SOREMA -それ、魔!- 13

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SOREMA -それ、魔!-13

 

「とある魔導師」

 

────


第110話 「折紙山」

 

────


《とある森》

ジャスティンらは、森の入口から、歩いて奥へ進んだ。


伊藤「ほんと、なんかでそう...」

はるか「伊藤ちゃん怖いこと言わないでよ!」

伊藤「ごめんなさい!」

バサバサバサッッッ!

伊藤・はるか「キャア!!」


幸二「これ、どこに向かってるんですか?」

ジャ「この先に魔法協会の基地があるはずだが…」


歩いていくと、小さな小屋のような物が見えた。


ポツ...


幸二「ん?」


パラッ パラッ

ザーーーーーー...


雨が降り始めた。

ジャ「雨か」

はるか「今度は雨かよ〜」ブルブルブル

幸二「今日雨予報でしたっけ」

ジャ「ま、天気予報が変わることはよくあるだろう」

幸二「...」

ジャ「とりあえず、あの小屋に入ろう」


ジャスティンは、運転手から預かった鍵を使って

小屋に入った。中には誰もおらず、小さなスペースとベッドと寝袋、少し寂れたキッチンなどがあった。

一同は灯りをつけ、石油ストーブをつけた。


幸二「ここ、魔法協会の敷地ですか?」

ジャ「そう。前からこの辺りは魔法協会の監視対象だったんだよ。一般人は立ち入り禁止区域」

幸二「なるほど」

ジャ「魔法協会の中では、この辺りのことをこう呼ぶらしい」

一同「?」


ジャ「”折紙山”」


《折紙山/小屋》


幸二「折紙山?」

ジャ「あぁ。ここに住んでいるとされる魔者に因んだ名前だ。魔法協会の調査によると、ここには、魔者が2体いるらしい。それも”兄弟”の」

はるか「兄弟の魔者?」

ジャ「そう。通称”折紙兄弟”」

伊藤「それって、人間の兄弟が魔者になったってことですか?」

はるか「でも魔者になったら記憶消えるんじゃねぇの?」

ジャ「まぁまぁまぁ。説明するよ」

幸二「...」

ジャ「俺達が退治すべく魔者は、恐らく蒼魔導書第二十六章 紙片の書の魔者だ」

伊藤「二十六...六...ってことは!」

幸二「赫魔導書...」

ジャ「そう、それで────」


雨が降る森の中、ジャスティンらは今回の任務について話した。

 

???「.....」ゴゴゴゴゴゴ...!

 

その様子を、外から見ている”謎のマスクの男”がいた。


不穏な影────!

 

────


第111話 「紙の魔者」

 

────


《折紙山/小屋》


ジャ「全部で5つある赫魔導書は現在、岩田家、空見家、天堂家、千巣家が、それぞれ所持している。だが、残りの1つの赫魔導書は見つかっていない。そして、最近になって、ここに住む魔者が、赫魔導書の魔者なのではないかという推測が立った。理由は2つある」

幸二「...」

伊藤「...」

はるか「...」

ジャ「1つは、折紙のような魔法を使うこと。紙片の書は、言い伝えによると、”紙”にまつわる能力だ。魔法協会や魔裁組内部で、魔者と遭遇した人間の証言や、犠牲者の司法解剖の結果などから見ても、間違いないだろう」

幸二「なるほど」


ジャ「もう1つは、”2体の魔者が同じ能力を使う”ということだ」

はるか「?!」

一善「?!」

幸二「そんなことが?!」

ジャ「赫魔導書ならば、理論上は可能。それは、履術者の子孫、つまり能力の継承先が、双子である場合だ。この場合、低い確率でそのどちらの子にも能力が受け継がれることがある」

はるか「マジか!すげぇな」

ジャ「そして、その双子らが魔者になってしまったということかな」

幸二「なるほど」


(マスクの男「...」)


ジャ「最初に目撃されたのは、およそ70年前。その頃から彼らはこの折紙山を縄張りにしている。犠牲となった人間は数しれずだ」

はるか「よし!!ぶっ飛ばしてやる」

ジャ「それで、ぶっ飛ばすのはいいんだけど、今回はただ退治するだけではダメだ」

伊藤「?」

はるか「はにゃ?」


ジャスティンは、白い包帯のようなものを出した。それには赤い字で呪文のようなものが書いてある。


ジャ「魔者の体の一部を削り取るんだ。そして、この包帯で巻く。この包帯は、巻くと魔者本体が死んでもその部位は消えずに残るのさ」

はるか「へー!すげぇ!けど何でこんなこと?」

ジャ「赫魔導書は、魔者からはドロップされない。だからどこにあるか知りたいんだ。その為に、魔者の身体の一部を持って帰る」


幸二「追憶捜査ですね」

ジャ「そう。記憶を辿って、赫魔導書の在処を突き止めて、保管してやっと任務完了だ」


伊藤「大変そう...」

はるか「ま、要するに、腕でもちぎって退治しちまえばいいんだろ?ウチらは」

ジャ「そゆこと」

はるか「よし!じゃあ今から行くか!」

ジャ「ストーップ!雨降ってるって!今日はここで一夜を明かそう」

幸二「(さっきまでビビり散らかしてたのはなんだったのか...)」

 

────


第112話 「家族の話」

 

────


《折紙山/小屋》


はるか「兄弟の魔者かぁ...そういえばジャスティンって兄弟いるの?」

ジャ「俺は一人っ子」

はるか「あーぽいぽい!」

ジャ「そして孤児」

伊藤「...!そうなんですか…」


はるか「ふーん…幸二は兄ちゃんがいるんだっけ?」

幸二「そう。二人兄弟だ」

はるか「幸二の兄ちゃんって、履術者だよね?」

幸二「まぁ。でも”魔法使い”ではない」

はるか「そうなの?」

幸二「何をしてるかはさっぱりわからん。家族からも目の敵にされてる。大事な赫魔導書の力を盗んだ、ってな」

はるか「ふーん」


幸二「そう言う武智は?兄弟とかいるの?」

はるか「弟がいるぞ?」

伊藤「弟さん。どんな人なんですか?」

はるか「引っ込み思案だけど、真面目で優しい、って感じだな」

ジャ「はるかとは大違いだよね〜!」


ゲンコツ!!!!


はるか「優(まさる)って言うんだけど、あいつがいなかったら、多分私、魔法使いやってねぇな」

ジャ「...」シュゥゥゥ...

幸二「...?」

伊藤「なんでですか?」

はるか「あいつ、優しいんだけど、クラスで虐められてて...」

伊藤「!」

幸二「...?」

ジャ「...」

はるか「私と同じ高校だったんだけど、優はクラスに馴染めなくて、そしたらある日、目の上に痣つけて帰ってきて」

伊藤「可哀想...」


(マスクの男「...」)


はるか「私、そういう奴らほんっっとに許せなくて。虐めは更にエスカレートして、弟が黙ってやられてるの、見てられなくて」

幸二「...」

はるか「...いじめてたクラスの男5人を、私が懲らしめてやろうと思って...そしたら、全員病院送りにしちゃって」

伊藤「!!」

幸二「ヤバ」

はるか「怒りが抑えきれなくて、気づいたら、人を5人”半殺し”にしてた...それで私、少年院に入ったの」

伊藤「!」

はるか「それで出てきて、これからどうしようって時に、ジャスティンさん達に拾ってもらって、魔法や魔裁組について教えて貰って、今ここにいるの」

幸二「...そうだったのか」


はるか「誰かを傷つけるんじゃなくて、誰かを守るために力を使いたいって思って」

伊藤「そうなんですね...」

幸二「…」

ジャ「うんうん」

はるか「はい!私の話はおしまい!伊藤ちゃんは?兄弟は?」


伊藤「私は...」

 

────


第113話 「鱗」

 

────


《折紙山/小屋》


伊藤「私は2人姉妹”でした”」

はるか「でした?」

伊藤「はい。私の姉は、魔裁組第1支部に1年間所属していましたが、殉職しました」

ジャ「伊藤凛さんだね。何回か会ったことあるよ」

伊藤「はい。凛姉さんは、昔から魔法が使えたみたいで、その”能力”で私によく子守唄を歌ってくれていました」

はるか「...」


伊藤「姉さんは、その能力を、偶然出会った鬼屋敷さんに買われて、魔裁組に加入しました。それからの凛姉さんは、楽しそうに私に第1支部でのお話を聞かせてくれました。千巣さんを始めとした、皆さんのこと。凛姉さんは仲間に恵まれていました」

幸二「...」

伊藤「でも凛姉さんは、去年の冬、殺されたんです」

はるか「...!」


(マスクの男「...」)


伊藤「その日私は姉さんと買い物に出かけていました。私が一瞬離れて、帰ってきた時には姉さんは人だかりの中で腹部を貫かれて倒れていました。魔裁組の方がやって来て、その後、姉さんの遺体は調べられました。調べたら”鱗のような痕跡”が見つかったらしいです」

ジャ「!(この子のお姉さんも...!)」


伊藤「だから…だから…!」

伊藤は拳を強く握りしめた。

伊藤「私は、姉さんを殺した犯人を許さない。例え魔者だろうと、魔導師だろうと、必ず地獄の底へ葬ってやる...!」ゴゴゴ...!


はるか「...!」ビリビリ!

幸二「...!」

ジャ「...」


(マスクの男「...」)


伊藤「それで私も、魔法は使えないけど、第1支部にお世話になると決めたんです。足でまといかもしれないけど、お姉さんの仇をとるため、それとお姉さんが目指した、”魔法のない世界”を実現するために...なんか、すみません、私からは以上です」


はるか「...そっか。仇、討てるといいね。私達もいるしな!」

伊藤「ありがとうございます。その為に私はもっと強くなりたい。お姉さんみたいに、そして皆さんみたいに...」

幸二「共に頑張ろう」

はるか「うん」

伊藤「ありがとうございます」


すると、しばらく黙っていたジャスティンが口を開く。

ジャ「伊藤ちゃん」

伊藤「?」


ジャ「もしかしたら、お姉さんを殺した犯人を”知っている”かもしれない」


伊藤「?!」

はるか「?!」

幸二「?!」

 

────

 

《第1支部


一善は、体を休めるべく、三太郎と共に、第1支部のベッドで本を読んでいた。

三太郎「うわー!今週のジャンプ面白!」

一善「...」


コツ  コツ


五百旗頭「おつかれ、一善くん。三太郎くん」

三太郎「あー!なぎちん!」

一善「五百旗頭さん?どうしてここに?」


五百旗頭「一善君のお母さんの件で、伝えたいことがあってね」

 

運命の歯車は、大きく動き出す────!

 

────


第114話 「とある魔導師」

 

────


《第1支部

一善「お母さんのこと?」

五百旗頭「前にご遺体を預からせてもらったわよね。その結果で伝えておくべきことがあってね」


三太郎「あの...俺、どっか行った方が...?」

五百旗頭「一善君次第だけれど...」

一善「いいよ。ここにいなよ」

三太郎「お、おう」


《折紙山/小屋────第1支部

伊藤「犯人を、知ってるって...?」

ジャ「確実ではないが、凛さんを殺したのは、十中八九魔導師...それも、魔裁組出身の”ある人物”だと思われる」

伊藤「?!」


────


一善「鱗?」

五百旗頭「そう、あなたのお母さんの遺体に残っていたマヂカラ痕よ。マヂカラ痕っていうのは、人がマヂカラによって傷を受けた時に残る損傷のような物ね」

一善「それで、その鱗状のマヂカラ痕で何か分かったんですか?」

────

ジャ「昔、魔裁組に所属していた魔法使いの中で、その鱗のような痕跡をつける者がいた」

────

五百旗頭「彼は、元々”魔裁組史上最強の6人”に数えられたほど優秀だったけど、”とある事件”をきっかけに、魔裁組を追放になった...」

────

ジャ「そして今は、魔導師として暗躍し、”魔法界指名手配犯”として追われる身となっている」

幸二「それって...まさか!」

────

五百旗頭「その人物の名は...」

 

五百旗頭・ジャスティ

「白鶯蓮源!!!」ドン

 

────

一善「はくおう...」

────

伊藤「れんげん?」


(マスクの男「...」)


はるか「誰だそれ」

幸二「お前知らないのか?俺たち魔裁組の中では常識中の常識だぞ?」

ジャ「白鶯は魔導師として、今もどこかで生きている。鱗のような痕跡は、奴の履術した魔導書の能力の特徴でもある。そして、奴は、何を狙ってか、”強力な魔導書を集めている”」

はるか「ヤバいやつだな。ジャスティン達は面識あるの?」


幸二「見かけたことはある」

ジャ「俺もある。あの6人の中で唯一尊敬してない男だよ」ゴゴゴ...

ジャスティンは拳を強く握った。


伊藤「その、白鶯って奴が、凛姉さんを?」

ジャ「分からないが、恐らくな。どちらにせよ、俺達魔裁組が追うべき敵の1人だ。奴は魔導師かつ、魔導書を複数所持してる」

はるか「じゃあその白鶯って奴をぶっ飛ばそう!」

ジャ「だが、腐っても奴は、魔法使い時代、間違いなく最強の魔法使いの内の1人だった。奴はきっと力を蓄えている最中だ。奴が何かを仕掛ける前に俺達は、こちらもより力を蓄えていないとならない」

幸二「...」


ジャ「奴はあと数年でマヂカラのピークを迎える。そこで何も無いと良いが...俺達に何かを仕掛けてきてもおかしくない」

伊藤「白鶯蓮源...絶対に許さない...!」


(マスクの男「...」)


────


五百旗頭「白鶯が、あなたのお母さんが持っていた予知の書を持っていたらビンゴね」

一善「そうですね。有益な情報ありがとうございます。どちらにせよ、俺達が追うべき”犯罪者”ということには変わりないですが」

三太郎「そいつが、一善の母親を...」

五百旗頭「...」

一善「(白鶯蓮源...もしもお前が犯人ならば、俺がこの手で殺してやる...!)」

 

────


第115話 「手裏剣」

 

────


《折紙山/小屋》

深夜を迎え、雨は振りやんだ。小屋の4人は交代で1人が外で見張りをし、残りの3人は休憩をとった。


はるか「伊藤ちゃん。次の1時間よろしくね〜」

伊藤「はい!任せてください!」


ガチャ!


伊藤「(私も、しっかり役に立たなくちゃ!)」

伊藤は、マヂカラの見えるサングラスをかける。


伊藤は、辺りを見回し、魔者に備えた。


伊藤「(白鶯蓮源...)」


伊藤が思い耽ていたその時だった。


ズザザッ!


伊藤「!!!誰!!」

伊藤の元へ、何者かが近づいた。


──────

────

──


《折紙山/小屋》

幸二「...」


早朝。ジャスティン、はるか、そして伊藤の3人は寝付き、幸二は、見張りをしていた。

幸二「...(本当この山、マヂカラが強すぎて魔者がいるかすら分からない...!)」


幸二は、目の前の深い森に向かって、エレメントの弾を1発撃ってみた。


バァン!


幸二「...反応なしか」


すると、幸二の顔面目掛けて、高速で手裏剣のようなものが飛んできた。


シュルルルルルッッッッ!!!!


幸二「!!!!」

キィン!!!!シュルル....

幸二は、目前で顔をずらして避けた。


手裏剣は、小屋の壁に刺さって消えた。


幸二「(これは!!)」


ガチャ!

幸二「北の方向!魔者らしき反応あり!!」


一同「!!!」


幸二は、攻撃が来た方向へ走った。


幸二「誰だ!」バァン!バァン!

すると、幸二を目掛けて、同じ手裏剣が何発か飛んできた。

幸二「(危ねぇ!)」ヒュン!ヒュン!


一同は、幸二を追って、森へ入る!

はるか「おはよう伊藤ちゃん!眠れた!?」シュン!!

伊藤「いえ、あんまり...!」シュン!

ジャ「さっさと魔者倒して死ぬほど寝ようぜ!」シュン!


すると、一同の元へも手裏剣が飛ぶ!

はるか「うわっ!」

伊藤「!!」

ジャ「(この能力は間違いない!”折紙兄弟”だ!)」

 

その時、森の奥へ進む一行を、1人の魔者が木の上から見下ろしていた。


???「さァて、獲物が来たよォ...?”兄者”」

 

────


第116話 「京と亭」

 

────


《折紙山/森奧》

幸二「(マヂカラがにわかに強まっている...!魔者が近い!)」

ジャ「さぁ、拝んでやろうか、その面を!」


すると、一行に、数千もの数の”折り紙の鶴”が襲いかかる!


バサバサバサバサバサ!!!!


はるか「痛っ!なんだこれ!」

伊藤「すごい数!」

幸二「くっ!」

ジャ「白のエレメント!アイシクルゾーン!」

ジャスティンを中心に、つらら状のエレメントが地面から生えた。


バサバサバサバサバサ!


すると、鶴は散り、1体の魔者が現れた。

幸二「出たな」

???「二十六章 紙片ノ十 千羽鶴...」


その魔者は痩せ型の若い男性のような、はたまた鬼のような風貌で、深紅のおかっぱのような髪型をしていた。

ジャ「お前、兄か?弟か?」

???「...伝える義理はどこにある?」


すると、後方から、謎の声が響いた。

???「おい!1人で4人はずるいよォ!兄者!」


声の主は、木の上から飛び降り、4人の前に姿を表した。


はるか「2体目の魔者か...!」

伊藤「...!」

2体目の魔者は、1体目の魔者と同じくらいの背丈、風貌で、白髪で長髪。


1体目「亭(てい)、お前が俺を呼ぶせいで、俺が兄だとバレてしまったではないか...」

亭(2体目)「あはは!別にいいじャん!京兄者!」

京(1体目)「名前が京(けい)というのも、今の発言によってバレてしまったじゃないか...」

亭「わざとだョッ!これから殺すんだから、自己紹介はちャんとしないとねッ!」


はるか「何だ?夫婦ならぬ兄弟漫才か?」

伊藤「2体とも知能が高い...」

幸二「無論、どちらも退治するまでだ」


すると、京は、亭に声をかけた。

京「4人いるが、何人欲しい?」

亭「3人は欲しいかなァ?」

ジャ「?」


京「ならば、俺がこいつを頂こう...!!!」

京は、幸二目掛けて、鋭い腕を伸ばした!

シャキーーーン!

幸二は、目の下を掠った。

ジャ「不意打ち...!」


伊藤「幸二さん!!!」

亭「ヒュウー!さッすが兄者!姑息だね!」

京「...紙片ノ一 紙剣(かみつるぎ)」

はるか「こいつ、技名後で言うタイプのやつかよ!」

京「...」


幸二は、傷を指で拭いながら答えた。

幸二「ふっ、望むところだ!」ド   ン!!!

 

────

 

第117話 「霹靂」

 

 


京「はっ!!!」

京は、幸二へ目掛けて拳に纏った紙細工で攻撃した!幸二は、エレメントで迎え撃つ。

幸二「青のエレメント!ドライブ・THE・スネーク」


ドゴォン!!!


京「紙片ノニ...紙兜...」

京は兜のような盾を繰り出し、攻撃を防いだ。


幸二「(近接も強い...!紙とは思えない硬さ!)」


はるか「私も助太刀してやる!」

はるかが京に攻撃を仕掛けようとすると、亭が横から攻撃を仕掛ける。

亭「おーッと!キミはボクの獲物だよ?紙片ノ三 紙手裏剣!」

バサバサバサバサバサ!

はるか「くっ!”守護”!」


はるかが攻撃を受けている隙に、後2人が畳み掛ける。

ジャ「白のエレメント!スノウジェム!」キラーン!

伊藤「猛魔クナイ!」 シュッ!


亭「あはッ!紙片ノ五 紙風船」ガチッ!


ガァン!


亭は、大きな四角い紙風船に包まれ、攻撃を防いだ。


亭「破!!」


バァン!!!

紙風船は破られ、ジャスティンらは反動で飛ばされる!

伊藤「うわぁ!」

はるか「くそっ!」

ジャ「ちっ!」


京「...!」シュリンシュリンシュリン!!

京は、紙手裏剣を絶え間なく幸二に飛ばす。

キィンキィンキィンキィンキィンキィン!

幸二「(くそっ!数が多い!遠距離では不利だ!)」


京「ふん。あまり楽しめなさそうだな...」


幸二「くっ!」


亭は、3人を相手に挑発を繰り返した。

亭「あれ?3人でも、僕を倒せないのォ?」

はるか「あぁ?!まだ本気じゃねえだけだわ!」

伊藤「...!」

ジャ「言いたい放題言いやがって」


京は、攻撃を続けながら、亭に言った。

京「こいつも殺さずにお前にやろうか?亭」

亭「え、いいのォ?」

幸二「...!」

京「弱き者を相手にしてもつまらぬ...」

幸二「!!」

幸二の服は、少しずつ手裏剣に切り裂かれ、傷がつき始めた。


ジャ「幸二!」

幸二「...!」

 

するとその時、遠いようで近い距離から声が聞こえる。
???「ひゃっほーーーう!!!」


ゴロゴロゴロドッカーーーーン!!!!


その時、京の前に落雷が落ちた。それと同時に、何者かが、幸二らの間に割って入った。


サッ!


京は攻撃を止め、距離をとる。


シュゥゥゥ...


亭「ゴホッゴホッ。何だ??」

京「...?」

幸二「(誰だ?敵か?味方か?)」

ジャ「(”援軍”か?いや、だとしても早すぎる...!)」


煙が立ち消えると、中から1人の男が現れた。紫の髪で、両耳にピアスをしている。高身長の若い男性だ。


???「(魔者が2体...”首”はどっちだ?)」


幸二「...まさか?!?!!!」

ジャ「?」

はるか「誰だ?」

 

────


第118話 「天堂恵太」

 

────


《折紙山/森奧》


???「何だ、魔裁組も来てたのか、厄介だな」

ジャ「君は誰?」

???「俺?俺は、」


ガン!!!!


急に、幸二がその男の顔を殴った。


???「え?」

幸二「視覚も嗅覚も衰えちまったか?俺はアンタのマヂカラ(匂い)を嫌という程覚えてる」


???「は?」


幸二「どこほっつきあるいてたんだよ!クソ兄貴!!」


ジャ「?!」

伊藤「?!」

はるか「え?!」


天堂恵太

職業:不明。幸二の実の兄。蒼魔導書”赫魔導書”第三十六章の継承履術者。ド   ン     !


恵太「ん?その目、その鼻、その口...!お前、もしかして幸二か?!そうなのか?!あっはっは!!久しぶりだなぁ幸二!!!!」ド  ン  !


京「兄弟...?」

亭「へェー!!感動の再会おめでとうー!」


幸二「アンタ、今まで何してたんだよ!アンタが8年前、魔裁組を辞めてから、家族全員でアンタを探したんだぞ?魔導書の力だって、家の家宝だぞ?」

恵太「...笑」

幸二は、恵太の胸ぐらを掴んだ。

幸二「おいアンタ!今何して生きてんだ?」

恵太「...ヒーローだよ。困ってる人達のな」

幸二「?」

恵太「親がさぁ、お前より俺を”早く産んでくれた”お陰で授かった力で、ちゃんと人助けして生きてるよ」

幸二「...?」


恵太「魔者に怯える人間に金銭をせびって、助けてやってる。知っての通り鼻だけは効くからな」


幸二「...!てめぇ!」

恵太「おいおいぃ!魔者を前にして説教でも始める気か?別にいいだろう?お互いのニーズが合致してるんだ。魔者になってないだけよかったろ?ほら、感動の再会を喜べよ、幸二」


幸二「...くそ!」


恵太「お前はどうなんだよ。幸二。強くなったか?魔裁組にいた時から、俺より有望株だったもんな?鼻が利くこと以外は、俺はお前よりぜーんぶ下だった」

はるか「...」

伊藤「...」

恵太「ま、お仲間さんにも恵まれてるようで何よりだよ。さてと、俺も”仕事”で来たんでね、魔者の首は俺が貰うよ」


京「...」

亭「あはッ。何だッて?」

恵太「おーい、去年、近くの村の山田さんの婚約者殺したの、どっち?」

京「...」

亭「そんなこと、覚えてないよォ」


恵太「そっか。まぁいいや、こっちは”1000万”懸かってるんでね、2体とも殺せば済む話だわ」


京「...やれるもんなら」

亭「あはッ。おもしろそッ!」


幸二「...!」

 

SOREMA -それ、魔!- 14に続く。

 

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第110話 「折紙山」

第111話 「紙の魔者」

第112話 「家族の話」

第113話 「鱗」

第114話 「とある魔導師」

第115話 「手裏剣」

第116話 「京と亭」

第117話 「霹靂」

第118話 「天堂恵太」