SOREMA -それ、魔!- 46
SOREMA -それ、魔!- 46
「最強」
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第385話 「認めざるを得ない」
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《廃校》
ゴォォォォォォ...!!!!
辺りに爆風が吹き荒れる!!
京金「あのパワー...!!」
東海林「理子さん...レベルが違う...!!」
粟生屋「...(彼女...涼しい顔している...!!同じ賢眼を持ってる訳でもないのにこのマヂカラ量はなんだ...?!)」
皆藤「行くわよ...!!」
ブゥゥゥヲォォォォ...!!!!
皆藤の合図に合わせて、背中の風神が大きく宙を仰ぐ!!!
粟生屋「...!!(なんという威力...!!飛ばされる...!!!)」
皆藤「うぉぉぉぉぉ!!!」ゴォォォォォォ!
皆藤が凄むと、粟生屋は両の手のひらを向けた。
粟生屋「はい!!!ギブギブ!!!」
皆藤「!!」
フゥゥゥン...
皆藤は攻撃を止める。
粟生屋「僕の実力はわかったでしょ。こんな感じだよ。これ以上は不毛だよね」
皆藤「...」
粟生屋「認めるよ。あれを受けたら僕は負けてた。あなたは僕より強い。僕はあなたに従おう。皆藤理子」
皆藤「...あ、ありがとう」
粟生屋「本心だよ?喜んでよ」
皆藤「...(諦めた...何で?)」
粟生屋「じゃあリーダー。俺の出番はここまでってことで、次は彼だよね?なんだっけ?はく”ほ”うだっけ?」
白鶯「あ゛?」イラッ
皆藤「あ、はく”お”うくんね。はい、じゃあ、次は白鶯くん!」
粟生屋はグラウンドから出る。
粟生屋「ふぅ...なるほどねぇ」
皆藤は、粟生屋の背中を見る。
皆藤「(粟生屋昴...彼はかなりの実力者ね。持ってるポテンシャルがとてつもないわ。それに賢眼も使いこなしてる。千巣君にも劣らない...でも性格が読めないわね。諦めが早いのかしら...?)」
そして、粟生屋に代わって白鶯がフィールドに入る。
白鶯「...」
皆藤「さて、2回戦と行きましょうか」
白鶯「...」
粟生屋「はぁ、疲れた」パタッ
粟生屋は、京金と東海林の元へ向かい、座る。
東海林「あおやん!!凄いよ!!」
粟生屋「あーどうもどうも。でもあの皆藤って人、バケモンだわ」
東海林「そうなの?どっちも凄く見えたけど?」
京金「戦って見ればわかる。なんていうか、マヂカラコントロールが、やっぱり素人とは違う」
粟生屋「状況把握も的確だ。元のスペックも相当だろうが、それ以上に技術が高い。彼女はバケモノだ」
京金「ふふっ。倒しがいがありそうね」
粟生屋「いや、僕たちが倒すのは魔者だ。アレに勝つのは一生無理だろ」
京金「ちっ。アンタのそのスカした態度。腹立つのよね」
粟生屋「君も少々暑苦しすぎる。ギラついてたらモテないよ?」
京金「は?!なによ。やるつもり?!」バチィ
粟生屋「多分君には勝てると思うけど?」バチバチィ
東海林「ストーップっっっ!!!喧嘩はよくないっ!!!ルカルカもあおやんも強い!それでいいじゃん!!」
京金「...」チッ
粟生屋「ま、不毛だね」
東海林「...(どうしよう...私だけ、スタートラインにすら立ててない。ついていけるのかな?皆に...)」
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第386話 「努力と才能」
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《食堂》
皆藤と白鶯の組手は、皆藤の圧勝に終わり、その日は特訓を終了した。
皆藤らは、夜ご飯を食べる。
粟生屋「まさか、本当にドラゴンがいるなんてねぇ...」
東海林「魔法があるんだし、なんかもう驚かないかも」
京金「白鶯(あいつ)、口ほどにもなかったわ。まだまだね」
東海林「でも私よりは強いよ!」
皆藤「彼はまだ魔法使いになったばかりだから、仕方ない。今後の成長に期待だね」
東海林「私も!!皆に追いつけるように頑張るね!!!」
京金「ま、ムリしないことね。心、折れるわよ?」
東海林「うん...」
皆藤「大丈夫!皆私を超える程の魔法使いになるスペックがある!!唯もルカも粟生屋君も!もちろん白鶯君も!数年後、私が1番弱かったりして」
東海林「あははは!それはないですよ理子さんー!!」
京金「ま、私は理子さんに負けないように頑張ります」
皆藤「お!ルカ!やる気ね!」
粟生屋「僕はパスで」
皆藤「粟生屋君。強くなりたくないの?」
粟生屋「別に。ただ適当に、死ななければいいかなって」
京金「皆に追い抜かれるのが怖いのかしら?」
皆藤「人は正しく努力すれば高みに近づける。君は?」
粟生屋「僕は今の自分に満足してるんだよ。不満がないと人って努力とかしないでしょ」
皆藤「...」
京金「はぁ...?」
東海林「なる...ほど...」
粟生屋「自分の才能を知ることこそが、最大の努力だと思わないか?」
皆藤「才能を知ってから、その才能を調理できるのはただ1人、君自身だよ?イメージしてみなよ。ほら、胸がワクワクしない?」
粟生屋「うーん。どうでしょう」
皆藤「...ま、無理強いはしないけどね。イメージは無限だよ。イメージすればなんだって出来る!」
京金「そうやって胡座かいてると、白鶯って奴にも負けるわよ?」
粟生屋「別に、そん時はそん時っしょ」
京金「...」
皆藤「...」
東海林「あの!理子さんっっ!ちょっといいですか?」
皆藤「どうしたの?唯」
東海林「第1支部(ここ)って、私達しかいないんですか?メンバー!」
皆藤「今はね。皆新しく出来た第2支部に移動になってね。でも、たまにこっちに顔を出したりすると思うよ。宝物庫や格技場はこっちにしかないから」
東海林「なるほど...」
皆藤「今はここにいる4人と白鶯くんだけだけど、もう少ししたら、めちゃくちゃ強い人が1人合流するから楽しみにしておいてね!」
東海林「え!どんな人なんですか??」
皆藤「それは来てのお楽しみぃ」
東海林「えーっ!教えてくださいよぉ〜!!」
東海林「ねぇねぇ!白鶯君って、黙ってればかっこいいよね!クールだし!大きいし!」
粟生屋「そうか?」
京金「てか、白鶯は?」
粟生屋「特訓終わってから見てないな」
皆藤「ご飯食べに外に出たよ」
東海林「えーっっ!一緒に食べたかったのにぃ!」
皆藤「もうすぐ帰ってくるんじゃないかな。だとしても、ここには来ないと思うけど」
ガタッ...
一同「...!」
その時、白鶯が帰ってきた。
粟生屋「噂をすれば」
京金「...」
皆藤「白鶯くん!ちょっとお話しない?こっちで!」
東海林「白鶯くん!」
白鶯「...」
白鶯は、奥へと消えていった。
東海林「私、行ってくる!!」バタッ
京金「え!ちょっと!あんた!」
粟生屋「強心臓だな...」
皆藤「...!」
東海林は、白鶯を追いかけた。
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第387話 「最強」
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《第1支部》
東海林「白鶯くん!!!」
東海林は、奥へと入っていく白鶯を呼び止めた。
白鶯は意に介さず、そのまま進む。
東海林「待ってっっ!!」
東海林は、白鶯の前に立つ。
白鶯「...何だ」
東海林「うんっっ!惜しかったね、今日の試合!」
白鶯「...は?」
東海林「凄かったよ...!白鶯君の能力!」
白鶯「...」
東海林「ドラゴンみたいに腕がギューーンってなるやつ!凄いよ!!白鶯くんにしか出来ないすごい技だよ!!」
白鶯「...」
京金と粟生屋は遠くでそのやり取りを見る。
京金「そりゃそうでしょ」
粟生屋「同じ魔導書は2つと存在しないからね」
東海林「理子さんは、私達より凄い強いから...これから頑張っていこっ!一緒に!ね?」
白鶯「...?」イラッ
京金「あいつを励ましてるのか?」
粟生屋「火に油を注ぐだけでしょ」
東海林「私ね、傷付いた人に寄り添って、助けてあげられるような、そんな魔法使いになりたいですっ!」
白鶯「...」
東海林「だからもっと皆みたいに強くなって、たくさんの人を守れるように!」
白鶯「...」
東海林「白鶯君は?どう?」
東海林は、まっすぐ澄んだ目で白鶯を見つめた。しかし、白鶯は冷たい視線を返した。
白鶯「弱者を守る?笑わせるな」
東海林「え...?」
白鶯「俺は弱い奴の為にここで戦うつもりは微塵もない」
東海林「...!」
白鶯「弱い奴は、弱いことが悪い。弱さは罪だ。俺は最強になって、誰よりも上に立ってみせる。そして誰よりも偉くなり、全てを意のままにする。誰にも俺に命令させない。その為にはなんだってしてやるさ。ここでの特訓は利用価値がありそうだからな」
東海林「白鶯君...」
皆藤「そうか、それが君の本心だね?」
そこへ、皆藤が割って入る。
白鶯「...!」
皆藤「人の上に立ちたい。か。だから君は強くなりたいんだね?」
白鶯「幻滅したか?お前の様なヒーローごっこは俺は御免だからな」
皆藤「分かった。別に私はそれを否定しないよ」
白鶯「...?」
東海林「...!!」
京金「...!」
粟生屋「...」
皆藤「私が最強を教えてあげる。人の上に立ちたいんなら、その素質をここで学んで行くといい。君を立派な人にしてみせるから」
白鶯「...!」
皆藤「強さを求める理由は人それぞれ違っていい。違うからこそ、チームを組む意味がある」
白鶯「...」
皆藤「って、私は思うけどな!皆は?どう?」
東海林「うん!私もそう思いまーすっっ!」
京金「...」
粟生屋「はぁ...お気楽だねぇ」
皆藤「ここにいる皆は個性豊かだ。だからその個性をお互いの為に生かして、更に強くなっていこう。そうすれば、必ず目標は成し遂げられる。私はそう思う!」
東海林「はいっ!!」
京金「...」
粟生屋「はわぁ...」zzz
皆藤「ね、白鶯君!」
白鶯「皆藤理子だったな。俺はお前を超える」
皆藤「...!」
白鶯「俺はお前の上に立つ。それまではここに居てやるさ。いや、居なければならない」
皆藤「...!!」
白鶯「最強は、俺1人で十分だ...!」ドン!
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第388話 「A piece」
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それから、第1支部のメンバー(皆藤班)は、特訓に特訓を重ねた。
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《皆藤の部屋》
深夜。皆藤は、暗い部屋で小さく灯りをつけ、眼鏡に視線を通しながら、魔導書図鑑や魔具に関する書物を読み漁る。
皆藤「...(白翼の書はこんな術も使えるのか...唯なら使いこなせそうだ。今度言ってみよう!そして重力の書は...ってもう!この魔導書図鑑、昔のものすぎてちゃんと読めない!)」
すると、ノック音がする。
コンコン!
皆藤「どうぞ!(こんな遅い時間に誰...?)」
ガチャッ
東海林「あのぉ...」
皆藤「!唯...?どうしたの?こんな遅くに」
東海林「今いいですか...?話したいことがあって...」
皆藤は、部屋の明かりを付けて、ベッドに座るよう促した。
東海林「あの...正直に言ってください。私、弱いですよね」
皆藤「...」
東海林「使えない...ですよね」
皆藤「...」
東海林「分かってるんです。自分でも...」
東海林は、俯く。
皆藤「唯。唯は誰よりも頑張ってる」
東海林「...」
皆藤「確かに力は弱い。周りの子に比べて、戦闘力が足りない」
東海林「はい...」
皆藤「でもね、それは当たり前のことだよ?だって、そもそものスタートラインが違うんだから。それにね」
東海林「...?」
皆藤「”使えない”だなんて、私は全く思ってない」
東海林「...!」
皆藤「使う使わないって、人に対して言うのも気が引けるけど、その表現を敢えて使うなら、唯は”使える”よ」
東海林「...!」
皆藤「確かにまだ戦闘能力は発展途上だけど、唯の明るさに、私はすごい助けられてるよ?」
東海林「理子さん...」
皆藤「私、リーダーとか言ってるけど、そういうの本当は苦手なんだ。だから、私も手探り状態なの。そんな中で、唯の明るさとか頑張りに私は凄い救われてるし、いつもありがとうって思ってる」
東海林「!!」
皆藤「それに、戦いの方も、どんどん差が縮まってると思うよ!唯にしか出来ないオリジナルの戦い方も出来ると思うし」
東海林「...!」
皆藤「例えば、白翼の書の能力を応用して...」ゴニョゴニョ
〜〜〜
東海林「すごい!理子さん、私よりも私の能力に詳しい!」
皆藤「私、魔法オタクなの!古文書や図鑑で勉強してるんだ」
東海林「そうなんですかっ!!凄すぎます!!」
皆藤「私の能力もまだ研究中だから、これからだよ」
東海林「そういえば、理子さんの能力って、絵を具現化するものですよね?この人書いて貰えますか?!」
東海林は、横浜流星の写真を差し出した。
皆藤「誰これ、俳優?」
東海林「え、知らないんですか?!とりあえずここに呼び出してくださいよ!」
皆藤「出来なくはないけど、そっくりさんだよ?本物じゃない。それに実在する人を書くと、マヂカラ消費が激しいんだよね」
東海林「ほぅ...?」
皆藤「絵に魂が宿っちゃうっていうのかな?この人を書くと、私が知ってるこの人についての知識が全部乗り移っちゃって、大変なことになるわ。私じゃ制御できないって言うか...友達とかもそうね。よく知ってる人の事を描くと、勝手に人格が形成されて自立しちゃうの。偽物だけど」
東海林「なるほどぉ...例えば私が書いた場合、偽横浜流星として、自立しちゃうってことですね」
皆藤「そう。飲み込みが早いね。だから私は、”武士”とか”動物”とか抽象的なものしか描かないの。戦闘には適さないから」
東海林「ふーん!じゃ、横浜流星書いてください!」
皆藤「話聞いてた?!」
東海林は笑った。
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第389話 「365の夜を超えて」
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《皆藤の部屋》
皆藤「後輩が強くなってくれることは、即ち私達皆が強くなることと同じ。だから、皆には私が出来る精一杯をしたいと思ってる」
東海林「理子さん、、理子さぁぁぁん!」
東海林は、皆藤に抱きついた。
皆藤「!!ゆ、唯ってば!夜中に大声で泣かない!」
東海林「うぇーーん!理子さぁぁぁん!!」
皆藤「...」汗
皆藤「唯は確か、元々履術者なんだよね」
東海林「はい。でも、魔法のこととか全く分からなくて。でも、ある時、魔者が見えたんです」
皆藤「うん」
東海林「小さい子達が襲われてて、私もそこで怪我を...」
皆藤「それは大変だったね」
東海林「私の怪我は治ったから大丈夫です!でも中には、亡くなった子もいて...」
皆藤「...」
東海林「そこにやってきた魔法協会の方に話を聞いて、魔裁組を知りました。その場で、私も魔裁組に入ろうって決めたんですっ!」
皆藤「その場で。勇気あるね」
東海林「もう何が何だかわからなかったんですけど、同じような目にあう子がいるなら、助けたいって!」
東海林は、明るく笑った。
皆藤「...(この子は、本当に純粋なんだな。奇跡だよ。君みたいな子に出会えて良かった)」
東海林「ん?私の顔に、何かついてます?」
皆藤「あ、え、いや、なんでもない、そっか...唯はお利口だね」
東海林「てへ。やったぁー!」
皆藤「そうだ、明日から、個別に特訓メニューを分けようと思うんだけど、唯にぴったりな方法も考えてあるから!」
東海林「え!やったぁ!楽しみぃ!ありがとうございますっ!」
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夜は明け、一同は特訓を繰り返す。
そして、何度も夜を明かし、1年が経った。
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《第2支部》
職員らが立ち話をしている。
職員A「聞いたか?天堂家の長男、蒸発したらしいぞ?」
職員B「知ってるよ。恵太君だろ?何があったんだろうな」
職員A「噂だけど、魔導書を燃やしたって」
職員B「うっそ!マジか!幸二君はどうするんだろうな」
職員A「そのまま続けるってさ」
職員B「そっかぁ。まぁでも、恵太君を失ったのは大きいよな」
職員A「まぁでも、第1支部のメンバーはかなりの実力者揃いらしいぞ。入部1年で全員単独任務を任せられてる」
職員B「マジかよ!そんなの、前代未聞だぞ」
職員A「皆藤理子っていうリーダーが凄腕らしくてな、マジで恐ろしいよ、彼らは」
職員B「そうなのか、まぁこれで、しばらくは安泰そうだな」
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《第1支部》
粟生屋が任務から戻る。
粟生屋「戻りますた」
東海林「あ!あおやんおかえり!どうだった?」
粟生屋「ちょろいちょろい。僕の手にかかれば、あんなの瞬殺って感じだよ」
粟生屋は、魔導書を見せびらかす。
東海林「へぇー!流石あおやん!強い男!理子さんの次に」
粟生屋「最後のは余計」
そこへ京金がやってくる。
京金「うぃーっす」
東海林「あ!ルカルカ!おかえり!」
京金「おつかれー。あれ、理子さんは?」
東海林「理子さん今日見てないなぁ」
京金「ふーん。せっかく魔導書の魔者を倒したから、自慢したかったのに」
東海林「え!ルカルカも!凄いじゃん!!!」
京金「ふん!余裕よ。理子さんが、「もし危なくなったらすぐ誰か呼んでよ」ってうるさく言ってたけど、あれくらいなら1人でいけるわね」
東海林「私も魔導書の魔者倒せるようになりたいなぁ」
京金「唯も倒してなかった?理子さんと」
東海林「1人で倒せるようになりたいのっ!!」
京金「笑笑」
粟生屋「ま、精進しなよ」
そこへ、白鶯がやってくる。
京金「...!」
東海林「あ、白鶯くん」
粟生屋「...?」
白鶯は、粟生屋の前に立つ。
白鶯「おい、俺と決闘しろ」
粟生屋「...は?」
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第390話「理(ことわり)」
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《第1支部》
粟生屋「...決闘?」
白鶯「あぁ」
粟生屋「何それ」
白鶯「俺が勝ったら、お前は俺に一生従え」
粟生屋「何で?」
白鶯「証明する必要があるからだ。俺がお前より優れていると」
粟生屋「...?」
京金「...?」
東海林「あわわわわ」
白鶯「俺は皆藤理子を倒し、ここから出ていく。俺は最強となり、全人類の上に立つ男だ」
粟生屋「ほほう」
京金「...(厨二病かよ)」
白鶯「だが、俺も力を欲している。お前程度の実力があるならば、利用してやってもいい」
粟生屋「ははっ。ここまで気分を害す依頼は初めてだよ」
白鶯「...」
京金「...(言い方はともかく、あの白鶯が協力を依頼した...?それ程に粟生屋は強い...)」
粟生屋「皆藤(リーダー)に勝つ?一つ教えておいてやるよ。あのね、後世に語り継がれる魔法使いはいつも”女”だ。かの”英雄”久品和義を除いてな。お前にそのポテンシャルがあるか?心身共に今のお前じゃ無理だよ。それにお前、現最強のあのおばさん(鬼屋敷)に勝とうと思うか?ま、ボコされて終わるからやめとけよ?結論、男は女には敵わない。リーダーに勝つのは諦めなよ」
白鶯「はっ。負けを恐れ、言い訳を探すのに必死な人間は言うことが違うな。恐れ入る」
粟生屋「は?」イラッ
白鶯「男も女も関係ない。強い者が偉い。弱い者が踏み躙られる。それがこの世の理だ。俺は前者。いずれこの世界で最強の存在となる男」
粟生屋「あっそう」
白鶯「文句があるならば、俺に勝ってから言え。まさか逃げたりしないだろうな?」
粟生屋「なるほどねぇ」
白鶯「...」
粟生屋「まぁ、多分負けないから、いいよ。相手になってやる」
京金「...!粟生屋!」
東海林「ちょっと!二人とも!!落ち着いて!!」
粟生屋「僕は落ち着いてる。大丈夫」
白鶯「決闘は1ヶ月後だ。それまでくだらん任務で命を落とさないことだ」
粟生屋「そっくりそのまま返すよ」
白鶯は去っていった。
京金「おい、粟生屋!本気か?」
東海林「流石にさ、あんまり仲間同士でやり合うのは良くないって...」
粟生屋「仲間かどうかは相手次第だ。それに僕はあいつには負けない。普通にしてたらね」
京金「...」
東海林「そうかもだけど...」
粟生屋「格の違いを見せつけてあげるよ...!」
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そして時は流れ、決闘を3日後に控えたある日、京金、粟生屋、白鶯は3人で合同の任務に出ていた。
《秋葉原》
3人は、飴達磨(あめだるま)と名乗る魔導師と対峙していた。
粟生屋「...(魔導師...人間か)」
京金「...(あいつ、履術者じゃないな。そしてあの手に持ってる魔具は、ガトリング型の大業魔具、名前は忘れたけど、結構な代物...!)」
白鶯「...」
飴達磨「ヒャッハッハ!!俺はこの武器で、ここにいる人間を全て殺して、チャンピオンになってやるぁ!!!」
京金「チャンピオン?何の話だ?」
粟生屋「ゲームのやりすぎだろ。ほら見ろ、目が完全に逝ってる奴の目だありゃ」
白鶯「...」
飴達磨「で、お前たちは?!退かないと殺しちゃうよォ〜?!」
粟生屋「見るからに弱そうだけど、これ、3人も来る必要あったのかな」
京金「恐らく、'相'手'が'人'間だから、私達に配慮して3人に任務が降りたんでしょ」
粟生屋「東海林は来なくて正解だったな」
白鶯「...」
粟生屋「まぁでも、あいつ程度、僕一人で十分だけどね」ズズズズ...
京金「あまりインフラ壊すんじゃないわよ?」
粟生屋「善処するよ」
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第391話 「奇襲」
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《秋葉原》
3人と、飴達磨の戦いは続く。
粟生屋「京金!左から周りこめ!」
京金「言われなくてもわかってるわよ!」
ビュンッ!!!
飴達磨「ちっ...!ちょこまかと!!」
粟生屋「白鶯!後ろから距離を詰めろ!!」
白鶯「...!」
3人は、飴達磨を追い詰めていた。
飴達磨「くそぉ!!くらぇー!!!」
ダダダダダダダ!!
飴達磨は、ガトリング砲をぶっぱなした。
粟生屋「守護!」キィン!
京金「守護!」キィン!
飴達磨「...!防がれた!!もうヤケクソだ!!」
ダダダダダダダ!!
飴達磨は、ガトリング弾を辺りに振りまいた!
京金「...!(不規則に銃弾の雨が...!)」キィン!
白鶯「...!」キィン!
その時、その銃弾の流れを掻い潜り、粟生屋が前へ出た!
粟生屋「今だ!!!押し潰してやる!」
飴達磨「ひぃ!!!」
グニュゥゥゥ...!!
粟生屋は重力波を拳に纏った!
粟生屋「潰れろぉ!!!!」
飴達磨「ひぇぇぇ!!」
京金「...!(いったか!!!)」
その時だった!
バシューーーン!!
粟生屋「!!!!」
京金「?!?!」
白鶯「...」ニヤッ
粟生屋の左の脇腹に銃弾が当たった!
粟生屋「...マジか」ブシャーーー!
京金「粟生屋!!!!」
飴達磨「ふっ、ざまぁみろ!」
粟生屋「...!!」
飴達磨「お前から殺してやる!!!!」
粟生屋「...(ヤバい!)」
その時だった。
白鶯「おい、お前の相手は俺だ」
グシャッ!!!!
白鶯は、手を龍化させ、飴達磨の頭蓋骨を握り潰した。
京金「!!」
粟生屋「...ふぅ」
飴達磨は散った。
白鶯「雑魚がのさばるのは気分が悪い」
白鶯は、飴達磨が所持していた魔具を回収した。
粟生屋「...」ブシャァ...
京金「粟生屋!!その傷大丈夫?」
粟生屋「あぁ。僕にとっては...街でアンケート取られるくらいのハプ...ニング...さ...」
バタンッ
粟生屋は気を失った。
SOREMA -それ、魔!- 47へ続く。