SOREMA -それ、魔!- 15
SOREMA -それ、魔!- 15
「兄弟」
────
第127話 「一心同体」
────
《折紙山/久寿玉内部》
京「...来たか」
幸二「?」
恵太「?」
ズズズズズ...
多面体の内部表面から現れたのは、ジャスティンらによって消されたはずの亭だった。
亭「いやァ兄者。ちョッと手こずッてねェ。あいつらまァまァ強いわ」
京「...」
亭「1度殺されちャッた」
幸二「?」
恵太「(1度殺された?どういうことだ?)」
京「...そうか。痛かったろう。だがここに入れば安心だ。俺が守ってやる。我が弟、亭よ」
亭「さッすが兄者!頼りになるゥ!」
《折紙山/久寿玉外側》
ジャ「蝶達が多面体にめり込んで行く?」
はるか「おい、ひょっとして、この中に幸二達がいるんじゃ...」
ジャ「まさか!」
伊藤「これ、攻撃したら壊せませんかね?紙風船のやつみたいに」
はるか「そうだな、やってみよう!」
ジャ「魔者弟がまだ生きてるなら厄介だからな」
3人は、多面体を攻撃する。
《折紙山/久寿玉内部》
ゴォン! ゴォン!
亭「あ!外から攻撃されてる?」
京「誰も殺れなかったのか?」
亭「ごめん。1人も」
京「そういう時は馬鹿正直に言わなくて良い...少しでも不安を煽れ」
亭「うッかり!」テヘペロ
京「口が軽いのもお前の個性だがな」
幸二「お前、逃げてきたのか?」
亭「うん!1機死んだから」
幸二「1機?」
恵太「お前はストック制なのか?」
亭「いや、同時に消滅させないと死なないんだァ俺たち。魔導書に生かされてるからねッ!」
京「本当に口が軽いな。だが、お前の個性だ」
亭「テヘペロ」
幸二「...」
恵太「なるほどね」
京「俺たちは離れていても一心同体。理想の兄弟だ」
亭「間違いないね!兄者!」
恵太「ならば、兄弟対決と行きますか、幸二」
幸二「...あぁ」
京「どちらの絆が本物か、直ぐにわかる」ドン!
恵太「俺の愛は本物だぜ?」ドン!
────
第128話 「紙亡遊戯(しぼうゆうぎ)」
────
《折紙山/久寿玉内部》
京「亭よ、まずはあの左の男を狙え。弟だ」
亭「あは。了解!」
恵太「幸二、来るぞ」
幸二「わかってる」
幸二は手に汗を握る。
亭「紙片ノ三 紙手裏剣!!」シュリンシュリンシュリン!!
幸二「”守護”!」
京「守っているだけでは勝てないぞ?」グサッ!!
キィン!!
恵太は、デカい包丁のような剣を召喚した。
恵太「俺が弟を護ってやる」
京「ふっ」
亭「紙片ノニ 紙兜!」
ヒュン!
幸二は避ける。
幸二「青のエレメント!ニードル・THE・ショット!!」バァンバァン!!
亭「くゥ〜効くゥ〜」グハッ!
《折紙山/ジャスティンサイド》
3人は、多面体への攻撃を続ける。
ジャ「(ちっ。吸魔の札を使っても、壊れる気配が一向にないぞ!幸二達は無事なのか?)」
伊藤「(早く壊さないと!)」
はるか「!!!」
《折紙山/久寿玉内部》
スタッ...
京「亭、アレをやるぞ」
亭「”紙亡遊戯”だね。いいョ」
幸二「?」
恵太「?」
亭「二十六章 紙片ノ八 紙飛行機」
ズズズズズズズズ...!!!
亭の体は紙のように折りたたまれ、紙飛行機のようになった。
恵太「でっかい紙飛行機だな。昔よく遊んだよな、幸二」
幸二「そんなこと話してる場合か」
京「ならば昔を思い出させてやろうか」
京は、大きな紙飛行機を持ち、思いっきり投げた。すると、紙飛行機が、2人に向かって高速で飛んだ!
ズィィィィン!!!
幸二「うわっ!」グハッ!
恵太「!!!」グハッ!
紙飛行機は、幸二と恵太を連続で斬りつける。
グサグサグサグサグサグサグサグサグサグサ!!
幸二「!!!」グハッ!!
恵太「!!!」グハッ!!!
亭「ひャッほーーーゥ!!!きッもちィーー!!」
────
第129話 「盾」
────
《折紙山/久寿玉内部》
グサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサ!!
ヒュルルル...
亭は、元の姿に戻った。
亭「はー。一旦休憩ィと」
幸二「ハァ...ハァ...」
幸二は、攻撃を足に受け、立ち上がるのが困難になっていた。
恵太「ハァ...」
恵太も、全身に傷を受けていた。
京「兄弟揃って血達磨か」
亭「あは」
京「”生前最期の刻”に、兄弟らしくいられてよかったな」
幸二「...は?これからだよ」
京「?」
幸二「俺は兄貴に言わないといけないことがある。だから、お前らを倒したら、それを死ぬほど言ってやる!覚悟しろ兄貴!」
恵太「...笑」
亭「あッはッは!なにそれ!」
京「なるほどな。これがお前らの回答か。だが、続きは」キラッ
京は、紙剣を発動させた。
京「あの世でやってもらおうか」
幸二「...!」
亭「あは!兄者残酷ゥ!」
京「この世は残酷なものばかりだからこそ、より美しい物が輝くのだ」
幸二「...!」
京「まずは貴様から」
幸二「...!」
恵太「幸二!!逃げろ!!!」
京「再会の果てに、死ね!!!!!」
京の刃が、幸二を襲う!!!
幸二「!!!!」
ガァン!!!
亭「ん?」
京「!?」
ド ン !
恵太「...!”守護”...!」クッ...
京の刃は、恵太の魔法陣に突き刺さった。
幸二「兄貴!!!!!!!」
京「それで防いでいるつもりか?」キリキリ...
京は、魔法陣を突き抜く勢いで、刃に力を込めた。
恵太「最悪....”もうひとつの盾”がある...弟を守れれば充分だ...」
恵太は、手を大きく広げた。
京「...天晴れ」
ザァン!!!!!!!!!!!!!!!
京の刃は、恵太の身体を貫いた。
刃の切っ先は、幸二に届かずに止まった。
ポタッ... ポタッ...
幸二「...兄...貴...?」
────
第130話 「晴れの日」
────
《折紙山/久寿玉内部》
恵太「...」ドクッ ドクッ...
ポタッ
幸二「おい...兄貴?なぁ?」
亭「ありャ死んだね」
京「...」
亭「この隙にィ!紙片ノォ!」
京「待て」
亭「え、なんで?兄者?」
京「狩りにはメリハリをつけろ。美しくないぞ」
亭「....?」
恵太「...幸二...早くしねぇと...俺はいいから...アイツらに攻撃するんだ...」
幸二「ちょっと待てよ!その傷先に治すから!”療”!」
恵太「やめろ...貴重なマヂカラを消費するな...俺はもう...助からないだろ」
幸二「...兄貴?」
恵太「ハァ...ハァ...幸二。悪かったな...。昔のことだが...俺は...ただ、お前に...”死んで欲しくなかった”んだ...だからお前の苦悩も知らず...あんなことを.......。ごめんな...。それに...この力も...俺は間違った方向に使ってしまった...お前の”顔”を見ると思う...俺は魔法使い失格だ...やっぱり俺は先に産まれてくるべきじゃなかった...」
幸二「そんなことねぇよ...兄貴...」
恵太「家族にも...よろしく言っといてくれ...。合わせる顔がなかったが...それなりに生きてはいたと...」
幸二「...」
恵太「この力はお前のものだ...魔導書は実家にあるんだろ...?お前が正しく使ってくれ...」
幸二「兄貴...」
恵太「最期に一つだけ...頼んでもいいか...?」
幸二「...?」
恵太「もう一度だけ...”お兄ちゃん”って呼んでくれないか...?」
恵太は、呼吸を整えながら、笑顔でそう言った。
幸二「...そんな...ことかよ...」
恵太「最期に逢えてよかった。幸二」
幸二「お...」
恵太「立派な男になれ...よ........」
恵太は、笑顔で息を引き取った。
幸二「兄貴?兄貴ーーーー!!!」
その瞬間、強い日差しが久寿玉の中へ差し始めた。
幸二「?!」
亭「え?日差し?!」
京「!!!(恐らくあの兄の方の能力だろう。死ぬ間際に発動させた術だな。即ち魔導書の術同士の相性でこちらが劣性だったということか...)」
久寿玉は燃えて消えた。
亭「え!消えちャッた!」
ジャ「幸二!(どうなってる...?幸二はかなりダメージを受けてるが生きてる。だがお兄さんは...)」
はるか「!!!」
伊藤「!!!」
日差しは強く、その場にいる者を照らした。
恵太”あっはっは。お前昔から晴れの日が大好きだもんな!”
幸二「兄貴........」
────
第131話 「兄弟」
────
《折紙山/森奥》
ジャ「...」
はるか「幸二...」
伊藤「..,」
幸二「兄貴...なぁ、嘘だろ?まだ俺、何も言ってないだろ...自分だけ言いたいこと言って死ぬのかよ...!おい!なぁ!!起きろよ!!」
恵太は応えない。
幸二「一言くらい...謝らせろよ....。あの時...俺が魔導書を盗んだってちゃんと言ってれば!兄貴がクビになることも、兄貴がこうなっちまうこともなかったんだよ!だから、全部...俺が悪かったんだよ!ごめんよ...兄ちゃん...」
幸二の涙が、恵太の頬に落ちる。
幸二「俺はずっと兄貴みたいになりたかったんだよ!だからあんなことしてまで、兄貴に迷惑かけて...兄貴の居場所を奪ったのは俺だ...俺のせいで兄貴は...」
ジャ「...」
伊藤「...」
幸二「ほんと...ごめん...」
???「そういう事だったのねぇ?幸二」
幸二「?!?!」
はるか「!!!」
伊藤「!!!」
ジャ「来たか」
ド ン !
鬼屋敷「もう少し早く来たかったわねぇ...」
幸二「鬼屋敷さん...!」
はるか「人間国宝!」
伊藤「......!」
幸二「...ごめんなさい...俺」
鬼屋敷「今謝るのはよしなさい。悔いることよりもやることがあるでしょう。まず止血。退避。あんた自身も共倒れしてどうするの?」
幸二「...」
鬼屋敷は、冷たくなった恵太にの頬に手を当てた。
鬼屋敷「(最後まで兄として生きたのね...立派じゃない。恵太)」
幸二「...!」
鬼屋敷「さてと、私が来たってことは?どういうことがわかる?魔者達」
亭「え?わかんなーい」
京「...?」
鬼屋敷「答えはひとつ。”死”よ」
────
第132話 「遺言」
────
《折紙山/森奥》
亭「死?また死ぬの?」
京「....」
ジャ「姐さん。そいつら、同時に殺さないと」
鬼屋敷「私が殺すのよ?'同'時'じ'ゃ'な'い'こ'と、ある?」
ジャ「...確かに」
幸二「(...本当は俺がアイツらを殺してやりたい...でも正直...体が限界だ...!)」
鬼屋敷「遺言聞いてあげるわ?」
亭「ゆいごん?なんで?」
京「ほざけ」
鬼屋敷「本当にそれでいいのね?」
京「(確かに...長く術を起動していた為に力の消費は激しい。だが、”老婆程度”の攻撃なら逃げ切れる...!)」
亭「どうする?兄者」
京「退くぞ」
亭「おッけーい」
鬼屋敷「逃げられると思ってるの?」
鬼屋敷は、手首を捻った。
すると、魔者は2体共消滅した!!!!ド ン !
はるか「!!!!!?!!!」
伊藤「!!?!!?!!」
ジャ「相変わらず恐ろしい人だ」
幸二「...!」
鬼屋敷「いや、私も歳ねぇ。8分もかかったわ!」
はるか「え?さっきまで、魔者、そこにいましたよね?」
鬼屋敷「私が倒したわよ」
はるか「ど、どうやって?!」
伊藤「(何が起こったの...?全く見えなかった...)」
ジャ「鬼屋敷さんはね、」
鬼屋敷「ま、難しいことはいいじゃないのよ、魔者はもう死んだわ。遺品だけお持ち帰りして帰りましょう。今回は赫魔導書が絡んでて協会もピリついてんのよ」
ジャ「これで赫は全部”こちら側”の管理下になりますね」
鬼屋敷「あとは”あの子”に任せるから、とりあえず帰りましょう」
はるか「...幸二」
幸二「...大丈夫だ」
伊藤「...」
ジャ「...」
幸二「(兄貴...)」
その後、魔法協会の医療班が到着。彼らの任務は、魔者の”腕”と”足”を持ち帰ることによって終了となった。魔法協会の手配した車で、一同は支部へ戻る。
車内にて────
鬼屋敷「...幸二、馬鹿なこと考えるんじゃないわよ?」
幸二「...」
幸二は、後部座席に座り、俯いていた。
幸二「鬼屋敷さんは、気づいてたんですか?魔導書燃やしの件」
鬼屋敷「知らなかったわよ。まさか、アンタが盗み出したなんてね。バカねぇ」
幸二「...俺」
鬼屋敷「恵太はアンタの才能を誰よりもわかってた。恵太の犠牲が、アンタを魔法使いたらしめたんだから、アンタに出来ることは、もっと強くなること。それだけなのよ」
幸二「...」
鬼屋敷「(恵太。アンタのご希望通り、あの件は忘れてあげるわ。だから、ちゃんと見守ってなさいよ)」
後日恵太の遺体は火葬された。
────
第133話 「バカ息子」
────
その後、交換留学は11月末まで続いた。
《天堂家実家》
幸二の実家は、都内有数の高級住宅街に位置する豪邸だ。
幸二は、兄・恵太の件で、両親に報告をしにやってきた。
天堂礼蔵(てんどう れいぞう)
天堂幸二の父。第三十六章操天の書”前”履術者。
礼蔵「久しぶりに顔を見せたな、幸二」
天堂昭子(てんどう しょうこ)
天堂幸二の母。
昭子「怪我はない?」
幸二「あぁ...」
礼蔵「顔色が良くないみたいだが、どうかしたか?」
昭子「具合悪いの?」
幸二「お父さんとお母さんに、大事な話がある」
両親「?」
幸二「兄貴...恵太と会った」
礼蔵「!!!」
昭子「!!!」
礼蔵「あのバカ息子、天堂家の”家宝の力”を盗んでよくのうのうと生きてられるな!」
昭子「恵太は?どんな感じだった?何か言ってた?」
幸二「兄貴を責めないでくれ、元々事件のきっかけとなったのは俺の行動のせいなんだ...それに兄貴は...」
両親「...?!」
幸二「...死んだよ」
昭子「!!!」
昭子は、手を口に当てて絶句した。
礼蔵「...」
礼蔵は、動揺を抑えながら黙った。
幸二「兄貴は、今まで”それなりに生きていた”らしい。やり方は褒められたもんじゃないが、人助けをしてたそうだ。俺の任務先に偶然居合わせて、俺を庇って死んだ」
昭子「恵太...!」
礼蔵「ろくでなしが...」
幸二「でも、最後は”魔法使い”として死んだよ」
両親は、意気消沈し、静かに目に涙を浮かべる。
幸二「ごめんお父さん。お母さん。俺はずっと兄貴だけを悪者にしてたんだ。のうのうと生きてたのは俺なんだ。だから、全部俺のせいなんだ。本当に申し訳ございませんでした...!」
幸二は膝を着いて頭を下げた。
礼蔵「...幸二、よせ」
昭子「どういうこと分からないけれど...恵太は何か言ってた?」
幸二「よろしく言っといてくれ、と────」
《第1支部》
一善「(特訓を続けてるけど、何か一方通行のままなんだよなぁー。”疎通”が出来るようになれば、もっと強くなれるはずなのに...)」
一善は、考え事をしながら支部の中を歩き回っていた。すると、曲がり角で人とぶつかった。
???「あっ!」バタッ
一善「おっと!」バタッ
???「...」
ぶつかったのは長く綺麗な髪が特徴的な女性。彼女はしりもちをついた。
一善「ごめんなさい!大丈夫ですか?」
しりもちをついた女性が、顔を上げる。
一善「...ん?」
???「?」
すると、どこからともなくつのキングが現れ、彼女に突進した!
一善「つのキング!!ダメだよ!!!」
つのキング「ウォーーーーー!!」
一善「君!危ない!」
???「あっ...!!!」
────
第134話 「再会」
────
《第1支部》
つのキング「ウォーーーーー!!!」
一善「つのキング!!」
すると、つのキングは、倒れた彼女の背中に止まり、その羽を羽ばたかせ彼女を立たせた。
一善「つのキング?」
つのキングは、彼女をじっと見つめた。
???「あなた、もしかして」
一善「?」
???「私と会ったことある?」
一善「え...あ!」
ヒメ「大昔。海辺の森で、この虫を見た事があるの」
一善「お...覚えてる!!!確か...ヒメちゃん!!記憶が読める!!!」
ヒメ「お久しぶり。私、久品ヒメ。追憶の書の履術者で、”追憶調査”で何回かここに来てるわ」
一善「やっぱり君だったんだ!また会えてよかった。嬉しいよ」
ヒメ「...そういえば、あなたの名前を私は知らないわ」
一善「あ、ごめん!俺、油木一善。よろしく!」
一善は、右手を差し出した。
ヒメ「...」
ヒメは、差し出された右手をじっと見て、自らの右手をゆっくりと差し出した。
一善「...」
すると、ヒメは目を閉じた。
ヒメ「(なるほど、辛い思いをしたのね...)」
一善「...?」
ヒメは目を開けた。
一善「今日も追憶調査?」
ヒメ「うん。最後の赫魔導書を見つけるための」
一善「そうなんだ。上手くいった?」
ヒメ「多くの記憶を辿らないといけないから時間がかかるけど、何とかやれそう」
一善「そっか。頑張って!」
ヒメ「うん。またどこかで、生きて会えるといいわね」
一善「そうだね!じゃあまた!つのキング戻って!」
そう言って、一善はつのキングを戻そうとしたが、つのキングはしばらくヒメを見つめて、消滅しない。
一善「つのキング?」
つのキング「ウォーーーーー!」
ヒメ「笑」
一善「ごめんねヒメちゃん」
ヒメ「つのキングって言うのね、この子」
一善「うん。あの時からずっと、俺の相棒なんだ」
そして、2人はその場から去った。
ヒメ「...ふふっ」
────
第135話 「定期検診」
────
《第2支部》
季節は冬。12月を迎え、交換留学は終わった。
ジャ「おかえりー!!一善!!三太郎!!」パァン!
莉茉「お疲れ様!」パァン!
はるか「おかえりぃ!!!」パァン!
そこには、第2支部実働班のメンバーが勢揃いした。
三太郎「うわぁー久しぶりに来た!なんかやっぱ落ち着くなぁここ」
一善「皆さん、ありがとうございます」
三太郎「全員で迎えてくれるなんて、やっぱ寂しかったんだな皆...グスン」
幸二「...」
麗美「は?違うから」
三太郎「グサッ!」
麗美「いや、私たち紅白でしかまともに絡んでないし、所詮まだ他人でしょ」
三太郎「えーー一緒にスマブラした仲じゃんーーーカレーも作ってくれたじゃんーー?」
美波「スマブラ?」
はるか「カレー?」
ガッ!!
麗美「(おいお前。これ以上無駄口叩いてみろ?殺すぞ?黙っとけ)」グイッ
三太郎「(はぁい...!す、すみません)」イタタタッ
麗美「今日は、”定期検診”で来てるの。私たち」
一善「定期検診?」
莉茉「私たち魔法使いの体に、何か異変が起こってないかを、五百旗頭さんに見てもらうの。エレメントはまだ新しい技術だから、私達自身の安全を保証するために行うの」
美波「五百旗頭さん自身の研究にも繋がるしね」
はるな「んだんだ」
一善「そうなんですね」
三太郎「なるほどな!じゃあ俺達もやるんだな!」
ジャ「うん!男性陣は明日ね」
一善「でも、麗美さんは”エレメント使い”じゃないですよね?関係ないのでは?」
三太郎「え、そうなの?」
麗美「まぁね。なんか注射って痛そうだったからいいかなって。でもマヂカラが流れてるってことには変わりないし、タダだし、なんか変な風になってたら嫌だから。それになぎちんに会うのも久しぶりだし」
はるか「なぎちん元気してっかなー」
美波「(はやくあの事...渚さんに言わないと!)」
ジャ「もうすぐなぎちん来ると思うから、ここら辺で待っときなー」
《第2支部/五百旗頭の部屋》
コン コン!
五百旗頭「どうぞ」
安西「失礼しますっ!」
五百旗頭「あら安西。どうかしたの?」
安西「魔法郵便です!」
魔法郵便。魔法関連の郵便物のこと。中身は手紙や物資など色々。マホードリという鳥が配達してくれる。
五百旗頭「?誰からかしら」
安西「手紙のようですが...」
五百旗頭「わかったわ。ありがとう」
安西「はい!あと、今日は女子の定期検診ですよね?みんなもう集まってます!」
五百旗頭「そうね。しばらくしたら行くから、先に行っておいて」
安西「はい!」
ガチャッ!
五百旗頭「(手紙...差出人不明...)」
五百旗頭、封筒を外から眺めた。
五百旗頭「ま、後でいっか」
五百旗頭は、手紙を机にしまって、定期検診へ向かった。
────
《謎の場所》
モニター画面が沢山ある真っ暗な部屋。一人の男が、手紙を書いていた。
???「...”拝啓、五百旗頭渚様・・・お久しぶりでございます・・・魔法界人間国宝・・・いや・・・」
男は筆を走らせた。
???「・・・人殺しの悪魔・・・様”」ド ン !
暗闇に浮かぶ黒い笑み──────!
次回、新章突入!
SOREMA -それ、魔!- 16へ続く。
第127話 「一心同体」
第128話 「紙亡遊戯(しぼうゆうぎ)」
第129話 「盾」
第130話 「晴れの日」
第131話 「兄弟」
第132話 「遺言」
第133話 「バカ息子」
第134話 「再会」
第135話 「定期検診」