した時の事。


《折紙山 / 小屋前(回想)》

この日、彼らは交代で外で見張りをしていた。そして、伊藤が見張りをしている時だった。


ズザザッ!


伊藤「!!!誰!!」


マスクの男「驚かしてすまない。伊藤蘭さんだね?」

伊藤「...!なんで私の名前を!」

X「私のことはX(エックス)と呼んでくれ。私は君の姉、伊藤凛さんの事を知っている!」

伊藤「...!」

X「凛さんの件は...とても残念に思っている。まだ若かったろうに...実は私も、'同'じ'男に、親しい人を殺されていてね...」

伊藤「それって、白鶯蓮源のことですか?」

X「そうだ。私は、白鶯を捕まえるために、身を明かさずに策略を立てている。そのために君の力を貸してほしいんだ...!」

伊藤「...?なんで私?」

X「私も君も、白鶯を倒したい。そのビジョンは同じ。だから、協力してくれるかなと思ったんだ」

伊藤「...」

X「それに、君しかできないことも頼みたい」


伊藤「...?私にしか出来ないこと?」

X「あぁ...白鶯は、今も魔導師として暗躍し、”次の世界の主権”を狙っている...!」

伊藤「...何よそれ?」

X「白鶯は、魔法の力を使って、非魔法使いの人間共を支配し、新たな世界秩序を作らんとしているのだ!!」

伊藤「...?」


X「白鶯は、今後数年の間に大きく動くだろう。今は影を潜めて、その準備をしているんだ」

伊藤「許せない...!」

X「そうだろう?!許せないだろう?!私も同じなんだ...そして、私の想像だが、白鶯は、魔裁組に”内通者”を忍ばせている...!」

伊藤「!!!!それって、誰なの?!」

X「それは...!」

伊藤「...!」ゴクリ...!

 

 

X「人間国宝...鬼屋敷蝶絵...!!!」

 

 

伊藤「!!!」

X「驚くのも無理はない...君は元々は第1支部所属の魔法使いなんだろう?」

伊藤「嘘よ!!鬼屋敷さんが、そんな悪党の味方をしているわけないじゃない!!!」

X「もちろん。可能性の話だ。信じるか信じないかは君次第だが...」

伊藤「?」


X「白鶯は、魔裁組にいた時、鬼屋敷の寵愛を受けていたんだ。言うなれば、蝶絵のお気に入り...皆はチョキニと言ってたよ」

伊藤「チョキニ...?」

X「そう。だから、白鶯が罪を犯して魔裁組から姿を消した時も、白鶯を連れ戻そうと躍起になっていたのは誰よりも鬼屋敷だった」

伊藤「あなたはなんでそんなに内部事情に詳しいの...?」

X「魔裁組関係者ということだけは伝えておくよ。白鶯に目をつけられたら消されるから、詳しくは言えないけど」

伊藤「...」

X「俺も鬼屋敷とは顔見知りでね。だから、もし君が鬼屋敷を信じているなら、その疑いを晴らすためにも協力して欲しい...」

伊藤「何をするつもりなの...?」

X「話を聞くだけさ...鬼屋敷本人に...!」

 

────


第262話 「戦士」

 

────


《折紙山 / 小屋前(回想)》

伊藤「私は...?何をすればいいわけ?」

X「鬼屋敷の行動をチェックして報告して欲しい...しばらくはそれを続けるんだ。そして時が来た時には...君にプレゼントをあげよう...!」

伊藤「プレゼント...?!」

X「そうさ──────」

 

────

 

《第1支部

伊藤「...(まさか...ね)」

一同「???」

 

────

 

錦糸公園

一善は拓郎とバイクで移動中。


拓郎「倒した魔者から、先程の紙が現れると!」

一善「だから、もしかしたら今回も...!」


2人はバイクを乗り捨て、錦糸公園に向かう。


到着した2人を、百目鬼が見つける。

百目鬼「...!(あれかな?2人か。ちょっと遠くで様子を見させてもらおうか)」

百目鬼は、魔者から離れて物陰に隠れた。

百目鬼「お利口にするんだよ?」

魔者「ビュハァァァァ...!」

 

タッタッタッ!


拓郎「久しく見たな。本物の魔者は...!」ゴゴゴ...!

一善「いくよ...!つのキング!」 ボワァン!

つのキング「ウォーーーーー!」


百目鬼「...(あの少年はあの時の...そしてもう1人は知らない男...魔裁組じゃないのか?)」


魔者「ビュハァァァァ!!!」

拓郎「行くぞ!硬岩無血!!!」バキバキバキ...!

一善「緑のエレメント!巌窟王!!」

つのキング「ウォーーーーー!!」

拓郎は、全身を岩の如く硬化させた...!

つのキングは、エレメントを纏って緑色に輝く!


拓郎「緑のエレメント...!切砂拓磨(せっさたくま)!!!」ガァン!!!

つのキング「ウォーーーーー!!!」ドォン!!!


拓郎とつのキングの一撃は魔者を怯ませた!

魔者「ビュハァァァァ!!!!」


一善「来い...つのキング!」

つのキング「ウォーーーーー!!」シュウィィィィン!


シャキン! シャキン! シャキーン!


ガッチーーーーン!!


つのキングは、光の粒子となって、一善の持つエレメントの剣に宿った。


拓郎「(魔獣がエレメントの剣に宿った...!一善少年の持つ剣はまるで...黄金の聖剣、エクスカリバーの如し...!)」


百目鬼「(ほほう...!)」

魔者「ビュハァァァァ!!」


一善「一撃で終わらせる」

拓郎「!!!」


一善「大剣豪!!!降魔!!!!」

 

 

ザ     ァ     ン     !

 

 

魔者「ビュハァァァァ!!!!!!」

一善「...」

一善の斬撃は、一撃で魔者の首をはねた。

拓郎「(一撃で...!!!一善少年、まさかここまで成長しているとは...!)」

百目鬼「(やるねぇ...!)」


魔者は跡形もなく消えた。そして、そこにはひらひらと1枚の蝶々紙が現れたのだった。

 

────


第263話 「接触

 

────


錦糸公園

拓郎は、蝶々紙を拾い上げる。

拓郎「一善少年!これは!」

一善「今回も...!本当になんなんだ...?」

拓郎「それにしても見事な剣さばき。恐れ入った」

一善「ありがとうございます」

拓郎「一善少年はこの後どうされるご予定で?」

一善「今回の事を報告に、支部へ戻ります。道場へはまた伺わせて頂きますね」

拓郎「左様でございますか。ならば、支部までバイクで送り届けさせてもらってもよろしいか?」

一善「ありがたいのですが、拓郎さん家逆ですよね?それに、ここから支部は目と鼻の先なので、歩いて行きます。ありがとうございます」

拓郎「そうか...ならば」

一善「?」


拓郎「私は、ここでポケGOをやって帰るとしよう!」

一善「ポケモン脳!!!」


そして、ポケモンGOに夢中になる拓郎を背に、一善はスカイツリーへ向かう。


百目鬼「...!」

 

────

 

四ツ目通りコンビニ》

一善は、スカイツリーへ向かう途中の道にあるコンビニに寄る。


一善「(あ、バブカあった。これ美味いんだよなぁ...)」


一善は、パンを一つ買い、外に出る。すると、あの男が一善に接触する。


百目鬼「久しぶりだね」

一善「?!」

百目鬼「ははっ。すごい驚くじゃん」

一善「すみません...本当に驚いているので」

百目鬼「俺に見覚えは?」

一善「ないです」

百目鬼「そっか、あの時君は満身創痍だったし、君は俺を分からないか。俺、君の命の恩人なんだけどな」

一善「すみません...人違いでは無いですか?」

百目鬼「君、魔裁組の人間でしょ」

一善「!!魔裁組、知ってるの?」

百目鬼「知ってるさ。僕も君と同じ、魔法使いなんだから」

一善「!!」

百目鬼「ちょっと、お話に付き合ってもらってもいいかな?」

一善「...!」


パッ!


一善「?!(景色が変わった...?!いや、本当に移動したのか?今の短時間で?)」

2人は、裏路地に移動した。

百目鬼「秘密の話がしたいから、人目につかない方がいいと思って...」

一善「...?(この人は、なんなんだ?)」

百目鬼「ま、そんな不安そうな顔しないでよ、ね?気になることがあったら答えるから」

一善「俺の命の恩人っていうのは、どういう意味?」

百目鬼「あーそれはもういいよ...忘れられた恩は双方にとって邪魔でしかない」

一善「...?」

百目鬼「大丈夫、僕は君達の味方だから」

そう言いながら、百目鬼は蝶々の書かれた絵をひらひらさせた。

一善「!!!(その紙は?!)」


百目鬼の企みとは──────!

 

SOREMA -それ、魔!- 31へ続く。

 

nbsrskniw.hatenablog.com

 

第255話 「蝶」

第256話 「新しい仲間」

第257話 「試験結果」

第258話 「動き出した時代」

第259話 「久しぶり」

第260話 「準特級」

第261話 「X」

第262話 「戦士」

第263話 「接触

ブログ

SOREMA 4thシーズン

 

明日から毎日投稿致します。

 

最後の方うるっときたァ。

 

蘭ちゃぁん。

 

折り返し地点のスタートということで、少しシリアスな物語展開が続きますが、その中でも登場人物達の心情やドラマに注目して読んでいただけたら嬉しいです!

 

p.s.

日付勘違いしてました。

明日ではなく、明後日でした。すみません。

ブログ

 

我、絶対性格変わったわ。

 

と思ったから久々にやった。

 

https://www.16personalities.com/ja/entp%E5%9E%8B%E3%81%AE%E6%80%A7%E6%A0%BC

 

僕は今、ENTP だそうです。

 

お友達の皆さん、これ僕ですか?当たってますか?

 

 

てか今までENFPとかだったんですけど(FがTになった=感情的判断から論理的判断になった(?))

 

なんかENTPってすごい嫌われてませんか...?笑

 

このサイト、前からよく使うんだけど、ENTPになった瞬間解説文にすごい言葉のトゲを感じるぞ?

 

サジェストも ENTP 頭おかしい が1番上だし。

 

ENFPの時はあんなに優しかったのに...

 

ENTP、みんなの嫌われものみたいです。

 

よろしくお願い致します...

 

 

 

 

p.s.

 

正直気に食わない(合ってるんだけどなんか嫌な感じ)診断結果だったのですが...

 

一色いろはも胡蝶しのぶも五条悟もENTPらしいので良しとします!!!

f:id:btc21:20220604012432j:imagef:id:btc21:20220604012435j:imagef:id:btc21:20220604012439j:image

 

やばくない...?!

 

SOREMA -それ、魔!- 4th Season イントロダクション

SOREMA -それ、魔!-

 


4th season イントロダクション

 


──正しくなんて、なれなかった──

 


江戸時代初期、謎の作家・奇魔権蔵によって書かれた「蒼魔導書五十一章」。これらは東京を中心に現在も現存しており、それらには特別な”力”が宿っていた.....


ロスト・フロンティアでの戦いから一年以上が経ち、一善ら魔裁組の面々は新たな春を迎えていた。魔導書の回収も着々と進んでおり、未回収の魔導書は残り13個となった。


そんな中、街では謎の「蝶の書かれた紙」を持った者達が暗躍しており、その紙によって現れた魔者が人々を襲っていた。


ある日、一善が魔者を退治しに任務に向かうと、魔裁組の味方を名乗る”ある男”が、蝶々紙を持って一善に接触を図ったのだった。


その男の持つ情報によって、とある巨大な陰謀が蠢いていることを知る。そして、SOREMA史上最強にして最大の敵が動き出す...!


哀しみと戦慄の物語の”幕開け”を見逃すな──!

 

 

SOREMA最終章、開幕。

 

 

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左から

エミリー

伊藤凛

伊藤蘭(1年後)

カフカ