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よっしゃぁぁぁ!!

 

朝ごはんを20時まで我慢して(忘れてただけ)書き上げた新作完結したぞぉぉ!!!

 

SOREMAファンにはたまらない作品です!!

 

草恋も読んでると面白い…かも?

 

近々アップするので、SOREMA 29までと、SOREMA外伝 久品和義英雄譚 前編・後編をお読みになってお待ちください!

 

おもろい作品になるぞぉ〜

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前回のブログの続き。

 

if25話全話一気見してしまった。

 

めちゃくちゃ面白かった。笑えたし泣けた。

 

過去シリーズを見てこそ深みがわかるから簡単に人に勧められないことが玉に瑕ですが。

 

色々ぶっとんではいたけど面白かったなぁ。

 

見たあとの気持ちが爽快になる感じが良いね。

 

思えばかのかりも呪術廻戦も主題歌聞いてからアニメに興味もったなぁ。

 

そのパターン結構多いかも。

 

いいOPだとその歌を更に知りたくなってアニメにまで手出しちゃうよねぇ。

 

なんか人生のイフルートとか考えるとおもろいよね。

 

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最近昔ハマってたカードゲームアニメをちょくちょく見返していて...

 

僕が卒業してからのシリーズの主題歌初めて聴いていい歌だなぁと思ったら。

 

What-if Wonderland!! - YouTube

 

作曲陣の名前の中に田淵智也の名が!

 

確かにそう言われたらめちゃくちゃ田淵節な曲だわ。と。

 

めちゃくちゃ明るくなれるいい曲。

 

この際見てないシリーズも全部見てみようかな。

SOREMA -それ、魔!- 38

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SOREMA -それ、魔!- 38


「ありがとう」

 

────


第323話 「千巣万之助」

 

────


《魔導結界・神殿》


デュマは、千巣の腹部に薙刀を突き刺している。

千巣「ハァ......ハァ......」

デュマ「へぇ...その傷で死なないんだぁ...凄いね、君」

千巣「ハァ...魔法使い特級舐めんなよ...!」

デュマ「特級??ははっ!すごーい!でもさ、もうもたないっしょ」


デュマは、突き刺さった薙刀を引き抜く...!

千巣「ぐっ……!!」ギリギリィ…!

デュマ「ふふふふっ」


千巣は、膝をつく。


ドババッ…!

地面は赤く染まる。


デュマ「あーあ。せっかくの綺麗な風景が君の血で台無しだよ…」

千巣「…!赤のエレメント!!!」

デュマ「は?」


千巣「紅の絨毯!!!!」


千巣の足元から地面にエレメントが広がる…!

デュマ「…!?(地面が…真っ赤に…!)」

千巣「風景…?俺が真っ赤に染めてやるよ…!!」


ボワァァァァァン…!!!

地面から凄まじいオーラが昇った!!


デュマ「ぐわぁぁぁぁ!!!」ボガァン!!

千巣「(連撃だ…!)!!!雄叫火!!!!!」ボワッ!!

デュマ「ぐはっ…!(なんなんだ?!こいつの底力は…!!)」ボガァン!!


千巣「…ハァ……ハァ…」

デュマ「くっ…ふふふっ…!はぁ…君もしぶといねぇ…!」


千巣「…!」

デュマ「(こいつ…この期に及んで目が死んでない…!まだ何か企んでいる…!?)」

千巣「(正直言って…もう限界が近い…もう…駄目だ…だが…!)」グッ…!

千巣は、刀を強く握った。


デュマ「もうやめときなよ。痛いでしょ?楽にしてあげるから」

千巣「…ありがた迷惑だ」

デュマ「ふふふっ。でもそんなズタボロの君に何が出来るってのさ?」


千巣「大切な人を守ること…!」


デュマ「?!」


千巣「いくぜ魔者…俺は……!」

デュマ「…!」

 


千巣「”現役最強の魔法使い”だ…!!!!」

 


ゴゴゴゴゴゴ…!!!!!

 

────


第324話 「紅蓮の華」

 

────


《魔導結界・神殿》


千巣「千紫万紅流居合…!!究極奥義!!!」

デュマ「…!!!」


千巣「俺の魂は決して滅びない…!紅・鳳凰…!!!!いや…」

ゴゴゴゴゴゴ…!!!!

デュマ「…!!(なんだ!!この凄まじいマヂカラ…!!!)」ゾクッ!!!!!

 


千巣「紅蓮・鳳凰!!!!!!」

 


デュマ「だったら俺だって…!!鏡分身!!!!」

デュマは薙刀を構え、数十体の分身を作る…!!


デュマ「集!!!!」


バッッッッッ…!!!!!!


デュマの分身は、全て本体と重なった!!!


デュマ「これで俺は…本来の何倍もの力を集約させた…!!!(この攻撃さえ凌げば…!!!!)」


千巣「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

デュマ「ぬぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

ド        ッ          カ          ー         ン ッッッ!!!!!!!

 

 

 

二人の攻撃はぶつかりあった…!!

そして、爆風によって、二人は後方に転がる…!!


デュマ「うわぁぁぁぁぁ!!!」ボガァァン!!


ドサッ!!


ガーーーン!!


デュマは、少し経って起き上がった。

デュマ「ハァ…(あいつは…?どうなった…?)」


デュマが目をこらすと、千巣は血を流して倒れていた!!!


デュマ「…!」ニヤッ

千巣「………」


デュマ「へへっ。勝ったぁ…!」ニチャア…


千巣「………」


デュマ「ハァ…これでシェイクスピア様に叱られずにすむなぁ…!こいつの首、刈り取ってやろっと!」


デュマが、倒れる千巣に向かって手を伸ばす。

 

 

ドクン…!!!!

 

 

デュマの動きが止まる。そして、デュマの視界が乱れ、倒れていたはずの千巣が消える…!


ズザザザ...!


デュマ「何だ…?何が起こってるんだ…?」

 

────


第325話 「森羅万象」

 

────


《魔導結界・神殿》


デュマ「…?!」

デュマが辺りを見回すと、後方に、刀を地面について、立っている血塗れの千巣の姿があった!


デュマ「…?!どうなっている?!」

千巣「ハァ…ハァ…これはお前が見たがっていた、俺の能力だよ…お前が見てたのは幻…俺が見せたものだ…」

デュマ「(幻術…?!)」

千巣「冥土の土産に丁度いいだろう…?」


デュマ「なるほどねぇ…すごい能力だね。でもさ、その感じじゃ、もう動けないんでしょ?立っているのが限界って感じだよね?」

千巣「……ほざけ」

デュマ「ふふふっ!じゃあさ、君が絶命するのをこの目で見ててあげるね。ずーっと、見ててあげる!」

デュマは目を見開いてまくし立てた。

千巣「なら…最期に俺の”とっておき”を見せてやるよ。よく見とけ…!」

デュマ「…?!」

 

千巣「(…この術を使うと、俺の五感は永遠に失われる…だが…もう手遅れだよな)」

デュマ「強がってないでさ、早く死になよ」

 

 

千巣「死ぬのはお前だよ」

 


デュマ「?!」

 

千巣「赫魔導書 四十六章奥義…!!」

デュマ「…!」

 

千巣「四十六眼!!!!森羅万象!!!!!」

 

 

シュゥゥゥゥゥウウウウウウウ…!!!!!!!

 

 

デュマ「!!!!!!」

デュマの身体中の全神経に衝撃が走る!!!!

 

 

バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキィ!!!!

 

 

森羅万象。四十六眼奥義。この技を使うと、自身の五感が永遠に失くなる代わりに、被術者にこの世に存在する永遠の五感を、一瞬で全て与える…

 

つまり、被術者は、死ぬ。

 

デュマ「あ゙ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

千巣「……」

 

デュマ「!!!(痛い…!冷たい…!辛い…!臭い…!眩しい…!全ての感覚がはち切れる程の刺激が一瞬で…!!!)」


千巣「ご愁傷さま」


デュマ「ーーーーーーーーー!!!!!!」

 

デュマは、断末魔をあげて滅んだ。

 

千巣「......」

 


バタッ...

 


千巣は、その場に倒れた。


千巣「…皆…ごめん……」


ドビュシャーー!!!


千巣は口から大量の血を吐いた。

 

 

そして、結界は崩れ始めた。

 

────


第326話 「光の中に」

 

────


豊洲

一善らは、白い玉を囲って見張っている。


キィィィィィィィン!!!!!


すると、白い玉が激しく光始めた!!!


ジャ「…?!」

幸二「なんだ…?!」

三太郎「眩しい!!!!」

一善「!!!!!」

 


パ       ァ       ン       !!!!!


...

 

そして、光が収まった。

全員が目を開ける。


ジャ「…?」

一善「皆、大丈夫?」

三太郎「あ、あぁ。なんともねぇ」

幸二「な、なんだったんだ」

 

 

ジャ「…え?」

 

 

三太郎「ん?どうした?ジャスさん」

ジャ「あれ…って」

幸二「…?」


3人は、ジャスティンが指した方を見る。


一同「!!!!!」


そこには、千巣が血塗れで倒れていた。


一善「千巣さん?!!?!」

幸二「千巣先輩!!!!!?!?!」

三太郎「アニキ!!!!!!!!?!」


4人は、千巣の元へと駆け寄る。


一善「千巣さん!!しっかりしてください!!」

幸二「この傷…!何があったんですか!!」

三太郎「アニキ!!おい!アニキ!!」


ジャ「千巣さん…?」


千巣「皆…」

千巣の腹部からは酷く出血している。


三太郎「お、おい!救急車…救急車を!」

幸二「研究班の医療チームを呼ばないと!」

ジャ「……」

一善「千巣さん!!今止血しますから!!」


千巣「いや…もう駄目だ」


一善「?!」

三太郎「?!」

幸二「何で…?!」


千巣「見れば分かるだろ…助かる傷じゃない…」

 

────


森羅万象を使ったおかげで…痛覚も鈍ってる…少し話せそうだ…

 


ジャ「千巣さん……どうして…」


千巣「皆…ごめんな…俺は弱かった…」

三太郎「弱かったってなんだよ!!俺たちのアニキが!!弱いわけねぇだろ!!」

幸二「やめてくださいよ!!!そんな言い方、もう諦めたってことですか!!」

千巣「俺は...もう長くない......あぁ...死ぬのか...ここで...」

一善「何言ってるんですか...?嘘......ですよね...?」


千巣「お前達に…最期に少し聞いて欲しいことがあるんだが…聞いてくれるか?」


一善「千巣…さん…?」

三太郎「…!」

幸二「…!」


ジャ「………」

 

────


第327話 「灯滅せんとして光を増す」

 

────


豊洲


千巣「魔者を…一人倒した。ノベルの幹部級だった…魔導書は…手に入らなかった」

三太郎「そんなこと…!」

幸二「千巣先輩!それは今いいですから…!しっかり傷を…!」

4人は、目に涙を溜めながら、千巣を見ていた。

千巣は、震えた手で一善の手を掴む。

一善「…!」


千巣「(駄目だ…もう手の感覚がない…)」

一善「千巣…さん…」

千巣「ノベルは...…白鶯は必ずお前達が倒せ...死んでいった仲間の分まで…皆の仇なんだ...お前達なら絶対に倒せる…この悲しみの連鎖をくい止められる…!」

一善「…!」

幸二「…!」


千巣「ジャスティン。皆のことを宜しく頼む。皆が不安や恐怖を感じた時...お前が導いてやってくれ。お前は強いから大丈夫。な...…!」

ジャ「………!」


千巣「幸二。長い間世話になった。家族を大切にな。そして、誰よりもしぶとく生き抜け。必死にくらいつけ…!死ぬなよ...!」

幸二「…先輩…!」


千巣「三太郎。もっと強くなれ...!まだまだやれる。なんせお前はスーパーヒーローになる男だ。お前なら必ずなれる。夢を叶えろ…!」

三太郎「うぅ……ア゙ニ゙ギィ…!」

 

千巣「一善。お前の努力を...皆ちゃんと知ってる。ここまで一人で戦ってきた訳じゃないんだ」

一善「...!」


千巣「折れそうな時はいつだって...己の”戦う理由”を思い出せ...!そして鼓舞しろ!」


一善「!!!!」

千巣「そうすれば、お前は誰にも負けない」

一善「…!!千巣さん…!!千巣さんっ!!!」


千巣「魔裁組全員の健闘を祈っている」

三太郎「ア゙ニ゙ギィ……嫌だ…嫌だよぉ…!」

幸二「もう少し…一緒に生きてくれよ!!先輩!!一緒に魔法の無い世界を作るって...!!」

ジャ「………!」

ジャスティンの静かに噛み締めた唇の横を、一筋の涙が伝う。

一善「……」

 


千巣「それと…もう一つ…俺の妹の…」

 

そこへ、ひえりがやってきた。

 

ひえり「…?!お兄…ちゃん…?」

千巣「ひえり…か?(…視覚も聴覚も大分弱ってきた…)」


ひえり「お兄ちゃん…?お兄ちゃん…!!」

ひえりは、千巣の元へと駆け寄る。

ひえり「お兄ちゃん!お兄ちゃんってば!!」

千巣「ひえり…何でここに…?」

ひえり「何でって…お兄ちゃんが…インスタのDMで…今すぐ来いって…言うから」

千巣「は…?なんだよ......それ」

ジャ「……」


ひえり「ねぇ…お兄ちゃん…何その傷…」


千巣「ごめんなひえり…お兄ちゃん…逃げられなかった…ただ弱いだけだった…」

ひえり「何で…何で………」

ひえりは、千巣に抱きついた。

 

────

 

周りの人の反応で、お兄ちゃんがもう助からないことがわかった。

 

死なないって言ったじゃん。逃げて帰ってくるって言ったじゃん...!お兄ちゃんのバカ...お兄ちゃんの大嘘つき!!!!なんで...どうして...


でも...泣きたくない...お兄ちゃんの頑張りを...無駄にしたく...ない

 

────


第329話 「涙」

 

────


豊洲


千巣は視力をほとんど失った。

千巣は、目を閉じる。


千巣「ひえり…お兄ちゃん、ひえりにたくさん謝らないといけないことがあるんだ」

ひえり「なんのこと?」

千巣「ひえりのプリン…勝手に食べた」

ひえり「ははっ…そんなこと…?!」

ひえりは、涙を精一杯堪えて、明るい声を作る。


千巣「また美味しいプリン...買ってやりたかったけど...」

ひえり「…!」

 

 


ダメだ…嫌だよ…泣いちゃうよ…これが、最後なの…?そんなの…嫌に決まってるじゃん…何で私だけ…一人ぼっちにするの?神様…!教えてよ…!

 

 

千巣「一つ、後悔があるとすれば…お前がステージの上で輝いている所...やっぱり見たかったな...」

 


ひえり「本当だよ…!めっちゃ凄いのにな!私!」

 


千巣「見たかったなぁ…残念だ」

 


ひえり「何言ってんの…!私は超すごいアイドルなんだよ?」

 

 

千巣「あぁ。きっとそうだな」

 

 

ひえり「だからもっともっともーっとすごくなって、お兄ちゃんがどんな所にいても、嫌でも目につくくらい活躍するんだから!テレビ見ないお兄ちゃんでも...もう嫌になるくらい...笑ってるところ...見せつけてやるんだから...!」

 


ひえりは、涙声になっても、明るく振る舞う。

一善と幸二は、肩を震わせて泣いている。

三太郎は嗚咽して、目元を腕で拭っている。

ジャスティンは静かに涙を流し、兄妹のやり取りを見ている。

 


ひえり「だから見ててね!私、誰よりも凄いアイドルになるから!」

千巣「ははっ。当たり前だろ?世界で一番可愛い、俺の妹だ」

ひえり「…!!!」

千巣「どんな生き方をしても、俺はずっとお前の味方だよ」

ひえり「うぅ…」

ひえりの堪えていた涙が溢れた。ひえりは千巣にしがみつく。

 


ひえり「…うぅ…お兄ちゃぁん!!」

千巣「ひえり…」

ひえり「うぅ…うぅ…お兄ちゃん…嫌だ…嫌だよ!!!」

千巣「…ごめんな…ひえり…」

ひえり「うぅ……」

 

 

 

駄目だ…もう全く聴こえない…目も見えない…

 

 

 

焔 ”お前は強いよ。万之助…!”

 


千巣 ”……!!焔…!”

 


焔は、微笑み頷いた。

 

 

俺の人生は、ドラマチックなものではなかった。誰よりも非凡で、誰よりも平凡な人生だった。


だけど、最後になって気づきがあった。


俺は…俺の人生で、かけがえのないものを、既に手にしていたのだ。


それは、”この人生”でなければ存在しえなかった、かけがえのない”日々”全てだ。

 

 

千巣「皆のお陰で...そしてひえり...お前のお陰で思えたことがある...」

 

ひえり「…!」

三太郎「…!」

幸二「…!」

ジャ「…!」

一善「…!」

 


千巣「俺は...!」

 


閉じた瞼から、涙が零れる。

 

 


千巣「俺に生まれてよかった...!」

 

 

 


千巣万之助 死亡。

たった一人の、愛する妹の腕の中で、安らかに息を引き取った。

 

────


第330話 「ありがとう」

 

────


翌日、千巣の訃報が魔裁組メンバーに伝えられる。


ヒメ「...!」

 

 

莉茉「そんな…千巣さんが…」

 

 

美波「!!!あんなに強かったのに…」

 

 

はるか「そんな…嘘だろ…?」

 

 

虎走「!!!!」

九頭龍坂「千巣はん……!」

 

 

村松「………!」

ラキラキ「クゥゥゥゥン…」

 

 

五百旗頭「そう…千巣くんが…」

犬飼「マジかよ…あいつが...まさか…」

安西「…!」

 

────

 

プルルル… プルルル…

 


麗美「はい、もしもし」

 


・・・

 


麗美「……」

ガッシャーーーーーン!

麗美スマホは、麗美の指を滑り落ちて地面に落ちた。

画面には大きなヒビが入った。

 

 

麗美「何で……何でだよ………!」

 

 

麗美は、肩を震わせ、膝から崩れ落ちた。

 

────

 

豊洲

 

昼下がり。4人は再び豊洲を訪れていた。

普段と何も変わらない海辺のコンクリートの上には、ハルジオンの花束や、冷めたカレーライスが置かれていた。

一善「…」

幸二「…」

三太郎「…」

ジャ「…」


三太郎「アニキ…アニキ…!!!」

ジャ「…」

一善「千巣さんは、たった1人でノベルの幹部を2人も倒した」

ジャ「凄い人だ」

幸二「でも、魔導書は…」

ジャ「ノベルに奪われたかもな…だが、そう簡単に次の適合者は見つからないだろ。それまでに俺達がノベルを叩く…!」


三太郎「なぁアニキ…アニキでも勝てない敵に…俺達が勝てるのかな…!」

幸二「…」

一善「(千巣さん…)」


ジャ「逃げたらダメだ。ダメなんだ」

一同「…?」

 


ジャ「ここで逃げたら俺達は、失くした物ばかり数えないといけない」

 

 

ジャスティンは遠くを見つめた。


一善「…!」

三太郎「…!」

幸二「…」

 


ジャ「そんなこと、俺はしたくない。俺達は、やらないと。やらないと…!」

ジャスティンは肩を震わせ、自分に言い聞かせるように、拳を強く握りしめて言った。

 


幸二「......…」

一善「ジャスティンさん…」

三太郎「…」


幸二が大きく深呼吸した。

 

一同「?」


幸二「”強き魔法使い”たる者!!それは戦いに秀でるのみの者ならず!それは、誇りと、勇気と、慈愛の精神を持つ者である!!!」

 

一善「!!!」

三太郎「!!!」


幸二「天堂家の家訓です。その...だから...俺が言いたいのは...千巣先輩は…誰よりも…強い魔法使いだった……!」

 

幸二は涙を流して言った。

一善「…!」

三太郎「…!」

ジャ「…!」


幸二「俺達も頑張ろう…!!!見るべきものは過去じゃない!!!未来だ!!!いつか天国の仲間達に、笑って報告出来るように!!!」

一善「……!うん……!」

三太郎「おぅ………そうだな……!!」

ジャ「あぁ…!絶対に負けない…!」

 

一善「…」

 

 

千巣さん。

 


当たり前になりすぎて、忘れていたことがありました。

戦う理由です。

俺はもっともっと強くなりたい。でも、敵を倒すための力より、誰かを守るための力が欲しい。

俺は、自分の戦う理由…それを守るために、これからも戦います。

 


”一日一善”

 


ありがとう。千巣さん。

 


そっちでゆっくり、休んでください。

 


俺達が、必ず、平和への道を作ります。

その日まで、俺達を見ていてください。

 

SOREMA -それ、魔!- 39へ続く。

 

第323話 「千巣万之助」

第324話 「紅蓮の華」

第325話 「森羅万象」

第326話 「光の中に」

第327話 「灯滅せんとして光を増す」

第328話 「涙」

第329話 「ありがとう」

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SOREMA -それ、魔!- 37

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SOREMA -それ、魔!- 37

 

「守りたいから」

 

────


第315話 「セカンドステージ」

 

────


豊洲


千巣はデュマを追い続ける!

デュマ「いやぁ驚いたよ!君もしつこいねぇ!」

千巣「付き合ってやってんだよ!」

デュマ「あはは!」

千巣「(海を嫌わない...このクラスがゴロゴロいるのか?ノベルには...?)」


デュマは、動きを止めた。


千巣「(豊洲...ここで暴れたくはないな)」

デュマ「はい。ギブアップ。誰も殺せなかったよ...君の勝ち」

千巣「どうだっていい。お前を倒して初めて俺の勝ちだ」

デュマ「なるほどね。じゃあ...セカンドステージといこうか...!」

千巣「あ?」


デュマは、印を結んで、唱えた。


デュマ「魔導結界展開...!」

千巣「...!(季彩先輩の時と同じ...!!)」


ゴォォォォォォォ...!!!


辺りは眩しい光に包まれた...!


千巣「...!」

千巣が目を開けると、そこは古代文明の聖域のような街並みが広がっていた...!


デュマ「魔導結界...”神殿”!」


千巣「メキシコの次はギリシャかよ。旅行気分を味わえていいねってか」

デュマ「そっか。君は二回目か!ようこそ、俺の結界へ」

千巣「土足で上がって悪いな...!(サシなら問題ない...!むしろ好都合だ!)」


デュマ「セカンドステージのルールは簡単。この勝負に勝った方が勝ち」

千巣「...」


デュマ「早速いくよ!!大業魔具 弁慶!!」シャキン!

デュマは薙刀を繰り出した!

千巣「魔者が魔具を使う時代になったわけか」シャキン!

千巣は、妖刀 夜叉を繰り出す。


デュマ「いざ勝負...!!!」

千巣「...!!!」


キィィィィィィンッッ!!!!!!


2人は激しくぶつかり合う...!!!

 

────

 

《新木場付近》

一善は、豊洲方面に一直線に走る!

幸二「おい!!一善!!」

三太郎「どこ行くんだよ!!!」


プルルル... プルルル...!


幸二「(...電話?)」

三太郎「ったく!こんな時に誰だ?!」


ジャスティンさん から 着信があります”


幸二「ジャスティンさんだ!」

三太郎「マジか!」


幸二は、一善を追いかけながら電話に出る。


幸二「幸二です!なんですか!」

 

────


第316話 「錯綜」

 

────


《新木場付近》


『ジャ : 幸二!今どこだ!』

幸二「スターリーランドから湾岸線沿いを東京方面に移動中です!」

『ジャ : なるほど!今こっちでは、豊洲付近で強いマヂカラ反応が確認されている!何か関係あるか?』

幸二「(豊洲...?)わかりません!でも、俺達もそっちに向かってます!」

『ジャ : まぁわかった!俺は今から豊洲に向かう!そっちには行けないから何とか頑張ってくれ!』

幸二「了解です!」


ピッ


三太郎「なんだって?!」

幸二「今豊洲に強いマヂカラ反応が出てるらしい!」

三太郎「豊洲?!ここじゃねえか」


幸二「?!」


豊洲


電話中に、2人は豊洲に着いていた。


三太郎「おい!幸二!前見ろ!一善が止まった!」

幸二「!!」


一善「うぅ...う...」


幸二「止まったな」

三太郎「なんだ?」


2人が一善を見ると、一善は、小さく浮いた白い水晶のようなものを見つめている。


三太郎「なんだこれ?すげえマヂカラを感じるぞ」

幸二「なんだ...?この玉は」


ジャ「おーーーーい!!」


幸二「!!」

三太郎「ジャスさん!!」


ジャ「住吉で魔者を狩ってた...近くて助かったよ」ハァ...ハァ...

三太郎「お疲れ!」

一善「うぅ...!」

ジャ「一善?具合悪いのか?」


幸二「ジャスティンさん!一善は操られてます。魔者に」

ジャ「操られてる?」

幸二「恐らく、魔者の術でしょう。その魔者は今スターリーランドに千巣先輩と居ます」

ジャ「千巣さん?!来てたの?」

三太郎「あぁ!」

ジャ「でも、俺が連絡を受けた時には、スターリーにはマヂカラ反応出てなかったぽいぞ?」


幸二・三太郎「え?」


一善「うぅ...うぁぁぁぁぁ!!」


ギィン!!!


一善は、白い玉を攻撃し始めた!!!

 

────


第317話 「反対の反対」

 

────


豊洲

幸二「一善!!」

三太郎「おい!どうした!!」


一善「うぁぁ!!うぁぁぁ!」

ギィン!! ギィン!!


ビリビリィ!!


一善「うぁぁぁぁ!!!」


幸二「一善!!」

ジャ「この玉、何なんだ?」

三太郎「丈夫だな...壊そうとしてもこっちがダメージを負う!」

幸二「そうだな...!」


三太郎「というか、アニキは?どこに?」

幸二「まさか...あの魔者に...」

三太郎「おいコラ!縁起の悪いこと言うな!アニキが負けるわけねぇーだろが!」

ジャ「(千巣さんが負けたなら研究班から報告があるはずだ...だから死亡確認はされてない...なら...消えた?)」

 

────

 

《魔導結界・神殿》

 

────


千巣「赤のエレメント...!!遊火!!!」ボワッ!!

デュマ「...!(ちっ...こいつ...強ぇ!)」

千巣「赤のエレメント...!雄叫火!!!」ボワァァ!

デュマ「ぐはっ...!!」


千巣「口ほどにもないな。赤のエレメント!血照天!!!」バコォォォン!!


デュマ「ぐわぁぁぁぁあ!!!」


ドゴーーーーーン!!


千巣「...」

デュマ「...?(さっきの虫の男...反転(リバース)のカラクリに気がついた...?外から攻撃されている...!)」

千巣「(四十六眼は相手にコピーされたらまずい...剣とエレメントはコピー出来ないみたいだが)」


デュマ「ちょっと容量がね...!」

千巣「は?」

デュマ「もういいや、解除」


デュマは、一善の反転を解く。

 

豊洲


パァァァァン!!


一善「!!!!」


幸二「一善!!」

ジャ「...!!」

三太郎「おい!!一善!!」


一善は後ろに倒れた。


三太郎は、一善を受け止める。


三太郎「おい...一善!!一善!!」

幸二「しっかりしろ!大丈夫か?」

ジャ「何があったか、話せるか?」


一善「二人とも...それに...ジャスティンさん...?」

ジャ「(一善のマヂカラはもう切れてる...これでは戦えそうにない...)」


一善「ごめんね...二人とも...傷つけて...」

三太郎「大丈夫だ!俺たちは!」

幸二「あぁ!」


一善「ハァ...操られてる時...ずっと魔者を倒そうと...抗ってたんだ...でも...体は二人に襲いかかった...」

三太郎「...!」

幸二「...!」


一善「だけど...途中で気がついたんだ...きっと...あの術は...俺の意思を反転させて行動に反映させるって...」

幸二「!!」

三太郎「?!」

一善「だから俺は...途中から幸二と三太郎を倒そうと考えたんだ...そしたら...魔者に向かって...体が動いた」


ジャ「なるほど...敢えて味方を攻撃するように念じる事で、その反対に体は敵を攻撃するようになるわけか」

幸二「そういうことか...!」

三太郎「お前、ほんとすげぇよ!」


ジャ「ってことはさ...」

ジャスティン、白い玉を見る。

 

────


第318話 「戯言」

 

────


豊洲

三太郎「この玉が、魔者...ってこと?」

幸二「どういう事だ...?」

三太郎「こんなとこで、何してんだ?魔者」ツンツン

ジャ「わからない。だが、かなりのマヂカラを感じるよね」

一善「恐らくこの玉が魔者に関係してることは間違いないと思います...でもこの玉が何かはわかりません」

三太郎「魔者の卵とか?」

幸二「絶対違うわ」

三太郎「絶対って証拠あるのか?あ?」

ジャ「まぁまぁ」


一善「もしかしたら...結界...?」

一同「?」


一善「俺が前にノベルの幹部と戦った時に...特定の人間のみ閉じ込める技を使ってました...それはその魔者の特性ではなく...ボスから与えられたものだと...」

三太郎「ふーん...って!お前ノベルと戦ってたのかよ!!」

ジャ「聞いてないよぉ!俺!」

一善「すみません...色々あった直前だったので...言う機会がなくて...」

幸二「倒したのか?」

一善「うん...でも、さっき出た魔者と同じ能力だった」

三太郎「なるほど...もうよくわかんねぇなノベル」


ジャ「とにかく、あらゆる可能性を考えて、周囲を封鎖しよう」

 

────

 

《魔導結界・神殿》


千巣とデュマは激しい戦いを繰り広げる!!


ガンッ!ガチャッ!ズバッ!ヒュン!バッ!キンッ!ビュン!スッ...!


デュマ「ハァ...君...強いねぇ」

千巣「俺は弱い」

デュマ「ははっ...何を言ってんだか...イヤミかよ」

千巣「...」

デュマ「君みたいな強い奴はさぁ...魔者になればいいんだよ」

千巣「...?」

デュマ「魔者は自由だよ...!人を殺すも生かすも自分次第。人間みたいに力以外のしがらみがな〜んにもないんだ!どんなに自由に生きても誰にも咎められない。何かあったら殺しちゃえばいいんだし」

千巣「...」ピキッ

デュマ「人間は、どう頑張っても魔者には勝てないんだからさ」


千巣「自由...?くだらねぇ」

デュマ「なんでよ。君も自由は好きでしょ?」

千巣「他人に害を及ぼす自由は自由とは言わない」

デュマ「...?じゃあ何?」


千巣「”勝手”」


デュマ「...ふふふっ。ま、どっちでもいいや」

千巣「...」

デュマ「OK。”足枷”は解いた...これでマヂカラをセーブしなくて済む...!

千巣「?」

デュマ「お前を殺すことだけに集中してやる...!!」ペロリ


千巣「...(来る!)」

デュマ「蒼魔導書第四十四章 鏡像ノ一 鏡分身...!!!!」


ババババババババ...!


千巣「分身か...芸がないな」

デュマ「ははっ!どれが本物かな!見破ってみなよ!その自慢のおめめで!」

 

────


第319話 「理想郷」

 

────


《魔導結界・神殿》


デュマは数十体の分身を作り、宙に舞った!

千巣「やってやるよ...四十六眼!!!!」

キィィィン!

千巣は、マヂカラの流れで、本物を見分ける。

千巣「?!」

デュマ「ふふっ」ニチャア


千巣「?!(マヂカラが...超高速で分身から分身へ移り渡っている...?!)」


デュマ「ほら!早くしないとこっちからやっちゃうよ〜?!」

千巣「(分身と本体は入れ替われるってことか...流石にこんなに早く入れ替わられちゃ当てらんねぇな...なら...!)」

デュマ「...?」


千巣「全部一発でぶった斬る...!」

デュマ「?!?!?!」


千巣「千紫万紅流・奥義...!!!」

デュマ「...?!」

千巣「紅・破壊王・画竜点睛...!」


ゴゴゴゴゴ...!!!


デュマ「!!!」

千巣「喰らえ!!!!」

千巣が、剣を振ろうとしたその時だった...!!


子連れの女が、目の前を横切った...!!


千巣「?!?!?!?!」


デュマ「あら、油断したね?」

デュマは、分身全員で千巣に薙刀を突き刺した...!!

デュマ「ヒャッハァァァ!!!血祭りだぁ!!!」


千巣「うわぁぁぁぁぁ!!!」グシャァァッ!!!


デュマは分身を元に戻し、地面に降り立った。


デュマ「驚いた?」

千巣「...(人だよな...?幻覚か?)」

デュマ「無理もない...本来結界内に普通の人は入れないからね」

千巣「...」

デュマ「僕はね、'人'を'飼'っ'て'るんだよ!ここで!」

千巣「?!?!」

千巣が辺りを見回すと、何人かの人間が歩き回っていた...!


デュマ「ほら、人間って弱いじゃん?だから、すぐ死のうとしたりするんだよ。だから、僕がここで飼ってあげてるの。みんなここを楽園だと勘違いして住み着いてるよ...!!僕の奴隷たちさ!!!」


千巣「...!」ハァ...ハァ...


デュマ「君もさっきの攻撃でかなり傷ついちゃったね。痛いよね?ここに住むかい?」

千巣「却下」

デュマ「そっか。つれない男だね。なら死んでよ!!!」


デュマは千巣に向かう...!!!!


シュゥゥゥゥ...!!!!!

────

───

──

 


〜〜〜〜

 


???”大切な人間を守れない男はなぁ、どんな奴より弱いんだぜ?”


千巣「...(俺は弱い...か)」

 

────


第320話 「燃える男」

 

────


12年前────


《とある郊外の村》

千巣(14)は、初めての単独任務にやって来ていた。


魔者「ギュリュゥァァァ!!」

魔者「ジュワァァァァ!!!」


千巣「(おいおい...魔者自体は大したことねえけど、2体いるなんて聞いてないぞ?!)」


魔者「ギュリュゥァァァ!!」

魔者「ジュワァァァァ!!」

魔者2体が、千巣を襲う!!


千巣「くっ...守護!!!」

千巣は、攻撃を受けとめた!

千巣「...!(パワーが...!やばい、押し負ける...!!)」


???「”遊火”!!!!!」


ボゥゥゥ!!!!


魔者「ギュリュゥァァァ!!」

すると、魔者の1体が突然燃えた!!

千巣「?!」


???「大丈夫か?そこの弱っちいの!」

千巣「?!は?」

???「ちょっとそこから離れな!今燃やす...!」

千巣「...?」

千巣は、その場から離れた!


???「行くぜ...!!叫火(さけび)!!!」


ボゥゥゥゥゥゥゥ!!!


魔者「ギュリュゥァァァ!!」

魔者「ジュワァァァァ!!!」


千巣「(なんか知らねぇけど助かった!!)今だ!!!」

千巣は、魔者2体を斬りつけて退治した!


スタッ


???「ん?なかなかやるじゃん?お前、何者?」

千巣「千巣万之助。魔法使いだ」

焔「魔法使い?俺は炎使いの、鳶焔(とび ほむら)だぜ!よろしくな」

千巣「お、おぅ」

 

────

 

《近くのカフェ》

焔「魔裁組ね。知ってるよ。たま〜に来るんだよ、ここよくバケモン出るからさ。アンタらは魔者って言うんだろ?」

千巣「焔だっけ?なんで魔法使えんの?」

焔「ガキの頃に拾った本を読んだらこうなっちまった。何とか第一章 炎の書的な?もう無くしちまったんだけどな」

千巣「(履術者か...)普段はここで魔者を狩ってるのか?」

焔「まぁな。そういえば、万之助だっけ?」

千巣「あぁ」

焔「俺と最強を目指さないか?」

千巣「は?」

 

────


第321話 「俺は弱い」

 

────


《近くの神社》


焔「俺はさ、この力で最強になりてぇんだ」

千巣「どうやって?」

焔「この村に出るバケモンを全て倒す。それが最強だ」

千巣「ここ、山近いのによく魔者でるんだな」

焔「昔から、この村のバケモンは人を襲ってるらしい。村長のじっちゃんによれば、魔導書の言い伝えがどうたらこうたらって言ってたけど、よく分からん」

千巣「ふーん」

焔「でも俺はさ、この村が好きで、この村の皆が好きなんだよ。だから、ここで誰かがバケモンに襲われるのを、これ以上見たくねんだ」

千巣「それが焔が言う最強ってわけね」


焔「あぁ!大切な人間を守れない男はなぁ、どんな奴より弱いんだぜ?だから俺はここで最強を目指す!万之助!俺と一緒にやってくれないか?」

千巣「お前が魔裁組に入ればいいんじゃねぇか?」

焔「悪いが俺はこの村を出るつもりはない。万之助は、ここにちょくちょく顔を出してくれればいい。な?どうだ?」

 

────


それから、千巣は、焔に乗せられて、何度かこの村に足を運んだ。千巣は、この村の任務は率先して受けた。

そして、2人は何度か魔者に遭遇し、それらを全て倒してきた。

焔「ははっ!!雄叫火ィ!!!」

千巣「千紫万紅流!月光狩り!!」


《村》

 

焔「やっぱさ、万之助は違ぇな!都会の魔法使いって感じだ!痺れるぅ」

千巣「お前も魔裁組(こっち)に来いよ。こっちでは村の魔者ハンターがいるって噂になってるぞ」

焔「ははっ!なんだそれ。面白いなぁ」

千巣「ははは」


焔は立ち上がった。


焔「もうお前と居れば、何も怖いものなんてねぇな!」

千巣「...」

焔「これまでも、これからも。俺達は最強だ!」

千巣「...お、おぅ」

焔「何萎縮してんだよ!お前もそう思うだろ?」

千巣「...あぁ!俺達は、強い!」

焔「だろだろ!俺達は最強!!!村は平和ぁ!!」

千巣「...笑」


焔「俺達は最強のバディだ。ありがとな。お前が来てから、村はより元気になった!」

千巣「...そうか?」

焔「...気がする!!笑」

千巣「なんだよそれ笑」

焔「これからもよろしくな。相棒」

千巣「...おぅ」

 

 

しかし、悲劇は起きた。

 

 

数ヶ月後の話、魔者が3体、村に現れた。

千巣が駆けつけると、焔は3体の魔者を相手取っていた。


戦闘中、焔は命を落とした。

千巣にとって、”初めての死別”だった。

 

《村の神社》

 

千巣「......」

千巣は座って俯く。握った拳には、大粒の涙が何滴も落ちる。

 


千巣「俺は......弱い!!!!」

 

────


第322話 「守りたいから」

 

────


《魔導結界・神殿》

 


焔。俺はお前を一度だって忘れたことは無い。

俺はお前を守れなかった。俺は弱い。

 


なぁ、焔...

 


あの日、俺がどうして、お前の夢についていこうと決めたか、わかるか...?

 


それは...

 


お前が、俺と同じ”戦う理由”を持ってたからだ...!

 


────

 


デュマ「死ねぇ!!!!!」ズバッ!!!!

 


キィィィン!!!


千巣は刀で受ける!

千巣「くっ...!!!」

デュマ「おいおい...お得意の術を見せてくれないのか...?!」

千巣「...!赤のエレメント!!唐紅!!」

ボワワァァァァァン!!

デュマ「...!」

デュマは後退する!


千巣「千紫万紅流!月光狩り!!」

デュマ「ヒャッハァ!!!」キィン!!


キィン!バキィン!カキィン!キィン!シャキン!バギィン!キィン!!!


デュマと千巣は高速で斬り合う!!

デュマ「張合いがないなぁ!もう終わりかい...?!」キィンキィンキィンキィンッッ!

千巣「ハァ...ハァ...!」キィンキィンキィンキィンッッ!!

デュマ「(こいつをここで殺せば...さっきのミスも帳消し...どころかお釣も来る...!何としてでも!!)」

デュマは、薙刀を千巣の腹部に突き刺す!!!

千巣「!!!!」グハッ!!

デュマ「ヒャッホゥゥゥーーー!!!」


グ    サ     ッ   !!


千巣「!!!!」


デュマの薙刀は、千巣の腹部を貫通した。


千巣「...」グハッ...!

ポタッ...ポタッ...


デュマ「はぁ...人間はこれだから...つまんないなァ」

千巣「...」

 


────

 


千巣は、京都での会話を思い起こす。

 


三太郎”あ、そう言えば、アニキはなんのために戦ってるの?”

 

 

戦う理由...俺がここまで、戦えてきた理由は一つだよ...

お前と同じなんだ...焔...!

 

 

ひえり”...お兄ちゃんが血を流した分だけ、この街の涙がひとつ減るんだよね”

 

千巣”...どうだろうな”

 


ひえり”お兄ちゃん...死んじゃ嫌だよ...?”

 

千巣”ふっ。安心しろ。俺は死なん。俺は弱いから、負けそうになったら逃げて帰ってくる”

 


ひえり”ははっ。ダサ笑”

 

 

俺が戦う理由...それは...

 


大切な人の...笑顔...!!

 

 

それだけなんだよ...!

 

 

千巣の脳裏に浮かぶのは、

”たった一人の家族”の笑顔────!

 

次回、スターリーランド編完結。

 

SOREMA -それ、魔!- 38へ続く。

 

nbsrskniw.hatenablog.com

 

第315話 「セカンドステージ」

第316話 「錯綜」

第317話 「反対の反対」

第318話 「戯言」

第319話 「理想郷」

第320話 「燃える男」

第321話 「俺は弱い」

第322話 「守りたいから」

SOREMA -それ、魔!- 36

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SOREMA -それ、魔!- 36

 


「鬼ごっこ

 

────


第307話 「共闘」

 

────


《スターリーランド / 一善サイド》


デュマ「戦う相手が強ければ強いほど、強くなれるんだよ...!」

一善「それはよかったな」

デュマ「あれれ。反応薄いね」

一善「...?」

デュマ「今、結構絶望的なことを教えてあげたつもりだけど...?」

一善「...(なんだ...?精神論じゃないのか?そういう能力か...?)」


三太郎「おーい!!一善!!」

幸二「そいつは?!魔者だな!!」


一善「二人とも!」


デュマ「ん?君のお友達かな?」


三太郎「なんか、変な奴だな。こいつ、なんだっけ、バベルじゃなくて...」

幸二「ノベルな」

三太郎「それ!お前、それか?」

幸二「...?」


デュマ「そうだよ。僕はデュマ。よろしくね」

三太郎「デュマ?どこの国出身だ?」

幸二「魔者だからそういうのは無いだろ」

一善「幹部級にはコードネームがあるらしい」

三太郎「ふーん」


幸二「さっきの魔者はもう回収してもらった。大丈夫だ」

一善「...そっか」

デュマ「(なるほど...カフカ2君はやられたか...このまま帰ったらシェイクスピア様に怒られるな...なら...!)」


幸二「まぁ、こいつは倒すぞ」

三太郎「あぁ。名前なんて興味もねぇが、お前ら全員ぶっ飛ばさないと、皆が怒る」

幸二「...」

一善「行くよ!」


デュマ「一人殺してトントンってことで!死ねぇ!!!!」

デュマは、長い薙刀を取り出した!

一善「緑のエレメント...!巌窟王!」

つのキング「ウォーーーーーー!!」


キィン!!


幸二はサイドに回る!

幸二「操天...!砂嵐!!!」


ゴォォォォォォ...!!!


デュマ「ゴホゴホ...!前がよく見えない...!」

三太郎は、ゴーグルをして、後ろへ回り込む!

三太郎「行くぜ魔者...!黄のエレメント...!!真・ガントレットバスター!!!」


ドゴォン!!!


デュマ「ぐはぁっっ!!」


一善「たたみかけるぞ!!緑のエレメント!桜桃!!!」 バコォン!!


デュマ「がはぁっ!!!」

 

────


第308話 「反転(リバース)」

 

────


《スターリーランド》

デュマ「く...!」

幸二「滅びろ...蒼き青のエレメント...!蒼龍鳴動!!!」


ギュリャオォォォァ!!!


デュマ「ぎゃぁぁぁ!!!!」


シュゥゥゥゥ...


三太郎「...」

幸二「...」

一善「(やったか...?)」


デュマ「...いいねぇ...君たち...ゴホッ...強くって」

三太郎「そりゃどうも」

幸二「...」


デュマ「でもさぁ、3対1って...卑怯じゃない?」

一善「黙れ」

幸二「幾つもの命を奪っておいて、よくそんな事が言えるな」

三太郎「図々しいなこいつ」


デュマ「やっぱりさぁ、ゲームはフェアじゃないと、、」


ビュン!


幸二「(消えた...?!)」

三太郎「!!!」

 

デュマ「ね」

 

一善「...!!」ゾクッッ!!

デュマは、一瞬で、一善の背後に現れた!


デュマ「はい。タッチ。これで君は、俺の味方だよ?」

一善「...は?」

 

ド    ク     ン     !    !

 

一善の身に謎の衝撃が走る!

幸二「...?」

三太郎「...なんだ?」


一善「うぅ...ぅ...」


デュマ「彼は俺の仲間になった。この術は僕のとっておきの術でね、マヂカラを沢山使うんだけど、とっても便利なんだ」ニコッ


幸二「は?」

三太郎「?」


ビュン!!!!!


すると、一善が幸二を殴り飛ばした!!!!


デュマ「...」ニヤッ

幸二「?!?!」グハッ

三太郎「幸二!!!!!」


幸二「く...一善?」

三太郎「一善?!?!」


一善「うぅ......」

一善の目元に赤い涙のような紋様が浮び上がる。


幸二「...!」

三太郎「お前、なんかしたな」


デュマ「”反転(リバース)”。彼はリバースした。もう君達の仲間ではなくなった。これで、2対2。楽しいゲームの始まりだぁ!!!!」


幸二「リバース...?!」

三太郎「どうなってやがる?!」

一善「うぅ...ぅ...」


デュマ「いい反応だねぇ...じゃあ、もっと面白いものを見せてあげようか...!!!!」


ゴゴゴゴゴ...!!!!

 

────


第309話 「愚弄」

 

────


《スターリーランド》

幸二「今度は何をする気だ...?」

三太郎「分からねぇ...」


デュマ「ふふふっ。”操天...砂嵐...”!!」

三太郎「!!!」

幸二「!!!!」


ゴォォォォォォ...!!!


幸二と三太郎を砂嵐が襲う...!!!


三太郎「ゴホッ...な、なんでこいつが?!」

幸二「俺と同じ技を...!!」


デュマ「それだけじゃあないよ!」

デュマは、黒いつのキングを召喚し、三太郎に攻撃を仕掛ける...!!

三太郎「...!!!」


ガキィン!!!!


三太郎「うわぁぁぁ!」

幸二「三太郎!!!!」

デュマ「これは俺の魔導書の応用さ。もう分かったよね...!」

幸二「ちっ...お前、まさか?!」


デュマ「そう。俺は、他人の技をコピー出来る...!」


三太郎「!!」

幸二「...なるほどな」


デュマ「さぁ、戦え。俺の忠実な'お'友'達」

一善「うぅ...うぁぁぁ!!」

三太郎「!!!」


ガシッ!!!


三太郎「一善!!!落ち着け!!!」

一善「うぅ...うぅ...」


ドゴォーーーーーン!!


三太郎「うわぁぁぁぁ!!!」

幸二「!!!(こっちの声は届いているのか...?)」


デュマ「君の相手はこっちだよ?操天...砂嵐!!!」ゴォォォォォォ!

幸二「ちっ...!!守護!!」ザァァァ!!

デュマ「はっはぁ!楽しいねぇ!」

デュマは、薙刀で幸二を攻撃する!

幸二「...!!」

幸二は後ろにかわし続ける。

デュマ「ほら、もっと来なよ!もっと攻撃しなよ!!」

幸二「...!!!」


デュマは攻撃の手を止める。

デュマ「ほら、見せてよ。君の力」

幸二「...(恐らく、こいつは目で見た攻撃しかコピーは出来ない...!後は、これは憶測だが、、)」

デュマ「?」

幸二「青のエレメント!!ハート・THE・トリガー!!」

バァン!!!

デュマ「ちっ...!」ブシャアッ!!


幸二「...」

デュマ「はぁ...つまんねーの」

幸二「!(エレメントの攻撃はコピー出来ない...!)」

 

────


第310話 「強力助っ人」

 

 ────


《スターリーランド》

三太郎 vs R一善


一善は、三太郎に攻撃を重ねる。三太郎はそれをかわし続ける。

三太郎「おい!一善!!聞こえないのか?!俺だよ!!わかるだろ?!」

一善「うぅ...ぅ...!」

三太郎「流石にお前を攻撃出来ねぇよ!!なぁ!!やめてくれって!!」

一善「うぅ......」


〜一善の潜在意識〜

一善「聞こえてるよ...!わかってる!わかってるよ!!俺だって...仲間を攻撃したくない...!意識は魔者に向いてるんだ。でも、体が勝手に...ごめん!」

〜〜〜


三太郎「一善!!」

一善「うぅ...!!!」

一善は、緑の剣で三太郎に斬りかかる!

三太郎「わりぃ一善...!少し黙らす!」

一善「...!!!」

三太郎「黄のエレメント!!85%ダイナマイトクラッシュ!!!」


ドゴォーーーーーン!!!!

 

────

 

デュマ vs 幸二


幸二「...(だが...純粋なエレメントの攻撃だけじゃ、こいつは恐らく倒せない...!どうする...?)」

デュマ「もっと強い技あるでしょう?使わないと俺は倒せないよ...?」

幸二「...!」


デュマ「さぁ...早く!!!」

幸二「...!!!」


シュゥゥゥゥ...!!!!!


その時、どこからともなくデュマ目掛けて刀が飛んできた!!


グサッ!!!!


デュマ「...!!!」グハッ!!!

幸二「...?!」


長い刀は、デュマの体を貫き、切っ先は地面に刺さった。


デュマ「...!!」

幸二「この刀...?!」

???「魔者風情が人間様に逆らうな」


グシャッ!!!!


幸二「千巣先輩!!!!」

千巣が現れた。

 

千巣「幸二、無事か?」

千巣は、剣を引き抜いて、もう一度斬り掛かる!

デュマは、高く飛んで、攻撃を避ける。


千巣「状況を簡潔に教えてくれ」

幸二「は、はい!」


デュマ「(この男...!エミリーを倒した男だな?間違いない、シェイクスピア様が消そうとしていたあの男だ...!)」

 

────


第311話 「ゼロ」

 

────


《スターリーランド》

千巣「なるほどな。だいたいわかった」

幸二「はい...!」


千巣「要は一善は、魔者になった訳では無いんだな、こいつの妙な技のせいでそうなったと」

幸二「恐らく」

デュマ「...」


千巣「そして、こいつは技をコピーする...」

幸二「恐らく、魔導書の力だけですが、まだ分かりません」

千巣「了解」

デュマ「お話はおしまい?」


千巣「幸二、お前は三太郎の所へ行け。一善をなんとしてでも食い止めろ。俺がこの魔者を倒して、術が解けるまで。今”スターリーランド(ここ)”には、一般の人は居ない。一善をここから出すな。それまでに俺がそいつを倒す」


幸二「分かりました!」

幸二は、三太郎の元へ向かう。


千巣「...お前、ノベルの魔者だな」

デュマ「そうだよ。俺はデュマ。よろしくね」

千巣「あぁ。よろしく」

デュマ「あの子、行かせて良かったの?君一人で俺を倒せるかな?」

千巣「問題ない。最善の策だ。それに」

デュマ「...?」


千巣「一人の方が思いっきり暴れられるからな...!」


デュマ「そうなんだ。ま、いいや」

千巣「...」

デュマ「じゃあさ、俺とゲームしない?」

千巣「ゲーム?」

デュマ「そう。鬼ごっこだよ」

千巣「鬼ごっこ?」

デュマ「僕は君から逃げる。君は僕を倒す。それだけだよ。簡単でしょ?」

千巣「なるほどな。付き合ってやるよ」


デュマ「そして逃げてる間に俺は人を殺す...君は何人までに抑えられるかな...?」

千巣「...!!」

デュマ「ねぇ、どうする?ノルマは?目標は?」

千巣「ゼロ」

デュマ「ふふふっ。じゃ、ゲームスタートだ!」


デュマは、千巣から高速で逃げる!

千巣はそれを追いかける!


《スターリーランド》

三太郎 vs R一善


一善「うぅ...!!!(くそっ...!勝手にマヂカラが消費される...!!ごめんみんな...!!)」ボガァァン!!

三太郎「凄まじいな、一善!!守護!!マイティガイ!!!」バリバリィ!!


幸二「三太郎!!!!」

三太郎「お、幸二?!」


スタッ...


三太郎「魔者倒したのか?!」

幸二「いや、千巣さんが来た!」

三太郎「アニキ?!じゃあ魔者は」

幸二「あの人に任せる。俺たちは一善をなんとしてでも止めるんだ」

三太郎「なるほどな。わかった!!」

 

────

 

葛西臨海公園付近》

デュマ「ひゃっほぅーーー!楽しいねぇ!!!」

千巣「待ちやがれ!どこまで逃げる気だ!」

デュマ「さぁね!」

千巣「(人手が少ないのと、この辺りには住宅が少ないこともあって、まだ誰も死んでない。だがこのまま進めば...!)」


デュマ「よし...そろそろアレ、やるか...!」

 

────


第312話 「鬼ごっこ

 

────


《新木場付近》


デュマは千巣から逃げ続ける!

デュマ「そろそろ、ちょっとレベルをあげようか...!!」

千巣「?!」

すると、デュマは何体かに分身した!


千巣「(分身...?)」

デュマ「はっはぁ!!どれが本物かなぁ?!あ、早く当てないと、分身が人を殺しちゃうかもよぉ?!」

千巣「...(こいつ、なんの能力だ?)」

デュマ「(少しマヂカラを温存しないとな...本当はもっと増やせるけど、5体で勘弁してあげる)」


千巣「ま、問題ねぇよ。四十六眼!!!」キィィィン!

デュマ「...?!」


千巣「お前だな!!」 ビュッッッッ!!!

千巣は、一体に向けて、妖刀を投げつける!!


グサッ!!!


デュマ「...!!(この刀...妖刀か?!痛いんだよなぁ!!)」グハッ!!!

刀はデュマ本体にヒットした!デュマの分身は全て消えた。


千巣「運」

千巣は、刀を取り戻した。

デュマ「そこはさぁ、何発か外してからやるのがマナーでしょ。つまんないなぁ」

千巣「墜ちろ...!千紫万紅流!!裂空斬(れっくうざん)!!!」


ズバッ!!!


デュマ「うわぁぁぁいてぇぇぇ!!!」グハッッ!!


デュマは傷を追いながらも逃げ続ける...!

 

────

 

《スターリーランド》


三太郎「とにかく、まずは一善を落ち着かせよう」

幸二「あぁ」

三太郎「普段と違ってマヂカラの使い方がデタラメだ。とんでもねぇパワーだ。注意しろ」

幸二「承知」


一善「うぅ...!!!!」バコーーーーン!!


幸二「青のエレメント...!!プロミス・THE・チェーン!!!」

幸二は、指からチェーン状のエレメントを一善の四肢に巻き付ける...!

三太郎「行くぞ!!!ただのパンチ!!!!」

三太郎は、一善のみぞおちに一発食らわせる!!!

一善「うぅ...!!」

三太郎「ごめんな...一善...!」

幸二「...」


一善「うぅ......うぁぁぁぁ!!!」


バリィィィィン!!!


幸二「チェーンが!!」

三太郎「破壊された!!」


一善「うぅ...!!!!」

三太郎「幸二!!来るぞ!!」

幸二「!!!!」

 

バゴォォォォォォン!!!

 

幸二は、一善に吹き飛ばされる!!!

 

────


第313話 「君の力になりたい」

 

────


《スターリーランド》

一善「うぅ...(幸二...ごめん!!俺のせいで...俺のせいで2人を傷つけてしまう...)」

一善の拳からは、酷く流血している。

三太郎「幸二!!!大丈夫か?!」

幸二「...あぁ...」

三太郎「(幸二も一善もボロボロだ...!俺ももうそんなにはもたない...!)」


幸二「おい...一善...聞こえるか?」

幸二は、よろつきながら立ち上がる。

一善「うぅ......(幸二!)」


幸二「へへっ...なんだ...その...しょぼい技は...」

三太郎「...?」

幸二「なんてな...でもな...痛くねぇのは本当だ...」

三太郎「...?」


幸二「お前の痛みに比べたら...こんなの痛くも何ともねぇから!!!!」

三太郎「!!」

一善「...!!」


幸二「まぁ...聞こえてねぇならいいよ...どうせなら言いたいこと全部言ってやるよ...」

三太郎「...幸二?」

一善「......」


幸二「戻ってこいよ...!一善!」

一善「......!」

三太郎「?!」


幸二「これは今の状況に限ったことじゃあねぇ。最近の一善全般に言えることだ」

三太郎「...!」

一善「......」


幸二「お前は強い。俺は、魔法使いとして常に正しくあろうとするお前を尊敬してるし、誰もがそうあるべきだと思う」

一善「......(幸二?)」


幸二「でも、自分が”一人の人間”であることを忘れてないか?」

三太郎「!!」

一善「...!」

幸二「俺たちは、サイボーグじゃないんだ。心で動く尊い生き物なんだよ」

三太郎「幸二...」

一善「...」


三太郎「なんか...大人しくなったな。一善」

幸二「そうだな。攻撃してこないなら、話を続けるぞ」

一善「......」


幸二「一善、俺はな...」

三太郎「...」

一善「......(...?)」

幸二「俺は...お前の力になりたいんだよ!友達だから!」


三太郎「!!」

一善「......(...!)」


幸二「お前が人間らしくあれるように...助けたいんだよ!三太郎だって同じ気持ちだよ。でも俺には、どうすればいいか分からなかった。だからこうやって、伝えるしか無かった...!


三太郎「...そうだぞ、一善」

一善「うぅ......(二人とも...)」

幸二「だって...俺たちは、数多の命の中で、人間に選ばれて産まれたんだから...!俺達には、泣いたり、笑ったり、怒ったりする権利があるんだよ!」

三太郎「...」

幸二「俺だって...死んでしまいたいくらい後悔したことがある...」


一善「......」

幸二「でも...俺は今、生かされてる。だから、人間として、居なくなった人の分まで生きようと思った...!」

 

────


第314話 「狙うべきもの」

 

────


《スターリーランド》


幸二「なぁ...一善」

三太郎「...」

一善「......(幸二...)」


幸二「人間やろうぜ...!こんな狂った世界だろうと」


一善「......!!」


三太郎「一善!!!!」


一善「......!!」


幸二「(聞こえてるか...?まぁどっちでもいい。大人しくしていてくれ。きっとあの人が、魔者を退治してくれる)」


〜一善の潜在意識〜

 

俺は...人間...

そうだよ。そうだよな。

俺は、みんなの為に...平和の為にって、そう思って日々を過ごしていた。

でも...そういう俺を見て、気を使わせてたのかな...心配させていたのかな。


最近...生きていることが、楽しくなかった。魔者を退治する。強い存在理由が出来たせいか、その理由なしでは、生きていちゃいけないと勝手に思ってた。


でも、違うと言ってくれるんだね。


幸二、三太郎。ありがとう。


俺も早く、元の状態に戻りたいよ...早く言葉を返したい...どうすればいいんだ?


今、俺の動きは止まっている。それはなぜだ?


さっきまでは、術に抗おうと、必死に魔者へと意識を向けていた。しかし、それが幸二達への攻撃へと転じた。


もしかして...


そういうことなのか...?


ということは、それを'逆'に'す'れ'ば、この状態でも攻撃に加勢できる...?


失敗したら、ごめん。でも...やってみるよ...!


今、倒そうとするべきは────!!


〜〜〜


幸二「動かないな」

三太郎「あぁ。もう大丈夫じゃね?」

幸二「油断は出来ない。だが、千巣さんも心配だ。加勢したいところではある」


一善「う...うぅ...」


幸二・三太郎「!」


一善「うぁぁぁぁぁぁ!!」


幸二「来る!!!」


ビュン!!!!!


一善は、幸二らに向かった!!

三太郎「一善!!!」


シュッッッ!!!


しかし、一善は、幸二と三太郎を通り過ぎて、遠くへ向かった!!


幸二「?!」

三太郎「攻撃されなかった!!」

幸二「でも、どこへ行くつもりだ?!」

三太郎「周りに被害が出ないように追いかけよう!」

幸二「あぁ!!」

 

SOREMA -それ、魔!- 37へ続く。

 

第307話 「共闘」

第308話 「反転(リバース)」

第309話 「愚弄」

第310話 「強力助っ人」

第311話 「ゼロ」

第312話 「鬼ごっこ

第313話 「君の力になりたい」

第314話 「狙うべきもの」

SOREMA -それ、魔!- 35

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SOREMA -それ、魔!- 35

 


「魔法使い」

 

────


第299話 「兄と妹」

 

────


《都内 / とあるスタジオ》


いろは坂46の新曲のMV撮影が行われている。


♪♪〜

ソロシーン撮影中。


監督「はい!ひえりちゃんの撮影終わりね!次○○ちゃんおいで!」

ひえり「ありがとうございました!」


メンバーA「ひえりーお疲れ」

ひえり「ありがとう〜!」

メンバーB「メッチャ可愛かった!」

A「マジで!」

ひえり「ありがとう!ちょっと控え室行かない?お腹空いた」


《控え室》

ひえり「お疲れ様でーす!」

A「うわぁーケータリング美味そうー!カレーだ!」

B「んね!私沢山食べちゃお!」

A「あんたマネージャーに痩せろって言われてたじゃんw」

B「あー無視無視。好きなだけ食わせろってんだよ!」


3人は、カレーを食べる。


A「ねぇねぇ、ここだけの話、2期生の野田ちゃん別れたらしいよ!前の男と」

B「マジ?」

ひえり「(ウチ、恋愛禁止なんだけどなぁ...)」

A「ま、社員とはいえ、コンビニ店員とは釣り合わないっしょwウチら」

B「確かにー!それはキツいわ」

A「てかさ、彼氏がコンビニ店員ってどう?私いくらお金あっても無理だわ。しょぼいしw」

B「それなー!私たちにはやり手のIT社長とかじゃないとキッついわ」

A「ねね、農家とかは?ヤバくない?!」

B「無理無理!有り得ないっしょ!」


ひえり「あのさ、しょぼい話すんのやめてくれる?」


A・B「?」


ひえり「2人共さ、コンビニ行ったことないの?普段お世話になってる癖に、その言い分はなに?その人達を下に見てるってこと?だよね?」

A「え、何?ウケるんだけど」


ひえり「その人の本質も知らないで、肩書きとか職業で人を見下す人は漏れなくクズだって。お兄ちゃんが言ってた」

B「あはは、何それw」

A「ひえりってぇ、もしかして────」

 

《堆家》


仕事後────


2人は夕食をとっている。

ひえり「そしたらー、「もしかして、ブラコン?」って言われてさー!ほんっと、なんなの?」

千巣「いいんだぞ、ブラコンで」

ひえり「嫌だよ!気持ち悪いもん!」

千巣「直球だな」

 

────


第300話 「魔法使い」

 

────


《堆家》


会話は続く。


ひえり「でも、皆は知らないんだよ!お兄ちゃんが皆の命をめっちゃ守ってることを!皆、魔法使いなんてやってるとか言ったら、絶対笑うよ?」

千巣「別にいいよ。むしろ知られたくない。俺は、魔法使いとか関係なく、俺の本質を分かってくれる人間しか相手にしない」

ひえり「なんか、それはそれで面倒臭いね」

千巣「どっちだよ...」


ひえり「あ、あとね!今度新曲が出るんだけど、その時のリリイベがね──────」


ひえりは、千巣に仕事の話や、日常の話を延々のと聞かせる。千巣は、その様子を時々反応しながら笑って聞いている。


千巣「...笑」

 


────やっぱ、家(ここ)はいい...俺が魔法使いであることを一瞬でも忘れさせてくれる...

俺はこいつの兄である。今はそれ以上のことは必要ない。


もう当たり前になってしまった、俺にとっての”戦う理由”。

それを、ひえりが思い出させてくれる...

 

千巣「ところで、いつアイドル辞めるんだ?」

ひえり「え、今の会話の何処に辞める要素ありました?」

千巣「いや、俺アイドルとか興味無いし、お前は俺だけのアイドルで、この家のアイドルで...」

ひえり「キモ」

千巣「グサッ」


ひえり「てかさ!お兄ちゃんもイベント見に来てよぉ!1回もライブ来てくれてないじゃん!私こう見えて結構人気ある方なんだよ?テレビとかみないお兄ちゃんには分からないと思うけどっ!」

千巣「意外と予定合わないしなぁ。それになんか怖ぇし」

ひえり「今度のライブ、家族は招待出来るから、絶対来てね!」

千巣「そうか。ま、頑張ってな。怖いオタクに絡まれたらお兄ちゃんに言うんだぞ?殺すから」

ひえり「うわっ怖っひくわ」


千巣「ごめん...」ピエン

 

────人生というものは、生まれた時に全てが決まるといっても過言ではない。俺はそう思う。


俺は生まれつき魔法が使えたし、当たり前のように魔裁組に所属した。


両親が死んだ時は流石に驚いたが、それ以外に、ターニングポイントのようなものは数える程しかなかった。


この仕事をしていると、死別は日常だ。初めて、”任務での死別”を経験して以来、死別は当たり前のものになった。普通の人間における転機は、俺にとっては通過点でしかない。

 

だから、毎日がダラダラと通り過ぎていくだけなのだ。


もしも俺が魔法使いじゃなければ、もっと違う感受性や価値観を持って生きていただろう。でも常に死を意識して生きていくと、それが日常になる。

辛いものに慣れると、激辛料理が全く辛く感じなくなるのと同じように。


魔法を知らない世界で、もっと別の人生を歩みたいと思ったことは何度もある。ドラマチックで、ジェットコースターのような人生。小さなことで喜び、悲しみたかった。


まぁ、そんなこと、今更出来るはずはないのだが。

 

────


第301話 「スターリーランド」


《スターリーランド》


ここは、千葉。スターリーランド。関東で1番人気のある遊園地。今日も沢山の人が訪れ、閉園時間を迎えようとしていた。


デュマ「皆...幸せそうだね」


デュマは、園内の城の上空からエリアを見渡す。花火を背に、出口へ向かう人々を見下ろす。


デュマ「普通の人間がマヂカラのピークを迎えるのは、26歳。だから、将来有望な若い子がたくさんいる場所を考えたんだけど...やっぱりここだよね。スターリーランド!」


デュマは、夜風に吹かれながら、硬度の書を持って佇む。


デュマ「カフカ、気持ち悪いけど、良い奴だったのになぁ...残念。でも大丈夫だよ?」


デュマは地面に飛び降りた。

 

デュマ「代わりなんて、いくらでもいるから...!!」

 

────

 

《ヘリコプター》

一善、幸二、三太郎の3人は、ヘリコプターでスターリーランドに向かう。


運転手「まさかあんな所に魔者が出るなんてな!」

幸二「ノベルの仕業でしょうか?」

運転手「分からねぇ!お前らも気をつけろよ!」

三太郎「運転手さん!あとどれ位で着く?」

運転手「もうすぐだ、ほら、タワホラが見えてきた」

三太郎「うぉーーー!あ!あれビッグワンダーじゃね?!」

幸二「遊びに行くんじゃねえんだぞ」

三太郎「分かってるわ!俺だって...遊んでるわけじゃねえよ」

幸二「...」

一善「(ノベルの魔者だろうか?だが蝶々紙の魔者ではないだろう。マヂカラレベルは5。だから3人派遣されてるんだ)」


ヘリコプターは、園内の人気(ひとけ)が少ないスポットで滞空する。

運転手「よし、ここで降ろすぞ」

一善「はい!ありがとうございます!」

幸二「行くぞ」

三太郎「待ってろ魔者!!」

 


ビュン!

 


ビュン!

 


ビュン!

 


3人は、スターリーランドに降り立った。


幸二「向こうだな」

一善「うん」

三太郎「やってやろうぜ...!」ポキ ポキ

 

────

 

《スターリーランド》

デュマは、帰ろうとする1組のカップルを見つける。

デュマ「ラブラブだねぇ...って!」

デュマは、男子の顔を遠くから凝視する。


デュマ「あの子!!カフカにそっくり!!!」

 

────


第302話 「残影」


《スターリーランド》

女子「今日...楽しかったね...///」

男子「そうだね...///」


女子「あのさ...また...来たいな...///」

男子「!!!」

女子「...?」トゥンク...

男子「あ...あのさ!(俺だって...男だ!ここで、俺は...言う!)」

女子「?」


男子と女子は向き合う。


男子「あ、あの...俺は...」

女子「...」

男子「君の...ことが...」

女子「!!」

男子「すっ...」


そこへ、デュマが現れた。

デュマ「やぁ!」

女子「!!!」


男子「好きです!!!!!」

女子「!!!!」


デュマ「見えてないのかなー?ねぇってば!」

女子「...!?(だ、誰...?!)」

男子「だから...もし良かったら...」

女子「ねぇ...後ろ?」

男子「え...後ろ...?」

男子は後ろを振り向くが、背後のデュマに気が付かない。

男子「何も...ないよ?」

女子「え...?な、何言ってるの?そこに、人が」

男子「え?」

デュマ「なるほどねーん。俺が見えるんだねぇキミは。この男の子とは違って。魔者に向いてるよ!」

女子「何...言ってるの?魔物...?」

デュマ「でも、俺が気に入ったのはこの男の子の方なんだよねー」


男子「どうしたの?」

女子「...!」ガクガク...!


デュマ「だって、声も顔も不器用なとこも全部全部そっくりだもん!カフカに」

女子「...?!」


デュマ「だから、これをあげるよ!」

デュマは、男子の背中に魔導書を突っ込んだ!


グシャッ!!!


男子「!!!!!!」

女子「きゃぁぁぁぁぁ!!」


デュマ「さぁ、どうかな?異形にはなっちゃだめだよぉ?ま、ダメだったら、センスありそうなそこの女の子で試すからいいけど」

ゴゴゴゴゴ...!

すると、男子から角が生え、目が赤くなった!


女子「あぁ...!」


デュマ「おぉ!!!すごーーーい!!!まんまカフカじゃーーーん!!!やったーーー!!」

男子「うぅ......!」

デュマ「君は今日から、カフカ2だ。俺はデュマ。よろしくね」

カフカ2「うぅ......!!ギャァァァア!!!」

 

────


第303話 「妙案」

 

────


《スターリーランド》


カフカ2は、女子に襲いかかった!


グサッ!!!!!

女子「きゃぁぁぁ!」


デュマ「仕方ないよねぇ。大好きなんだもんね」

カフカ2「グルルルゥゥゥ...!」

女子「やめて...やめて...!」


デュマ「ま、あとは好きにしていいよ。また迎えに来るね。俺はちょっと散歩してこよーっと」


デュマはその場を離れた。


カフカ2「グルルルゥゥゥ...!!」

女子「誰か...助けて...!!」


カフカ2「ヴギャァァァァ!!!」

女子「!!!!」


ダッダッダッ...!!


三太郎「黄のエレメント...!プラズマブレッド!!!」

 

 

ドッゴォォォォォォン!!!

 

 

三太郎は、カフカ2を殴り飛ばした!


カフカ2「ギャァァァ!!」

女子「あ、あなたは?」

三太郎「もう大丈夫。傷口を塞いで」

幸二「あの魔者は?」

女子「分からない...けど、変な人が、本を...!」

一善「あの人は、元々知り合い?」

女子「あの人は...私の...」

幸二「...?」


女子「こ、恋人です!!」


三太郎「そっか...!」

幸二「...」

一善「でも...殺さないと」


幸二「...残念だが、君の恋人は」

三太郎「いや、待てよ」

幸二「?」

一善「?」


三太郎「生け捕りってのは、どう?」

幸二「...?」

一善「...?」


三太郎「さっきの魔者、この子の恋人、そんな強い魔者じゃないでしょ?恐らく、その人を魔者にしたやつが、マヂカラレベル5の本丸だと思う」

幸二「確かに」

一善「だから?」


三太郎「俺達が魔法を無くすまで、縛っておけば、魔法そのものが無くなれば、その人も元に戻るかも!」

幸二「だが、魔者が人間に戻った試しはないんだぞ?」

三太郎「でも、魔法を封印したこともないよな」

幸二「...!」

一善「...」


三太郎「だから、あの魔者は生け捕りに」


ズバッ!!!


カフカ2「グルルルゥゥゥ!!!!」

カフカ2が襲いかかってくる!

一善「...!(この魔者って...?!)」

 

────


第304話 「迷い」

 

────


《スターリーランド》

幸二「青のエレメント!ブルー・THE・ブラッド!」

バァン!!!

カフカ2「ギュルリャァァァ!!」

三太郎「大人しくしろ...!黄のエレメント!スクリューストライク!!!」ドゴォン!!!


カフカ2「!!!」


三太郎「俺のエレメント!!羽交い締め!!!」

三太郎は、カフカ2を羽交い締めした。


一善「ねぇ」

幸二・三太郎「?」

一善「この魔者、俺、一度倒したことある」

幸二「そうなのか?」

三太郎「それって...?」


カフカ2は、抑えられたまま、指を液状化させて、長くした。そして、三太郎へ突き刺す!


ズバッ!!


一善は、三太郎に襲いかかった指を切り落とした。

一善「...柔いな」

幸二「...?」

一善「こいつの能力は、ものの硬さを操る能力だ。俺はこいつとそっくりの魔者を一度倒した。その時、魔導書は回収出来なかった」

幸二「回収出来ない?」

三太郎「魔導書の魔者なのに、魔導書が出ない?」

一善「分からないけど、この女の子の話によると、魔導書はこいつの中だ。でも、多分殺しても本は出てこない」


三太郎「じゃあなおさら!」

一善「でも魔者なんだ。殺さないと」

幸二「...」

三太郎「いや、一善?この人は」

一善「関係ないよ。もし牢獄で封印出来たとしても、何が起きるかわからないだろう。それに、ここで殺せば魔導書を手に入れることが出来るかもしれない。だったらここで殺すべきだ。それが俺たちの任務だ」

三太郎「それは、正しい。けど、それでいいのかな...?」

幸二「...」

一善「幸二は?幸二もそう思うだろ?」

幸二「...」


三太郎「早くしねぇと、他の魔者が!」

幸二「...!」

一善「...」

三太郎「多数決!多数決で!」


女子「あの...」


一同「...?」

 


女子「どうか...どうか、その人を助けて下さい...!これから、ずっと一緒にいたいなって、初めて思えた人なんです...!何でもします...だから...どうか...」

 


三太郎「!!」

幸二「...!」

一善「...」

 

────


第305話 「助けたい」


《スターリーランド》


三太郎「俺は、生け捕り派」

幸二「...」


三太郎「一善は...ここで、殺すのに賛成なんだな」

一善「...うん」


幸二「...」


三太郎「幸二は?」

一善「幸二」

幸二「俺は...」


三太郎「?」

一善「?」

幸二は、悩んだ。

色々な考えが、頭を巡る。

そして、口を開く。


幸二「この人を、助けたい」


三太郎「!!!」

一善「!!!」


幸二「わかるよ...一善。俺は、本当の意味で魔法使い失格かもしれないな。でも...」

一善「...」

三太郎「...」


幸二「目の前の人を見殺しにして、最後、人助けが出来たと、胸を張って言えるだろうか...!」


三太郎「!!」

一善「...」


幸二「この人は殺さない。ありたっけの吸魔の札でぐるぐる巻きにして、魔裁組の地下牢に封じ込めよう。青木葉の時みたいに」

三太郎「幸二...!」

一善「...」

女子「...!」


そして、幸二は、女子に語りかける。

幸二「二人には少し辛い思いをさせる。だが、彼を待っていてやってくれ。どれだけ長くなろうとも、俺達が必ず、君たちの未来を守る」

女子「...!!!ありがとうございます...!」


三太郎「(俺が考えた案なのに...カッコつけやがって!)」

幸二「この魔者は、俺と三太郎で封印する。一善は、他の魔者が居ないか、園内をあたってくれるか?」

一善「...わかった」

幸二「頼む」


一善「そっちは、頼んだよ」

三太郎「おう...」


一善「つのキング」

ボワァン!

つのキング「ウォーーーーーー!」


一善「行くよ...!」

一善とつのキングは、奥へ走っていった。


三太郎「これで、よかったんだよな」

幸二「...もう決めたことだ。良いも悪いも考えるな」

 

────


第306話 「デュマ」

 

────


《スターリーランド / デュマサイド》

デュマは、園内を散歩する。

デュマ「なんか、カフカ2君のマヂカラの気配が弱まってるなぁ。それに、なんだろう。他のマヂカラの気配が強まってる?もしかして、魔者狩り?」


ニヤッ

 

《スターリーランド / 一善サイド》

一善「(遠くに何か、マヂカラの気配を感じるような気がする...奥へ行ってみよう)」

つのキング「ウォーーーーーー!」


一善は、つのキングを連れて、更に奥へ走る。

 

《スターリーランド / 幸二サイド》


三太郎「よし!これでOK!」

幸二「今回は例外だ。今後こういう手段はよせ」

三太郎「ま、ケースバイケースで」

幸二「全員平等に救うなんて無理なんだ。分かってるな」

三太郎「おう...」


幸二「研究班の人を呼んだ。ヘリが着いたら、この人を預ける。恐らく、抑え込めるレベルではあるはずだ。魔者になって時間が浅いのが幸いしたな」

三太郎「俺も行こうか?」

幸二「ダメだ。わかるだろ?まだ辺りのマヂカラが消えてない。まだいるんだここに。そいつを倒すのに、他に人員を割いていられない」

三太郎「了解」

 

《スターリーランド / 一善サイド》

一善「(こっちじゃないか...一回戻ろう)」

一善は、幸二らの場所へ向かう。


デュマ「ん?あの少年は?」

デュマは、一善を遠巻きで見る。


デュマ「(虫の魔獣を連れてる...って!もしかして!!!)」

 

一善「...?!」


バッ!!!!!


一善に、攻撃が降り注ぐ!!!


一善「誰だ!!魔者か...!!」

つのキング「ウォーーーーーー!!」


スタッ...


デュマ「やぁ。僕はデュマ。君、強いよね?」

一善「デュマ...お前もノベルか?」

デュマ「ピンポーン。詳しいんだね。ねぇ、俺と戦おうよ」

一善「何で」

デュマ「強い人と戦いたい。それだけ!」

一善「いいよ。でも」

デュマ「?」


一善「死ぬよ?」


デュマ「へ?」

一善「魔者は殺すべきもの。だから殺す」

デュマ「...?!」

一善「戦っても殺す。戦わなくても殺す。だからお前は死ぬ。それだけだよ」

デュマ「...そうなんだぁ」

一善「...」


デュマ「でも俺はねぇ...!!」


ビュンッ!!!!


一善「!!」

デュマ「戦う相手が強ければ強いほど、強くなれるんだよ!!!」ゴゴゴゴゴ...!!!!

 

SOREMA -それ、魔!- 36へ続く。

 

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第299話 「兄と妹」

第300話 「魔法使い」

第301話 「スターリーランド」

第302話 「残影」

第303話 「妙案」

第304話 「迷い」

第305話 「助けたい」

第306話 「デュマ」