SOREMA -それ、魔!- 47

f:id:btc21:20220715171357j:image

SOREMA -それ、魔!- 47

 

「卑怯者」

 

────


第392話 「解れる」

 

────


秋葉原


京金「...!(出血がすごい...!早く、唯に来てもらって、治療してもらわないと!)」

京金は、魔裁組に連絡を取る。


白鶯「...」


白鶯はその場を後にしようとする。


京金「おい、アンタ」

白鶯「...?」

白鶯は振り返る。

 


京金「アンタよね、粟生屋撃ったの」

 


白鶯「...?何の話だ?」

京金「とぼけてんじゃないわよ...!私はこの目で見たんだよ!!!アンタが粟生屋を撃ってる所を!!!!」


白鶯「...?誤解だろう。仮にそうだとしても、たまたま弾が弾かれただけだ」

京金「は?そんな言い訳が通用すると」

白鶯「なら証拠をだせ。そこまで言うなら」

京金「...!」


白鶯「ほら、早く応急処置を取らないと、取り返しがつかなくなるぞ?俺は戻る。じゃあな」

京金「お前...!」

白鶯「...」ニヤッ


白鶯はその場から去った。

 

────

 

《第1支部 / 医務室》


粟生屋は医務室に運ばれた。


東海林「とりあえず、止血はバッチリ!」

粟生屋「...悪い」


粟生屋は、ベッドに横たわる。


京金「無理しないことよ。傷が開くわ」

粟生屋「あぁ...急に優しくされると...戸惑うが」

京金「はぁ?そんな惚けたこと言ってないで、寝なさい」

粟生屋「...」


京金「私から理子さんに言っておくわ。粟生屋を撃ったのは白鶯だって」

粟生屋「...」

東海林「...それ、本当なの...?」

京金「私はこの目で見たから。間違いないわ」

東海林「でも...なんの為に...?」


粟生屋「明明後日の決闘を有利に運ぶためでしょ。僕に勝てないと踏んで」

京金「卑怯者が」

東海林「そう...なのかな」


粟生屋「京金。リーダーには伏せてくれ。証拠が無い以上、証明はできない。無駄な混乱は避けたい」

京金「...それじゃあ決闘は」

粟生屋「こんなのかすり傷だ。それに、リーダー泣いちゃうよ?チーム内の不和なんて。俺はぶっちゃけどーでもいいけどさ」

東海林「確かに、悲しむかも」

京金「...」


粟生屋「僕は勝つよ。こんなんで勝てると思ってる白鶯を、上から叩いてやる。だから、今回のことは見なかったことにしてくれ。京金」

京金「...」

東海林「...」

 


その会話の様子を、部屋の外で皆藤は聞いていた。

 


皆藤「...」

 

────


第393話 「決闘前夜」

 

────


《第1支部 / 廃校》


皆藤は、1人で特訓をする白鶯に声をかける。


皆藤「はりきってるね」

白鶯「...」


皆藤は白鶯に缶コーラを渡す。


皆藤「聞いたよ。粟生屋君に決闘を申し込んだんだってな。全く、よくやるよ」ヤレヤレ

白鶯「...」

皆藤「粟生屋君のことが嫌いか?」

白鶯「他人に対して好きも嫌いもない」

皆藤「...そう」


皆藤は、白鶯の背後で腰かける。


皆藤「私達は味方だ、同じ目標に向かって進むチームだ」

白鶯「...」

皆藤「互いを高め合う決闘は認める。だが、仲間を貶めるようなものは認められない」

白鶯「...」

皆藤「やるなら正々堂々、やってくれ」

白鶯「...」

皆藤「卑怯な戦法はとってはいけないよ」

白鶯「...何が言いたい」

皆藤「これは忠告。魔導師認定されたら、君はここにいられなくなる。それは避けたいの」


すると、白鶯は缶コーラを地面に置き、踏み潰した。

プシューーーー!

皆藤「...!!」


白鶯「俺は誰にも従わない。お前との約束も、お前を倒して即破棄する」

皆藤「...」

白鶯「俺は得る力を得て、ここを出ていく」

皆藤「君を縛り付けたい訳じゃない。あの約束は忘れてくれて結構。でも、強さを求めるなら、君はここにいるべきだ」

白鶯「...」

皆藤「皆で強くなろう。きっとお互いにいい刺激を与えあって、高めあえるはずだ。一人で戦い続けるよりずっと効率がいいと思うけど?」

白鶯「...」

皆藤「それに、またもう1人、強い仲間が第1支部に帰ってくる。白鶯君にも紹介するよ。いい刺激になるはずだ」

白鶯「...」


皆藤「もう一度言うね。卑怯な手を使うのはやめろ」

白鶯「...」

白鶯は、何も言わず、魔法陣の中に消えた。皆藤は、コーラが染みた土をただ見つめた。

皆藤「...」

 

────

 

《第2支部 / ミーティングルーム》


氷室「万之助君、第1支部に異動になるのね」

千巣「えぇ。元々第1支部に合流する予定が、ごたついて伸びてたので」

氷室「そ。ま、心配はしてないけど、今の第1支部は魔境よ」

千巣「そうみたいですね。でも理子さんいるし、大丈夫だと思いますよ」

氷室「そうね。てか、万之助君も居なくなることだし、第2支部はもうなくていんじゃない?」

千巣「...?」

氷室「第1支部で事足りちゃうもの。少し退屈...」

千巣「は、はぁ...」

氷室「まぁ、なんでもないわ。忘れてちょうだい」

千巣「...」


氷室「頑張ってね。魔法使い特級、千巣万之助君」

千巣「はい...ま、俺そんな強くないっすけど...」

氷室「...?」

 

────


第394話 「白鶯vs粟生屋」

 

────


《廃校》


迎えた白鶯と粟生屋の決闘の日。

皆藤、京金、東海林は、その決闘を見守りにやってきた。


東海林「どうなっちゃうのかな...私、心配...」

京金「流石に、死にはしないでしょ」

東海林「え!そんなに激しいの?!やめさせようよ!」

京金「退けないのよ。男だから。ほんと馬鹿」

東海林「そうなんだ...」


皆藤「...」


皆藤は、グラウンド正面に立った2人を静観する。

 

白鶯「粟生屋昴。この決闘の意義は心得ているな?」

粟生屋「なんだっけ」

白鶯「俺が勝てばお前は俺に従う」

粟生屋「...」

白鶯「忘れたとは言わせない」

粟生屋「...いや、負けないから忘れてても同じっしよ」

白鶯「...」ピキッ

 

粟生屋は左の脇腹に手を当てて言った。

粟生屋「こんなのハンデだよ。君の実力はまだ僕に遠く及ばない」

白鶯「御託はもういい。始めるぞ」

粟生屋「ピリピリするなよ」


2人は背を向け、所定の位置につく。


粟生屋「そうだ。僕が勝った場合の報酬について決めてなかったね。1ついいかな」

白鶯「...何を望む」


粟生屋「もし僕が勝ったら、その”力”を手放せ」


京金「...?!」

東海林「??」

皆藤「...!」


白鶯「なるほど」

粟生屋「うん。魔法使いを辞めるんだ。そして、魔裁組(ここ)から出ていけ。いいね」

白鶯「...」


東海林「あおやん...白鶯君のこと...本当に嫌いなんだね」

京金「あれだけやられて、仲間と思っていられる方が異常よ」

東海林「...」

 

そして、決闘の開始を告げる合図が鳴り響く!!


粟生屋「ふっ。完膚なきまでに叩き潰してやる」

白鶯「...!」ビュン!


白鶯は粟生屋に高速で突進する!


粟生屋「...!(速い!)」

白鶯「砕け散れ...!!!」

白鶯は、自身の腕を龍化させ、粟生屋に迫る!


粟生屋「速いね。だけど、いくら速くても僕には触れさせない...!!」

白鶯「!!」


粟生屋「”Scream-G”!!!!」

白鶯「!!!!」


白鶯は、粟生屋を中心に発生した重力波に突き放され、吹き飛んだ!!!


京金「...!すごい威力!!」

東海林「やっぱあおやんヤバい!!」

皆藤「...!(なるほど...Air-Gが一点に重力のコアを集中させて引き寄せる技、Fall-Gが1つの物体の重力を操り引き寄せる技だとすると、この技は自らを中心に重力のコアを分散させて対象を散らす技なのかな...?面白いね...重力の書!)」


粟生屋「こんなんじゃ終わらないよ?」グイッ!

白鶯「...!!」


粟生屋が人差し指で宙を指すと、白鶯は引っ張られるようにして宙に浮いた!

 


白鶯「...!!」

 

────


第395話 「卑怯者」

 

────


《廃校》


東海林「白鶯君が!!」

京金「空に浮いた!」

皆藤「Fall-Gの応用か...」


粟生屋「ふっ。白鶯。やめてもいいんだよ?人生諦めが肝心だ」

粟生屋は、手を刀のように伸ばして振り切った!

白鶯「...!!」


粟生屋「”虚重斬(きょじゅうざん)”」


グ    ゥ     ユ     ン     !!!!!


白鶯「ブ...!!!」ゴボッ!!


白鶯は宙で血を吐いた!!


東海林「!!!」

京金「...」

皆藤「...」


粟生屋「這い蹲れ」

粟生屋は親指を下に向けた!

 

 

 

ドォォォォォォン!!!

 

 

 

白鶯は地面に強く打ちつけられた!!!


粟生屋は、地面にめり込む白鶯に近づく。


粟生屋「無駄な抵抗はよせ。もう僕勝ったでしょ」

白鶯「...見下ろすな...!!不愉快極まりない」

粟生屋「やれやれ...自分の現状が分かってないみたいだね」


粟生屋はしゃがむ。そして、地面にうつ伏せになる白鶯に顔を近づける。

粟生屋「これでいいかな?」

白鶯「...!!」


粟生屋「少しは目線、合わせてあげたけど、どう?」

白鶯「...」ピキピキッ!

粟生屋「流石に君みたいに地面に寝そべるのはちょっと」

白鶯「...」

粟生屋「ぶっちゃけると、もう少し楽しめると思ったんだけど、そうでもなかったね」

白鶯「...」

粟生屋「じゃ終わりでいいかな」


その時だった。


グシャッ!!!


粟生屋「!!!!」


白鶯は手を地面に突っ込み、地面からドラゴンの様な触手を生やして粟生屋を攻撃したのだった!!


粟生屋「...!!(なんだこの技...しかも...!)」

白鶯「...」ニヤッ

粟生屋「!!(こいつ...僕の'左'の'脇'腹を...!!!)」

 


ブシャーーーーーー!!

 


粟生屋の脇から激しく血が吹き出る!!!


皆藤「!!!」

東海林「あおやん!!!!」

京金「今何したの...あいつ!」


粟生屋は、左の脇を抑えてふらつく。


白鶯はその隙に粟生屋の背後に瞬間移動し、脇腹目掛けて蹴りを食らわす!


ボ     キ     ッ     !!


粟生屋「!!!!」

京金「粟生屋!!」

東海林「!!!」

京金「おい!いまあいつ、脇腹を!!」

皆藤「...(白鶯君...君は卑怯だよ)」

東海林「理子さんっ!!!もうやめにしません?!」

皆藤「そうね!2人とも...もうこれ以上...!!」

 


ドゴーーーーーーーン!!!!

 


粟生屋は数メートル先まで飛ばされた!


粟生屋「ハァ...ハァ...」

白鶯「...」ポポポポポ...!!

白鶯は手のひらにエネルギーを集める...!!


皆藤「2人とももう止めよ!!(言って聞かないなら割って入るしか...!)」


皆藤が2人の間に入ろうとしたその時!


粟生屋「...来るな!リーダー!」

皆藤「?!」

京金「?!」

東海林「あおやん?!」

白鶯「...?」

 

────


第396話 「僕が僕であるために

 

────


《廃校》


粟生屋「ハァ...リーダー...僕は大丈夫だ...!」

皆藤「?!」

京金「粟生屋?!」

東海林「無茶だよ!その傷じゃ」


粟生屋「止めてくれるな...これは決闘なんだ...!」

皆藤「!!」

京金「!!」

東海林「!!(あおやん、、いつもすぐにやめちゃうのに、なんで今日だけ...?)」


粟生屋「ハァ...これは...意地だよ」

白鶯「...?」ポポポポポ...!!

粟生屋「白鶯、君は僕に従えと言ったね?」

白鶯「...」ポポポポポ...!!

粟生屋「僕はね、自分の生き方を邪魔されるのが大嫌いなんだよ」

白鶯「...?」ポポポポポ...!!!

粟生屋「僕の生き方は誰にも決めさせない...僕は僕が決めた生き方を、僕自身の足で生きていく。地図は僕の頭の中にちゃんとあるから」

白鶯「...」ポポポポポ...!!!!


粟生屋「僕の自由が脅かされているんだ...だから絶対に負けない。僕はやる時はやる男だ」

白鶯「...くだらん意地に散れ」ポポポポポ!!!

粟生屋「散ってやるかよ」

京金「粟生屋!!」

東海林「あおやん!!」

皆藤「!!!(2人とも...!)」

 

 

白鶯「龍ノ息吹!!!!!!」

 

 

 

ドォォォォォォォォン!!!!!!!

 

 

 

京金「!!!」

東海林「!!!」

皆藤「...!(あの技...前よりもかなり威力が上がってる...!)」


シュウゥゥゥゥ...


粟生屋は煙の中で攻撃を受けきった。


粟生屋「ハァ...こんな攻撃じゃ、僕は倒せないよ」

ブシュー!

脇腹から出血する。


皆藤「...(あんなこと言われたら...私はどうすれば...?)」

皆藤は焦る。東海林は横目に皆藤を見る。

東海林「...(理子さん...?冷や汗が...)」

京金「(こんな理子さん…初めて)」


粟生屋「ハァ...こんなものかい?」

白鶯「...いや、想定内だ」

粟生屋「...」


白鶯「ならばこれでどうだ?」

白鶯は、両手の親指と小指をそれぞれくっつけて、貝殻のように手を開いた。

粟生屋「...」

京金「あの構え...何をするつもり?」

東海林「マヂカラが白鶯君に集まってる...!」

皆藤「...!」

 


白鶯「”龍ノ顎(あぎと)”...!」

粟生屋「...来いよ」

白鶯「...!!」

 


白鶯が粟生屋に突進する!!!


粟生屋「守護...!!!」


ブシャーーーーーー!!


その瞬間、粟生屋の脇腹から血が吹き出す!!


粟生屋「...!!(ヤバい!!)」

白鶯「!!!!!」

白鶯は、左の脇腹目掛けて両手を伸ばす!!!

京金「!!!」

東海林「!!!」

皆藤「...!」

皆藤は目を瞑り、唇を噛み締めた。

 

 

キィィィィン!!!!

 


粟生屋、万事休すか────!

 

────


第397話 「6人目」

 

────


キィィィィン!!!!

 


粟生屋「!!!?!?!」

白鶯「!!!!!」


白鶯の攻撃が、粟生屋にヒットした...かと思われたその時...!


白鶯「?!?!」


白鶯の両手がぶつかっていたのは、粟生屋の胴体ではなく、長刀の峰だった。


白鶯「...?!」

粟生屋「...君は?!」


千巣「悪ぃ...面白そうだったんで...邪魔した...!」


京金「...?!」

東海林「え?!誰?!」

皆藤「千巣君...!」


スタッ


白鶯「貴様、何者だ」

千巣「千巣万之助。よろしく」

千巣は長刀を振り回して言った。

 

白鶯「これは決闘だ。邪魔をするな」

千巣「こいつ(粟生屋)は手負いに見えたが?魔法を使用した特訓中、片方が重大な負傷をする可能性がある場合、魔法を使用して第三者が割って入ることが許されている」

白鶯「そういう問題ではない。そこを退け」

千巣「嫌だと言ったら?」

白鶯「潰すのみ」

千巣「...お前からは底知れない敵意を感じるなぁ。動機はなんだ?」

白鶯「...」


千巣「とりあえず、理子さん、それとそこの子達!こいつを医務室へ!」

皆藤「...あ、うん!」

東海林「は!!はいっ!!」


東海林と京金が、粟生屋の元へ駆け寄る。

粟生屋は、2人の肩を借りて外へ出る。


東海林「あおやん大丈夫?」

粟生屋「...」

京金「唯、傷を」

東海林「あ、うん。一応治してる」

粟生屋「...」

東海林「あおやん...」

粟生屋「...僕、カッコ悪すぎだよね」

東海林「そんなことないよ...!怪我してなかったら、いい勝負になったと思うよ...!」

京金「それにあんなやつ、相手にしなくていいわよ...」

粟生屋「...」


京金は振り返り、グラウンド方面に視線を飛ばす。

京金「......」

 

 

皆藤「千巣君...」

千巣「ご無沙汰してます」

白鶯「...」

千巣「改めて問おう。白鶯だっけ?お前はどうして魔法使いをしてる?」

白鶯「...」

千巣「...?」


白鶯「魔法使いも魔者もどうだっていい。俺は最強になるべく生まれてきた存在だ」

千巣「...最強ねぇ」

白鶯「あの男を倒し損ねたのはお前のせいだ。ならばお前が俺の相手になれ」ポポポポポ...!

千巣「まぁ...いいけど。いいですか?理子さん」

皆藤「...」


白鶯「教えてやる。最強は俺だ」ポポポポポ...!

千巣「己が最強と錯覚したその時が、そいつのピークだよ」ゴゴゴゴゴ...!

白鶯「...?」ポポポポポ...!

千巣「それにな、1人じゃ最強にはなれねぇよ」ゴゴゴゴゴ...!!


千巣は、剣を構えた。


白鶯「ちっ...!龍ノ息吹!!!!」


ドォォォォォォォォン!!!!!!!


千巣「うぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

ドッカーーーーーーーーン!!!!

 

その後、天の雲が割れる程の戦いは、小一時間続いた。

 

────


第398話 「勝敗」

 

────


《医務室》


粟生屋はベッドに横たわり、千巣と京金が隣で座っている。


粟生屋「あの後、結局どうしたの?」

千巣「適当に戦ってやめたよ。腹減ってたんでな」

粟生屋「白鶯は?」

千巣「あいつもバテたんだろうな。ひとまず引き分けってことで手打ちになった」

粟生屋「そうか...」

京金「...」


粟生屋「あれは僕の負けだよ。どんな手を使われても負けは負け。ま、どうでもいいけどさ」

粟生屋は強く拳を握った。

京金「...」

千巣「白鶯って奴は、お前の急所を執拗に狙っていたらしいが」

粟生屋「まぁね」

京金「しかもその傷は、白鶯が意図的につけたものなのよ」

千巣「そうなのか...報告しなくていいのか?」

粟生屋「人生なんて、結局は自己保身の物語にすぎない。報告した所で、あいつはしらを切るだろう」

京金「...」

千巣「...」


粟生屋「アイツはその典型。放っておけばいいんだよ。興味無いし」

京金「私達にまた何かしないとも限らないわよ?」

粟生屋「問題ない。もう抜からない。僕は彼を敵とみなす」

京金「...!」

千巣「...」

 

────

 

《第1支部 / 廊下》


東海林「ハァ...ハァ...白鶯くん...どこ...?」

東海林は、白鶯を探す。

東海林「...(白鶯君...君は何を考えてるの...?私達仲間だよね...?ちゃんと教えてよ...!)」

 

《格技場》


格技場には、夕日が差している。


皆藤「君は間違ってる」

白鶯「...は?」

皆藤「相手を下げて勝っても、君は1歩も進んでないよ」

白鶯「部外者が口を挟むな」

皆藤「...」

白鶯「お前は俺の何でもない。赤の他人が、俺のやり方に口を出すな」

皆藤「同じチームとして、君のやり方は看過できない」

白鶯「チーム?ただの寄せ集めだろう。無駄な馴れ合いなど必要ない。俺はお前たちを踏み台にして上へ行くだけだ」

皆藤「どうしてそういう考えしか出来ないの...?」

白鶯「他人と支えあうなど、そんな幼い考えしか出来ない陳腐な脳味噌の持ち主には到底理解できないだろう。俺一人で最強になればそれでいい」

皆藤「それは絶対違う!!!!」

 


白鶯は去った。

 


皆藤「...」

皆藤は俯き、また、唇を噛み締めた。

 

SOREMA -それ、魔!- 48へ続く。

SOREMA -それ、魔!- 46

f:id:btc21:20220715170236j:image

SOREMA -それ、魔!- 46

 

「最強」

 

────


第385話 「認めざるを得ない」

 

────


《廃校》


ゴォォォォォォ...!!!!


辺りに爆風が吹き荒れる!!


京金「あのパワー...!!」

東海林「理子さん...レベルが違う...!!」

粟生屋「...(彼女...涼しい顔している...!!同じ賢眼を持ってる訳でもないのにこのマヂカラ量はなんだ...?!)」

 


皆藤「行くわよ...!!」

 


ブゥゥゥヲォォォォ...!!!!

皆藤の合図に合わせて、背中の風神が大きく宙を仰ぐ!!!


粟生屋「...!!(なんという威力...!!飛ばされる...!!!)」

皆藤「うぉぉぉぉぉ!!!」ゴォォォォォォ!

皆藤が凄むと、粟生屋は両の手のひらを向けた。

粟生屋「はい!!!ギブギブ!!!」

皆藤「!!」


フゥゥゥン...

 

皆藤は攻撃を止める。

 


粟生屋「僕の実力はわかったでしょ。こんな感じだよ。これ以上は不毛だよね」

皆藤「...」

粟生屋「認めるよ。あれを受けたら僕は負けてた。あなたは僕より強い。僕はあなたに従おう。皆藤理子」

皆藤「...あ、ありがとう」

粟生屋「本心だよ?喜んでよ」

皆藤「...(諦めた...何で?)」

粟生屋「じゃあリーダー。俺の出番はここまでってことで、次は彼だよね?なんだっけ?はく”ほ”うだっけ?」

白鶯「あ゛?」イラッ

皆藤「あ、はく”お”うくんね。はい、じゃあ、次は白鶯くん!」


粟生屋はグラウンドから出る。

粟生屋「ふぅ...なるほどねぇ」

皆藤は、粟生屋の背中を見る。

皆藤「(粟生屋昴...彼はかなりの実力者ね。持ってるポテンシャルがとてつもないわ。それに賢眼も使いこなしてる。千巣君にも劣らない...でも性格が読めないわね。諦めが早いのかしら...?)」


そして、粟生屋に代わって白鶯がフィールドに入る。


白鶯「...」

皆藤「さて、2回戦と行きましょうか」

白鶯「...」


粟生屋「はぁ、疲れた」パタッ

粟生屋は、京金と東海林の元へ向かい、座る。

東海林「あおやん!!凄いよ!!」

粟生屋「あーどうもどうも。でもあの皆藤って人、バケモンだわ」

東海林「そうなの?どっちも凄く見えたけど?」

京金「戦って見ればわかる。なんていうか、マヂカラコントロールが、やっぱり素人とは違う」

粟生屋「状況把握も的確だ。元のスペックも相当だろうが、それ以上に技術が高い。彼女はバケモノだ」


京金「ふふっ。倒しがいがありそうね」

粟生屋「いや、僕たちが倒すのは魔者だ。アレに勝つのは一生無理だろ」

京金「ちっ。アンタのそのスカした態度。腹立つのよね」

粟生屋「君も少々暑苦しすぎる。ギラついてたらモテないよ?」

京金「は?!なによ。やるつもり?!」バチィ

粟生屋「多分君には勝てると思うけど?」バチバチィ

東海林「ストーップっっっ!!!喧嘩はよくないっ!!!ルカルカもあおやんも強い!それでいいじゃん!!」

京金「...」チッ

粟生屋「ま、不毛だね」


東海林「...(どうしよう...私だけ、スタートラインにすら立ててない。ついていけるのかな?皆に...)」

 

────


第386話 「努力と才能」

 

────


《食堂》


皆藤と白鶯の組手は、皆藤の圧勝に終わり、その日は特訓を終了した。


皆藤らは、夜ご飯を食べる。


粟生屋「まさか、本当にドラゴンがいるなんてねぇ...」

東海林「魔法があるんだし、なんかもう驚かないかも」

京金「白鶯(あいつ)、口ほどにもなかったわ。まだまだね」

東海林「でも私よりは強いよ!」

皆藤「彼はまだ魔法使いになったばかりだから、仕方ない。今後の成長に期待だね」


東海林「私も!!皆に追いつけるように頑張るね!!!」

京金「ま、ムリしないことね。心、折れるわよ?」

東海林「うん...」

皆藤「大丈夫!皆私を超える程の魔法使いになるスペックがある!!唯もルカも粟生屋君も!もちろん白鶯君も!数年後、私が1番弱かったりして」

東海林「あははは!それはないですよ理子さんー!!」

京金「ま、私は理子さんに負けないように頑張ります」

皆藤「お!ルカ!やる気ね!」

粟生屋「僕はパスで」

皆藤「粟生屋君。強くなりたくないの?」


粟生屋「別に。ただ適当に、死ななければいいかなって」

京金「皆に追い抜かれるのが怖いのかしら?」

皆藤「人は正しく努力すれば高みに近づける。君は?」


粟生屋「僕は今の自分に満足してるんだよ。不満がないと人って努力とかしないでしょ」


皆藤「...」

京金「はぁ...?」

東海林「なる...ほど...」


粟生屋「自分の才能を知ることこそが、最大の努力だと思わないか?」


皆藤「才能を知ってから、その才能を調理できるのはただ1人、君自身だよ?イメージしてみなよ。ほら、胸がワクワクしない?」

粟生屋「うーん。どうでしょう」

皆藤「...ま、無理強いはしないけどね。イメージは無限だよ。イメージすればなんだって出来る!」

京金「そうやって胡座かいてると、白鶯って奴にも負けるわよ?」

粟生屋「別に、そん時はそん時っしょ」

京金「...」

皆藤「...」


東海林「あの!理子さんっっ!ちょっといいですか?」

皆藤「どうしたの?唯」

東海林「第1支部(ここ)って、私達しかいないんですか?メンバー!」

皆藤「今はね。皆新しく出来た第2支部に移動になってね。でも、たまにこっちに顔を出したりすると思うよ。宝物庫や格技場はこっちにしかないから」

東海林「なるほど...」

皆藤「今はここにいる4人と白鶯くんだけだけど、もう少ししたら、めちゃくちゃ強い人が1人合流するから楽しみにしておいてね!」

東海林「え!どんな人なんですか??」

皆藤「それは来てのお楽しみぃ」

東海林「えーっ!教えてくださいよぉ〜!!」


東海林「ねぇねぇ!白鶯君って、黙ってればかっこいいよね!クールだし!大きいし!」

粟生屋「そうか?」

京金「てか、白鶯は?」

粟生屋「特訓終わってから見てないな」

皆藤「ご飯食べに外に出たよ」

東海林「えーっっ!一緒に食べたかったのにぃ!」

皆藤「もうすぐ帰ってくるんじゃないかな。だとしても、ここには来ないと思うけど」

 


ガタッ...

 


一同「...!」


その時、白鶯が帰ってきた。


粟生屋「噂をすれば」

京金「...」

皆藤「白鶯くん!ちょっとお話しない?こっちで!」

東海林「白鶯くん!」

白鶯「...」


白鶯は、奥へと消えていった。


東海林「私、行ってくる!!」バタッ

京金「え!ちょっと!あんた!」

粟生屋「強心臓だな...」

皆藤「...!」


東海林は、白鶯を追いかけた。

 

────


第387話 「最強」

 

────


《第1支部


東海林「白鶯くん!!!」


東海林は、奥へと入っていく白鶯を呼び止めた。

白鶯は意に介さず、そのまま進む。


東海林「待ってっっ!!」


東海林は、白鶯の前に立つ。

白鶯「...何だ」

東海林「うんっっ!惜しかったね、今日の試合!」

白鶯「...は?」

東海林「凄かったよ...!白鶯君の能力!」

白鶯「...」

東海林「ドラゴンみたいに腕がギューーンってなるやつ!凄いよ!!白鶯くんにしか出来ないすごい技だよ!!」

白鶯「...」


京金と粟生屋は遠くでそのやり取りを見る。

京金「そりゃそうでしょ」

粟生屋「同じ魔導書は2つと存在しないからね」


東海林「理子さんは、私達より凄い強いから...これから頑張っていこっ!一緒に!ね?」

白鶯「...?」イラッ


京金「あいつを励ましてるのか?」

粟生屋「火に油を注ぐだけでしょ」


東海林「私ね、傷付いた人に寄り添って、助けてあげられるような、そんな魔法使いになりたいですっ!」

白鶯「...」

東海林「だからもっと皆みたいに強くなって、たくさんの人を守れるように!」

白鶯「...」

東海林「白鶯君は?どう?」

東海林は、まっすぐ澄んだ目で白鶯を見つめた。しかし、白鶯は冷たい視線を返した。

 


白鶯「弱者を守る?笑わせるな」

東海林「え...?」

白鶯「俺は弱い奴の為にここで戦うつもりは微塵もない」

東海林「...!」

白鶯「弱い奴は、弱いことが悪い。弱さは罪だ。俺は最強になって、誰よりも上に立ってみせる。そして誰よりも偉くなり、全てを意のままにする。誰にも俺に命令させない。その為にはなんだってしてやるさ。ここでの特訓は利用価値がありそうだからな」

東海林「白鶯君...」


皆藤「そうか、それが君の本心だね?」

そこへ、皆藤が割って入る。

白鶯「...!」


皆藤「人の上に立ちたい。か。だから君は強くなりたいんだね?」

白鶯「幻滅したか?お前の様なヒーローごっこは俺は御免だからな」

皆藤「分かった。別に私はそれを否定しないよ」

白鶯「...?」

東海林「...!!」

京金「...!」

粟生屋「...」


皆藤「私が最強を教えてあげる。人の上に立ちたいんなら、その素質をここで学んで行くといい。君を立派な人にしてみせるから」

白鶯「...!」

皆藤「強さを求める理由は人それぞれ違っていい。違うからこそ、チームを組む意味がある」

白鶯「...」

皆藤「って、私は思うけどな!皆は?どう?」

東海林「うん!私もそう思いまーすっっ!」

京金「...」

粟生屋「はぁ...お気楽だねぇ」


皆藤「ここにいる皆は個性豊かだ。だからその個性をお互いの為に生かして、更に強くなっていこう。そうすれば、必ず目標は成し遂げられる。私はそう思う!」

東海林「はいっ!!」

京金「...」

粟生屋「はわぁ...」zzz


皆藤「ね、白鶯君!」

白鶯「皆藤理子だったな。俺はお前を超える」

皆藤「...!」

白鶯「俺はお前の上に立つ。それまではここに居てやるさ。いや、居なければならない」

皆藤「...!!」


白鶯「最強は、俺1人で十分だ...!」ドン!

 

────


第388話 「A piece」

 

────


それから、第1支部のメンバー(皆藤班)は、特訓に特訓を重ねた。

 

────


《皆藤の部屋》


深夜。皆藤は、暗い部屋で小さく灯りをつけ、眼鏡に視線を通しながら、魔導書図鑑や魔具に関する書物を読み漁る。

皆藤「...(白翼の書はこんな術も使えるのか...唯なら使いこなせそうだ。今度言ってみよう!そして重力の書は...ってもう!この魔導書図鑑、昔のものすぎてちゃんと読めない!)」

 

すると、ノック音がする。

コンコン!


皆藤「どうぞ!(こんな遅い時間に誰...?)」


ガチャッ


東海林「あのぉ...」

皆藤「!唯...?どうしたの?こんな遅くに」

東海林「今いいですか...?話したいことがあって...」


皆藤は、部屋の明かりを付けて、ベッドに座るよう促した。


東海林「あの...正直に言ってください。私、弱いですよね」

皆藤「...」

東海林「使えない...ですよね」

皆藤「...」


東海林「分かってるんです。自分でも...」

東海林は、俯く。

皆藤「唯。唯は誰よりも頑張ってる」

東海林「...」

皆藤「確かに力は弱い。周りの子に比べて、戦闘力が足りない」

東海林「はい...」

皆藤「でもね、それは当たり前のことだよ?だって、そもそものスタートラインが違うんだから。それにね」

東海林「...?」

皆藤「”使えない”だなんて、私は全く思ってない」

東海林「...!」


皆藤「使う使わないって、人に対して言うのも気が引けるけど、その表現を敢えて使うなら、唯は”使える”よ」

東海林「...!」

皆藤「確かにまだ戦闘能力は発展途上だけど、唯の明るさに、私はすごい助けられてるよ?」

東海林「理子さん...」

皆藤「私、リーダーとか言ってるけど、そういうの本当は苦手なんだ。だから、私も手探り状態なの。そんな中で、唯の明るさとか頑張りに私は凄い救われてるし、いつもありがとうって思ってる」

東海林「!!」

皆藤「それに、戦いの方も、どんどん差が縮まってると思うよ!唯にしか出来ないオリジナルの戦い方も出来ると思うし」

東海林「...!」

皆藤「例えば、白翼の書の能力を応用して...」ゴニョゴニョ

 


〜〜〜

 


東海林「すごい!理子さん、私よりも私の能力に詳しい!」

皆藤「私、魔法オタクなの!古文書や図鑑で勉強してるんだ」

東海林「そうなんですかっ!!凄すぎます!!」

皆藤「私の能力もまだ研究中だから、これからだよ」


東海林「そういえば、理子さんの能力って、絵を具現化するものですよね?この人書いて貰えますか?!」

東海林は、横浜流星の写真を差し出した。

皆藤「誰これ、俳優?」

東海林「え、知らないんですか?!とりあえずここに呼び出してくださいよ!」

 

皆藤「出来なくはないけど、そっくりさんだよ?本物じゃない。それに実在する人を書くと、マヂカラ消費が激しいんだよね」

東海林「ほぅ...?」

皆藤「絵に魂が宿っちゃうっていうのかな?この人を書くと、私が知ってるこの人についての知識が全部乗り移っちゃって、大変なことになるわ。私じゃ制御できないって言うか...友達とかもそうね。よく知ってる人の事を描くと、勝手に人格が形成されて自立しちゃうの。偽物だけど」

東海林「なるほどぉ...例えば私が書いた場合、偽横浜流星として、自立しちゃうってことですね」

皆藤「そう。飲み込みが早いね。だから私は、”武士”とか”動物”とか抽象的なものしか描かないの。戦闘には適さないから」

東海林「ふーん!じゃ、横浜流星書いてください!」

皆藤「話聞いてた?!」

東海林は笑った。

 

────


第389話 「365の夜を超えて」

 

────


《皆藤の部屋》


皆藤「後輩が強くなってくれることは、即ち私達皆が強くなることと同じ。だから、皆には私が出来る精一杯をしたいと思ってる」

東海林「理子さん、、理子さぁぁぁん!」

東海林は、皆藤に抱きついた。

皆藤「!!ゆ、唯ってば!夜中に大声で泣かない!」

東海林「うぇーーん!理子さぁぁぁん!!」

皆藤「...」汗


皆藤「唯は確か、元々履術者なんだよね」

東海林「はい。でも、魔法のこととか全く分からなくて。でも、ある時、魔者が見えたんです」

皆藤「うん」

東海林「小さい子達が襲われてて、私もそこで怪我を...」

皆藤「それは大変だったね」

東海林「私の怪我は治ったから大丈夫です!でも中には、亡くなった子もいて...」

皆藤「...」

東海林「そこにやってきた魔法協会の方に話を聞いて、魔裁組を知りました。その場で、私も魔裁組に入ろうって決めたんですっ!」

皆藤「その場で。勇気あるね」

東海林「もう何が何だかわからなかったんですけど、同じような目にあう子がいるなら、助けたいって!」

東海林は、明るく笑った。


皆藤「...(この子は、本当に純粋なんだな。奇跡だよ。君みたいな子に出会えて良かった)」

東海林「ん?私の顔に、何かついてます?」

皆藤「あ、え、いや、なんでもない、そっか...唯はお利口だね」

東海林「てへ。やったぁー!」

皆藤「そうだ、明日から、個別に特訓メニューを分けようと思うんだけど、唯にぴったりな方法も考えてあるから!」

東海林「え!やったぁ!楽しみぃ!ありがとうございますっ!」

 

────


夜は明け、一同は特訓を繰り返す。

そして、何度も夜を明かし、1年が経った。

 

────

 

《第2支部

職員らが立ち話をしている。


職員A「聞いたか?天堂家の長男、蒸発したらしいぞ?」

職員B「知ってるよ。恵太君だろ?何があったんだろうな」

職員A「噂だけど、魔導書を燃やしたって」

職員B「うっそ!マジか!幸二君はどうするんだろうな」

職員A「そのまま続けるってさ」

職員B「そっかぁ。まぁでも、恵太君を失ったのは大きいよな」

職員A「まぁでも、第1支部のメンバーはかなりの実力者揃いらしいぞ。入部1年で全員単独任務を任せられてる」

職員B「マジかよ!そんなの、前代未聞だぞ」

職員A「皆藤理子っていうリーダーが凄腕らしくてな、マジで恐ろしいよ、彼らは」

職員B「そうなのか、まぁこれで、しばらくは安泰そうだな」

 

────

 

《第1支部


粟生屋が任務から戻る。

粟生屋「戻りますた」

東海林「あ!あおやんおかえり!どうだった?」

粟生屋「ちょろいちょろい。僕の手にかかれば、あんなの瞬殺って感じだよ」

粟生屋は、魔導書を見せびらかす。

東海林「へぇー!流石あおやん!強い男!理子さんの次に」

粟生屋「最後のは余計」


そこへ京金がやってくる。

京金「うぃーっす」

東海林「あ!ルカルカ!おかえり!」

京金「おつかれー。あれ、理子さんは?」

東海林「理子さん今日見てないなぁ」

京金「ふーん。せっかく魔導書の魔者を倒したから、自慢したかったのに」

東海林「え!ルカルカも!凄いじゃん!!!」

京金「ふん!余裕よ。理子さんが、「もし危なくなったらすぐ誰か呼んでよ」ってうるさく言ってたけど、あれくらいなら1人でいけるわね」


東海林「私も魔導書の魔者倒せるようになりたいなぁ」

京金「唯も倒してなかった?理子さんと」

東海林「1人で倒せるようになりたいのっ!!」

京金「笑笑」

粟生屋「ま、精進しなよ」


そこへ、白鶯がやってくる。


京金「...!」

東海林「あ、白鶯くん」

粟生屋「...?」

 


白鶯は、粟生屋の前に立つ。

 


白鶯「おい、俺と決闘しろ」

粟生屋「...は?」

 

────


第390話「理(ことわり)」

 

────


《第1支部


粟生屋「...決闘?」

白鶯「あぁ」

粟生屋「何それ」

白鶯「俺が勝ったら、お前は俺に一生従え」

粟生屋「何で?」

白鶯「証明する必要があるからだ。俺がお前より優れていると」

粟生屋「...?」

京金「...?」

東海林「あわわわわ」


白鶯「俺は皆藤理子を倒し、ここから出ていく。俺は最強となり、全人類の上に立つ男だ」

粟生屋「ほほう」

京金「...(厨二病かよ)」

白鶯「だが、俺も力を欲している。お前程度の実力があるならば、利用してやってもいい」

粟生屋「ははっ。ここまで気分を害す依頼は初めてだよ」

白鶯「...」

京金「...(言い方はともかく、あの白鶯が協力を依頼した...?それ程に粟生屋は強い...)」


粟生屋「皆藤(リーダー)に勝つ?一つ教えておいてやるよ。あのね、後世に語り継がれる魔法使いはいつも”女”だ。かの”英雄”久品和義を除いてな。お前にそのポテンシャルがあるか?心身共に今のお前じゃ無理だよ。それにお前、現最強のあのおばさん(鬼屋敷)に勝とうと思うか?ま、ボコされて終わるからやめとけよ?結論、男は女には敵わない。リーダーに勝つのは諦めなよ」

白鶯「はっ。負けを恐れ、言い訳を探すのに必死な人間は言うことが違うな。恐れ入る」

粟生屋「は?」イラッ


白鶯「男も女も関係ない。強い者が偉い。弱い者が踏み躙られる。それがこの世の理だ。俺は前者。いずれこの世界で最強の存在となる男」

粟生屋「あっそう」

白鶯「文句があるならば、俺に勝ってから言え。まさか逃げたりしないだろうな?」

粟生屋「なるほどねぇ」

白鶯「...」


粟生屋「まぁ、多分負けないから、いいよ。相手になってやる」

京金「...!粟生屋!」

東海林「ちょっと!二人とも!!落ち着いて!!」

粟生屋「僕は落ち着いてる。大丈夫」


白鶯「決闘は1ヶ月後だ。それまでくだらん任務で命を落とさないことだ」

粟生屋「そっくりそのまま返すよ」


白鶯は去っていった。


京金「おい、粟生屋!本気か?」

東海林「流石にさ、あんまり仲間同士でやり合うのは良くないって...」

粟生屋「仲間かどうかは相手次第だ。それに僕はあいつには負けない。普通にしてたらね」

京金「...」

東海林「そうかもだけど...」


粟生屋「格の違いを見せつけてあげるよ...!」

 

────

 

そして時は流れ、決闘を3日後に控えたある日、京金、粟生屋、白鶯は3人で合同の任務に出ていた。

 

秋葉原


3人は、飴達磨(あめだるま)と名乗る魔導師と対峙していた。

粟生屋「...(魔導師...人間か)」

京金「...(あいつ、履術者じゃないな。そしてあの手に持ってる魔具は、ガトリング型の大業魔具、名前は忘れたけど、結構な代物...!)」

白鶯「...」


飴達磨「ヒャッハッハ!!俺はこの武器で、ここにいる人間を全て殺して、チャンピオンになってやるぁ!!!」

京金「チャンピオン?何の話だ?」

粟生屋「ゲームのやりすぎだろ。ほら見ろ、目が完全に逝ってる奴の目だありゃ」

白鶯「...」


飴達磨「で、お前たちは?!退かないと殺しちゃうよォ〜?!」

粟生屋「見るからに弱そうだけど、これ、3人も来る必要あったのかな」

京金「恐らく、'相'手'が'人'間だから、私達に配慮して3人に任務が降りたんでしょ」

粟生屋「東海林は来なくて正解だったな」

白鶯「...」

 


粟生屋「まぁでも、あいつ程度、僕一人で十分だけどね」ズズズズ...

京金「あまりインフラ壊すんじゃないわよ?」

粟生屋「善処するよ」

 

────


第391話 「奇襲」

 

────


秋葉原


3人と、飴達磨の戦いは続く。


粟生屋「京金!左から周りこめ!」

京金「言われなくてもわかってるわよ!」


ビュンッ!!!


飴達磨「ちっ...!ちょこまかと!!」


粟生屋「白鶯!後ろから距離を詰めろ!!」

白鶯「...!」


3人は、飴達磨を追い詰めていた。


飴達磨「くそぉ!!くらぇー!!!」

ダダダダダダダ!!

飴達磨は、ガトリング砲をぶっぱなした。


粟生屋「守護!」キィン!

京金「守護!」キィン!


飴達磨「...!防がれた!!もうヤケクソだ!!」

ダダダダダダダ!!

飴達磨は、ガトリング弾を辺りに振りまいた!

京金「...!(不規則に銃弾の雨が...!)」キィン!

白鶯「...!」キィン!


その時、その銃弾の流れを掻い潜り、粟生屋が前へ出た!

粟生屋「今だ!!!押し潰してやる!」

飴達磨「ひぃ!!!」

グニュゥゥゥ...!!

粟生屋は重力波を拳に纏った!


粟生屋「潰れろぉ!!!!」

飴達磨「ひぇぇぇ!!」

京金「...!(いったか!!!)」


その時だった!

 

バシューーーン!!

 

粟生屋「!!!!」

京金「?!?!」

白鶯「...」ニヤッ


粟生屋の左の脇腹に銃弾が当たった!


粟生屋「...マジか」ブシャーーー!

京金「粟生屋!!!!」


飴達磨「ふっ、ざまぁみろ!」

粟生屋「...!!」

飴達磨「お前から殺してやる!!!!」

粟生屋「...(ヤバい!)」

 


その時だった。

 


白鶯「おい、お前の相手は俺だ」


グシャッ!!!!


白鶯は、手を龍化させ、飴達磨の頭蓋骨を握り潰した。


京金「!!」

粟生屋「...ふぅ」


飴達磨は散った。


白鶯「雑魚がのさばるのは気分が悪い」

白鶯は、飴達磨が所持していた魔具を回収した。


粟生屋「...」ブシャァ...

京金「粟生屋!!その傷大丈夫?」

粟生屋「あぁ。僕にとっては...街でアンケート取られるくらいのハプ...ニング...さ...」


バタンッ


粟生屋は気を失った。

 

SOREMA -それ、魔!- 47へ続く。

 

SOREMA -それ、魔!- 45

f:id:btc21:20220715164820j:image

SOREMA -それ、魔!- 45

 

「曲者達」

 

────


第377話 「曲者達」

 

────


《東京某所》


皆藤「はい。私の勝ち」

白鶯「...」

皆藤「私の言うこと、聞いてくれるわよね?」

白鶯「...この俺が...お前なんかに...!」ガタガタッ!

白鶯は、寝転がりながら、体に絡みついた蛇をどかそうと体を動かしている。


皆藤「無駄よ無駄。君はもうマヂカラが切れてる。私の術を破るのは不可能よ」

白鶯「マヂカラ...?」ガタガタガタッ!

皆藤「暴れるな!男なのに往生際悪いね。女の私に負けるのがそんなに嫌?」

白鶯「...」

皆藤「そんなんじゃ、最強になんてなれないよ?」

白鶯「...!」

 


皆藤「だって、私にも勝てないんだから。当たり前でしょ?」

白鶯「...!」ブチィ!

皆藤「私が、本当の最強を教えてあげる。君を最強にしてあげる」

白鶯「...!」


皆藤は電話をかける。


皆藤「皆藤です。履術者の少年を保護しました。魔裁組に加入する意志があります」

白鶯「は...?!」

皆藤「これから連れていくので、よろしくお願い致します」


ブチッ


白鶯「どこまでも勝手だな」

皆藤「そもそも、君みたいな子を保護するのも、私達の義務なのよ。ほら、迎車が来るから、もう諦めな」

白鶯「...」


魔裁組の迎車が到着し、皆藤と白鶯は乗り込んだ。そして、第1支部へと向かう。


皆藤は、白鶯の身分証を車の中で見る。


皆藤「...(なるほど、私の1つ下か)」

白鶯「...」

白鶯は窓の外を見ていた。

皆藤「変な気を起こすんじゃないわよ?ま、どういう目にあうか、白鶯君なら分かるわよね」

白鶯「...(こいつ...いつか絶対殺してやる...!)」イラッ

 

車は、第1支部に到着する。

 

《第1支部 / 鬼屋敷の部屋》


皆藤「ただいま戻りましたー」


鬼屋敷は机に座っていた。

そして、3人の男女が皆藤らに背を向けたまま、鬼屋敷と向かい合わせで1列に立っていた。


鬼屋敷「おかえり〜理子ちゃん〜!遅かったわねぇ〜!」

皆藤「すみません!いろいろあって!その人達が...?」

鬼屋敷「ハッハッハッ!そうよ!今日からの新入り3人よ〜ほら、振り返って自己紹介なさい!」

皆藤「...!」

 


鬼屋敷の呼びかけに合わせて、3人は皆藤の方をむく。

 


皆藤「...!」

 


京金「...」ギロッ

東海林「...!」アセアセ...

粟生屋「...」ボーッ

 


皆藤「(この人達が...新しい仲間...!)」ドキドキ!

 

────


第378話 「面」

 

────


《第1支部 / 鬼屋敷の部屋》


皆藤「...じゃ、じゃあ、自己紹介しますね!私は皆藤理子、皆の教育係になります!16の代です!よろしくお願い致します!」

 

シーン


東海林「あ、あははは」パチパチパチ...

京金「...」

粟生屋「...」


皆藤「...(反応...薄!)」


鬼屋敷「じゃあ、新入りの子達も自己紹介してもらえる〜?」


まず、ピンク髪の女子が口を開く。


東海林唯(しょうじゆい)(15)

東海林「あ!じゃあ私から!東海林唯です...!戦ったことはないけど...魔法が!使えますっっ!!ちょっとだけ、、だけど。年は!15歳!好きな食べ物は、、クレープ!あと、、えーっと、、」

鬼屋敷「ハッハッハッ!元気ねぇ!」

東海林「あ!その、皆さんと、仲良くしたいなーって!思います、、!名前で呼んでくれたら、嬉しい、、です、、!い、以上ですっっ!!」


皆藤「唯ちゃんだね。よろしくね!」

東海林「は、はい!!!」


次に、紺のロングヘアの女子が口を開く。


京金ルカ(きょうがねるか)(15)

京金「京金ルカ。年はその子と一緒。以上」

皆藤「短っ!」

京金「他に言うこと、無いもの」

皆藤「あ、そ、そっか...!(冷た...!)」

鬼屋敷「京金ちゃんはね、ご実家が魔具職人の一家でね、魔具の使い方は誰よりも凄いのよぉ〜!」

皆藤「そうなんだ!私にも教えてくれたら嬉しいな...!」

京金「...」


最後に、眠そうな白髪の男子が口を開く。


粟生屋昴(あおやすばる)(15)

粟生屋「粟生屋昴。15歳。地元で魔者を狩ってたら、玉ねぎみたいな頭のおばさんに連れてこられましたー。程々に頑張ります。よろしくどうぞ」

皆藤「よ、よろしく...!(玉ねぎみたいな頭?善能寺さんか!)」

鬼屋敷「粟生屋君は元々履術者でね、即戦力よ〜期待してるわ〜」

皆藤「私も!一緒に頑張ろうね!」

粟生屋「ま、ぼちぼちで」


東海林「み、みんな!今日から仲間ってことで、よろしくね!ルカちゃん!ルカルカって呼んでいい?」

京金「は?」

東海林「粟生屋くんは、あおやん!うん!いい!」

粟生屋「はい?」

東海林「なんか、わくわくしてきたなー!本当は少し怖かったけど!みんな強そうだもん!私も頑張ろーっとっっ!!」

皆藤「うん!唯ちゃん!ルカちゃん!粟生屋くん!頑張ろう!」

東海林「はい!」

京金「...」ギロッ

粟生屋「僕は勝手にやるんで」ボーッ

鬼屋敷「ハッハッハッ!若くっていいわねぇ〜!」


皆藤「そして、皆さんにもう1人!紹介したい人がいます!もう少ししたら来るかな...?」

一同「...?」

皆藤「あ!足音がした!紹介するのは、もう1人の仲間です!」


コツ  コツ


ガチャッ...!

 

────


第379話 「結成記念日」

 

────


《第1支部 / 鬼屋敷の部屋》


一同「...?」


皆藤「来た来た!紹介します!新しい仲間の、白鶯蓮源君です!!」

白鶯「...」


東海林「(かっこいい...!!)」

京金「...」ギロッ

粟生屋「...」チラッ


鬼屋敷「...(なんか、凄まじい凄みがあるわね)」

皆藤「じゃあ、自己紹介してもらっていいですか?」

白鶯「断る」

皆藤「しなさい。私の言うこと何でも聞くって約束よね」

白鶯「...白鶯蓮源」

東海林「はくおう...」

鬼屋敷「れんげん...ね」


東海林「こんにー!私東海林唯!ゆいってよんでね!!この子がルカルカ!で、彼があおやん!!よろしく!!」

京金「ねぇ変なあだ名流行らさないでくれる?」

粟生屋「てか、その挨拶何...」

皆藤「あはは...」

白鶯「...しょうもな」


皆藤「彼も履術者で、さっき野良魔者を1人で退治してたんです!」

鬼屋敷「なかなかやるわね」

東海林「マモノ?」

京金「あんた、もしかしてシロート?」

東海林「え、魔法が使えるだけで、何も知らない...」

京金「はぁ...マジか...」

東海林「え、なにそれなにそれ!教えてよ!ルカルカ!!」

京金「だからそれやめて!」

皆藤「ま、ちゃんと勉強するから、大丈夫だよ!」

東海林「そうなんですね!よかっったー!」


粟生屋「魔者を1人で倒した?ふっ。それくらい、普通でしょ?」

白鶯「あ?」ピキッ!

粟生屋「何か?」ピキッ!

白鶯「口の利き方に気をつけろよ?魔法使いだかなんだか知らねぇけど、一緒立てない体にしてやろうか...?」

粟生屋「ははっ。出来るものならどうぞ?」

東海林「あわわわわわわ」

京金「はぁ...男って面倒くさ」

白鶯「...!!」

粟生屋「...!!」


ゴゴゴゴゴゴゴ...!!!!


皆藤「ストップストップ!!!やめなよ!!てか白鶯君!!君はどうしてそんなに好戦的なの!!もっと大人になりなさい!!」

白鶯「は?殺すぞ?」

皆藤「さっき私に負けたくせに?」

白鶯「...!てめぇ!」


京金「ププッ」

粟生屋「何だって?もう一度いいかな?w」

白鶯「...!」ブチィ!

東海林「...!(負けた?あんなに大きくて強そうな白鶯君に、理子さんが勝った...?!)」


皆藤「ま、おふざけはここまで。今日から私たちは、平和を成し遂げる為のチームメイトです!お互いいがみ合いや取っ組み合いのないように。許可のない魔法を使った喧嘩や戦闘は、処罰対象になり、最悪死刑になります。気をつけてくださいね?」ニコッ


東海林「し、しけい?!?!」

粟生屋「マジ?」

京金「...!」

白鶯「...」

鬼屋敷「ま、平和にやってくれれば、それでいいのよ〜ん」


皆藤「と、いうわけで、同年代同士仲良く!目指すは平和!みんなで最強のチームになろう!!!」


東海林「おーー!!」ドン!

京金「...」ドン!

粟生屋「はわぁ...」ドン!

白鶯「ちっ」ドン!

 

────


第380話 「皆藤理子の組手①」

 

────


《格技場》


第1支部からワープできる格技場。廃校が使用出来るようになる前は、格技場が主な特訓場だった。


皆藤「今日は、4人の今の実力を見せてもらおうと思って。私と1体1の組手をします。魔法ありで」

東海林「え!魔法使った魔法使い同士のやり合いってサイアク死刑なんじゃ...」

皆藤「特訓としての戦闘は、協会に許可を取れば可能よ。もちろん、安全に配慮した上で、だけど」

粟生屋「でもさ、魔法なんて使ったら最悪相手を怪我させかねなくない?僕なんて、割と凄い能力持ってるからさ」

京金「...」イラッ

皆藤「大丈夫。相手は私だけだから、本気で来ていいよ」

粟生屋「ははっ。なるほど(舐められてるな)」

京金「...」


白鶯「じゃあよぉ」

皆藤「何?白鶯くん」

白鶯「間違えて、殺しちまってもいいか...?」ギラッ


東海林「え...?!」

京金「...!」

粟生屋「...」


皆藤「殺す気で来ていいよ。私、負けないから」

白鶯「あの時は負けたが、今回は俺が勝つ。俺が勝ったら、お前は俺に従え」

皆藤「いいけど、これは勝負じゃなくて特訓だから、実力がわかり次第中断するわ。いいわね?」

白鶯「ちっ」


皆藤「じゃあ、唯からいこっか」

東海林「あ...!はいっっ!!」


皆藤と東海林の戦いが始まろうとしていた。


京金「あの子...履術者なんだよね。どんな能力なんだろう」

粟生屋「強そうには見えないけどね」

白鶯「...」


皆藤「さぁ、かかってきな!」

東海林「えーっと、、その、、あ!!!」ビシッ!

東海林は、明後日の方向を指さした!

皆藤は、指された方向に目をやる。


東海林「隙ありー!!えい!!!」


トンッ


粟生屋「え?」

京金「は?」

白鶯「...」


東海林は、皆藤を強く押した。皆藤は、地面に倒れ込んだ。


東海林「ハァ...ハァ...どうですか!」

京金「いや、攻撃っていうかそれは...」

粟生屋「話にならなそうだね...」


皆藤「成程...唯、君はもしかして、戦ったこと、ない?」

東海林「はい、、ありません!」

皆藤「ふーん。そっか」


すると、皆藤は肘から出血していた。


東海林「あ!理子さん!!肘!!私のせいで!!ごめんなさいっっっ!!!」

東海林は、皆藤に駆け寄り、傷を癒した。

東海林「治れー!治れー!こうやってやると、傷が治るんですっ!」

皆藤「(回復魔法が使えるのか...しかもかなりの精度...!)」

京金「(あの子...どこであの技術を...?)」

白鶯「(傷が治っていく?なんだあれは...?)」


東海林「はいっ!治った!!」

皆藤「凄いね。これは、誰かに習ったの?」

東海林「いや!気づいたら出来てました!友達とかが怪我しちゃった時に、可哀想だなって思って祈ってたら!」

皆藤「(凄いな...)」


東海林「あ、あと!私は、空を飛べます!!」

 


バッサァァァァァ...!!!

 


皆藤「...?!」

京金「?!」

粟生屋「おぉ...!」

白鶯「...?」


東海林の背中から、白く輝く翼が...!!!

 

────


第381話 「皆藤理子の組手②」

 

────


《格技場》


東海林「私、昔魔法の本を読んで、その時から、空を飛べるようになったんです...!」


東海林は、その翼で宙を待った。


皆藤「蒼魔導書第二十章 白翼の書だね?」

東海林「???」

皆藤「君が読んだ本の名前だよ。多分そう」

東海林「昔のことだから、、覚えてないなぁ」

皆藤「その本はどこで?」

東海林「普通に!どっかに落ちてて!!」

皆藤「なるほどね」


東海林は、地面に降り立った。


東海林「私は!まだ戦いとか魔者とか分からないけど!特訓して!勉強して、皆に追いつきたいと思いますっっ!!よろしくお願い致します!!」

皆藤「うん。唯なら凄い魔法使いになれる!よろしくね!」

東海林「はい!理子さん!!」


東海林は格技場の隅に戻る。


皆藤「(東海林唯...戦いは未経験だが、魔導書の能力持ちというだけあって潜在能力は高い。そして何よりあの回復魔法の精度。少し基礎を教えれば、ポテンシャルは私よりも高いかも...!)」


京金が立ち上がる。


京金「次は私よね」

皆藤「うん。ルカ」

京金「悪いけど私は、素人とは違うわよ」ホワワァン!

京金は、魔法陣から斧のような魔具を取りだした。

皆藤「流石だね」

東海林「え?え?斧が出てきた!!何も無かったよね!」

粟生屋「落ち着きたまえ素人。あれは”運”。基礎中の基礎の技術だ」

東海林「凄いな...ルカルカ...!」


京金「理子さんだっけ?見せてあげる。私の強さ」

皆藤「来い...!」

 


ビュンッ!

 


東海林「消えた!」

皆藤「(速い...!)」


京金「喰らえ!」シュッ!!

皆藤「...!運!」チャキッ!


キィィン!!!

京金の斧と皆藤の剣がぶつかり合う!


京金「剣使いなんですね」キリキリキリ...

皆藤「えぇ。私の愛剣よ」キリキリキリ...


バッ!


2人は距離をとる!


京金「なら...」パッ

京金は、斧を投げ捨てた。斧は魔法陣に沈む。

京金「これならどう?」ジュパッ!

京金は、魔法陣からボーガンのような魔具を出して、構えた!

皆藤「...!」


京金「!!」

ビュンッ!! ビュンッ!!

京金は、矢を数発放った!!皆藤は、京金の攻撃をくぐり抜ける!

 

────


第382話 「皆藤理子の組手③」

 

────


《格技場》

ビュンッ! ビュンッ!

京金は、攻撃の手を止めない!

京金「避けるの上手ですねぇ」ビュンッ!

皆藤「...!(流石に魔具の扱い方に慣れてる...照準の合わせ方が正確無比!)」


京金「これでどう?」パッ

京金は、腰から爆弾の様な物を皆藤に投げつけた!

京金「爆ぜろ」


ドッカーーーーーン!!!!


粟生屋「派手だねぇ」

東海林「キャーーーーー!って、ここ壊れないの?」

粟生屋「ここはあらゆる魔法を吸収する丈夫なつくりで出来てそうだから、壊れないだろう」

東海林「ふーん」

白鶯「...」


爆煙の中から、皆藤の姿が浮かぶ。


京金「(守護で守ったのか)」

皆藤「流石ね。私が見てきた中で、魔具の使い方はあなたが一番よ。ルカ」

京金「あたりまえですよ。ていうか、手抜いてるんですか?1度も攻撃してこないなんて。なんかムカつくんですけど」

皆藤「まぁこれは勝負じゃないから。でも、そう思われたなら、悪かったわ」

 


サッ!

 


皆藤が消えた!

京金「!(消えた?)」


東海林「ルカルカ!後ろ!」

京金「!」バッ!

皆藤「もう遅い!!」

 


ガッッ!!!!

 


皆藤は、剣の※柄頭で、京金の背中を突いた!

京金「!!!」


※刀の持つ部分の先端

 


ガクッ

 


バタッ...

 


皆藤「...」

京金は、その場で気絶した。

東海林「ルカルカ!!!」

粟生屋「...(一撃で...)」

白鶯「...」


皆藤「見張りの人ー!ルカを医務室へお願い出来ますか?」

見張り「あ、はい!!」


京金は、医務室へと移動した。


東海林「ルカルカ...大丈夫かな」

皆藤「大丈夫よ。気を失ってただけだから」

東海林「ならいいんだけど...」


皆藤「(京金ルカ...履術者じゃないのに基礎魔法が使えるってことは恐らく、特殊体質の持ち主...元々体にマヂカラが宿っているのか、はたまた幼い頃から魔具に触れて、後天的に芽生えたのか...どちらにせよ、彼女の魔具の使いこなしは凄かった...)」

 


皆藤は、体についた埃を払った。

 


皆藤「じゃあ、次は粟生屋君」

粟生屋「すみません。始める前に、少しいいかな」

皆藤「どうしたの?」

粟生屋「僕の能力を正確に把握したいのなら、場所の変更をお願いしたい」

皆藤「...というと?」

 


粟生屋「僕からすれば、この格技場(フィールド)は狭すぎる...!」ドン!

 

────


第383話 「皆藤理子の組手④」

 

────


《廃校》


皆藤、粟生屋、白鶯、東海林は、廃校に移動した。


白鶯「わざわざ場所を変えさせるなんて、それ相応の力を持っているんだろうな?」

粟生屋「見てれば分かるよ。君も指を咥えてそこで見ているといい」

白鶯「ちっ」


東海林「何ここ...学校?」

皆藤「魔裁組では、特訓する時にここを使うことが多い。この辺りにはマヂカラっていう、魔法の主成分みたいなものが強く染み付いてる。だから、魔法を使った特訓がしやすいんだ」

東海林「へぇー!!勉強になりますっ!」


粟生屋は、体を伸ばして皆藤に言った。

粟生屋「さ、準備が出来たら言ってよ」

皆藤「余程自信がある様ね。粟生屋君は」

粟生屋「ま、自分の才能を、客観的に理解してるだけだよ」


皆藤「なるほどね。じゃあ、好きな時に始めていいよ」

粟生屋「よろしくお願いします。皆藤理子さん」

粟生屋は、両手を胸の前で組んだ。

 


ゴゴゴゴゴゴ!!!

 


皆藤「?!」

東海林「な、何これ?!?!」

白鶯「...!」

 

 

ズ         シ          ッ          !!!

 

 

皆藤「...?!(体が...重い...!!)」

東海林「何これー!!動けない...!!!」

白鶯「...!!」


粟生屋「僕は強いよ〜?割と」

 

ビュゥゥゥゥ...!!!


強い風のような攻撃が皆藤を襲う!!


皆藤「...!守護!!!」


ギィン!!!


皆藤「...(何だこれ...?風?とは違う...?体に強い圧が!!)」

粟生屋「まだまだぁ!」

粟生屋は、拳にオーラを纏い、皆藤を殴り付ける!!


ガァン!!!


皆藤「!!!(今、直接触れた?!触れてないのに、まるで触れたかのように殴られた!!)」

粟生屋「これはどうだい?」

粟生屋は、空を足で切り裂いた。すると、空間に穴が空き、皆藤は引き寄せられる!!

 


粟生屋「ふっ。”Air-G”」

皆藤「...!!!!」

 


東海林「何あれ!!私も吸い込まれちゃいそう...!!」

白鶯「...!(周りの木くずや砂利まで吸い込んでやがる...!)」

 


シャキーーーーン!!!

 


皆藤は、空間の穴を剣で切り裂いた!

 


粟生屋「...!まさか、叩き斬られるとは」

皆藤「凄いマヂカラ量ね。そのマヂカラをコントロール出来るのは、その右目の”賢眼”のせいかしら」

粟生屋「ほほう。よくお気づきで」


東海林「けんがん?」

京金「賢眼(けんがん)。何万人に1人が持って生まれるという、特殊な能力。膨大なマヂカラのコントロールを可能とし、常人に比べて、強いマヂカラに耐えられる能力よ」

ルカがどこからともなく現れた。

東海林「へぇぇ、、って!!ルカルカ!!体は大丈夫なの?!?!」

京金「ちょっと寝てただけよ。てか、その呼び方いい加減、」

東海林「よかったーーー!!心配したんだよぉ!!?!」バッ!

東海林は、京金に抱きついた!

京金「!!!な、なによ!大袈裟よ!!」


皆藤「(ルカ、もう戻ったのか。体が丈夫ね)」

粟生屋「余所見してる暇があったら、攻撃してきなよ。まだ僕達は”あなたの能力”を知らない。勿体ぶっちゃってさ」

皆藤「...」

粟生屋「ほら、そんなことしてるうちに、もう王手だよ?僕は」

皆藤「...?」

 


ゴゴゴゴゴゴ!!!

 


すると、粟生屋と皆藤の上空に、巨大な黒い球体が浮かび上がっていた!!!


皆藤「!!!」

東海林「何あれ!!!」

京金「!!!」

白鶯「...!」


粟生屋「さぁ...おいで...!」

 

キラーン!

 

────


第384話 「派手」

 

────


《廃校》


粟生屋「さぁ...おいで...!」


キラーン! 

 

 

 

...シュゥゥゥゥウウウウウウウ!!!!!

 

 


皆藤「...!あれって!!」

京金「嘘...でしょ?」

東海林「あわわわわわわわ!死んじゃう!死んじゃう!!」

白鶯「...これは...?!」

 

 

 

一同「隕石?!?!?!」

 

 

 

粟生屋「そう。”Fall-G”。呼び出した隕石は、あのブラックホールに包まれ、大規模な重力波を放つ...!」

皆藤「!!!」

粟生屋「さぁ...立っていられるかな...?」

 


ゴォォォォォォ!!!

 


隕石が、黒い球体に激突する!!!


粟生屋「さぁ行け!!」


ゴゴゴゴゴゴ!!!!


隕石を取り込んだ球体は、辺りを破壊しながら皆藤に降り注ぐ!!


皆藤「!!!!!」

粟生屋「ふっ」

東海林「理子さーーーーん!!!!」

京金「...!!!」

 

 

 

ドォォォーーーーーーーーン!!!!!

 


辺り一面に爆風が吹き荒れる!!!

東海林「キャーーーーー!!!!」

京金「!!!!」

白鶯「...!」

ビュゥゥゥゥゥ!!!!!


爆風が止み、東海林は目を開ける。

東海林「!!!ねぇ!!!あれ!!!」

京金「?!」

白鶯「...?!」


すると、球体が落下した地点は、巨大なクレーターになっていた!!!


東海林「え?!あおやんやばくない?!?!え?!?!」

京金「...!」

粟生屋「流石に、やりすぎたかなぁ...」

東海林「理子さん大丈夫かな...」


すると、空から、鳥に乗って皆藤が現れた。


粟生屋「?!」

東海林「理子さん!!!」

京金「?」

白鶯「...」


皆藤は、地面に降り、絵で出来た鳥をしまった。

皆藤「ありがとう。逃がしてくれて」

粟生屋「なるほど、それがあなたの能力?」

皆藤「そう。描いたものを具現化できる」

粟生屋「地味な能力ですね」

皆藤「ふふっ。それは流石に想像力が足りてないわ」

粟生屋「言いますね」

皆藤「あなたの能力は、蒼魔導書第四十八章 重力の書ね?」

粟生屋「ええ。詳しいんですね、魔導書に」

皆藤「魔法協会の特待生だもの。当然よ」

粟生屋「どうです?僕の能力は」

皆藤「最高ね。上手く使いこなしてるし、魔者と戦ってた経験も随所に見られる。お見事よ」

粟生屋「それはどうも」


皆藤「でも、いくら賢眼の持ち主といっても、最後の攻撃は結構無茶したでしょ。足、震えてる」

粟生屋「...!」ピクピク...

皆藤「見せてあげる。私の能力の真髄...」


シャッシャッシャッ!!


皆藤は、宙に大きく筆を走らせた!


粟生屋「...!!」

皆藤「これでどう?曼荼羅魔神図...風神!!!」

 

皆藤の背後に巨大な風神が浮かび上がる!!!

粟生屋「!!!!!」

東海林「何あれ、、!」

京金「...(凄い圧...!!)」

白鶯「...!」


皆藤「派手か地味か、この攻撃を見てから決めてよ...!」

 

SOREMA -それ、魔!- 46へ続く。

SOREMA -それ、魔!- 44

f:id:btc21:20220715163053j:image

SOREMA -それ、魔!- 44

 

「昔話」

 

────


第369話 「雪山へ」

 

────


《とある雪山 / 雪道》


三太郎「へっくしゅん...!!おいおい、夏なのになんで雪つもってんだよ!さみぃわ」

一善「こんな所にいるんですか...?」

ジャ「あぁ。いる。住んでる」

三太郎「まじで、変な人なんだな、その”粟生屋”って人」


合同会議から1週間後、三太郎と一善は、ジャスティンに連れられて、とある雪山に来ていた。

その目的は、かのSHAKKSの一角、粟生屋昴をスカウトするためだった。


ジャ「あの人も物好きだからねぇ...魔者がいない場所なんて、他にも沢山あるだろうに」

一善「ですね」


三太郎「てか、百目鬼のことだけどよ、あいつ本当に信頼できるのか?元ノベルなんて怪しすぎだろ!」

ジャ「まぁ確かに。だが、履術者である以上、協力者として泳がせておくのが最善だ」

 

百目鬼は、あの会議の後、魔裁組の協力者として、魔法協会と契約を結んだ。


一善「彼のことは、俺は信用してる。百目鬼のおかげで、ノベルの幹部を叩けたのは事実だしね」

三太郎「それもフェイクかもしれないぞ?」

一善「大丈夫。魔裁組(こっち)には深く干渉しないはずだし、あいつも魔法の被害者だ。最初は疑わしかったけど、そんなに悪いヤツじゃないよ」

三太郎「まぁ...一善がいうなら...」

ジャ「あいつには沢山聞きたいことがある。もしかしたら、あいつの情報が切り札になるかもしれないからな」

三太郎「切り札...かっけぇ...!」

一善「(単純)」


ジャ「彼にとっては仇だったんだってな。強震の書の男が」

一善「はい...」

ジャ「...悔いてるのか?」

三太郎「?(何を?)」

一善「はい。引き金を引いた百目鬼を、俺は止められなかった。もうドイルは履術者ではなかったから。その場で殺してはいけないと、頭ではわかっていた」

三太郎「え、魔導師なんだから、いいんじゃねえの?」

ジャ「確かに魔導師は、周りに危害を及ぼす恐れがある場合、その場での斬首が認められている。だが、今回のケースでは、もう男は魔法を放棄していた。その場合、一時的に生命を維持させ、捕縛するのが適当とされている」

三太郎「ふーん」

一善「俺は...正直、手を伸ばすことが出来ました。彼を力づくでも、止めることが出来たはずなんです」

ジャ「...」

三太郎「...」


一善「でも、なんだろう。百目鬼の立場になった時に、そんなに利口に考えられるかと言われたら...正直分からない。引き金を引く直前に、百目鬼の記憶を見たんです。そしたら、何が正解か、分からなくなって...」

三太郎「...」

一善「俺は、彼を人殺しにしたくなかった...」

三太郎「一善...」

一善は俯いた。

 

ポンポンッ!

ジャスティンが一善の肩を明るく叩いた。

ジャ「一善は悪くない!大丈夫大丈夫!」

一善「へ?」

ジャ「いいか一善、正しいと思って選んできた道が、振り返った時に綺麗であるとは限らない」

一善「...」

三太郎「...!」

ジャ「でもね、一善。それでいいんだよ。誰かが、その道を美しいと思うかもしれないから」

一善「...」

三太郎「...」


ジャ「君は百目鬼藤を人殺しにしてしまったと言った。それは君の視点。でも彼はどうかな?一善のことを責めるとは俺には思えないなぁ」

一善「それは...」

ジャ「君は彼を救ったのかもしれない。本当の意味で」

一善「...!」


ジャ「それに、罪悪感をちゃんと感じられる君は強くなれる。だから大丈夫」

一善「!」

三太郎「そうだぞ!」

ジャ「一善は悪くなーい!悪くなーい!」

三太郎「悪くなーい!悪くなーい!」

一善「...笑」

 

────


第370話 「昔話」

 

────


《雪道》


ジャ「てか遠いなぁ...粟生屋さん。こんなとこに住んでんのかよ...」

三太郎「やっぱ強ぇのか?」

ジャ「あぁ。とんでもなく強い。千巣さんと同等の魔法使い”特級”の称号の持ち主だからな」

一善「SHAKKSの皆さんは全員特級ですか?」

ジャ「そうだよ。あの人たちがいた時代は、何の因果か、街の魔者が恐れをなして姿を消していた」

三太郎「へぇ。すげぇ」

ジャ「でも、魔導書の回収が遅れたのもそのせいだったりするけどな」

一善「なるほど」


ジャ「粟生屋さんをはじめ、SHAKKSは確かに化け物集団だった。でもその中でも特に、群を抜いて強かった魔法使いがいた」

三太郎「アニキ?」

ジャ「いや」

一善「白鶯...ですか?」

ジャ「いいや。ちがう。それは、その時代”女帝”とも呼ばれた魔法使い”皆藤理子”という人だ」

一善「皆藤理子...さん。唯一亡くなっていた方ですよね」

ジャ「あぁ」

三太郎「あのアニキより強い女の子がいたのかよ!!!やべぇな!!!」

ジャ「その人は本当に、超超超超強くてね。そして超超超超優しかった」

一善「...」

三太郎「...」


ジャ「そして、俺を魔裁組に引き入れてくれたのも、理子姉さんだ」


一善「...!!」

三太郎「...!!」


ジャ「もし理子姉さんが生きてたら、今頃どんな魔法使いになっていたのかな...」

一善「...」

三太郎「...」

 

 

 

回想──────

 

 

時を遡ること12年。

世は2011年。


《第1支部


若菜公平(23) 魔裁組第1支部実働班リーダー

公平「はい、えーっと、今日から新しい仲間が、2人加わってくれます。じゃあ、、挨拶してくれるかな?」

公平は、新人の男女2人を紹介する。1人の少年が手を挙げて自己紹介をする。


幸二(10)「はい!天堂幸二です!お兄ちゃんに負けないように頑張ります!よろしくお願いしまーす!」

パチパチパチパチ


千巣「ついに来たな...!」

恵太「幸二!いよいよだな!」

幸二「うん!」

恵太「お前と戦うのが楽しみだ!」

幸二「おれもだよ!お兄ちゃんに負けないように頑張る...!」

恵太「あはは!まずは魔者を倒せるようにならないとな!」

一同笑う


公平「じゃあ次、、皆藤さん」

皆藤「はい!」


シーン


皆藤理子(16)

魔法協会直属の特待生。蒼魔導書第四十五章 描写の書の履術者。


皆藤「皆さん初めまして。皆藤理子です。善能寺さんの元で、子供の頃から協会直属の特殊任務部隊で活動してました。皆さんに早く溶け込んで、仲良くなれるように頑張りたいです!よろしくお願い致します!」


パチパチパチパチ


公平「皆藤さんには、即戦力として任務に参加してもらうと同時に、人材育成にも携わってもらいます」

皆藤「はい!よろしくお願いします」

 

────


第371話 「スクランブル」

 

────


《第1支部


皆藤は、挨拶を終えた。


幸二「(この人、見かけによらず声低!)」

千巣「へぇ。(俺より強いのかな...?)」

※氷室「ま、人手が増えるのは悪いことじゃないわ。私の重荷が減るものね」


※氷室季彩。エミリーの人間の名前(31巻等参照)

 

────

 

《渋谷》


ある日の深夜、皆藤、千巣、恵太は3人で渋谷での任務にあたる。


魔者「ジュリヤァァァァ...!」

魔者「ギュリュリラァァァァ...!」


渋谷のスクランブル交差点では、魔者が大量発生していた。


バサッ! ザンッ!


恵太「おいおい!なんでこんなに魔者が増えてんだ?ここは渋谷だろ?最初のマヂカラ反応は1体だけだったはずですよね?千巣先輩!」グサッ...!

千巣「あぁ...だが落ち着け!こいつら、”ゴミ”を媒体としてできたハリボテの魔者だ!強くはない!恐らく本体がどこかにいる!そっちに気を配りながら通りかかる人々を避難させるんだ!」ジャキィン!

恵太「結構難しいっすよ!数が多すぎる!」バサッ!

千巣「踏ん張れ!今皆藤さんが本体を探してる!」


皆藤「...(この能力は恐らく、蒼魔導書第四十二章 入魂の書の能力。生命を持たない物質に魂を吹き込んで魔者の様に変貌させ操る...手強いわね。早く本体の履術者を探さないと...!)」


皆藤はマヂカラの気配を読み取る!


皆藤「(北側から強いマヂカラが流れてる...?)」


ピピッ


すると、本部にいる公平から3人に連絡が入る。


『公平 : 強いマヂカラ反応が渋谷から北上しています!人手があればそちらへ向かってください!』


恵太「人手って...もう限界でしょ!」

千巣「どうする...!(確かに、このままじゃキリがない...!本体の場所がわかったって言うのに...!)」

魔者「ギュリャァァァ...!」

千巣「うぉりゃぁ!」ザァン!


皆藤「2人とも!北へ向かって!恐らく代々木公園よ!あそこなら高い建物もなくて魔者が集いやすい!」

恵太「でも、こいつらも魔者では?それにこいつらはどうするんです?」

皆藤「こいつらは正確には魔者じゃない!これは入魂の書の履術者の力で作られたぬいぐるみみたいなもの!マヂカラで攻撃すればすぐに崩れる!」

千巣「...なるほど!」

恵太「でもこの数じゃ!」

皆藤「”私の能力”で対処可能よ!2人は本物の魔者を追って!」


千巣「...わかりました!行くぞ!恵太!」

恵太「...はい!皆藤さんも気をつけて!」

皆藤「ありがとう!終わったら向かうわ!」


千巣と恵太は北上して代々木公園へ向かった。


魔者「ブリュゥゥアァァァ...!」

魔者「ズルギュラァァァァ...!」

魔者「コブシュディァァァァ...!!」

皆藤は、スクランブル交差点の真ん中でおびただしい数の魔者(?)に囲まれる。

皆藤「ざっと数えて100体か...さてと。あんたらの相手はこの私1人で充分...!!!」


皆藤は、魔法陣から筆のような魔具を取り出した!


皆藤「魔鳥獣戯画!!武士!!!!」

 

────


第372話 「鳥獣戯画

 

────


《渋谷》


皆藤「魔鳥獣戯画!!武士!!!!」


サササッサッッッ...!!!


皆藤は、空に大きく筆を走らせ、呪文を唱える!


「顕!!!!」


ボワァン!!


すると、辺り一面に、まるで武士のような人影が何人も現れた!


皆藤「(私の能力...描写の書。私がこの筆で書いた物体は、次元を超えてこの場で実体化する...!私のマヂカラが尽きない限り、何体でもコピー可能...!)」


現れた武士は、辺りの魔者に一斉に斬りかかった!


皆藤「(そして、その能力で現れた物体は、私の意思に呼応して、意志を持って戦う!!)」


バサッ!!


バサッ!!


魔者達が、断末魔を上げながら倒れて、ごみに成り代わっていく。


皆藤「(私も2人を追って代々木公園へ向かいたいけれど、円陣を出たら能力の効果が消えてしまう...!早く倒すか魔者達を北へ誘導しないと...!)」


バサッ!!


バサッ!!


皆藤は、魔者を倒し続ける...!


皆藤「(ちっ...!多い!!)」

 


バサッ!!

 


バサッ!!

 

 

 

パッ...!!

 


皆藤「?!!!」


すると、皆藤の目の前の魔者達が全て霧散した...!


皆藤「消えた...ってことは?」


『公平 : マヂカラ反応が消えました!』

『恵太 : はい!代々木公園にて、四十二章の魔者を退治しました!!』


皆藤「よかった!!ありがとう!!千巣君と恵太君は?怪我はない?」


『千巣 : 俺たちは大丈夫です!皆藤さんは大丈夫ですか?』

皆藤「私は大丈夫!」

『千巣 : よかったです。では、そちらへ向かいます。合流しましょう』

皆藤「了解!」

『公平 : 皆さん、お疲れ様でした!』

 

3人は、魔者を退治し、魔導書を支部へ持ち帰った。


《第1支部

皆藤「お疲れ様でした」

千巣「お疲れ様でした。ふわぁ。眠」

恵太「お疲れ様でした〜眠いなぁ〜むにゃむにゃ」

公平「皆さんお疲れ様でした。ゆっくり休んでください」

 

────


第373話 「皆藤理子」

 

────


《第1支部

 


一同「おやすみなさーい!!!!」

 


公平「では、皆藤さんも、おやすみなさい」

皆藤「まって、公平さん!すこしお話していいですか?」

公平「僕、ですか?」

皆藤「はい!」


2人は、最低限の明かりがついた支部内のキッチンへと移動する。


皆藤「公平さんは、普段戦わないんですか?」

公平「いや?僕も一応実働班のリーダーだからね。戦うこともあるよ。でも...」

皆藤「でも?」

公平「僕はね、弱いんだ。階級も僕は普級。ただ年齢が上だからリーダーをしてるだけなんだ」

皆藤「なるほど...」

公平「恵太君や千巣君みたいに、若いのに僕より強い子が沢山いる。だから僕は、彼らをサポートすることが多い」

皆藤「サポートですか」

公平「うん。でも、難しい任務の時は僕が同行することもある。死なせたくないからね。貴重な人材は」

皆藤「...」

公平「いざとなったら、僕は彼らの盾となる」

皆藤「...!」

公平「魔法使いにおいて、命の価値は平等じゃない。それは仕方の無いことなんだ」

皆藤「...なるほど。それも一理あるかもしれません」

公平「...」

皆藤「でも、その結論は少し悲しいです」

公平「...!」


皆藤「私は、そんな現状を変えるために来たのかもしれません」

公平「?」

皆藤「私は、魔法協会で培ったノウハウを共有して、そして皆からも沢山のことを吸収して、人を育てて、共に成長して、みんなで強くなりたいんです。そして、魔法のない平和な世界を作りたい。最高のチームで」

公平「...最高のチーム...か」

皆藤「はい!」


公平「そうか...その最高のチーム、見てみたかったものだよ」

皆藤「見てみたかった?」

公平「誰かから聞いてないかい?僕はもうすぐここを去るんだ」

皆藤「え、辞めちゃうんですか?」

公平「うん。僕は履術者じゃないし、実力もない。それにもうすぐ、魔法使いとしてはピークを迎える年齢だ。でも、もう限界を感じてしまってね。別の道を目指すことにしたんだ」

皆藤「そう...なんですね」

公平「うん。後悔はしてない。自分自身と向き合って、これからの人生を考えるよ。だから君が呼ばれたんじゃないかな?後進の育成にも長けていそうだしね」

皆藤「...」


公平「皆藤さん、魔法協会の特殊部隊にいた時は、凄い評判だったよ。若いのに、立派だよね。それに君は履術者だ。今の魔裁組にとって貴重な存在」

皆藤「いえいえ...」

公平「皆藤さんはいつから履術者なの?」

皆藤「私は...生まれた時からです」

公平「生まれた時から...?」


皆藤「はい。何故か分からないんですけど、お母さんのお腹の中にいる頃から、体内に魔導書が眠っていたんです。不思議ですよね」

公平「そうなんだ。親御さんも魔法関係の?」

皆藤「いや。ただの一般家庭です。物心ついた時に、自分で自分の異様さに気がついて、周りの大人に話していました。そしたらある日、幼稚園に善能寺さんが来たんです。その日から私は魔法協会所属になりました」

公平「へぇ。壮絶だね」

皆藤「そうですかね。私は割と、この仕事向いてるなって、自分で思いますけどね」

公平「そっか。それは良いことだね」

皆藤「はい。でも、特殊部隊では...その...」

 


「──────────」

 


公平「そんなことがあったんだね...」

皆藤「だから、魔裁組(ここ)では、最高の仲間と、最高のチームを作りたいんです...!」

 

────


第374話 「運命の歯車」

 

────


後日、若菜公平は、大勢の班員に見送られ、魔裁組を去った。その眼差しに後悔はなく、小さくなっていく背中は、どことなく大きく見えた。

 

そして月日は経つ。

皆藤が魔裁組に所属して1年が過ぎた頃────

 

────

 

《第1支部 / ミーティングルーム》


皆藤は1人でオレンジジュースを飲んでいた。


バタッ


善能寺「皆藤さん。ごきげんよう

皆藤「!!善能寺さん!」


善能寺「調子はどう?」

皆藤「ボチボチですね」

善能寺「まぁ、元気そうでよかったわ」

皆藤「どうでした?第2支部の方は」

善能寺「いい出来よ?千巣君も驚いていたわ」


この年、魔裁組第2支部が完成した。千巣は第2支部に移動になった。


皆藤「千巣君、大丈夫ですか?友人が亡くなったって...」

善能寺「正直、まだ復帰には時間がかかるかも。暫くは第2支部で心身ともにリハビリをしてもらうわ」

皆藤「わかりました。自分からも連絡してみます」

善能寺「助かるわ」


善能寺「そして皆藤さん。今日から、貴方に正式に、魔裁組第1支部のリーダーを務めてもらいたいわ」

皆藤「...!」

善能寺「あなたの手腕は私が一番分かってるつもりよ。やってくれるわよね?」

皆藤「はい!ご期待に添えるよう、頑張ります!!」

善能寺「もう少ししたら、新しく何人か第1支部に加わることになるから、その子たちの面倒も見てあげて欲しいわ」

皆藤「はい!!楽しみです!!」

善能寺「よろしく頼むわよ...!」


この日、皆藤が、第1支部のリーダーとなる。

 

そして、数週間後、新しく加入するメンバーを迎える当日。

皆藤は、簡単な任務に赴いていた。

 


《都内某所》

 


皆藤「...(レベル1!でも油断は禁物...!さて、どこだ?)」

皆藤は、魔者を探す。

皆藤「...(早く倒して、新しい仲間と会いたいな...!どんな人達なんだろう?ワクワク!)」


皆藤は走って辺りを見回す!

皆藤「...(向こうからマヂカラの気配がする...!よし、今は任務に集中!早く倒して、支部へ戻るぞ〜!!)」


皆藤はマヂカラの気配を辿って、とうとうその気配の元へとたどり着いた。すると、そこには魔者はおらず、1人のガタイの良い青年が立っていた。青年の手には空のペットポトルが握られている。


皆藤「...(あれ?ここらへんに魔者がいるはずだけど...?あの人、誰?)」

青年「...」

青年は、黙ってペットポトルを凝視している。

皆藤「...(?あの人、マヂカラの気配がする...!もしかして、あの人が気配の正体?)」

皆藤は、その青年に話しかける。


皆藤「こんにちはー。君、名前は?」

青年「...は?」

皆藤「あ、いや、ごめんね。脅かしちゃって、そこで何してるの?」

青年「...なんだっていいだろ」

皆藤「うん...まぁね(この人が持ってるペットポトル...マヂカラが染み付いてる...?)」

青年「もういいだろ。あっちいけ」

皆藤「君さ、そのペットボトル、少し貸してくれない?」

青年「...?(この女、気配が只者じゃねえ、もしや”俺と同じ能力”が使えるのか?)」


皆藤「わかっちゃった。君、魔法が使えるね??」

青年「...!!」

皆藤「何かさ、普通の人と違うこと、出来るでしょ」

青年「...(やっぱり、この女も...!)」

 


皆藤「君、名前は?」

 


青年「...白鶯蓮源」

 

────


第375話 「龍の子」

 

────


《都内某所》


皆藤「白鶯君。そのペットポトルは、君が倒した魔者から出てきたものかい?」

白鶯「だったら?」

皆藤「凄いね。魔裁組でもないのに、魔者を退治出来るなんて」

白鶯「魔裁組?」

皆藤「うん。君や私みたいな、魔法使いの集まるチームの事だよ」

白鶯「...(同じような奴らが他にもいるのか)」


皆藤「そうだ、君も私達と共に戦わない?」

白鶯「...は?」

皆藤「魔裁組のメンバーにならない?君にはその素質があると思うけど」

白鶯「ならない」

皆藤「なんで」

白鶯「俺は誰にも従わない。誰の要望も聞かない」

皆藤「なんで」

白鶯「俺は最強だからだ。俺は人生において負けたことがない。いかなることでも」

皆藤「ふーん。君、最強なんだ」

白鶯「俺は、この星で最強になる男だ。この呪われた力でな。今の俺はバケモノだって簡単に倒せる。今日まで何体もバケモノをこの手で葬ってきた。何故ならば、強いから」

皆藤「...」

白鶯「弱者は嫌いだ。滅び去れ」

皆藤「なるほどね、雑魚い魔者を退治するだけで満足なんだ」

白鶯「雑魚い魔物?」

皆藤「うん。魔者にはね、魔導書の魔者と、ただの野良魔者がいるんだよ。君が倒した魔者で、本のようなものを吐き出した魔者はいたかな?」

白鶯「本...?」

皆藤「居ないみたいだね。まぁ、遭遇することはあまりないよね」


白鶯「おい女、話はもういい。消えろ」

皆藤「嫌だ。君を魔裁組へ連れていく」

白鶯「行かない。俺は誰にも従わない、誰ともつるむ気はない」

皆藤「1人じゃ強くなれないよ?いつか限界が来るわ」

白鶯「ほざけ」

皆藤「正義のヒーローになりたくない?」

白鶯「最悪だ」

皆藤「じゃあこうしよう、私と勝負して、立ち上がれなくなった方が言うことを聞く、これでいい?」

白鶯「は?」

皆藤「いいかどうかを聞いてる」

白鶯「俺に命令するな!!!頭にきた。お前はこの場で叩きのめしてやる...!」

皆藤「...(歳はだいたい同じくらいか...!ま、少し手加減してあげよっか)」

 


白鶯「うぉぉぉぉぉ」

 


ゴゴゴゴゴゴゴ...!!!!

 


皆藤「!!」

白鶯が雄叫びをあげた!すると、白鶯の両手が赤く膨張し、鱗のような紋様が浮かび上がった!!そして、牙が伸び、背中からは炎を纏った翼が生えた...!!

 


皆藤「その姿...!!」

 


白鶯「俺は...人ではない。龍だ!!!!!」


皆藤「ドラゴン...図鑑で見たな...恐らく、蒼魔導書第三十五章 龍の書。でも、図鑑の図解とかなり解釈が違ってる。彼のイメージ力に起因するのか...?」


白鶯「恐れおののけ。逃げるなら今だぞ?」


皆藤「別に、逃げないけど?”運”!!!」


ボワンッ...!


皆藤「大業魔具!天叢雲!!!」

皆藤は、大剣を魔法陣から取りだした!!


皆藤「私の愛剣の恐ろしさ...見せてあげる...!!」

 

────


第376話 「皆藤vs白鶯」

 

────


《東京某所》


白鶯「...?(あの女...何も無い所から剣を...?)」

皆藤「じゃあ、行くよ?」


ビュンッ...!!!


白鶯「!!!(消えた?!)」

皆藤は白鶯の真後ろに回り込んだ!

皆藤「これは”走”」

白鶯「?!」


ジャキーン!!


皆藤は白鶯を斬りつける!!

白鶯「!!(峰打ちか...!)」

皆藤「まだまだ!」


ドカッ!!

皆藤は白鶯の腹に蹴りを入れる!

白鶯「!!(女の癖に...なんて蹴りの威力...!)」


ドッカーーーーン...!!!


白鶯「ちっ」パラパラ...

皆藤「どう?私と来ない...?」

白鶯「まだ勝負はついていないだろ」

皆藤「まだやる気?」

白鶯「勝ち誇ったつもりか?ならば、これを受けても立っていられるかな?」ポポポポ...


白鶯は口元に光を溜め込んだ...!


皆藤「?」

白鶯「!!!!!!」

 

 

ボガァァァァァァァン!!!!

 


白鶯「龍ノ息吹(りゅうのいぶき)!!!!!!」


白鶯は凄まじい威力の光線を放った!!!

そして、皆藤に炸裂した!!!!


ドッカーーーーーーーーーン!!!!!


シュルルルゥゥゥゥ...


白鶯は元の姿に戻った。

白鶯「...(エネルギー切れか...だが、これを受けて立っていられる奴はいなかった...)」


すると、白鶯の目に、微笑んだ皆藤が映る!


白鶯「!?!?!」

皆藤「あはっ。これは”守護”」

白鶯「...無傷で...立っている?」

皆藤「白鶯君。君には才能がある。魔裁組に来ればもっと強くなれるよ?」

白鶯「...」

皆藤「頑固だね。まぁでも、約束は約束。私の言うことを聞きなさい」

白鶯「...」


バッ!!


すると、白鶯の足元から蛇のようなものが現れ、白鶯を地面に縛り付けた!

白鶯「?!何だ?!」

皆藤「魔鳥獣戯画...蛇」

 


シャーーーーー!!!

 


白鶯は地面に仰向けになり、身動きが取れなくなっていた。

皆藤は、剣先を白鶯の顔面に向けた。

 


皆藤「はい、私の勝ち」

白鶯「...!!!」

 

SOREMA -それ、魔!- 45へ続く。

 

SOREMA 6th Season イントロダクション②

キャラ紹介

 

主人公:皆藤理子(かいとうりこ)

f:id:btc21:20220816005354j:image

 

 

白鶯蓮源(はくおうれんげん)

f:id:btc21:20220816004404j:image

 

京金ルカ(きょうがねるか)

f:id:btc21:20220816004518j:image

 

東海林唯(しょうじゆい)

f:id:btc21:20220816004558j:image

 

粟生屋昴(あおやすばる)

f:id:btc21:20220816004620j:image

 

千巣万之助(せんのすばんのすけ)

f:id:btc21:20220816004643j:image

SOREMA 6th Season イントロダクション

6th season イントロダクション

f:id:btc21:20220815140114j:image

──最強の世代、伝説の魔法使い達──

 


江戸時代初期、謎の作家・奇魔権蔵によって書かれた「蒼魔導書五十一章」。これらは東京を中心に現在も現存しており、それらには特別な”力”が宿っていた.....

 


一善ら魔裁組に立ちはだかる史上最強の敵”ノベル”。ノベルは近い内に東京で大事件を起こすとされ、ジャスティンら実働班は戦力の補強を急ぐ。

 


その時白羽の矢が立ったのが、かつて”シャックス”、史上最強の6人と言われた魔法使い達だった。

 


────

 


時を遡ること12年。魔裁組第1支部に、1人の少女が配属される。その少女の名は皆藤理子。皆藤は、第1支部を最強のチームに育て上げるべく、後進の育成につとめる。曲者揃いのメンバーの中、各々は自らが求めるそれぞれの強さを求める。そして、いずれ後世に伝えられる最大の戦いに向けた歯車が動き出す。

 


栄華を極めた最強の魔法使い達の成長と敗北、崩壊を描いた、回想の物語──────

 


これは、語り継がれることのない悲劇────!