SOREMA -それ、魔!- 44

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SOREMA -それ、魔!- 44

 

「昔話」

 

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第369話 「雪山へ」

 

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《とある雪山 / 雪道》


三太郎「へっくしゅん...!!おいおい、夏なのになんで雪つもってんだよ!さみぃわ」

一善「こんな所にいるんですか...?」

ジャ「あぁ。いる。住んでる」

三太郎「まじで、変な人なんだな、その”粟生屋”って人」


合同会議から1週間後、三太郎と一善は、ジャスティンに連れられて、とある雪山に来ていた。

その目的は、かのSHAKKSの一角、粟生屋昴をスカウトするためだった。


ジャ「あの人も物好きだからねぇ...魔者がいない場所なんて、他にも沢山あるだろうに」

一善「ですね」


三太郎「てか、百目鬼のことだけどよ、あいつ本当に信頼できるのか?元ノベルなんて怪しすぎだろ!」

ジャ「まぁ確かに。だが、履術者である以上、協力者として泳がせておくのが最善だ」

 

百目鬼は、あの会議の後、魔裁組の協力者として、魔法協会と契約を結んだ。


一善「彼のことは、俺は信用してる。百目鬼のおかげで、ノベルの幹部を叩けたのは事実だしね」

三太郎「それもフェイクかもしれないぞ?」

一善「大丈夫。魔裁組(こっち)には深く干渉しないはずだし、あいつも魔法の被害者だ。最初は疑わしかったけど、そんなに悪いヤツじゃないよ」

三太郎「まぁ...一善がいうなら...」

ジャ「あいつには沢山聞きたいことがある。もしかしたら、あいつの情報が切り札になるかもしれないからな」

三太郎「切り札...かっけぇ...!」

一善「(単純)」


ジャ「彼にとっては仇だったんだってな。強震の書の男が」

一善「はい...」

ジャ「...悔いてるのか?」

三太郎「?(何を?)」

一善「はい。引き金を引いた百目鬼を、俺は止められなかった。もうドイルは履術者ではなかったから。その場で殺してはいけないと、頭ではわかっていた」

三太郎「え、魔導師なんだから、いいんじゃねえの?」

ジャ「確かに魔導師は、周りに危害を及ぼす恐れがある場合、その場での斬首が認められている。だが、今回のケースでは、もう男は魔法を放棄していた。その場合、一時的に生命を維持させ、捕縛するのが適当とされている」

三太郎「ふーん」

一善「俺は...正直、手を伸ばすことが出来ました。彼を力づくでも、止めることが出来たはずなんです」

ジャ「...」

三太郎「...」


一善「でも、なんだろう。百目鬼の立場になった時に、そんなに利口に考えられるかと言われたら...正直分からない。引き金を引く直前に、百目鬼の記憶を見たんです。そしたら、何が正解か、分からなくなって...」

三太郎「...」

一善「俺は、彼を人殺しにしたくなかった...」

三太郎「一善...」

一善は俯いた。

 

ポンポンッ!

ジャスティンが一善の肩を明るく叩いた。

ジャ「一善は悪くない!大丈夫大丈夫!」

一善「へ?」

ジャ「いいか一善、正しいと思って選んできた道が、振り返った時に綺麗であるとは限らない」

一善「...」

三太郎「...!」

ジャ「でもね、一善。それでいいんだよ。誰かが、その道を美しいと思うかもしれないから」

一善「...」

三太郎「...」


ジャ「君は百目鬼藤を人殺しにしてしまったと言った。それは君の視点。でも彼はどうかな?一善のことを責めるとは俺には思えないなぁ」

一善「それは...」

ジャ「君は彼を救ったのかもしれない。本当の意味で」

一善「...!」


ジャ「それに、罪悪感をちゃんと感じられる君は強くなれる。だから大丈夫」

一善「!」

三太郎「そうだぞ!」

ジャ「一善は悪くなーい!悪くなーい!」

三太郎「悪くなーい!悪くなーい!」

一善「...笑」

 

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第370話 「昔話」

 

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《雪道》


ジャ「てか遠いなぁ...粟生屋さん。こんなとこに住んでんのかよ...」

三太郎「やっぱ強ぇのか?」

ジャ「あぁ。とんでもなく強い。千巣さんと同等の魔法使い”特級”の称号の持ち主だからな」

一善「SHAKKSの皆さんは全員特級ですか?」

ジャ「そうだよ。あの人たちがいた時代は、何の因果か、街の魔者が恐れをなして姿を消していた」

三太郎「へぇ。すげぇ」

ジャ「でも、魔導書の回収が遅れたのもそのせいだったりするけどな」

一善「なるほど」


ジャ「粟生屋さんをはじめ、SHAKKSは確かに化け物集団だった。でもその中でも特に、群を抜いて強かった魔法使いがいた」

三太郎「アニキ?」

ジャ「いや」

一善「白鶯...ですか?」

ジャ「いいや。ちがう。それは、その時代”女帝”とも呼ばれた魔法使い”皆藤理子”という人だ」

一善「皆藤理子...さん。唯一亡くなっていた方ですよね」

ジャ「あぁ」

三太郎「あのアニキより強い女の子がいたのかよ!!!やべぇな!!!」

ジャ「その人は本当に、超超超超強くてね。そして超超超超優しかった」

一善「...」

三太郎「...」


ジャ「そして、俺を魔裁組に引き入れてくれたのも、理子姉さんだ」


一善「...!!」

三太郎「...!!」


ジャ「もし理子姉さんが生きてたら、今頃どんな魔法使いになっていたのかな...」

一善「...」

三太郎「...」

 

 

 

回想──────

 

 

時を遡ること12年。

世は2011年。


《第1支部


若菜公平(23) 魔裁組第1支部実働班リーダー

公平「はい、えーっと、今日から新しい仲間が、2人加わってくれます。じゃあ、、挨拶してくれるかな?」

公平は、新人の男女2人を紹介する。1人の少年が手を挙げて自己紹介をする。


幸二(10)「はい!天堂幸二です!お兄ちゃんに負けないように頑張ります!よろしくお願いしまーす!」

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千巣「ついに来たな...!」

恵太「幸二!いよいよだな!」

幸二「うん!」

恵太「お前と戦うのが楽しみだ!」

幸二「おれもだよ!お兄ちゃんに負けないように頑張る...!」

恵太「あはは!まずは魔者を倒せるようにならないとな!」

一同笑う


公平「じゃあ次、、皆藤さん」

皆藤「はい!」


シーン


皆藤理子(16)

魔法協会直属の特待生。蒼魔導書第四十五章 描写の書の履術者。


皆藤「皆さん初めまして。皆藤理子です。善能寺さんの元で、子供の頃から協会直属の特殊任務部隊で活動してました。皆さんに早く溶け込んで、仲良くなれるように頑張りたいです!よろしくお願い致します!」


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公平「皆藤さんには、即戦力として任務に参加してもらうと同時に、人材育成にも携わってもらいます」

皆藤「はい!よろしくお願いします」

 

────


第371話 「スクランブル」

 

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《第1支部


皆藤は、挨拶を終えた。


幸二「(この人、見かけによらず声低!)」

千巣「へぇ。(俺より強いのかな...?)」

※氷室「ま、人手が増えるのは悪いことじゃないわ。私の重荷が減るものね」


※氷室季彩。エミリーの人間の名前(31巻等参照)

 

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《渋谷》


ある日の深夜、皆藤、千巣、恵太は3人で渋谷での任務にあたる。


魔者「ジュリヤァァァァ...!」

魔者「ギュリュリラァァァァ...!」


渋谷のスクランブル交差点では、魔者が大量発生していた。


バサッ! ザンッ!


恵太「おいおい!なんでこんなに魔者が増えてんだ?ここは渋谷だろ?最初のマヂカラ反応は1体だけだったはずですよね?千巣先輩!」グサッ...!

千巣「あぁ...だが落ち着け!こいつら、”ゴミ”を媒体としてできたハリボテの魔者だ!強くはない!恐らく本体がどこかにいる!そっちに気を配りながら通りかかる人々を避難させるんだ!」ジャキィン!

恵太「結構難しいっすよ!数が多すぎる!」バサッ!

千巣「踏ん張れ!今皆藤さんが本体を探してる!」


皆藤「...(この能力は恐らく、蒼魔導書第四十二章 入魂の書の能力。生命を持たない物質に魂を吹き込んで魔者の様に変貌させ操る...手強いわね。早く本体の履術者を探さないと...!)」


皆藤はマヂカラの気配を読み取る!


皆藤「(北側から強いマヂカラが流れてる...?)」


ピピッ


すると、本部にいる公平から3人に連絡が入る。


『公平 : 強いマヂカラ反応が渋谷から北上しています!人手があればそちらへ向かってください!』


恵太「人手って...もう限界でしょ!」

千巣「どうする...!(確かに、このままじゃキリがない...!本体の場所がわかったって言うのに...!)」

魔者「ギュリャァァァ...!」

千巣「うぉりゃぁ!」ザァン!


皆藤「2人とも!北へ向かって!恐らく代々木公園よ!あそこなら高い建物もなくて魔者が集いやすい!」

恵太「でも、こいつらも魔者では?それにこいつらはどうするんです?」

皆藤「こいつらは正確には魔者じゃない!これは入魂の書の履術者の力で作られたぬいぐるみみたいなもの!マヂカラで攻撃すればすぐに崩れる!」

千巣「...なるほど!」

恵太「でもこの数じゃ!」

皆藤「”私の能力”で対処可能よ!2人は本物の魔者を追って!」


千巣「...わかりました!行くぞ!恵太!」

恵太「...はい!皆藤さんも気をつけて!」

皆藤「ありがとう!終わったら向かうわ!」


千巣と恵太は北上して代々木公園へ向かった。


魔者「ブリュゥゥアァァァ...!」

魔者「ズルギュラァァァァ...!」

魔者「コブシュディァァァァ...!!」

皆藤は、スクランブル交差点の真ん中でおびただしい数の魔者(?)に囲まれる。

皆藤「ざっと数えて100体か...さてと。あんたらの相手はこの私1人で充分...!!!」


皆藤は、魔法陣から筆のような魔具を取り出した!


皆藤「魔鳥獣戯画!!武士!!!!」

 

────


第372話 「鳥獣戯画

 

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《渋谷》


皆藤「魔鳥獣戯画!!武士!!!!」


サササッサッッッ...!!!


皆藤は、空に大きく筆を走らせ、呪文を唱える!


「顕!!!!」


ボワァン!!


すると、辺り一面に、まるで武士のような人影が何人も現れた!


皆藤「(私の能力...描写の書。私がこの筆で書いた物体は、次元を超えてこの場で実体化する...!私のマヂカラが尽きない限り、何体でもコピー可能...!)」


現れた武士は、辺りの魔者に一斉に斬りかかった!


皆藤「(そして、その能力で現れた物体は、私の意思に呼応して、意志を持って戦う!!)」


バサッ!!


バサッ!!


魔者達が、断末魔を上げながら倒れて、ごみに成り代わっていく。


皆藤「(私も2人を追って代々木公園へ向かいたいけれど、円陣を出たら能力の効果が消えてしまう...!早く倒すか魔者達を北へ誘導しないと...!)」


バサッ!!


バサッ!!


皆藤は、魔者を倒し続ける...!


皆藤「(ちっ...!多い!!)」

 


バサッ!!

 


バサッ!!

 

 

 

パッ...!!

 


皆藤「?!!!」


すると、皆藤の目の前の魔者達が全て霧散した...!


皆藤「消えた...ってことは?」


『公平 : マヂカラ反応が消えました!』

『恵太 : はい!代々木公園にて、四十二章の魔者を退治しました!!』


皆藤「よかった!!ありがとう!!千巣君と恵太君は?怪我はない?」


『千巣 : 俺たちは大丈夫です!皆藤さんは大丈夫ですか?』

皆藤「私は大丈夫!」

『千巣 : よかったです。では、そちらへ向かいます。合流しましょう』

皆藤「了解!」

『公平 : 皆さん、お疲れ様でした!』

 

3人は、魔者を退治し、魔導書を支部へ持ち帰った。


《第1支部

皆藤「お疲れ様でした」

千巣「お疲れ様でした。ふわぁ。眠」

恵太「お疲れ様でした〜眠いなぁ〜むにゃむにゃ」

公平「皆さんお疲れ様でした。ゆっくり休んでください」

 

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第373話 「皆藤理子」

 

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《第1支部

 


一同「おやすみなさーい!!!!」

 


公平「では、皆藤さんも、おやすみなさい」

皆藤「まって、公平さん!すこしお話していいですか?」

公平「僕、ですか?」

皆藤「はい!」


2人は、最低限の明かりがついた支部内のキッチンへと移動する。


皆藤「公平さんは、普段戦わないんですか?」

公平「いや?僕も一応実働班のリーダーだからね。戦うこともあるよ。でも...」

皆藤「でも?」

公平「僕はね、弱いんだ。階級も僕は普級。ただ年齢が上だからリーダーをしてるだけなんだ」

皆藤「なるほど...」

公平「恵太君や千巣君みたいに、若いのに僕より強い子が沢山いる。だから僕は、彼らをサポートすることが多い」

皆藤「サポートですか」

公平「うん。でも、難しい任務の時は僕が同行することもある。死なせたくないからね。貴重な人材は」

皆藤「...」

公平「いざとなったら、僕は彼らの盾となる」

皆藤「...!」

公平「魔法使いにおいて、命の価値は平等じゃない。それは仕方の無いことなんだ」

皆藤「...なるほど。それも一理あるかもしれません」

公平「...」

皆藤「でも、その結論は少し悲しいです」

公平「...!」


皆藤「私は、そんな現状を変えるために来たのかもしれません」

公平「?」

皆藤「私は、魔法協会で培ったノウハウを共有して、そして皆からも沢山のことを吸収して、人を育てて、共に成長して、みんなで強くなりたいんです。そして、魔法のない平和な世界を作りたい。最高のチームで」

公平「...最高のチーム...か」

皆藤「はい!」


公平「そうか...その最高のチーム、見てみたかったものだよ」

皆藤「見てみたかった?」

公平「誰かから聞いてないかい?僕はもうすぐここを去るんだ」

皆藤「え、辞めちゃうんですか?」

公平「うん。僕は履術者じゃないし、実力もない。それにもうすぐ、魔法使いとしてはピークを迎える年齢だ。でも、もう限界を感じてしまってね。別の道を目指すことにしたんだ」

皆藤「そう...なんですね」

公平「うん。後悔はしてない。自分自身と向き合って、これからの人生を考えるよ。だから君が呼ばれたんじゃないかな?後進の育成にも長けていそうだしね」

皆藤「...」


公平「皆藤さん、魔法協会の特殊部隊にいた時は、凄い評判だったよ。若いのに、立派だよね。それに君は履術者だ。今の魔裁組にとって貴重な存在」

皆藤「いえいえ...」

公平「皆藤さんはいつから履術者なの?」

皆藤「私は...生まれた時からです」

公平「生まれた時から...?」


皆藤「はい。何故か分からないんですけど、お母さんのお腹の中にいる頃から、体内に魔導書が眠っていたんです。不思議ですよね」

公平「そうなんだ。親御さんも魔法関係の?」

皆藤「いや。ただの一般家庭です。物心ついた時に、自分で自分の異様さに気がついて、周りの大人に話していました。そしたらある日、幼稚園に善能寺さんが来たんです。その日から私は魔法協会所属になりました」

公平「へぇ。壮絶だね」

皆藤「そうですかね。私は割と、この仕事向いてるなって、自分で思いますけどね」

公平「そっか。それは良いことだね」

皆藤「はい。でも、特殊部隊では...その...」

 


「──────────」

 


公平「そんなことがあったんだね...」

皆藤「だから、魔裁組(ここ)では、最高の仲間と、最高のチームを作りたいんです...!」

 

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第374話 「運命の歯車」

 

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後日、若菜公平は、大勢の班員に見送られ、魔裁組を去った。その眼差しに後悔はなく、小さくなっていく背中は、どことなく大きく見えた。

 

そして月日は経つ。

皆藤が魔裁組に所属して1年が過ぎた頃────

 

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《第1支部 / ミーティングルーム》


皆藤は1人でオレンジジュースを飲んでいた。


バタッ


善能寺「皆藤さん。ごきげんよう

皆藤「!!善能寺さん!」


善能寺「調子はどう?」

皆藤「ボチボチですね」

善能寺「まぁ、元気そうでよかったわ」

皆藤「どうでした?第2支部の方は」

善能寺「いい出来よ?千巣君も驚いていたわ」


この年、魔裁組第2支部が完成した。千巣は第2支部に移動になった。


皆藤「千巣君、大丈夫ですか?友人が亡くなったって...」

善能寺「正直、まだ復帰には時間がかかるかも。暫くは第2支部で心身ともにリハビリをしてもらうわ」

皆藤「わかりました。自分からも連絡してみます」

善能寺「助かるわ」


善能寺「そして皆藤さん。今日から、貴方に正式に、魔裁組第1支部のリーダーを務めてもらいたいわ」

皆藤「...!」

善能寺「あなたの手腕は私が一番分かってるつもりよ。やってくれるわよね?」

皆藤「はい!ご期待に添えるよう、頑張ります!!」

善能寺「もう少ししたら、新しく何人か第1支部に加わることになるから、その子たちの面倒も見てあげて欲しいわ」

皆藤「はい!!楽しみです!!」

善能寺「よろしく頼むわよ...!」


この日、皆藤が、第1支部のリーダーとなる。

 

そして、数週間後、新しく加入するメンバーを迎える当日。

皆藤は、簡単な任務に赴いていた。

 


《都内某所》

 


皆藤「...(レベル1!でも油断は禁物...!さて、どこだ?)」

皆藤は、魔者を探す。

皆藤「...(早く倒して、新しい仲間と会いたいな...!どんな人達なんだろう?ワクワク!)」


皆藤は走って辺りを見回す!

皆藤「...(向こうからマヂカラの気配がする...!よし、今は任務に集中!早く倒して、支部へ戻るぞ〜!!)」


皆藤はマヂカラの気配を辿って、とうとうその気配の元へとたどり着いた。すると、そこには魔者はおらず、1人のガタイの良い青年が立っていた。青年の手には空のペットポトルが握られている。


皆藤「...(あれ?ここらへんに魔者がいるはずだけど...?あの人、誰?)」

青年「...」

青年は、黙ってペットポトルを凝視している。

皆藤「...(?あの人、マヂカラの気配がする...!もしかして、あの人が気配の正体?)」

皆藤は、その青年に話しかける。


皆藤「こんにちはー。君、名前は?」

青年「...は?」

皆藤「あ、いや、ごめんね。脅かしちゃって、そこで何してるの?」

青年「...なんだっていいだろ」

皆藤「うん...まぁね(この人が持ってるペットポトル...マヂカラが染み付いてる...?)」

青年「もういいだろ。あっちいけ」

皆藤「君さ、そのペットボトル、少し貸してくれない?」

青年「...?(この女、気配が只者じゃねえ、もしや”俺と同じ能力”が使えるのか?)」


皆藤「わかっちゃった。君、魔法が使えるね??」

青年「...!!」

皆藤「何かさ、普通の人と違うこと、出来るでしょ」

青年「...(やっぱり、この女も...!)」

 


皆藤「君、名前は?」

 


青年「...白鶯蓮源」

 

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第375話 「龍の子」

 

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《都内某所》


皆藤「白鶯君。そのペットポトルは、君が倒した魔者から出てきたものかい?」

白鶯「だったら?」

皆藤「凄いね。魔裁組でもないのに、魔者を退治出来るなんて」

白鶯「魔裁組?」

皆藤「うん。君や私みたいな、魔法使いの集まるチームの事だよ」

白鶯「...(同じような奴らが他にもいるのか)」


皆藤「そうだ、君も私達と共に戦わない?」

白鶯「...は?」

皆藤「魔裁組のメンバーにならない?君にはその素質があると思うけど」

白鶯「ならない」

皆藤「なんで」

白鶯「俺は誰にも従わない。誰の要望も聞かない」

皆藤「なんで」

白鶯「俺は最強だからだ。俺は人生において負けたことがない。いかなることでも」

皆藤「ふーん。君、最強なんだ」

白鶯「俺は、この星で最強になる男だ。この呪われた力でな。今の俺はバケモノだって簡単に倒せる。今日まで何体もバケモノをこの手で葬ってきた。何故ならば、強いから」

皆藤「...」

白鶯「弱者は嫌いだ。滅び去れ」

皆藤「なるほどね、雑魚い魔者を退治するだけで満足なんだ」

白鶯「雑魚い魔物?」

皆藤「うん。魔者にはね、魔導書の魔者と、ただの野良魔者がいるんだよ。君が倒した魔者で、本のようなものを吐き出した魔者はいたかな?」

白鶯「本...?」

皆藤「居ないみたいだね。まぁ、遭遇することはあまりないよね」


白鶯「おい女、話はもういい。消えろ」

皆藤「嫌だ。君を魔裁組へ連れていく」

白鶯「行かない。俺は誰にも従わない、誰ともつるむ気はない」

皆藤「1人じゃ強くなれないよ?いつか限界が来るわ」

白鶯「ほざけ」

皆藤「正義のヒーローになりたくない?」

白鶯「最悪だ」

皆藤「じゃあこうしよう、私と勝負して、立ち上がれなくなった方が言うことを聞く、これでいい?」

白鶯「は?」

皆藤「いいかどうかを聞いてる」

白鶯「俺に命令するな!!!頭にきた。お前はこの場で叩きのめしてやる...!」

皆藤「...(歳はだいたい同じくらいか...!ま、少し手加減してあげよっか)」

 


白鶯「うぉぉぉぉぉ」

 


ゴゴゴゴゴゴゴ...!!!!

 


皆藤「!!」

白鶯が雄叫びをあげた!すると、白鶯の両手が赤く膨張し、鱗のような紋様が浮かび上がった!!そして、牙が伸び、背中からは炎を纏った翼が生えた...!!

 


皆藤「その姿...!!」

 


白鶯「俺は...人ではない。龍だ!!!!!」


皆藤「ドラゴン...図鑑で見たな...恐らく、蒼魔導書第三十五章 龍の書。でも、図鑑の図解とかなり解釈が違ってる。彼のイメージ力に起因するのか...?」


白鶯「恐れおののけ。逃げるなら今だぞ?」


皆藤「別に、逃げないけど?”運”!!!」


ボワンッ...!


皆藤「大業魔具!天叢雲!!!」

皆藤は、大剣を魔法陣から取りだした!!


皆藤「私の愛剣の恐ろしさ...見せてあげる...!!」

 

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第376話 「皆藤vs白鶯」

 

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《東京某所》


白鶯「...?(あの女...何も無い所から剣を...?)」

皆藤「じゃあ、行くよ?」


ビュンッ...!!!


白鶯「!!!(消えた?!)」

皆藤は白鶯の真後ろに回り込んだ!

皆藤「これは”走”」

白鶯「?!」


ジャキーン!!


皆藤は白鶯を斬りつける!!

白鶯「!!(峰打ちか...!)」

皆藤「まだまだ!」


ドカッ!!

皆藤は白鶯の腹に蹴りを入れる!

白鶯「!!(女の癖に...なんて蹴りの威力...!)」


ドッカーーーーン...!!!


白鶯「ちっ」パラパラ...

皆藤「どう?私と来ない...?」

白鶯「まだ勝負はついていないだろ」

皆藤「まだやる気?」

白鶯「勝ち誇ったつもりか?ならば、これを受けても立っていられるかな?」ポポポポ...


白鶯は口元に光を溜め込んだ...!


皆藤「?」

白鶯「!!!!!!」

 

 

ボガァァァァァァァン!!!!

 


白鶯「龍ノ息吹(りゅうのいぶき)!!!!!!」


白鶯は凄まじい威力の光線を放った!!!

そして、皆藤に炸裂した!!!!


ドッカーーーーーーーーーン!!!!!


シュルルルゥゥゥゥ...


白鶯は元の姿に戻った。

白鶯「...(エネルギー切れか...だが、これを受けて立っていられる奴はいなかった...)」


すると、白鶯の目に、微笑んだ皆藤が映る!


白鶯「!?!?!」

皆藤「あはっ。これは”守護”」

白鶯「...無傷で...立っている?」

皆藤「白鶯君。君には才能がある。魔裁組に来ればもっと強くなれるよ?」

白鶯「...」

皆藤「頑固だね。まぁでも、約束は約束。私の言うことを聞きなさい」

白鶯「...」


バッ!!


すると、白鶯の足元から蛇のようなものが現れ、白鶯を地面に縛り付けた!

白鶯「?!何だ?!」

皆藤「魔鳥獣戯画...蛇」

 


シャーーーーー!!!

 


白鶯は地面に仰向けになり、身動きが取れなくなっていた。

皆藤は、剣先を白鶯の顔面に向けた。

 


皆藤「はい、私の勝ち」

白鶯「...!!!」

 

SOREMA -それ、魔!- 45へ続く。